故障・修理
更新日:2023.11.27 / 掲載日:2023.11.27
プラグギャップゲージ4選 適正なギャップに調整する理由や使い方も解説

プラグギャップゲージとは、スパークプラグが正常に稼働するように調整する道具です。スパークプラグの電極間の隙間をギャップと言い、適正な数値に調整します。
この記事では、スパークプラグのギャップを調整する理由やプラグギャップゲージの選び方を解説し、おすすめのプラグギャップゲージ4選を紹介します。あわせて、ギャップを自分で調整する方法やスパークプラグの交換方法の手順を解説します。
1.プラグギャップゲージとは
スパークプラグのギャップとは、中心電極と外側電極(接地電極)の隙間のことを言います。スパークプラグは、高圧コイルから中心電極と外側電極の間に電流が流れることで発火し、燃焼室内にある混合気(燃料と空気が混ざった状態)を点火する部品です。
車のエンジンを正常に動かす重要な部品で、このギャップがエンジン性能にも大きく影響します。

(1)プラグギャップゲージの役割
プラグギャップゲージとは、スパークプラグのギャップ(電極間の隙間)を計測し、調整する道具です。
ギャップは、エンジンの点火時期や燃焼効率に大きく影響するため、適正な値に調整する必要があります。通常、新車を購入した場合は、初めから適正なギャップに設定されています。しかし、中古車の購入や自分で購入したスパークプラグを取り付ける際などにギャップを調整する必要があるかもしれません。
ギャップの適正値は各メーカーや車種、エンジン種別によって異なるため、プラグギャップゲージを使い、適正なギャップに調整します。適正値はメーカーの公式サイトやカタログなどで確認しましょう。もし、適正値がわからない場合はディーラーやカー用品店など専門業者に確認することをおすすめします。
(2)適正なギャップに調整する理由
スパークプラグのギャップは、エンジンの点火やパフォーマンスに大きな影響を与えます。そのため、ギャップが広すぎたり狭すぎたりした場合、点火が不十分になりやすく、スパークプラグの失火(シリンダーが正しく機能しないこと)につながる可能性があります。
ギャップの状態 | 影響 |
---|---|
ギャップが広すぎる場合 | ・中心電極と外側電極が持つ消炎作用の効果が薄いため、混合気に点火しやすい ・高い電圧が必要となるため、コイルに負担がかかり、失火しやすくなる |
ギャップが狭すぎる場合 | ・要求電圧が低くなるため、コイルの負荷は下がる ・混合気が広がりにくいため、大きな点火になりにくく、失火する可能性がある |
イグニッションコイルやプラグコードを交換しても、ギャップが適正でなければスパークプラグは正常に稼働しません。
2.プラグギャップゲージを選ぶポイント
スパークプラグのギャップを適正にするには、計測と調整の2つの作業が必要です。それぞれ別々のツールを使用する方法もありますが、2つの機能を備えたプラグギャップゲージを選ぶことで作業効率が上がります。
プラグギャップゲージにはいくつかの種類があるため、以下のポイントを考慮し、ニーズに合ったプラグギャップゲージを選びましょう。
1.計測単位はミリとインチの両方あるか
2.形状やサイズが適しているか
3.計測が正確か
順にご紹介します。
(1)計測単位はミリとインチの両方あるか
プラグギャップゲージを選ぶ際は、計測単位がミリ単位とインチ単位の両方に対応しているかチェックしましょう。
ギャップの計測単位は国やメーカーなどによって定められています。そのため、ミリ単位とインチ単位のどちらにも対応できるよう、両方の単位が表示されているプラグギャップゲージをおすすめします。
(2)形状や仕組み、サイズが適しているか
プラグギャップゲージは、円形や棒状、カード型などさまざまな形状があります。主流は、「ワイヤータイプ」「フィラーゲージタイプ」「コインタイプ」の3種類です。
ワイヤータイプ | ・取り扱いや持ち運びが簡単 ・計測精度は他より低い ・1本のワイヤで1つのギャップしか測れない ・ワイヤー部分が細いため、力を入れすぎると曲がったり折れたりしやすい |
---|---|
フィラーゲージタイプ | ・細かな精度を求める人におすすめ ・メジャー感覚でギャップを調整できるものもある ・サイズが大きいため持ち運びに不便 |
コインタイプ | ・取り扱いや持ち運びが簡単 ・計測中にギャップを広げてしまう可能性がある |
作業者によって使いやすさや、持ち運びやすさは異なります。自身の作業環境や用途、操作性を考慮し、形状やサイズを選びましょう。
(3)計測が正確か
製品によっては、計測精度が低い可能性があります。計測精度が低い製品の場合、例えば0.5mmを計測できる部分が、実際は0.7mmということも考えられるのです。
スパークプラグのギャップは、エンジンに大きな影響を与えるため、適正な計測が求められます。商品のレビューサイトや口コミサイトなどを確認し、製品の精度を確認しましょう。
3.プラグギャップゲージおすすめ4選
プラグギャップゲージを選ぶポイントをもとに、おすすめ4選をご紹介します。
品名 | 仕組み | 適応範囲 | 表示単位 |
---|---|---|---|
エスコ:スパークプラグゲージ EA604PB | コイン | 0.5~2.5mm0.020〜0.10inch | ミリ・インチ |
エスコ:スパークプラグギャッパー(スタンダード)EA604PC-1 | ワイヤー | 0.64・0.76・0.86・0.89・1.02・1.14mm | ミリ・インチ |
KTC:シクネスゲージ TGZ-1818 | フィラーゲージ | 0.45・0.50・0.80 0.90・1.10・1.30mm | ミリ |
ASTRO:プラグギャップゲージ 2001000000265 | コイン | 0.45〜2.55mm0.020〜0.10inch | ミリ・インチ |
(1)エスコ:スパークプラグゲージ EA604PB

ギャップの測定と調整をこれひとつでおこなえます。ミリの目盛りは裏面についているため、ミリとインチの両方に対応可能。手頃なサイズで持ち運びやすい商品です。
(2)エスコ:スパークプラグギャッパー(スタンダード)EA604PC-1

出典:スパークプラグギャッパー(スタンダード)EA604PC-1丨エスコ
ギャップの測定と調整の両方に対応するスパークプラグギャップ。本体サイズは小さいため、スパークプラグなど関連する部品と一緒に保管できます。ミリとインチが計測できます。測定できるサイズは6サイズのみなため、使われているスパークプラグのギャップを適正値に確認しましょう。
(3)KTC:シクネスゲージ TGZ-1818

シクネスゲージとプラグ調整用フックがセットになった商品です。他の商品と比較し、細かい測定ができます。整備士やシビアに調整したい人におすすめなプラグギャップゲージです。
(4)ASTRO:プラグギャップゲージ 2001000000265

出典:プラグギャップゲージ 2001000000265丨ASTRO
ゲージ側面でギャップを測定し、丸い穴でギャップを調節できます。また、こちらの商品もミリとインチに対応。コンパクトなため、キーホルダーなどにつけて常に携帯できます。
4.プラグギャップゲージの使い方
プラグギャップゲージを使い、ギャップを調整する手順は以下のとおりです。取り付けられているスパークプラグのギャップを調整する場合は、プラグレンチを使用します。プラグレンチとは、スパークプラグの取り外しや取り付けに使う道具です。
1.プラグギャップゲージで今のギャップを計測します。プラグギャップゲージの計測部分をギャップに挿入してください
2.ギャップが適正値から外れていた場合、プラグギャップゲージの調整部分で適正値にします。調整部分をスパークプラグにひっかけて、広げたり狭めたりします
3.再度計測部分でギャップを確認し、問題なければスパークプラグを取り付けます
商品によって使用方法が異なるため、正しい使い方は取扱説明書を参考にしてください。
5.スパークプラグの交換方法
ギャップを調整しても不具合などが治らない場合や、スパークプラグが劣化していた場合などは、新しいスパークプラグに交換しましょう。スパークプラグを自分で交換するときは、以下の手順でおこないます。
1.作業前にエンジンが十分に冷えていることを確認してください。エンジンが直前まで動いていた場合、スパークプラグがとても熱くなっています。エンジンを冷ましてから作業しましょう
2.イグニッションコイル(バッテリーからの電圧を増幅し、スパークプラグに送る装置)を取り外します。各コイルがスパークプラグに直接接続されているため、それぞれのコイルのボルトをレンチなどで緩めてから取り外します
3.プラグレンチやプラグソケットを使い、スパークプラグを取り外しましょう。スパークプラグを取り外すときは、反時計回りにゆっくりまわします
4.新しいスパークプラグを取り付けるとき、はじめの締め付けは手でおこないます。手でしっかりと締まる程度までおこない、最後にレンチを使い、適正なトルクで締め付けてください。締め付けが強すぎる場合、スパークプラグが割れる可能性があるので注意が必要です
5.イグニッションコイルを新しいスパークプラグに取り付けましょう。これを正しく接続しなければエンジンは正常に作動しません
自分で交換することで、業者に依頼する費用を節約できます。しかし、スパークプラグはエンジンを動かすのに重要な部品であり、失敗するとエンジン不調や車両故障の原因につながる可能性もあります。そのため、作業に自信がない人は業者への依頼がおすすめです。
6.スパークプラグに関することはグーネットピットにお問い合わせください
スパークプラグのギャップを調整するときは、プラグギャップゲージを使うのがおすすめです。ギャップを計測するツールと調整するツールをそれぞれ使う方法もありますが、一体型となっているプラグギャップゲージであれば、作業効率を上げられます。
しかし、取り付けられているスパークプラグのギャップを調整するにはプラグレンチなどの道具も必要になります。さらに、スパークプラグはエンジンの動きに関わる重要な部品のため、作業に失敗するとエンジンに大きな影響を与えるかもしれません。
道具を準備する時間がない人や作業に自信がない人は、専門業者に依頼することをおすすめします。
グーネットピットでは、専門知識を持ったスタッフがスパークプラグのギャップ調整や交換、エンジンの状態確認などをサポートしています。もし、スパークプラグやエンジンの調子で相談ごとがありましたらグーネットピットにお問い合わせください。