故障・修理
更新日:2023.11.27 / 掲載日:2023.11.27
バッテリー交換時にバックアップは必要?安心して交換する手順と注意点を解説

バッテリー交換時、バックアップせずに作業すると、車に搭載されている電子機器やシステムなどが保存しているデータがリセットされます。
また、バックアップしなかった場合、安全装置や衝突防止機能、運転支援システムなどが搭載されている車は警告灯が点灯する可能性があるでしょう。
この記事では、車のバッテリー交換時にバックアップが必要な理由やバックアップする方法について詳しく解説します。バックアップに利用するアイテムも紹介していますので、参考にしてください。
1. バッテリー交換時にバックアップは必要……?
バッテリーを交換する際は、基本的にバックアップする必要があります。もし、バックアップしなかった場合、車に保存されている各種データを失うことになります。
そもそもバックアップとは、バッテリーの代わりに予備電力を供給し続けることです。バッテリー交換時にバックアップすることで、バッテリーの代わりに車へ電力が供給され続けます。
車に搭載されている一部の電子機器やシステムは、バッテリーから供給される電力を利用し、それぞれのデータを記憶しています。そのため、これらの電子機器類に電力が供給されなくなると、保存されたデータがリセットされてしまうのです。
具体的には、以下の電気機器やシステムのデータがリセットされる可能性があります。
対象の電子機器やシステム | リセットされるデータ |
---|---|
ECU(電子機器の制御装置)のメモリー | ・車の状態を考慮したアイドリング回転数 ・パワーウィンドウのオートモード ・バックモニターの設定など |
AT車の学習機能 | ・ステアリングセンサー中点位置 ・アイドリングの適正回転数 ・シフトダウンのタイミングなど |
カーナビやオーディオ | ・時計や保存地点などの各種設定 ・HDDナビのハードディスク(故障につながる)など ・ラジオやTVのチャンネル設定 |
ただし、燃料の吐出量やそのタイミング、電子機器のプログラム、センサーの規定値など、走行に関わる重要な情報はリセットされません。
バッテリー交換時にリセットされるデータとリセットされないデータがあるのは、保存される記憶装置が異なるためです。車に関する各種データは、「RAM(ランダム・アクセス・メモリー)」と「ROM(リード・オンリー・メモリー)」と言われる記憶装置のどちらかに保存されます。RAMは電力の供給が止まるとデータがリセットされますが、ROMはリセットされません。バックアップは、このRAMに保存されるデータが消えないようにするための対策です。
なお、キャブレター仕様の古い車や電子制御が進んでいない頃に製造された車は、バックアップする必要がないかもしれません。これらの車は、常時電源に接続している機器類が少ないため、バッテリーを外しても影響は少ないでしょう。
2. バッテリー交換時に利用するメモリーバックアップの種類
バッテリー交換時のバックアップは、「メモリーバックアップ」というアイテムを利用します。メモリーバックアップがバッテリーの代わりに電力を供給します。
メモリーバックアップには、主に3種類のタイプがあります。
・バッテリー端子を使うタイプ
・シガーソケットを使うタイプ
・OBD2コネクタを使うタイプ
順にご紹介します。
(1) バッテリー端子を使うタイプ
このタイプはバッテリーの端子(バッテリーターミナル)に接続し、電力を供給します。端子に接続するだけで良いため、比較的手軽にバックアップがおこなえます。
ただし、作業中に手が当たるなどして、メモリーバックアップが端子から外れる可能性があります。外れた場合は、データがリセットされるため、作業する際は細心の注意をはらいましょう。
(2) シガーソケットを使うタイプ
このタイプは車のシガーソケットに接続し、電力を供給します。バックアップする際は、車側の操作も必要になります。利用時は、車やメモリーバックアップの取扱説明書を確認してください。
メモリーバックアップをシガーソケットに接続し、車内に置いたまま作業できるため、比較的簡単にバックアップできるでしょう。
(3) OBD2コネクタを使うタイプ
このタイプは車のOBD2コネクタ(自動故障診断システム)に接続し、電力を供給します。ほとんどの国産車は、ハンドル下のパネル裏(運転席の足元)にOBD2コネクタが隠れています。
作業中にメモリーバックアップが外れる心配がないため、安心して作業がおこなえるでしょう。
3. おすすめ メモリーバックアップ3選
おすすめのメモリーバックアップを3つご紹介します。
商品名 | 接続先 | 価格 |
---|---|---|
エーモン|メモリーバックアップ | バッテリー端子 | 販売店による |
メルテック|OBDⅡメモリーバックアップ用電源 | OBD2コネクタ | 販売店による |
カーメイト|メモリーキーパー | OBD2コネクタ | 1,980円(税込) |
(1) エーモン|メモリーバックアップ

EV車・HV車・アイドリングストップ車に対応。単三電池8本(別売)でバッテリー交換をバックアップします。
外れないロックプレート付きのため、作業途中に外れるリスクを抑え、安心して作業できるでしょう。また、落下を防ぐ専用フック付きで作業効率がUPします。
(2) メルテック|OBDⅡメモリーバックアップ用電源

利用する際は、OBD2コネクタに接続するだけ。バッテリー交換時、車に保存されている各種データをバックアップします。
バッテリーターミナルに接続しないため、作業時に外れる心配や接触不良の心配はありません。
(3) カーメイト|メモリーキーパー

バッテリー交換時の必需品!バッテリー交換時にOBD2コネクタに接続するだけで、各種設定やメモリーのリセットを防ぎます。
作動確認表示付きのため、正しく稼働しているかを確認でき、安心して作業できます。
- ・「カーメイト メモリーキーパー」の購入ページ(公式ストア)
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4. バッテリー交換とバックアップする方法
バッテリー交換とバックアップに必要な道具と方法をご紹介します。
(1) 必要な道具
バッテリー交換とバックアップに必要な道具は以下のとおりです。
・メモリーバックアップ:バッテリーの代わりに電力を供給する
・レンチ:バッテリーのケーブルや固定している工具などの脱着に使う
・ゴム手袋:感電を防止するために装着する
・保護メガネ:交換時に発生する金属粉や液体などから目を保護する
・絶縁テープ(養生テープ):端子同士の接触や車に接触し、ショートすることを防ぐ
・サンドペーパー(紙ヤスリ)やワイヤーブラシ:バッテリーのケーブルなどを清掃する
(2) バッテリー交換とバックアップする方法

一般的なバッテリー交換とバックアップする方法をご紹介します。
1.エンジンを停止し、バッテリーの搭載位置を確認します。多くの車がボンネットの中にありますが、トランクルームの下や車内などに搭載されていることもあります。詳しくは車の取扱説明書を確認しましょう
2.メモリーバックアップを接続します。接続先はバッテリー端子やシガーソケット、OBD2コネクタなど、メモリーバックアップのタイプに合わせて接続してください。接続方法は取扱説明書を確認しましょう
3.バッテリーからケーブルを取り外します。マイナス端子を外した後、プラス端子を外してください。取り外したケーブルは、絶縁テープなどで絶縁します
4.バッテリーを固定している部品を取り外し、バッテリーをホルダーから取り出します。取り出す際にバッテリーを傾けると、バッテリー内の液がこぼれる可能性があるので注意してください
5.新しいバッテリーを搭載し、固定する部品を取り付けてください
6.バッテリーにケーブルを取り付けます。プラス端子を付けた後に、マイナス端子を付けてください。このとき、端子の奥までしっかりと入っているか確認してください。入りが緩い場合、走行中に外れる可能性があり、非常に危険です
7.バッテリーの取り付けが完了したら、メモリーバックアップを取り外します
8.取り外したバッテリーは、自治体の処分方法に従って廃棄しましょう。バッテリーを購入したカー用品店などで引き取ってくれることもあります
(3)業者に依頼する場合の相場
バッテリー交換を専門業者に依頼する場合、新しいバッテリーと交換作業費用を合わせて、1〜2万程度が相場です。
ただし、新しいバッテリーの種類や業者によって費用が異なります。依頼する業者を選ぶ際は、無理に安い業者を選ばないようにしましょう。交換後のバッテリーの保証期間やバックアップなどのサービスを確認しておくと安心です。
5. 自分でバッテリーを交換する際の注意点
誤った方法でバッテリーを交換すると電流がショートし、エンジンの故障や事故などにつながる可能性があります。最悪の場合、作業者が感電するかもしれません。そこで、自分でバッテリーを交換する際に注意すべき点を3つご紹介します。
もし、交換作業に自信がなかったら、業者に依頼することも検討しましょう。
(1) 端子を繋ぐ順番を間違えない
バッテリー交換をおこなう際は、端子を繋ぐ順番を間違えないように注意しましょう。順番は以下のとおりです。
バッテリーを取り外すとき | マイナス端子を外した後に、プラス端子を外す |
---|---|
バッテリーを取り付けるとき | プラス端子から付けた後に、マイナス端子を付ける |
バッテリーのプラス端子に触れる際は、マイナス端子が外れていることを確認しましょう。
マイナス端子のみが接続されている状態で、プラス端子のナットに触れているスパナなどの工具が車の金属部分に接触すると、大きな電流が工具に流れ込み、ショートする(火花が散る)可能性があります。
(2) プラス端子とマイナス端子を接触させない
バッテリー交換時に、プラス端子がマイナス端子および車の金属部分に接触しないよう注意しましょう。また、端子同士が直接接触する以外に、両方の端子がスパナなどの工具に同時に触れた場合も同様の現象が発生します。
バッテリーはプラス端子から電装品に電流を流し、その電流はさまざまな電装品や金属部品などを通り、マイナス端子に戻ります。そのため、プラス端子とマイナス端子が接触することで大きな電流が流れ、ショートするのです。ショートした場合、火災や火傷などの危険性があります。
作業する際は絶縁テープや養生テープを使い、接触しないようにすることも効果的です。
(3) 低圧電気取扱特別教育を受講する必要がある
ハイブリッド車や電気自動車のバッテリー交換をする際、「低圧電気取扱い特別教育」の受講が必要になります。
これらの車には、駆動用バッテリーと補機用バッテリー(電装品などへの電力供給用)が搭載されています。このうち、駆動用バッテリーの電圧は100V以上あり危険を伴うため、低圧電気取扱い特別教育を受講しなければ交換できません。
感電などの危険性が高いことから、ハイブリッド車のバッテリー交換は専門業者に依頼しましょう。
6.バッテリー交換ならグーネットピットにお任せください
車に搭載されている各種機器やシステムは、エンジンを切った後もバッテリーから電力を供給することで、さまざまなデータや設定を保存しています。そのため、バッテリーを交換する際、バックアップせずにバッテリーを取り外すと保存されているデータがリセットされます。
リセットされた場合、時刻など簡単な設定はご自身でも対応できますが、専門業者でなければ、正しく再設定できないデータがある可能性があります。
また、誤った方法でバッテリーを交換した場合、電流がショートし、エンジンの故障や火災が発生するリスクもあるでしょう。
バッテリー交換やバックアップに自信がない人は、グーネットピットにお任せください。経験豊富なスタッフがバッテリー選びから交換まで丁寧にサポートします。