故障・修理
更新日:2023.11.30 / 掲載日:2023.11.30
ブレーキパッドの材質 メリット・デメリット、交換の目安を解説

ブレーキパッドとは、ブレーキを構成する重要な部品のひとつです。ブレーキパッドには、ディスクローターを挟み込み、車の速度を落としながら停止させる役割があります。
この記事では、ブレーキパッドの材質、その特徴やメリット・デメリットを解説します。また、おすすめのブレーキパッドや交換方法も紹介していますので、愛車に合ったブレーキパッドを探している人は参考にしてください。
1. ブレーキパッドの役割

ブレーキパッドは、車を安全に停止させるために必要な部品です。タイヤの内側に装着されたディスクローター(車輪とともに回転している金属の円盤)をブレーキパッドで挟むことで摩擦力を発生させ、車輪の回転を止める役割があります。
なお、ブレーキパッドは、ブレーキシステムの中心的な役割を果たす消耗品です。使用期限を過ぎて使い続けた場合、ブレーキが利かなかったり、ディスクローターが傷ついたりする可能性があります。そのため、定期的な点検と交換が必要です。
2. ブレーキパッドの材質と特徴
一般的なブレーキパッドに使われる材質は主に5種類あります。材質によって特徴や使われる用途が異なるため、利用目的や車種に合わせて適切な種類を選択する必要があります。
1.ノンアスベスト
2.メタリック
3.セミメタリック
4.オーガニック
5.カーボンメタリック
(1)ノンアスベスト
ノンアスベストは、「街乗りなどの一般走行用の車」に多く取り付けられています。かつて使われていた「アスベスト」という有害物質を含んでいません。これにより、環境や健康に対する懸念が軽減されています。
耐熱性が低いとされていますが、「ブレーキ鳴き」や「ダストの発生」が少ないのが特徴です。
ブレーキ鳴きとは、ブレーキを踏んだときに発生する「キーキー」というような異音です。ダストとは、摩擦が生じるときに発生する微細な粉塵のことです。これが車のホイールや周囲の部品に付着することで、洗車やメンテナンスの手間の原因になります。
(2)メタリック
メタリックは、「サーキット走行用の車」に適しています。
耐熱性が高く、連続してブレーキを踏むときや急にブレーキをかけるときなども安定した性能を維持します。また、制動力が高いため、ブレーキを踏んでから停止するまでの距離が他の材質よりも短いのが特徴です。
ただし、金属を基材としているためローターへの攻撃性が高く、「ブレーキ鳴き」や「ダスト」の発生が多くなります。
(3)セミメタリック
セミメタリックは、「一般走行用の車」や「高速道路を利用する機会が多い車」の両方に適しており、幅広い用途の車で利用されています。
スチールを基材としており、耐摩耗性が優れているため、比較的長持ちします。また、ブレーキ鳴きやダストの発生を抑えられるのが特徴です。しかし、摩耗を抑える力が働くことで、他の材質よりブレーキが利きづらくなります。
また、ノンアスベストと比較すると、ややブレーキ鳴きやダストが多く発生します。とはいえ、ノンアスベストとメタリックの中間的な、バランスの取れたブレーキ性能を期待できるでしょう。
(4)オーガニック
オーガニックは、市街地での走行に適しており、「軽自動車やコンパクトカー」などでよく利用されています。有機素材を主成分としており、環境への影響を最小限に抑えられるのが特徴です。NAO材と言われることもあります。
ローターへの攻撃性が低く、ブレーキを踏んだときに発生する騒音や振動が抑えられているため、静かで乗り心地がよいのが特徴です。
ただし、高温に対する耐性に限界があるため、スポーティーな走行やサーキット走行などには向いていません。
(5)カーボンメタリック
カーボンメタリックは、「競技用の車」や「スポーツカー」「サーキット走行用」などに装着されています。カーボンとスチールを基材としており、「制動力」と「耐熱性」に優れているのが特徴です
サーキット走行を想定し摩擦係数が高くなっています。そのため、街乗りなどの低速域の一般走行では、制動力が不十分であることが多いため適していません。
また、ブレーキローターの摩耗が激しいことや、ブレーキ鳴きやダストの発生が多いのも特徴になります。
(6)材質ごとの用途、メリット・デメリットまとめ
以下、材質ごとの用途やメリット・デメリットをまとめた表です。
材質 | 用途 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
ノンアスベスト | 一般走行用 | ・ブレーキ鳴きやダストの発生が少ない ・頻繁に交換しなくてよい | 耐熱性が低い |
メタリック | サーキット走行用 | ・制動力が高い ・耐熱性が高い | ブレーキ鳴きやダストの発生が多い |
セミメタリック | ・一般走行用 ・高速道路を利用する機会が多い車 | ・耐摩耗性に優れている ・ブレーキ鳴きやダストの発生が少ない | 低速走行中はブレーキが利きづらい |
オーガニック | ・市街地の走行用 ・軽自動車やコンパクトカー | ・ローターへの攻撃性が低い ・静かで乗り心地がよい | 耐熱性が低い |
カーボンメタリック | ・競技用 ・スポーツカー用 ・サーキット走行用 | ・制動力が高い ・耐熱性が高い | ・ブレーキローターの摩耗が激しい ・ブレーキ鳴きやダストの発生が多い |
下記の記事では、ブレーキパッドの選び方をわかりやすく紹介しています。詳細は以下の記事をご覧ください。
ブレーキパッドおすすめ10選!選び方と交換の方法を解説【最新】 | 車検や修理の情報満載グーネットピット
3. ブレーキパッドのおすすめ6選
ブレーキパッドのおすすめ6選をご紹介します。材質によってさまざまなブレーキパッドがあります。目的に合わせた最適な商品を見つけてください。
(1)M-Autoparts「ブレーキパッドM0004A083」

丸紅グループのブランドであるM-Autopartsが実現した、高品質で低価格なブレーキパッド。耐摩耗性、低ダスト性能、制動力、コントロール性能、低ノイズ、ローター攻撃性などの性能バランスが最適化されたブレーキパッドです。
素材 | 推奨使用 |
---|---|
オーガニック | ストリート |
(2)DIXCEL「ESタイプ」

出典:ESタイプ|DIXCEL
DIXCELは日本のブランドメーカーで、一般車やチューニングカー、レーシングカーのブレーキパーツを提供しています。優れた制動力と耐久性を持ち、一般車だけでなくスポーツ走行やハイパフォーマンスカーにも対応しています。コントロール性が高く、ドリフトにも強いのが特徴です。
素材 | 推奨使用 |
---|---|
ノンアスベスト | ストリート |
(3)DIXCEL「Premiumタイプ」

Premiumタイプは、日本人向けとして徹底的にリサーチして開発された輸入車用ブレーキパッドです。価格と性能を両立させ、制動力とダスト性能に優れています。なお、ストリート専用のため、サーキットでは利用できません。ディスクローターもDIXCEL製品に交換することで、さらにパフォーマンスが上がります。
素材 | 推奨使用 |
---|---|
メタリック | ストリート |
(4)ACRE「スーパーファイター」

スーパーファイターは、ブレーキ時にストレスを感じさせないブレーキパッドです。価格を抑えるだけでなく、制動力とコントロール性、低ダスト性を兼ね備えています。多くの国産車に対応しているのに加えて、スポーツカーにも装着できるため、幅広いユーザーに対応しています。
素材 | 推奨使用 |
---|---|
ノンアスベスト | ストリート〜ワインディング |
(5)MONSTER SPORT「ブレーキパッドtype-S2」

出典:ブレーキパッドtype-S2|MONSTER SPORT
MONSTER SPORTは、日本のチューニングカーパーツメーカーであり、高性能なモータースポーツパーツの開発と製造で知られています。「type-S2シリーズ」は、車種別にチューニングされたブレーキパッドです。愛車に適した製品を選ぶことが可能です。
素材 | 推奨使用 |
---|---|
ノンアスベスト | ストリート〜ワインディング |
- ・「ブレーキパッドtype-S2」の公式ページ
- ・「ブレーキパッドtype-S2」の公式販売ページ(au PAYマーケット)
- ・「ブレーキパッドtype-S2」の公式販売ページ(Amazon)
- ・「ブレーキパッドtype-S2」の公式販売ページ(楽天市場)
- ・「ブレーキパッドtype-S2」の公式販売ページ(Yahoo!ショッピング)
(6)ENDLESS「ブレーキパッドMX72PLUS」

ENDLESSはモータースポーツ界で有名なブランドで、ストリート走行からサーキット走行の商品を提供しています。価格帯は高めですが、性能と品質に見合った価値があり、高いコントロール性や圧倒的な初期制動力が特徴です。サーキット走行やスポーティーなドライビングに適しており、ミニバンやSUVなどの車にもおすすめのブレーキパッドです。
素材 | 推奨使用 |
---|---|
セミメタリック | ストリート〜サーキット |
4. ブレーキパッドの寿命と交換の目安
ブレーキパッドの寿命と交換の目安をご紹介します。
1.ブレーキパッドの厚みが3mm以下になる
2.ブレーキをかけたときに異音がする
3.ブレーキフルードの量がMINまで減っている
(1)ブレーキパッドの厚みが3mm以下になる
ブレーキパッドは摩擦の力でディスクローターの回転を制御するため、ブレーキをかけるたびに消耗します。
新品のブレーキパッドの厚みは約10mmですが、その厚みが3mm以下になったら交換するタイミングです。3mmを下回ると適切にブレーキが利かない、またはブレーキの破損につながります。
材質や用途などによって異なりますが、ブレーキパッドは約10,000km走行するごとに1mmずつ薄くなっていきます。そのため、新品のブレーキパッドはおよそ30,000~50,000km走行したタイミングで点検するとよいでしょう。
ブレーキパッドの正確な残量は、タイヤとホイールを外し、円盤型のディスクブレーキの点検窓から確認します。
(2)ブレーキをかけたときに異音がする
ブレーキパッドの厚さが薄くなると、「キー」「シャー」といった異音が発生します。薄くなったパッドとブレーキパッドについているインジケーターの金属部分がこすれ合う音で、パッドが薄くなっていることを知らせます。
また、ブレーキをかけたときに「カラカラ」という音が聞こえたら、ブレーキパッドがひび割れているかもしれません。「ゴー」という音であれば、ブレーキパッドとブレーキローターの金属部が干渉しているか、あるいはその間に異物が付着している可能性があります。
(3)ブレーキフルードの量がMINまで減っている
ブレーキフルードの量がMINまで減っている場合は、ブレーキパッドが薄いことを知らせています。
ブレーキフルードはブレーキをかけるときの力を伝達する役割を果たします。ブレーキパッドが薄くなると、ブレーキフルードがブレーキキャリパー(ブレーキパッドの動きを制御する部品)へ押し込まれる量が多くなるのです。
したがって、ブレーキフルードの量がMINまで減っていることは、ブレーキパッドが薄いことを表し、交換の目安になります。
また、サイドブレーキを引いていない状態で、以下のようにブレーキ警告灯が点灯する場合もブレーキパッドが薄くなっている可能性があります。

ブレーキ警告灯はブレーキフルードの量が減少すると、その減少を伝えるために点灯します。
5. ブレーキパッドを交換する方法

ブレーキパッドの交換に必要な道具と自分で交換する方法を解説します。また、業者に交換を依頼するときの相場もご案内します。
(1)自分で交換する場合に必要な道具
交換に必要な主な道具は、以下の9つです。
ジャッキとジャッキスタンド
車を持ち上げるためのジャッキと、安全に固定するためのジャッキスタンド
レンチやスパナ
ホイールやブレーキキャリパーのボルトを緩めたり締めたりするために使う
ブレーキキャリパーツール
ブレーキパッドを押し戻すための専用のツール。ピストンを押し戻すときに使うことがある
S字フックやタイラップ
取り外したキャリパーが脱落しないようにするため。100円均一の店舗で販売されているような長く大きめのS字フックか、長めで取り外しができるタイラップ(結束バンド)がよい
ブレーキパッドのクリーニング用具
ブレーキパッドを交換するときに、ブレーキディスクやキャリパーをクリーニングするための布やブラシなど
ブレーキパーツクリーナー
古いブレーキグリスやキャリパーのブレーキダストを清掃するときに使う
グリス、パッドグリス
ブレーキパッドをキャリパーに取り付けるときに必要
作業手袋
安全性の確保と油汚れなどを防止するため、作業するときに着用する
新しいブレーキパッド
適切なサイズと仕様のブレーキパッドを用意する
(2)自分で交換する方法
ブレーキパッドを交換する方法を概説します。
1.安全確保
安全な場所で駐車ブレーキをかけ、車をジャッキアップする。ジャッキスタンドで車体を支えて安全に作業できる状態にする
2.ホイールの取り外し
ホイールナットをレンチで緩め、ホイールを取り外す
3.キャリパーの取り外し
キャリパーの下側のボルトをレンチやスパナで外し、キャリパーを下から上に取り外す。ブレーキキャリパーツールを使用し、減った分だけピストンをゆっくりと元の位置まで押し込む
4.ブレーキパッドの交換
キャリパーのブラケットから古いブレーキパッドを取り外し、新しいブレーキパッドと交換。パッドの取り付け位置によって、スプリングクリップやピンを外す場合もある
5.キャリパーの取り付けと組み立て
新しいブレーキパッドを取り付けたら、キャリパーを元の位置に取り付ける。最後にホイールを取り付け、ボルトをしっかりと締め付けたら作業完了
6.ジャッキダウンとブレーキ復帰
ジャッキダウンし、ブレーキフルードの量を確認。エンジンを掛けずに30回ほどブレーキペダルを踏み、ピストンが新しいブレーキパッドを確実に押せる状態になるのを確認する
下記の記事では、ブレーキパッドを交換する方法をわかりやすく紹介しています。詳細は以下の記事をご覧ください。
ブレーキパッドおすすめ10選!選び方と交換の方法を解説【最新】 | 車検や修理の情報満載グーネットピット
(3)ブレーキパッドの交換を依頼するときの相場
ブレーキパッドを交換するには道具や専門知識が必要になるため、業者に依頼するのもひとつの方法です。
一般的なブレーキパッドの交換は、8,000〜10,000円程度(ブレーキパッド本体代は別)の工賃がかかります。業者によって交換にかかる費用が異なりますので、必要に応じて複数の業者で見積もりを取りましょう。
業者を選ぶときは交換費用以外に、口コミサイトやレビューサイトなどを確認し、信頼して愛車を預けられるかをチェックします。また、今回の交換だけでなく、今後も定期的に車全体のメンテナンスを依頼できる業者を選ぶとよいかもしれません。
6. ブレーキパッドのことならグーネットピットにお問い合わせください
ブレーキパッドは、ブレーキシステムにおいて必要不可欠な部品です。ブレーキパッドがディスクローターを挟むことで摩擦が発生し、車を徐々に減速させ停止します。
ブレーキパッドはブレーキを踏みディスクローターを挟みこむたびに、摩擦面がすり減る消耗品です。そのため、安全に運転するには、ブレーキパッドの定期的な点検と交換が必要です。
ブレーキパッドは自分で交換することも可能です。しかし、間違えて取り付けると事故につながる重要な部品なため、交換に自信がない人もいるのではないでしょうか。
もし、交換を業者に依頼したい場合は、グーネットピットまでお気軽にご連絡ください。グーネットピットには、自動車のメンテナンスに関する幅広い知識と経験を持つスタッフが在籍しています。ブレーキパッドの材質選びから商品選定、交換作業まで丁寧におこないます。