故障・修理
更新日:2023.11.30 / 掲載日:2023.11.30
一般的なスパークプラグとイリジウムプラグの違いは?白金プラグとも比較

スパークプラグとは、エンジンを動かすときの点火に必要な部品です。プラグには複数の種類があり、電極にイリジウムや白金を使ったプラグは特徴や性能、価格などが一般的なプラグと異なります。
この記事では、一般的なスパークプラグとイリジウムプラグ、白金プラグの違いについて詳しく解説します。おすすめのイリジウムプラグや交換方法、注意点も解説していますので、ぜひ参考にしてください。
1. イリジウムプラグとは
イリジウムプラグとは、スパークプラグの一種で、エンジンを動かすために必要不可欠な部品です。エンジンの燃焼室内に送られた、燃料と酸素の混合気を点火させる役割があります。
スパークプラグにはいくつか種類があり、中心電極に使われる素材によって「イリジウムプラグ」や「レジスタープラグ(一般的なスパークプラグ)」、「白金プラグ」などと呼ばれます。
(1) イリジウムプラグの特徴
イリジウムプラグは、火花を起こす中心電極にイリジウム合金が使われているのが特徴です。イリジウム合金は融点が2,466度と非常に高く、耐久性や耐食性に優れています。なお、外側電極に白金合金を使っているイリジウムプラグは、長寿命タイプになります。
また、他のプラグより中心電極が細く作られているため、火花が起きやすく、その火花が分散しないような作りになっているのです。さらに、電極が細いことで消炎作用(中心電極が熱を奪い、火炎の成長を妨げること)も抑えられています。
(2) イリジウムプラグのメリット
イリジウムプラグのメリットは以下の3つです。
1.燃焼効率がよい
2.交換頻度が少ない
3.くすぶりに強い
順にご紹介します。
①燃焼効率がよい
中心電極が細いことで火花が安定しやすく、混合気を効率良く点火できるため、他のプラグより燃焼効率が良くなります。
燃焼効率がよいと、エンジン本来の性能を引き出せるため、エネルギーロスを抑えることが可能です。その結果、エンジンの燃焼に関係する始動性や加速性、燃費の向上などにつながります。
②交換頻度が少ない
長寿命タイプのイリジウムプラグの場合、交換の頻度を抑えられます。外側電極に白金合金を使っていないものの交換頻度は、一般的なスパークプラグと同程度です。
イリジウム合金や白金合金は融点が高いため、熱に対する耐久性が優れています。また、非常に固い金属であることから、長期間使っても摩耗しにくいのが特徴です。他のプラグより長持ちするため、交換頻度を少なくできるのです。普通車の場合、長寿命タイプのイリジウムプラグの交換は100,000kmが目安になります。
③くすぶりに強い
イリジウムプラグは微小放電によって、絶縁体内部に付いたカーボンが焼き切れるため、くすぶりに強いというメリットがあります。くすぶりとは、カーボンなどのスラッジがプラグに付着し、火花が飛ばなくなることです。
火花が飛ばなくなることで、「エンジンがかかりにくい」「エンジンがかからない」「アイドリングが不調」などのエンジントラブルにつながる可能性があります。
(3) イリジウムプラグのデメリット
イリジウムプラグのデメリットは以下の2つです。
1.他の種類のプラグより高い
2.燃調が必要なことがある
順にご紹介します。
①他の種類のプラグより高い
イリジウムプラグは、一般的なスパークプラグや白金プラグなどと比較して、価格が高いのがデメリットです。イリジウムの希少価値が高く、加工が難しいことが原因です。
②燃調が必要なことがある
キャブ車の場合、イリジウムプラグを使うことで、燃調(燃料調整)が必要になるかもしれません。キャブ車とは、エンジンの燃料装置としてキャブレーターを搭載している車のことです(現在の車は電子制御されているため、燃調は不要)。
イリジウムプラグは燃焼効率を上げる効果があるため、これまでより薄い燃料で足りる可能性があるためです。燃調が適切でない場合、かぶり(火花が飛ばなくなる)の原因になることもあります。
2.イリジウムプラグと一般的なスパークプラグ、白金プラグの違い
一般的なスパークプラグと白金プラグの特徴や違いをご紹介します。
(1) 一般的なスパークプラグの特徴
イリジウムプラグと一般的なスパークプラグ(レジスタープラグ)の違いは、中心電極に使われている素材です。一般的なスパークプラグの中心電極には、ニッケル合金が使われています。
また、レジスター(電気抵抗器)が埋め込まれていることから、レジスタープラグとも言われています。価格が安価な点がメリットである一方、耐久性が高くないため、こまめな交換が必要になります。結果的に他のプラグより費用がかかる可能性もあるでしょう。
(2) 白金プラグの特徴
白金プラグは中心電極と外側電極の両方に、白金(プラチナ)を採用しています。白金の融点も1,796度と高いため、一般のスパークプラグより耐久性や耐食性にが優れているのが特徴です。
中心電極はイリジウムプラグより太いですが、一般のスパークプラグより細いため、着火性能や燃焼効率はプラグのなかで高い部類になります。価格は比較的高いですが、耐久性に優れているため、交換頻度は長寿命タイプのイリジウムプラグと同程度の100,000kmが目安(普通車の場合)です。
(3) 各プラグの違いまとめ
イリジウムプラグと一般的なスパークプラグ、白金プラグの3種類以外に、グリーンプラグと多極プラグ、レース用プラグがあります。以下の表ではこれらの性能、価格、寿命などの違いをまとめました。
特徴 | 交換時期の目安(普通車の場合) | 価格相場 | |
---|---|---|---|
イリジウムプラグ | ・中心電極にイリジウムを使っている ・燃焼効率がよい ・耐久性と耐食性が高い ・高価 ・長寿命タイプは、長持ちする | ・20,000km ・100,000km(長寿命タイプ) | 5,000円前後 |
一般的なスパークプラグ (レジスタープラグ) | ・電気抵抗機(レジスター)が埋められている ・低価格だが、耐久性が低い | 20,000km | 500円前後 |
白金プラグ | ・中心電極と外側電極に白金を使っている ・イリジウムプラグより燃焼効率は劣るが、他よりは優れている ・高価だが、長持ちする | 100,000km | 5,000円前後 |
グリーンプラグ | ・中心電極の先端に付いたV字溝によって着火しやすい ・始動時やアイドリング時、加速時などの安定を期待できる | 20,000km | 500〜1,000円 |
多極プラグ | ・外側電極が2〜4個ついている ・耐久性に優れている ・取り付けられる車種が限られている | 20,000km | 1,500〜2,000円 |
レース用プラグ | ・レースで走る車に適している ・中心電極にプラチナやイリジウムを使っている | 10,000km | 10,000円以上 |
イリジウムプラグと白金プラグは他と比較して高価ですが、長寿命タイプや白金プラグは、圧倒的に交換頻度が少なくなるでしょう。なお、軽自動車の場合は、交換時期はこの表よりも短くなります。軽自動車は普通車よりエンジンの回転数が多く、スパークプラグの動作回数も多くなるため、劣化スピードが早くなるためです。
グリーンプラグや多極プラグは、初めから採用している車のメンテナンス用が主となり、新たにこれらのプラグに交換するメリットはほぼないでしょう。
3.イリジウムプラグおすすめ5選
イリジウムプラグのおすすめ5選をご紹介します。
(1) NGK|イリジウムMAXプラグ

中心電極にイリジウム合金、外側電極に白金合金を使うことで、着火性や燃費向上、耐久性が高められています。カーボンは微小放電によって焼き切られるため、汚れにくく、くすぶりにも強いのが特徴。
(2) NGK|イリジウムIXプラグ

始動性や加速性が向上しただけでなく、抜群の燃費性能を誇ります。耐汚損性もUPしており、くすぶりにも強いプラグです。中心電極が細く、効率よく火花を発生させられるため、燃焼も安定しています。
(3) NGK|イリシリーズプラグ

着火性や加速性に優れており、高熱価が必要なチューニングエンジン向け。火花を効率よく発生させ、消炎作用も抑えられているため、強力かつ素早い燃焼を提供します。
(4) DENSO|IRIDIUM POWER

走りにこだわるドライバー向け。0.4mmの極細中心電極によりアイドリング時も確実に着火でき、燃費も大幅に向上しています。失火や着火ミスが減少することで、エンジンの出力を上げ、加速性もアップ。
(5) DENSO||IRIDIUM TOUGH

長距離ドライバーの信頼性を高め、優れた燃費性能を長期間維持。着火性能が向上し、接地電極に白金チップを採用したことで電極消耗を大幅に抑制できます。これにより、一般プラグと比べて約5倍の耐久性と長寿命を実現。
4. スパークプラグの選び方
スパークプラグには複数の種類があるため、以下のポイントをもとに選びましょう。
1.車の使用用途から選ぶ
2.熱価から選ぶ
3.業者推奨のものを選ぶ
順にご紹介します。
(1) 車の使用用途から選ぶ
スパークプラグは、車の使用用途に合わせて選ぶことも重要です。
一般的な街乗りをする人や運転頻度が少ない人であれば、レジスタープラグで問題ありません。長時間の走行や高速道路での走行が多い場合は、耐久性に優れたイリジウムプラグや白金プラグがおすすめです。
また、スポーツ走行する人も、燃焼効率が良く加速性能に優れたイリジウムプラグが適しているでしょう。グリーンプラグや多極プラグは、初めから採用している車のメンテナンス用が主な用途になります。
ただし、車種によっては取り付けできないプラグの種類もあります。事前に取扱説明書などで問題ないか確認しましょう。
(2) 熱価から選ぶ
スパークプラグを熱価から選ぶ方法もあります。熱価とは、スパークプラグが燃焼で受ける熱を放出する度合いのことです。度合いが小さいものを低熱価(熱を貯めやすい)、大きいものを高熱価(熱を溜め込まず放出できる)に分類します。プラグの品番に記載されている、2〜10などの数値が熱価を表しています。
熱価が高すぎるとカーボンが溜まりやすく、火花が飛びにくくなります。エンジン停止などのエンジントラブルの原因になるかもしれません。熱価が低すぎると、異常燃焼や電極溶解、碍子の破損につながります。
特に問題がなければ、今ついているのと同じ熱価かプラグメーカーの適合表から推奨されているものを選んでください。
(3) 業者推奨のものを選ぶ
プラグ選びに迷った場合や時間がない場合、適切なプラグを選ぶ自信がない場合は、ディーラーやカー用品店などの専門業者が推奨するものを選ぶとよいでしょう。
専門業者は、その車種のエンジンの特性や使用状況を把握しています。そのため、エンジン性能を最大限に引き出せる、適切なプラグを推奨してくれるでしょう。エンジンに合ったプラグを使うことで快適な運転や燃費の向上、エンジン寿命の延長につながります。
ただし、業者によっては、考え方の違いから推奨するプラグが異なるかもしれません。いくつかの業者に相談しながら、それぞれの性能や費用をふまえて選ぶことが重要です。
5.スパークプラグの交換方法と注意点
スパークプラグを自分で交換する方法と注意点をご紹介します。
(1) スパークプラグの交換手順
自分でスパークプラグを交換するときは、以下の手順でおこないます。
1.エンジンを冷ます
2.イグニッションコイルを取り外す
3.古いプラグを取り外す
4.新しいプラグを取り付ける
5.イグニッションコイルを取り付ける
詳しくは下記の記事で解説しています。こちらもご覧ください。
・【簡単解説】スパークプラグ交換に使うレンチのサイズ確認方法と作業手順 | 車検や修理の情報満載グーネットピット
(2) スパークプラグを交換するときの注意点
プラグの取り付けは、プラグレンチやトルクレンチを使い、適切なトルク(締め付け力)で締め付けることが重要です。
締め付けが弱いとプラグが緩んだり、破損したりする可能性があります。一方、締め付けが強いと、ネジ部が切れてしまう恐れがあります。新しいプラグの適切なトルクは、販売メーカーのサイトや取扱説明書をよく見て確認しましょう。
また、プラグを取り付けるときに、プラグホールに対して斜めにはまってしまうことがあります。このまま締め付けてしまうと故障の原因になるため、適切な角度でプラグホールに挿入されているかも注意してください。
このように、プラグの交換作業には注意することが多くあります。そのため、交換作業に自信がない人は、無理に自分でおこなうのではなく、専門業者に依頼することをおすすめします。
6. スパークプラグの交換を業者に依頼する場合
プラグの交換を業者に依頼するときの費用相場は、8,000〜10,000円程度です(プラグ自体の価格を除く)。ただし、新しいプラグの種類や車種、作業時間などによっても異なります。依頼するときは、複数の業者から見積もりを取り、作業内容を確認しましょう。
なお、交換業者を探すときは、以下のポイントを重視することをおすすめします。
1.悪い評判や口コミがないか
2.透明性のある料金体系か
3.プラグ交換の経験や専門知識が豊富か
4.交換作業以外のサービスやアフターフォローがあるか
評判や口コミは、事前に口コミサイトやレビューサイトで確認しつつ、細かい内容は実際に担当者と話して、納得いく業者を選ぶようにしましょう。
7. スパークプラグの交換はグーネットピットにお任せください
プラグにはさまざまな種類があり、用途によって使い分けられています。イリジウムプラグや白金プラグは価格が高価である一方、耐久性や耐食性に優れているため、長く使い続けることが可能です。
もし、プラグを交換したいときはグーネットピットにお任せください。プラグはエンジンを動かす重要な部品であり、取り付けを誤るとエンジントラブルにつながります。そのため、交換作業に自信がない人もいるでしょう。
グーネットピットには、車のメンテナンスに関する専門知識を持ったスタッフが在籍しています。プラグの特徴や費用に関する説明やアドバイス、交換対応など、さまざまなサポートを丁寧におこないます。