故障・修理
更新日:2023.12.28 / 掲載日:2023.12.28
ブレーキキャリパーを洗浄するには?効率的な方法と注意点を解説

車のブレーキシステムにおいて重要な役割を担うブレーキキャリパーは、日々の運転で汚れていきます。
汚れが溜まりすぎると、本来の機能を発揮しづらくなるため、定期的に洗浄することが重要です。
この記事では、ブレーキキャリパーの洗浄方法を、ステップ形式で解説。おすすめの洗浄剤やオーバーホールに関する注意点も紹介しています。安全に運転するための参考としていただけたら幸いです。
1. ブレーキキャリパー洗浄の重要性
ブレーキキャリパーとは、車のブレーキシステムの一部であり、その主な役割はブレーキパッドを制動ディスクに押し当てることです。これにより、タイヤの回転をおさえ、車の速度を低下させます。
ブレーキキャリパーは、車を運転していると汚れていきます。主な原因としては、以下の3つが挙げられます。
1.ブレーキダスト
ブレーキダストとは、ブレーキローターとブレーキパッドが摩擦するときに発生する微細な鉄粉です。これがブレーキキャリパーに付着し、徐々に汚れていきます。
2.道路の汚れ
走行中に飛び散る泥や砂、塩分などによって汚れることもあります。
3.ブレーキフルード(ブレーキオイル)の漏れ
老朽化や故障によりフルードが漏れ出し、ブレーキキャリパー表面を汚します。

ブレーキキャリパーの洗浄を怠ると、溜まった汚れによってブレーキパッドとディスクの摩擦力が低下します。結果的にブレーキ性能が落ち、危険な状況を招く可能性があります。
また、汚れが溜まったブレーキキャリパーは、ブレーキを掛けた際に異音(ブレーキ鳴き)を発生することがあります。これは車の安全性に対する警告信号ともいえるでしょう。
2. 効率的なブレーキキャリパーの洗浄方法
ブレーキキャリパーは、5,000キロほど(あるいは1年ほど)走行すると、かなり汚れが蓄積します。ブレーキキャリパーの洗浄を怠ると、さまざまなトラブルにつながるため、年間走行距離などを目安に定期的に洗浄することが大切です。
洗浄に必要な道具や手順を詳しくご説明します。
(1) 必要な道具
ブレーキキャリパーを洗浄する際には、以下の道具が必要になります。
【道具】
1.フロアジャッキ・ジャッキスタンド:車をジャッキアップするために使用
2.レンチ:ホイールやブレーキキャリパーのボルトを取り外すために使用
3.洗浄剤:専用のブレーキパーツクリーナーがおすすめ
4.トレー:プラスチック製の大きめのものを用意
5.ブラシ:付着した汚れを除去するために使用
6.クロス:余分な洗浄剤や汚れをふき取るために使用
(2) ブレーキキャリパーの洗浄手順
ブレーキキャリパーを洗浄するときの大まかな手順とポイントは、以下のとおりです。
手順 | ポイント |
---|---|
1.車をジャッキアップする | 安定した場所で行う。急な傾斜や滑りやすい場所では、追加で車止めを設置する |
2.ホイールを外す | ホイールナットを緩めるときは、適切なサイズのレンチを使用する |
3.ブレーキキャリパーのボルトを2本抜いて取り外す | ブレーキキャリパーのボルトを緩めるときは、適切なサイズのレンチを使用する |
4.ブレーキキャリパーを水で軽く洗う | エアツールが使えるのであれば、そちらでも可 |
5.ブレーキキャリパーに洗浄剤を吹きかける | ・洗浄剤は専用のものを使う ・細かい部分をブラシでこすって落とす |
6.洗浄剤を水で洗い流す | ・洗浄剤が残っているとサビなどの原因になるので、洗い残しがないようにする |
7.グリスを塗布する(必要に応じて) | スプレーグリスなどで、ブレーキキャリパーとブレーキパッドの接触部分に塗布 |
8.ブレーキキャリパーを取り付ける | ・ブレーキキャリパーがサビないように、十分に乾燥させてから組み立てる ・取り付けるときは、外したときと逆の手順で行えばOK |

3. ブレーキキャリパーの洗浄剤おすすめ3選
ブレーキキャリパーの洗浄剤は、基本的にブレーキ周りの洗浄を使用用途とするものを選ぶとよいでしょう。おすすめの洗浄剤を3つご紹介します。
(1) KURE(呉工業):ブレークリーン
KURE(呉工業)から販売されているブレーキ周り用の洗浄剤です。金属製のパーツにも使うことができます。すぐに乾燥するので、拭き取り作業が必要ない点も特徴です。380ml以外に、560ml・840ml・3.785Lがあります。
メーカー | 型番 | 容量 | 価格 |
---|---|---|---|
KURE(呉工業) | 2010 | 380ml | 販売店による |
(2) ワコーズ:ブレーキ&パーツクリーナー 8
出典:製品一覧ページ/エアゾール他/ブレーキ&パーツクリーナー 8 p.7|ワコーズ
ワコーズの中乾性タイプのクリーナーです。ブレーキフルードの溶解性に優れ、効率よくブレーキキャリパーを洗浄できます。ゴムやプラスチックに対して影響が少ない速乾性タイプの「ブレーキ&パーツクリーナー 9」も展開されています。
メーカー | 型番 | 容量 | 価格 |
---|---|---|---|
ワコーズ | BC-8 | 650ml | 1,700円(税抜) |
- ・製品一覧ページ/エアゾール他/ブレーキ&パーツクリーナー 8 p.7|ワコーズ
(3) マキシマジャパン:コンタクトクリーナー(ブレーキ&パーツクリーナー)
出典:コンタクトクリーナー(ブレーキ&パーツクリーナー)丨マキシマジャパン
マキシマジャパンから販売されているプロ仕様のクリーナーです。洗浄成分を渦巻き状に噴射し、パーツの細かいところまできれいにしてくれます。
メーカー | 型番 | 容量 | 価格 |
---|---|---|---|
マキシマジャパン | MX-5120 | 約369ml | 2,200円(税抜) |
4. ブレーキキャリパーを分解して洗浄したいときは……
ブレーキキャリパーを分解して洗浄する行為は、オーバーホールにあたります。
オーバーホールとは、新品と同じ状態に戻すことを目的に行なわれる、分解、洗浄、点検、部品交換という一連の作業を指します。道路運送車両法では、「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない」(引用:道路運送車両法 第四十七条丨e-Gov法令検索)とされています。そのため、車の保有者であればオーバーホールを行うことが可能です。
※オーバーホールを実施した場合は特定整備記録簿の記載が必要となります。
ブレーキキャリパーの場合、下記のようにゴムやピストンを外して、内部を洗浄する場合はオーバーホールにあたります。
ただし、ブレーキキャリパーのオーバーホールは、誤って行うとブレーキの性能に致命的な影響を及ぼす恐れがあり、大変危険です。
もしオーバーホールを検討しているのであれば、自分で行うのではなく、整備のプロに依頼することをおすすめします。地方運輸局長の認証を受けた整備工場であれば、オーバーホールを始めとする特定整備を行うことが許可されています(参照:道路運送車両法 第七十八条丨e-Gov法令検索)。
5. ブレーキ周りのメンテナンスにお困りでしたらグーネットピットにご相談ください
車のブレーキは安心・安全に運転するための最重要パーツであり、いつでも正常に機能することが求められます。そのために、ブレーキキャリパーの洗浄を始め、定期的なメンテナンスが欠かせません。
オーバーホールまでは検討していなくとも、メンテナンスをする時間がなかなか作れない場合や、ちゃんとメンテナンスできるのか不安な場合は、最初からプロに任せるのもひとつです。
グーネットピットでは、車のメンテナンスに精通した整備士が多数在籍しています。メンテナンスのポイントや愛車を長持ちさせるための的確なアドバイスも行っていますので、ぜひ一度ご相談ください。