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故障・修理
更新日:2024.07.09 / 掲載日:2022.06.21

ラジエーターの役割・構造とは?故障原因や交換・修理にかかる費用などを解説

ラジエーターは車の重要なパーツの一つで、安全にドライブするには必要不可欠な存在だとご存知でしょうか。

ラジエーターのおもな働きはエンジンの冷却。エンジンは運転時に高熱を発するので、そのままだとドンドン熱を帯びていきます。オーバーヒートが起こると車は動かなくなるため、もし運転中に発生すれば命を危険にさらす大きな事故につながりかねません。

ラジエーターのメンテナンスや点検を怠れば、重大な事故・トラブルにつながる可能性が考えられます。

とはいえ「機能や働き知らない」「メンテナンス・点検の方法がわからない」方も少なくないでしょう。

そこでこの記事では、ラジエーターの役割や構造を解説します。おもな故障原因やメンテナンス・点検方法なども紹介するので、これを機にぜひチェックしてみてください。

ラジエーターとは?

ラジエーターとは、運転により生じた熱が溜め込まれ過ぎないように、エンジンを冷まして一定に保つことで、安全な走りを支えているパーツです。

フロントに取り付けられるのが一般的で、ナンバープレートの裏側あたりに位置しているのがほとんどです。ラジエーターの内部に入っている冷却水が循環することで、エンジンの温度を一定に保ち過剰に高熱を発するのを防いでいます。

ラジエーターの役割・効果

車は稼働させ続けると高熱を帯びていきます。その熱を冷まして一定に保つのがラジエーターの働きです。

しかし、高温のエンジンを冷ませば、当然今度はラジエーターの冷却水が熱を帯びてしまいます。そのままでは再びエンジンを冷却できないので、冷却水を冷ましてから使用しなくてはなりません。

ラジエーターは走る際の向かい風を利用して、本体と内部の冷却水を冷ます放熱装置の働きも果たしています。

人間が病気などで熱を出した際に、血管の多い箇所を冷まして冷たい血を循環させるように、ラジエーターは冷たい冷却水を循環させ続けることで、エンジンのオーバーヒートを防ぎます。

ラジエーターの種類

ラジエーターは大きく2パターンあり、それぞれ冷却水を流す方向が異なります。

  • ・縦流れ式(ダウンフロー):上から垂直に流す
  • ・横流れ式(クロスフロー):水平に流す

横流れ式のほうが、効率よく冷却水を冷ませるのが特徴です。しかし必要以上に冷たくなってしまう可能性があるため、国産車の多くは縦流れ式を採用しています。

ラジエーターの構造

ラジエーター内は常に冷却水が循環しており、熱を蓄えないよう稼働し続けています。

以下が、ラジエーターの構造(仕組み)です。

  • ・冷却水がホースを通ってエンジンへ流れ冷ます
  • ・高熱を持った冷却水が、アッパータンクに溜められる
  • ・溜められたらコアへ送られ、運転時の向かい風やファンで冷まされる
  • ・冷まされた冷却水は、ロアータンクに溜められる
  • ・適正温度になったら、再びエンジンを冷ます

上記を延々と繰り返すことで、エンジンは適切な温度を保てます。

以下は、ラジエーターの各部位の詳細です。

アッパータンク

高熱を持った冷却水を溜める貯水槽で、ラジエーター上部にあります。冷却して高熱を帯びた冷却水が、再度冷まされるまで蓄えられます。

コア

高熱を帯びた冷却水を、再使用するために冷ます部分です。

冷却水が流れるチューブと、熱伝導で冷却水を冷ますフィンで構成されています。走る際に受ける向かい風の力も駆使して冷まします。

再び冷まさなければ冷却に使えないので、他の部位よりも重要度の高いまさに心臓部分です。ただしフィンは虫や石の衝突などで潰れやすい、繊細な部分です。

例えば洗車時に使用する高圧洗浄機などでも破損する恐れがあるため、洗車する際は高圧洗浄機を近づけ過ぎないよう気を付けてください。

ロアータンク

コアで冷まされた冷却水が溜められるラジエーター下部の貯水槽です。

適正な温度まで冷まされたら、いったん蓄えられてから再び冷却に使われます。

ラジエーターキャップ

密閉し圧力をかけることで、冷却水の沸点を高くして100度を超えても沸騰しないよう調整している重要な部位です。

もし加圧しないと、冷却水が沸騰し冷ませなくなるので、コアと同じぐらい重要な部分です。

また圧力が高くなり過ぎないように、圧力を調整する働きもあります。

経年劣化する消耗品のため、5年を目途に取り換えましょう。

リザーバータンク

圧力調整の際に、余分な冷却水を溜めるための貯水槽です。

おもに樹脂製が使われており、運転時の振動の積み重ねでヒビ割れることも。ヒビから冷却水が漏れ出す可能性があるので、一定周期での点検が必要です。

もし駐車している地面に色の付いた水が溜まっていれば、漏れ出ている可能性があります。すぐに点検しましょう。

冷却水(クーラント・LLC)

冷却に用いる液体で、クーラント液やLLC(ロング・ライフ・クーラント)など、さまざま呼び方をされます。

ただの水のように見えますが、エチレングリコールというアルコールの一種です。コアをはじめ内部部品が錆びてもすぐにわかるように、青や緑、赤などに着色されています。

濁ってくると古くなった証拠なので、キレイな色でない場合は新しいものと取り換えましょう。

また寒い地域や季節でも走れるように、不凍液なのも特徴です。

冷却水が漏れたり蒸発したりして減ってしまうと、オーバーヒートなどの不具合につながるので、こまめなチェックが大切です。

ちなみに甘い匂いがするため、漏れ出ているとすぐわかるようになっています。

冷却ファン

信号待ちや渋滞時など、止まっている間でも冷却水を冷ます扇風機です。

停車してコアへ風が当たらなくなると、自動的に回転してコアを冷ましてくれる部位です。

特に夏場に活躍するため、もし不具合で稼働しなくなると夏場の渋滞時にオーバーヒートしやすくなります。

ホース

冷却水を送り込んだり戻したりと、通り道になる部分です。

経年劣化でヒビ割れなど不具合が発生すると、冷却水が漏れ出すかもしれません。10年以上経過しているホースは、取り換えを検討してください。

ラジエーターや冷却水などの交換はいつ行うべき?

ラジエーターは交換なしでずっと使い続けられるものではないので、一定周期での取り換えが推奨されています。交換時期の目安を解説します。

ラジエーターの交換

車のモデルやメーカーによって異なりますが、以下が交換時期のおおよその目安です。

  • ・普通車:8~12年
  • ・軽自動車:6~10年

比較的寿命が長いので、取り換える機会は少ない部分です。

しかし冷却水のメンテナンスが十分にされていないと、内部が腐食したり損傷したりして不具合が発生するかもしれません。

本体丸ごと取り換えると代金がかさむので、大きな不具合が起こらないように、冷却水はこまめにチェックしましょう。

冷却水の交換

酸化したり腐食したりするのを防ぐために、2年を目安に交換するのがおすすめです。

冷却水の種類によっては長期間使用可能なもの(スーパーLLCなど)もあります。また車によっても交換時期の目安は異なるので、メーカーや整備工場に相談するのがおすすめです。

業者に依頼せずにセルフで取り換えた際は、次のタイミングがわかるように、行った時期や冷却水のタイプなどをメモしておきましょう。

ラジエーターキャップの交換

経年劣化するため、5年を目途に取り換えましょう。

具体的なタイミングは車の状態や走行条件でも違うため、年に1度は点検して異常がないかチェックするのが大切です。

もし異常があれば、速やかに取り換えましょう。

ラジエーターの冷却水を補充する方法

リザーバータンク側面に書かれている「下」「LOW」「MIN」などの最低ラインより少なくなっていれば補充する必要があります。

キャップには冷却水・COOLANTなどと書かれているので、周辺のブレーキ液など他のタンク類と間違わないよう注意しましょう。

また補充前に必須なのが「エア抜き」という作業です。

ホース内に空気が混じっていると、空気が熱膨張してオーバーヒートを引き起こすかもしれないので、空気を抜いてから補充作業に移ります。

以下のような手順で、エア抜きを行いましょう。

  • ・ラジエーターキャップを外した状態でエンジンをかける
  • ・アクセルを踏んでエンジンの回転数を上昇させる
  • ・この状態でタンクから空気が出なくなれば作業完了

エア抜きが終わったら、タンクに書かれた目盛りを見ながら、漏斗を使って冷却水を一定量注げば作業終了です。

ちなみに点検しやすくするために、元から入っているのと同じ色のものを使うのがおすすめです。

ラジエーターが故障したかも?気を付けたい3つの警告

ラジエーターが故障した場合、さまざまな警告があります。警告に気付いたら、直ぐに停車し、エンジンを止めましょう。

エンジンルームから甘い匂いがする

エンジンルームから甘い匂いがすれば、故障の疑いがあります。

冷却水が蒸発すると、特有の甘い匂いがしますが、これは冷却水が沸騰して漏れている証拠です。

アイドリング時や低速で走っている際に気付きやすい警告です。

水温警告灯が点灯している

水温警告灯が点灯している場合も、故障の危険があります。

また車種によっては、冷却水が低温過ぎる場合に知らせてくれる「低温警告灯」が搭載されている場合もあります。

どちらも車のマニュアルで確認しておきましょう。

水温計がHを指している

水温計がHを指している場合も、故障のサインです。

水温警告灯と一体になっているケースがほとんどで、簡易的なものでならCとHだけ表示されます。

水温計が「H」を指した場合は、冷却水の温度が約120度~130度まで上昇している危険な状態です。何らかの不具合が発生しているので、すぐに安全な場所に停車しましょう。

ラジエーターが故障する原因

ラジエーターの故障原因は複数の可能性が考えられます。

代表的なものとして、以下5つが挙げられます。

  • ・冷却水の劣化:タンクが劣化して液漏れにつながる
  • ・冷却水不足:十分に冷却できなくなりオーバーヒートが発生する
  • ・ラジエーターキャップの劣化:密閉できなくなり液漏れにつながるのに加え、圧力調整ができなくなる
  • ・ラジエーターホースの劣化:ヒビ割れが起こり液漏れにつながる
  • ・タンク類の損傷:経年劣化による損傷で、液漏れにつながる

上記のような原因で故障が発生すれば、最悪の場合走行不能に陥ります。

運転中に発生すれば重大な事故につながるため、定期的な点検とメンテナンスが大切です。

走行中にラジエーターがオーバーヒートした際の対処法

運転中にラジエーターの異常やオーバーヒートを察知したら、落ち着いて安全な場所に停車しましょう。

無理に走り続けるとエンジンに大きなダメージを与え、エンジンを交換しなくてはならなくなる可能性もあります。

安全な位置に停車してエンジンを切ったら、温度が下がるのを待ち次の手順で対処しましょう。

  • ・ラジエーターから蒸気や冷却水が漏れる音がしないか確認する
  • ・冷却水が漏れていないか、リザーバータンクの水量を確認する
  • ・整備工場やロードサービスなどに連絡する

ラジエーターキャップや周辺パーツは高温になっており危険なので、十分にクールダウンしてから確認してください。

もし冷却水の量が正常で、十分に温度が下がっても、異常が出ているまま運転するのは危険です。

必ずディーラーや整備工場、ロードサービスに点検してもらいましょう。

ラジエーターの交換・修理にかかる費用

ラジエーターを交換・修理する場合には、およそ2万円~8万円程度の費用がかかります。

価格に開きがあるのは、正規の純正パーツもしくは社外パーツで交換するかによって、大きく価格が変わるためです。

また修理を依頼する先が整備工場なのか、ディーラーなのかによっても工賃は異なります。

ただしタンクのみやホースのみなど、一部のパーツの交換であれば1万5000円程度で修理可能です。

一部パーツの交換だけで済むかどうかは、車の状態によって異なります。

ラジエーター交換にかかる費用は条件によってかなり変動します。依頼先の整備工場やディーラーに見積りを依頼して正確な費用を算出することをおすすめします。

ラジエーター交換の作業実績一覧はこちら

車に欠かせないラジエーターはこまめなメンテナンスが必須

ラジエーターは、エンジンを冷却させるために必要不可欠なパーツです。

万が一走行中に不具合が生じれば、大きな事故に直結します。日頃から点検・メンテナンスするのが大切です。

冷却水の不足やパーツの劣化など、不具合に気付いたら速やかに対処して、故障・事故を未然に防ぎましょう。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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