故障・修理
更新日:2020.10.19 / 掲載日:2020.10.19
【海水や潮風で車はサビる?】サビの原因や下回りの点検・サビ対策についても解説!

海水浴やドライブなど、車で海に出かける方も多いでしょう。しかし、車で海に出かけると車が海水や潮風にさらされて、サビの発生の原因になるのではないかと気になるところです。
そもそもなぜ車はサビが発生してしまうのでしょうか?
サビの原因を理解して、海水や潮風によるサビの発生を防ぐための対策を把握しておきましょう。
海水や潮風で車はサビてしまうのか、どうして車がサビてしまうのかの解説をはじめ、海水や潮風によるサビを防ぐための対策や、サビてしまった部分の修理方法について解説します。

海水や潮風にさらされると、金属部分に塩が付着し、サビやすくなってしまいます。いわゆる塩害と呼ばれるものです。海水や潮風で車がサビやすくなるのは避けられない事実といえるでしょう。
では、なぜ車はサビてしまうのか、サビが発生する根本原因について解説します。
車は鉄の塊なのでサビやすい
塗装されているため普段はあまり意識しませんが、鋼板製のボディをはじめ、基本的に車は鉄のパーツで構成されています。ボディ以外も、サスペンション・マフラー・ブレーキなど主要部品はほとんど鉄でできているため、もともとサビやすいともいえます。
鉄は塩分が付着するとサビやすくなる性質なので、海水や潮風の影響を受けると、簡単にサビが発生します。また、水分は鉄と酸素の化学反応を活性化させ、一層サビを進行させてしまうのです。
さらに、本来ボディをサビから守る塗装は紫外線で経年劣化しますので、ボディは徐々にサビやすくなります。特に暑い時期のビーチの強い紫外線は、塗装に大きなダメージを与え、劣化が進行してしまいます。海は、塩分×水分×紫外線のトリプルダメージで、車のサビを悪化させます。
日本の気候はサビやすい
車がサビやすい原因は、車の素材の問題だけではありません。前述したように、鉄は水分で酸化が活発化してサビが発生します。日本は世界的にみても湿度が高く、特に梅雨から夏にかけては高温多湿のため、根本的にサビが発生・進行しやすい条件がそろっています。
湿度が高い環境に車を放置しておくと、エンジン内部にまでサビが進行してしまうケースもあります。日本に住んでいる以上、高温多湿からは逃げようがありません。サビに対して注意を払って車をメンテナンスしましょう。
凍結防止剤もサビの原因
沿岸部だけでなく、寒冷地もサビには要注意です。降雪時期、寒冷地の道路には雪を溶かすために凍結防止剤(融雪剤)が散布されることが多いですが、この防止剤には塩化カルシウム・塩化ナトリウムなど塩分を含む薬剤が使われています。
凍結防止剤は、車が走行すると巻き上げられ、ボディ表面や車体の下回りに大量に付着し、避けることは困難です。車に付着した凍結防止剤の塩分によって水分が吸着され、車のサビが急速に進行します。
凍結防止剤がまかれた雪道を走行したあとは、できるだけすみやかに洗車しましょう、特に道路に近い足回り・下回りは入念に洗ってください。また、小さな傷や塗装のはがれた箇所はサビやすいので、特に念入りに洗いましょう。
海水や潮風からサビを防ぐための対策はどうすればいい?

海水や潮風からサビを防ぐための、具体的な対策を把握しておきましょう。
海に行ったあとの洗車の方法やポイントをはじめ、サビを見つけた際の対処法やサビ防止のためのコーティングについて解説します。
海に行ったあと の洗車のポイントと方法
海に行ったあとの洗車方法は、普通に行なう洗車と大きく変わりません。洗車のポイントは、下回り・足回りを重点的に洗うこと、ドアの内側・ステップも洗うことです。
下回り・足回りは道路に近く、傷が付いたり、塗装がはがれたりてしまうことが多い場所です。潮風にあたることでその部分からサビてしまう可能性が高いので、重点的に洗ってください。手洗いの場合、ジャッキアップして丁寧に洗浄します。
ドアの内側は凹凸が多く潮が付着しやすい箇所で、そこからサビてしまう可能性もあります。普段の洗車では忘れがちな箇所ですが、海に行ったあとはしっかり洗いましょう。また、ステップには靴底に付いた潮が残りやすく、気がつくとサビていることもあるので、注意してください。
ドアの内側やステップは、カーシャンプーでこすって水で洗い流すわけにはいきません。濡らした雑巾などを使い、しっかり拭きあげましょう。洗車の仕上げに防サビスプレーを吹きかけておくと、効果が期待できます。
ボディの傷やサビを見つけたら早めに対処
車のボディは鋼板製が一般的ですが、通常は下塗り・中塗り・上塗りと何層もの塗装で保護され、サビから守られている状態です。この工程が複数回繰り返されている車種もあります。ぶつけたりこすったりして傷が付いてわずかでも塗装がはがれると、鉄がむき出しになっていまい、そこから一気にサビが発生し広がってしまうのです。
車を少しこすってしまうのは比較的よくあることで、「あまり目立たないし、まぁ、いいか」と放っておく方も多いでしょう。しかし、塗装には金属パーツの防サビ効果があり、塗装がはがれた状態を放置すると、そこからサビが広がる可能性が大きいため、放置はNGです。
また、駐車場所や走行環境によっては、ボディに鳥のフンが付いてしまうことがあります。鳥のフンの刺激は塗装にダメージを与え 、サビの要因にもなるので、すみやかに洗い流しましょう。
サビが発生すると見た目が損なわれるだけでなく、ボディの強度もダメージを受けます。サビの発生・進行をストップするためには、傷を見つけたらすみやかに修理するのが鉄則です。また、こすった自覚がなくても、飛び石などでボディに小さな傷ができている場合もあります。これらの傷もサビ発生の原因となるので、意識してボディをチェックしましょう。
コーティングで水分や傷からボディを守る
車のサビを防止するためには、コーティングなどによる表面保護が効果的です。ボディのコーティングはもちろん、車の下回りのコーティングも有効です。下回りに厚み・弾力のある塗料を塗るアンダーコート施工は、水分の付着を軽減し、傷で露出した金属面の保護、また、傷つき自体の防止が期待できます。
これまで解説したように、塩害のある沿岸部や凍結防止剤がまかれる降雪地帯は、車にサビの発生が多いエリアです。新車でまだサビが発生していない状態のときにコーティングで防サビ処理を施しておくのがおすすめです。
サビてしまった部分の修理方法は?

車のサビはできるだけ早く修理したほうがいいとわかっていても、気になるのはサビの修理方法です。
ここではDIYでサビの修理をする方法をご紹介します。併せて、DIYでどこまで可能か、どの程度まで進行したらプロに任せるべきなのかについて解説します。
小さなサビはDIYでも修理可能!
細かな塗装のはがれが原因の小規模のサビは、DIYでタッチアップ修理ができます。
手順は次のとおりです。
1. 表面を削る
小さな塗装はがれによって発生したサビは、まずサンドペーパーなどでサビの表面を削り、なめらかに整えましょう。サンドペーパーは数字が大きいほど目が細かくなります。
2. サビの進行を止める
サビ転換剤などを塗布し、サビの進行をストップします。
3. タッチペンなどを塗る
ボディカラーに合ったタッチペンを使い、傷が目立たないように表面を保護します。
サンドペーパー・サビ転換剤・タッチペンは、ホームセンターなどで手に入ります。タッチペンはメーカー・車種・カラーごとに細かくラインナップされているので、しっかり照合して買い求めてください。一部車種には、メーカー純正品のタッチペンがあります。
進行してしまったサビの修理はパテ埋めも必要
タッチアップ程度では修理できないほど進行したサビの場合、DIYで修理できないこともありませんが、タッチアップに比較して難易度はかなり高めです。
サビの範囲が広く、サビで表面がかなり荒れてしまっている状況では、サビを除去したあとにパテ埋め処理をしてボディを復元する必要があります。
手順は次のとおりです。
1. 表面のサビを落とす
工具・サビ落とし剤などを使ってサビを落とします。
2. 塗装をはがす
サビ落とし剤を拭き取り、サンドペーパーで傷やサビ部分の塗装をはがします。
3. パテで埋める
パテを塗って削った部分を埋めます。
4. サンドペーパーで平らに
パテの凹凸部分をサンドペーパーで削り、平らにしていきます。
5. 仕上げのパテとサンドペーパー
仕上げのパテを刷り込むように塗り、境目が目立たなくなるよう、サンドペーパーでみがきます。
6. 仕上げの塗装
仕上がった部分に塗装をして完了です。
修復箇所が広範囲におよぶと、塗装範囲も大きくなります。修理の難易度が高い分、個人の力量・センスによって仕上がりにかなり差が出てしまい、良し悪しが目立ちやすいものです。プロに修理をお願いすることも含めて検討し、後悔しないようにしましょう。
穴が開くほどのサビはプロの業者に依頼
サビが進行し、鋼板に穴が開いてしまった場合、DIYでの修理は困難です。プロに板金修理をお願いしましょう。
穴が開くほどの深刻なサビは、パテなどで簡単に埋められません。鉄板を切って溶接するなど、専用工具を使ったスキルの必要な作業です。車検や修理で普段からお世話になっているディーラーや修理工場に見積もりを依頼し、内容を確認したうえで修理を依頼します。
カットや溶接をともなう板金修理は技術的にも難易度が高く、パテ埋め作業や塗装作業も必須になります。そのため、工程が多く、費用は高額になりがちです。
板金修理が必要になるようなサビになってしまわないように、日頃からサビを予防しておき、サビが発生しても進行する前に早めに修理しましょう。
まとめ
車は鉄でできているので、サビやすい性質です。高温多湿の日本の気候はサビを進行させ、沿岸部は塩分が、雪国は凍結防止剤材がサビを誘発します。
サビの発生を予防するには、海に行ったらとにかく洗車をすることが大切です。下回り・足回り・ドア付近は特に重点的に行なってください。予防にはコーティングも効果的です。
軽度のサビはある程度DIYで修理できますが、カット・溶接をともなう修理はプロに依頼することになり、費用も高めになります。車にサビが発生しないように、こまめな洗車やコーティングでサビを予防しましょう。