故障・修理
更新日:2019.09.29 / 掲載日:2019.09.29
20世紀の常識 vs 21世紀の新常識05「スロットルバルブ vs ノンスロットリング」
エンジンの出力は吸入空気量に比例する。もちろんその質量に見合った燃料を与えての話なのだが。吸入空気はバタフライ状のスロットルバルブで制御する。アクセルペダルに連動したワイヤーがエンジンルーム内に伸び、それがスロットルバルブに接続される。アクセルペダルを踏めばワイヤーが引かれ、スロットルバルブが開き、空気通路が広がるというわけだ。
もっともこれは20世紀の話で、今はワイヤーなどはない。代わりにスロットルバルブを開閉しているのはモーターだ。アクセルペダルの動きをストロークセンサーが検出し、その信号をECUを介してスロットルボディに装着されたモーターに送り、モーターは精密にそれを再現する。
充分進化したかに見えるこの分野にも新手が現れる。それがスロットルバルブを持たないノンスロットリングだ。吸気バルブのリフト量を調整することでスロットルバルブの代わりをさせる。その代わり複雑なバルブ制御メカニズムが必要になる。
この分野のパイオニアはBMWだ。バルブトロニックの名称で世界に先駆けて実用化した。ノンスロットリングの利点は精密に吸気を制御できることの他、スロットルバルブによって発生する負圧が吸気管内に発生しない。このため吸気時のポンピングロスが低減され、燃費の向上に繋がる。
日産がBMWに続き、トヨタも独自のメカニズムのノンスロットリングを一部のクルマに搭載しているが、21世紀の主流とはまだなっていない。
20世紀では考えられなかった。空気吸入通路を制御するスロットルバルブのない時代へ






BMWのバルブ開閉は揺動カムによって行われ、日産のそれは偏芯カムと複雑なアームによって成り立っている。トヨタが採用しているのはこれらとは異なったメカニズムだ。カムシャフトと同軸にヘリカルギヤが組み込まれ、その回転に伴いカムが移動し、バルブリフトを制御する。大きなヘッドを必要とせず既製のエンジンに加えられる利点がある。