故障・修理
更新日:2018.03.28 / 掲載日:2018.03.28
金属&溶接でDIY マフラーの穴開き補修
マフラーの穴開きで爆音となった編集部のレガシィを修理する穴の周囲も確実に薄くなっているためあくまで一時しのぎ
編集部レガシィがある日突然、スポーツマフラーを装着したがごとくいい音を奏で始めた。なにかの企画でスポーツマフラーを装着したのかと思って下を覗いてみると、どう見てもノーマル。これは排気漏れか穴開きのどちらか。そうこうしているうちに爆音状態となってしまったため、修理することにした。 とはいえ、エキゾースト系に穴が開くということは内面に生じたサビが浸透して外側に達したケースがほとんど。穴の周囲も確実に薄くなっているため、埋まったとしてもすぐに周辺に穴が開く。このため、チャレンジするにしても「明日車検でパーツが間に合わない」など、あくまで一時しのぎの修理となる。
リフトアップして穴位置を確認する
穴開きといったらメインマフラーが相場だったが、リフトアップして確認してみると腐食はセンターパイプに集中。
曲線部に酸化物が噴き出すように盛り上がった穴が、直線部には腐食が原因と思われる小さな膨らみが複数見られる。 穴が開いたセンターパイプを取り外す
エキパイの接続部に組み付けられているボルトは熱とサビによって高い確率で固着。
無理に回すと頭をなめる可能性大なため、まずねじ部にラスペネをたっぷり塗布する。
しばらく放置し、ねじ山の隙間にラスペネが浸透した頃合いを見計らってレンチをセットし緩めてみる。
渋々でも回ればOK。そのまま取り外す。
そのまま取り外す。
落とさないよう後方を支持してもらいつつボルトを引き抜きセンターパイプを取り外す。 下面の広い範囲が薄くなっている
曲線部の腐食が最もひどく、ポッコリ穴が開くと共に周囲が酸化物で覆われている。ここは車載状態で最も低い点に位置していたため、エキパイ内に生じた水分が溜まりやすかったものと思われる。
また、直線部分はよく見ると針先のような小さな穴が既に開いてしまっている箇所がある。疑わしき箇所も多数、見受けられる。 軽く突いただけでボコッと穴が……
ポコッとした小さな膨らみは、エキパイ内面に生じた腐食が浸透して表側に達したことが原因であることは確か。鋭利なピンで突いてみると、軽く突いただけで簡単に穴が開いてしまう。
また、センターパイプを振るとガサガサと音がしたため、接続口を下にして揺すったらサビがボロボロと。これは本来、交換すべき案件だ。補修面を研磨して地肌を露出させる
気を取り直し、無理は承知で穴開きの補修にチャレンジする。まず、補修面の表面に付着した汚れや酸化物を磨き落とす。
ディスクグラインダーから砥石を外し、ペーパー砥石ディスクをセットして表面研磨していく。一皮むけたらヤバい! 穴が増えてしまった。 細かな盛り付けがやりやすいTIGで補修する
普通のアーク溶接でも穴は塞がるが、周囲が確実に薄くなっているため難易度はかなり高め。溶接棒を溶かし込めるTIG溶接で補修することにした。 既存穴はとりあえず塞ぐことができた
鉄板が薄くなっているため出力を弱めに設定。穴端を狙ってアークを飛ばし、内周端に沿って動かすようにして全周を均等に加熱する。
溶け出したところで溶接棒を溶かし込んで穴を埋めていく。
TIGで溶接面が加熱されたままシールドガスが途切れると、このように溶接面が酸化してしまう。アルゴンガスの出が悪いようだ。
金属ブラシで擦って酸化物を落として仕上がり確認する。
なんとか埋めることができた。
アルゴンガスの流量を調整し、残りの穴を埋めていく。
曲線部分に生じた穴はなんとか埋めることができた。 やはり直線部分は鬼門だった!
問題は直線部分。加熱するそばから穴が広がっていく。
しかも、溶接棒を溶かし込んで埋まったと思った瞬間、盛り付けた端に新たな穴が開くというモグラ叩き状態。
ピンホールも生じやすく、くじけそうになった。
そこで、一息入れて気分を落ち着かせて作業再開。なんとか埋めきることができた。
その結果がこれ。一直線にビードを引いたような状態になってしまった。 周囲の汚れを落として耐熱塗料を塗布する
溶融した溶接面はサビが発生しやすいため、仕上げに耐熱塗料で塗装する。まず、粗めのサンドペーパーでエキパイ全体を研磨して汚れや酸化物を削り落とす。
パイプの全周にアクセスできるよう宙吊り状態で固定し、全体にムラなく耐熱塗料を塗布する。
完全に乾燥するまでそのままの状態で1時間ほど放置して完成だ。組み上げてエンジン始動し、漏れを確認する
新品ガスケットをセットして元通り組み付け、固定ボルトをきっちり締め付ける。
そして、エンジンを始動して各溶接部や補修箇所から排気漏れが生じていないか確認。漏れはなく爆音も収まった。とりあえずは成功だ。
提供元:オートメカニック