故障・修理
更新日:2018.10.16 / 掲載日:2018.10.16

絶対やっちゃダメ!禁断のクルマ実験室11 外気温が低いときの加熱を極限まで実行

外気温が低いときの加熱を極限まで実行

40℃以上にしてはイケない!
R-134aのサービス缶裏面の注書きには40℃以上にしないように記載されている。これはスプレーなどの家庭用品なども同じ。ただしクルマの整備中に使うものなのでエンジンやマフラーで暖めないとの説明もある。

エアコンや塗装缶で良くやる湯煎

 エアコンの冷媒を自分で補充したことのある人なら分かると思うが、気温の低い時(25℃以下)だと、冷媒がなかなか入っていかなくなる。これは、缶から冷媒が出た時の減圧とともに気化熱で温度が低くなり同時に缶の内圧も下がるためだ。そのため、手で缶を握って熱を与えたり、ぬるま湯につけて加熱したりする。缶スプレーでの塗装でも、似たようなことが起こる。
 このような時、ちょっと横着して鍋に入れた缶を煮たり、ストーブなどの高温部に近づけることがあるが、この時に別の作業が入って置きっぱなしにしたらどうなるだろう。
 今回は、エアコンの冷媒でやるとどうなるか?を実験した。冷媒は温度で圧力が大きく変わり、40℃までなら1000kPa(約10kg/cm2)以下だが、50℃で1200kPa、70℃で2000kPa(20kg/cm2)を越える。湯煎で70℃を超えると缶が伸びる。クルマへの充填でも、過充填気味の高圧側の圧力が高い状態で缶へ圧力を戻すと同様の症状が出るとされているが、破裂寸前なので非常に危険だ。

温めた時の内圧変化をチェック
冷媒の圧力は温度と連動している。外気温31℃の時、800kPa弱になった。50℃の湯につけると1050kPaを指した。これは43℃程度の圧力だが、缶の内部の温度が上がりきってないためと思われる。

缶の注書きには1000kPa(1MPa)以上の圧力を掛けないよう指示されている。

温度と圧力の関係
密閉缶に液とガスの冷媒が存在するときは飽和状態となり、温度と圧力の関係は表のように特定の関係にある。クルマのエアコンでも同様で、駐車中などで放置している時に外気温と同じならそれに連動して圧力が変わる。

70℃を超えると缶が伸び、パコンと音がする
ワイヤーをつないだサービス缶と、ゲージをつないだ缶を鍋に入れ、ガスコンロで煮込んでみた。

お湯には温度計も漬けてあるが、70℃を越えるとパコンと音がした。内圧が上がって缶が伸びた音だ。さらに放置すると、お湯は76℃、ゲージは2300kPaを指した。冷媒については、有害なので中断。

80℃の熱湯だと缶が即座に爆発するかもしれない
一般的な缶での実験。80℃を超えると内圧上昇に耐えられず、缶が破裂する。塗料缶でも危険だ。

カセットガスも噴出して超キケン
白煙を上げながら転がる缶があるが、これはカセットガスのボンベだった。

コンロとぶつかったのか、側面が切れていた。口金も変形。

この破壊力を食らったら、マジで死ぬ……

加熱に使った器具は、想像以上に破壊された。鍋は取っ手付近が引き裂かれており、台に押し付けられてできたスジが全面に付いている。

取っ手はリベットからもぎ取られ、プラスチックの取っ手は粉々。ガスコンロもクルマで踏みつけたようになっていて、バーナー部にもクラックが入っている。下に置いたブロックも角が欠けていた。

【実験結果】高温の加熱は絶対ダメ

この実験では、お湯の温度が先に上がるので、缶の温度は若干低いと考えられる。ともかく、沸かしているお湯での湯せんや、高温部にあてがった加熱をした時に爆発すると命に関わるくらい危険になる。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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