故障・修理
更新日:2024.04.23 / 掲載日:2024.02.14
車のバッテリーの劣化に注意!交換時期や寿命を伸ばす方法を解説

車のバッテリーは、経年によって劣化します。バッテリーが劣化するとさまざまなトラブルにつながるため、そうなる前に交換することが大切です。
一方で、あまり早すぎてももったいない……そう感じる人もいるかもしれません。
この記事では、バッテリーが劣化する原因やリスクを整理したうえで、交換時期の見極め方を解説しています。
交換方法やバッテリーの寿命を伸ばす方法など、バッテリーに関して知っておきたい情報も紹介していますので、ぜひメンテナンスの参考としてください。
1.車のバッテリーの劣化 その原因や起こるリスクとは

車のバッテリーはなぜ劣化してしまうのでしょうか。まずはその原因と、劣化したバッテリーを使うことでのリスクを解説します。
(1)車のバッテリーが劣化する原因
車のバッテリーが劣化する原因は、主に二つ挙げられます。一つはサルフェーションと呼ばれる現象によって、もう一つはオルタネーターと呼ばれる発電機の不具合です。
①サルフェーションによる劣化
車のバッテリーは基本的に鉛蓄電池が使われています。鉛蓄電池は、電解液(希硫酸)という液体と2つの電極板(鉛のプレート)で構成されており、充放電は電解液を介して電極板を電子が行き来することで発生します。この過程で電極板の周りに絶縁物質(硫酸塩)が生成される現象がサルフェーションです。
生成された絶縁物質は電極板に付着するものの、最初のうちこそ電解液に戻ります。しかし充電と放電を繰り返すと硬質化していき、電極板を覆っていきます。それによって電気抵抗が大きくなり、鉛蓄電池が充放電しにくくなります。鉛蓄電池の劣化のほとんどの原因が、このサルフェーションによるものです。
②オルタネーターの不具合による劣化
オルタネーターは、エンジンの動力を使って、車のバッテリーの充電をするパーツです。
オルタネーターに不具合があると、車のバッテリーが十分に充電されず、いわゆるバッテリー上がりにつながります。バッテリー上がりは、バッテリーに大きな負荷をもたらすため、結果的にバッテリーの劣化を招きます。
(2)車のバッテリーが劣化するとエンジンがかかりにくくなる
車のバッテリーが劣化すると、電力供給が不安定となり、エンジンがかかりにくくなります。最悪の場合、エンジンがまったくかからず車が立ち往生し、予期せぬ事故につながる危険性もあります。
2.車のバッテリーは劣化しきる前に交換を
車のバッテリーが劣化すると、前述したように大きなトラブルにつながるリスクがあります。そのため、劣化が進みきる前に交換することが大切です。
(1)車のバッテリー交換 一般的には3年だが車種や利用状況で変わる
車のバッテリー交換の一般的なタイミングは、使い始めてから3年とされています。
使用開始日ではなく「製造年月日から3年」のほうが正確と言われていますが、整備工場などで用意されているバッテリーは最新のものであることがほとんどで、使用開始日と製造年月日が大きく離れていないため、「使い始めてから3年」と見ても問題ありません。
いずれにしても、それ以上使い続けると、突然バッテリーが上がり、エンジンがかからなくなるリスクが高まります。
ただし、これはあくまで目安であり、車の種類や利用状況によって変わります。
例えば車の種類だと、それぞれ
・一般的なガソリン車:2~5年
・アイドリングストップ搭載車:2~3年
・ハイブリッド車:メインバッテリーは8~10年。補機バッテリーは2~3年
・充電制御車:2~3年
と違いがあります。
また、頻繁に短距離運転を繰り返す、外が暑すぎる・寒すぎる、などはバッテリーに大きな負荷を与えます。その際は、上記よりも劣化が早くなります。
(2)使用年数以外に見極める方法は? 基本的には手間がかかる
車のバッテリーの交換タイミングを見極める方法は、使用年数以外にも電圧が挙げられます。走行に必要な電圧は12.5Vからであり、12.5V未満に低下していたときも交換したほうがよいとされています。
また、バッテリーの電解液の量が規定量を下回っている、バッテリー本体が膨らんで見える、などの場合も劣化していると見ることができます。
ただし、逐一電圧を測定したり、バッテリーの状態を見たりするのは手間がかかるため、基本的には使用年数で判断するのがベターです。そのうえで、もう少し詳しく知りたい場合は、自動車の整備工場やカーディーラーなどの専門業者に聞いてみるのが早いでしょう。
このほかにも、バッテリーが劣化するとヘッドライトが暗くなる、パワーウィンドウの開閉が遅くなるなど、電装品に不具合が生じるとも言われますが、多少バッテリーが弱くなっていてもオルタネーターが正常であれば、これらの症状は発生しません。
逆に言うと、電装品に不具合がなくてもバッテリーが劣化している可能性があるため、注意する必要があります。
3.車のバッテリー交換時のポイント
車のバッテリーを実際に交換するときは、次のポイントをおさえておくとよいでしょう。
(1)新しい車のバッテリーを選ぶときに見ておきたい4つ
新しい車のバッテリーを選ぶときは、下の4つを見ながら行うとよいでしょう。
バッテリーのサイズ | バッテリーの形式を見て選ぶ。通常車や充電制御車のバッテリーは、「55B20L」のように英数字で表示される。この場合は、幅129(127)mm×箱高さ203mm、長さ200mm |
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バッテリーの種類 | 開栓型バッテリー、密閉型バッテリー、ドライバッテリーの3種類がある。車種やバッテリーのついている位置によって適した種類が変わる |
バッテリーの性能 | 特に以下の3つを見ること ①バッテリーの容量:アンペア時(Ah)で表される。30~100Ahが一般的。長距離走行や電装品の多い車では大容量のものが適している ②バッテリーの電圧:ボルト(V)で表される。12V・24Vなどがあり、車によって適合する数値が異なる ③バッテリーの始動能力:コールド・クランキング・アンペア(CCA)で表される。CCAが高いほど、寒冷地でもエンジンが始動しやすい |
バッテリーの保証期間 | メーカーによって3年、5年と異なるので確認する |
バッテリーのサイズの詳しい見方については、下記で解説しています。
(2)自分で交換するときの手順と処分方法
車のバッテリーは、自分で交換することもできます。大まかな手順は以下のとおりです。
1.車のエンジンを止めて鍵を取り外す
2.バッテリーのマイナス端子を外し、次にプラス端子を外す
3.バッテリーを固定しているボルトやクランプを外す
4.バッテリーを入れ替える
5.新しいバッテリーにマイナス端子をつけ、次にプラス端子をつける
6.エンジンをかけて充電を確認する
なお、バッテリーを入れ替えると、電子機器やシステムのデータが消えてしまう可能性があるため、バックアップを取っておくことをおすすめします。
バックアップの取り方については、下記記事をご覧ください。
また、古いバッテリーの処分には注意が必要です。車のバッテリーは消防法が定める「危険物」に該当するため、家庭ごみとして捨てることができません。
処分方法については、下記記事で詳しく説明しています。
(3)車のバッテリー交換を業者に依頼した場合
業者によるバッテリー交換の平均的な費用は、10,000~20,000円程度です(バッテリー本体代金を含む)。ただし、バッテリー自体の価格と作業時間、業者の料金体系により変動します。
重要なのは、業者選びです。信頼が高く、実績豊富な業者を選ぶことで、安全できちんとしたサービスを受けられます。また、複数の業者に見積もりを出してもらい、十分に比較検討してから依頼するのも大切です。
バッテリー交換を業者に依頼した場合の費用相場や作業時間は、下記でも解説しています。
4.車のバッテリーの寿命を延ばすには
車のバッテリーは、その仕組み上、充放電を繰り返す度に劣化しますが、バッテリーに必要以上の負荷を与えたり、バッテリー上がりをさせてしまうとそれが急激に早まってしまいます。
バッテリーの交換時期を必要以上に早めないために、以下のことを心がけるとよいでしょう。
(1)1週間に一度、10km以上車を運転する
まずは1週間に一度、10km以上ドライブするようにしましょう。
バッテリーは、長く放置していると自然放電によって充電がゼロになります。車のバッテリーは車を運転することによって充電されるため、定期的な運転がバッテリー上がりの予防につながります。
ただし、ある程度、停車しない状態で長く走行しないと十分に充電されません。そのため、週に1回は、渋滞の少ない道を10km以上を走るようにしましょう。
(2)電装品の無駄遣いを避ける
電装品の無駄遣いを避けるのも大切です。例えば、ライトの消し忘れは電力を無駄に消費し、バッテリーへの大きな負荷やバッテリー上がりの一因となります。走行後は必ずライトを消す習慣をつけましょう。
半ドアの状態での駐車も同様です。ドアが半開きの状態では、ルームランプが点灯したままになることがあるため、駐車時にはドアがしっかり閉まっていることを確認しましょう。
他にも、エンジンが停止した状態でのエアコンやカーオーディオの使用、スマートフォンの充電などもバッテリーに必要以上の負荷を与え、バッテリー上がりも招きやすくなるため避けましょう。
(3)急発進・急停止をできるだけしない
運転時に、急発進や急停止をなるべくしないようにすることも有効です。過度な電力の使用は、バッテリーの寿命を縮める可能性があります。そのため、スムーズな運転を心がけ、無理のない加速と早めの減速を行うようにしましょう。
5.バッテリーに関してお困りでしたらグーネットピットにご相談ください
車のバッテリーは使用するたびに劣化し、また使用状況・環境によってそれが早まる可能性があるパーツであるため、定期的な点検が重要となります。
特に気温の影響を受けやすいため、季節の変わり目などにチェックすることをおすすめします。
自分で点検する余裕がない、バッテリーの交換作業に自信がないときは、お近くの自動車整備工場やカーディーラーなどの専門業者に相談してみましょう。
グーネットピットでも、バッテリーに関するさまざまなご相談に対して適切なアドバイスを行っています。弊社の整備工場が近くにありましたら、お気軽にご相談いただけたら幸いです。