故障・修理
更新日:2024.07.23 / 掲載日:2024.02.14
ブレーキパッドの面取りとは?必要性やデメリット、方法を解説

「ブレーキパッドは面取りする必要がある」とよく聞きますが、その必要性や効果などを具体的に知っている人は少ないのではないでしょうか。
面取りにはブレーキ性能自体を上げる効果はないため、絶対にしなければいけないという作業ではありません。デメリットがあることから、面取りしない人もおられます。
この記事では、面取りの必要性やデメリットを紹介しています。面取りする方法についても解説していますのでぜひご覧ください。
1. ブレーキパッドの面取りとは
ブレーキパッドの面取りとは、ディスクローターに接触する面の角(エッジ)を斜めに削り、滑らかにする作業のことです。
新品のブレーキパッドに交換するときだけでなく、使用中のブレーキパッドを面取りする場合もあります。
そこで、ブレーキパッドを面取りする必要性や効果、しない理由について解説します。
(1)ブレーキパッドを面取りする必要性
そもそも、ブレーキパッドの面取りは、必ずしなければいけないという作業ではありません。
面取りによって、主に以下の効果が期待できるため、必要に応じておこなう作業になります。メーカーによっては、面取り加工済みのブレーキパッドもあります。
面取りに期待できる効果 |
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・ブレーキ鳴きの防止 ・新品交換時の初期馴染み向上 |
ブレーキ鳴きとは、ブレーキパッドがディスクローターを挟み込んだときの振動によって発生する「キーキー」という異音のことです。
面取りしなければ必ずブレーキ鳴きが発生するわけではありませんが、ブレーキパッドの角がディスクローターに干渉した際に発生することがあります。
面取りすることで角が滑らかになり、干渉しなくなるため、ブレーキ鳴きを抑えられるということです。あわせて、ディスクローターに干渉した際に、ブレーキパッドの角が欠けるのを防いでくれます。
ただし、ブレーキ鳴きの原因はいくつかあるため、面取りしても発生する場合があることを理解しておきましょう。
また、新品のブレーキパッドを面取りすることで、ブレーキパッド本来の制動力を早く発揮させられます。
ブレーキパッドだけを新品にした場合、ディスクロータと馴染むまでは、本来の制動力を発揮できません。そこでブレーキパッドを面取りすると、ディスクローターとの接触面積が少なくなり、接触面にかかる圧力が大きくなるため、馴染みやすくなるということです。
(2)ブレーキパッドを面取りをしない理由
面取りにはブレーキ鳴きの防止や初期馴染み向上などの効果がありますが、ブレーキ性能自体が上がるわけではありません。そのため、以下の理由から面取りしない場合や不要と判断する場合があります。
・面取りすることで、ディスクローターとの接触面積が減る ・面取りする費用や時間がかかる ・自然に削れてブレーキ鳴きがおさまったり、馴染みがよくなったりする |
面取りはしたくないがブレーキ鳴きを抑えたいという場合には、ほかにもブレーキ鳴きを防止する対策があります。
たとえば、ブレーキパッドの背面にシムを取り付けたり、ブレーキパッドとシムの間にグリスを塗布したりし、ブレーキ鳴きの原因である振動を抑える方法があります。
下記の記事では、シムやグリスに関して詳しく解説していますので、面取り以外でブレーキ鳴きを抑えたい場合はこちらをご覧ください。
2. ブレーキパッドを面取りするデメリット
ブレーキパッドの角を斜めに削ると、ブレーキパッドとディスクローターの間にわずかな隙間ができます。この隙間に小さな砂利が入り込むことで、ブレーキパッドやディスクローターを傷つけてしまう恐れがあります。
走行中のディスクローターは回転しているため、砂利がディスクローターに当たると円周上の傷がついてしまうでしょう。傷がディスクローターの寿命を早めてしまうことにもつながります。
とくに雨の日の走行は、タイヤが路面の雨水と砂利を一緒に巻き上げてしまい、ブレーキ周りに砂利が飛んできやすくなるため注意が必要です。
このようなデメリットから面取りはしたくないが、ブレーキ鳴きを抑えたい場合は、先ほどご紹介したシムやグリスを使った対策をおこないましょう。
3. ブレーキパッドの面取り方法
自分で面取りする方法と、業者に依頼した際の相場をご紹介します。
(1)自分で面取りする方法
自分で面取りする方法は以下のとおりです。
1.面取りするブレーキパッドを用意する
2.棒ヤスリやグラインダーを用意する
3.ブレーキパッドの角を斜めに削る
4.ブレーキパッドを車に取り付ける
順にご紹介します。
①面取りするブレーキパッドを用意する
面取りする新品のブレーキパッド、または使用中のブレーキパッドを用意してください。
今使用しているブレーキパッドを面取りする場合は、先にブレーキパッドを取り出す必要があります。取り出す方法は、こちらの記事で詳しく解説していますのでご参考ください。
②棒ヤスリやグラインダーを用意する
ブレーキパッドを削るには、棒ヤスリやグラインダーが必要になります。棒ヤスリはブレーキパッド専用のものではなく、鉄工用や金属用で問題ありません。
グラインダーは作業時間を短縮できますが、削りすぎてしまう恐れがあるため注意してください。初めて面取りする場合は、棒ヤスリを使いましょう。
これから棒やすりを用意する場合は、以下の商品がおすすめです。
メーカー | 商品名 | 公式ストア |
---|---|---|
JTC | ブレーキパッド用ヤスリ | 「ブレーキパッド用ヤスリ」の公式ページ |
アストロプロダクツ | 3PC エンジニアファイルセット | 「3PC エンジニアファイルセット」の公式販売ページ |
③ブレーキパッドの角を斜めに削る
棒ヤスリなどを使い、ブレーキパッドの全周(以下の写真を参考)を斜めに削ります。
ブレーキパッドの全周を斜めに削る(イメージ)
削る範囲はブレーキパッドの全周を端から5mm程度、削る深さは2〜3mm程度です。削りすぎはディスクローターとの接触面積が減ったり、隙間が広くなったりするため注意しましょう。
新品のブレーキパッドの場合、上記写真のように左右の端だけ斜めになっていることがありますが、その場合でも上下の角を面取りします。
削った箇所を手で触り、滑らかで丸みを帯びていたら作業は完了です。
④ブレーキパッドを車に取り付ける
面取りしたブレーキパッドを車に取り付けましょう。
ブレーキパッドを取り付ける方法は、下記の記事で詳しく解説しています。取り付け方がわからない場合は、こちらもご覧ください。
(2)業者に依頼する際の相場
面取りを業者に依頼する際の相場は、5,000〜8,000円程度です。この価格は、面取り作業に対する費用になります。
そのため、ブレーキパッドの取り外しや取り付けも依頼した場合、追加で7,000円程度かかるかもしれません。業者によって、ブレーキパッドの交換作業費に面取り費用が含まれている場合もあります。新しいブレーキパッドに交換する場合は、ブレーキパッド代も必要です。
ただし、作業内容や作業時間によっても費用が変動するため、必要に応じて複数の業者に依頼しましょう。
業者を決定するときは費用に加えて、アフターフォローを受けられることが重要です。ブレーキパッドは安全性に直結するため、アフターフォローがある業者を選ぶと、長期的な安心感を得られます。
4. ブレーキパッドの交換も検討
面取りしてもブレーキ鳴きが止まらない……その場合は、ブレーキパッドが限界に近づいていることが原因かもしれません。
以下に該当する場合は、ブレーキパッドの交換時期が近づいています。
・サイドブレーキをかけていないのに警告灯が点灯している
・ブレーキパッドの厚みが3mm未満になっている
・ブレーキフルードの量がMINの近くまで減っている
ブレーキは安全性に大きな影響を与えるため、これらに該当した場合は早めの交換が必要です。
下記の記事では、ブレーキパッドの交換時期について詳しく解説しています。詳細は以下の記事をご覧ください。
5. ブレーキに関することはグーネットピットにお任せください
ブレーキパッドの面取りは比較的簡単な作業ですが、ブレーキパッドの脱着には専門的な知識と技術、道具が必要になります。
さらに、ブレーキが安全性に与える影響は大きいことから、ブレーキに関する作業は専門業者に依頼することをおすすめします。
もし、業者選びに迷っていたら、経験や知識が豊富なスタッフが在籍しているグーネットピットにお任せください。ブレーキパッドの交換や点検、整備など、あらゆるブレーキ関連の作業に対応いたします。