故障・修理
更新日:2024.07.23 / 掲載日:2024.02.14
ブレーキパッドにおすすめのグリス5選!効果や選び方、手順を解説

ブレーキをかけたら「キーキー」という異音がする……このような異音が聞こえた場合、故障したかもしれないと心配になる人は多いでしょう。
この異音は、ブレーキをかけたときの振動によって発生している可能性があります。この振動を抑えるには、ブレーキパッドとシムの間にグリスを塗るのが有効です。
この記事では、グリスの効果や選び方、おすすめ商品を紹介しています。さらにグリスの塗り方や注意点も解説していますので、参考にしてください。
1.ブレーキパッドにグリスを塗るとどんな効果が得られる?
ブレーキパッドに塗るグリス(パッドグリス)には、ブレーキ鳴きを抑える効果があります。
ブレーキ鳴きとは、ブレーキパッドがディスクローターを挟み込んだときの振動がキャリパーピストンに伝わることで発生する「キーキー」という異音のことです。
キャリパーピストンとは |
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ブレーキキャリパー内にある、ブレーキパッドをディスクローターに押し付ける部品。ブレーキをかけるとキャリパーピストンがブレーキパッドの裏側を押し込み、ディスクローターを挟みこむことで車を徐々に停止させる。 |
ブレーキパッドとシム(ブレーキパッドの背面につける部品)の間にグリスを塗布することで振動が抑えられ、ブレーキ鳴きを防ぎます。
また、ブレーキパッドとキャリパーブラケット(ブレーキパッドを取り付ける箇所)の接触面にグリスを塗布することで、ブレーキパッドのサビによる固着を防げます。固着は、ブレーキの引きずり(ブレーキがかかったままの状態になること)やブレーキパッドの早期摩耗の原因になります。
塗布したグリスは、時間が経つと劣化により効果がなくなるため、以下などのタイミングで再度塗布しましょう。
・塗布してから12カ月経過したとき
・ブレーキパッドを交換したとき
・車検を受けるとき
・ブレーキ鳴きが再発生したとき
グリスを塗布しても、ブレーキ鳴きが止まらない場合は、ほかの不具合の可能性があります。たとえば、ブレーキパッド自体の残量が少なくなっており、交換時期を知らせる警告音かもしれません。
下記の記事では、ブレーキパッドの交換時期を知らせてくれる「パッドウェアインジケーター」について解説しています。こちらの記事もぜひご覧ください。
2.ブレーキパッドに塗るグリスの選び方
ブレーキパッドに塗るグリスの選ぶポイントは以下の3つです。
1.グリスのタイプから選ぶ
2.耐熱温度から選ぶ
3.ブレーキパッド用のグリスを選ぶ
順にご紹介します。
(1)グリスのタイプから選ぶ
ブレーキパッドに塗るグリスには、ペーストタイプとスプレータイプがあります。
タイプ | メリット | デメリット |
---|---|---|
ペースト | ・半固形で必要な箇所にだけ塗布できる ・粘土が高く、長期間効果を保てる | 指などで塗り広げる必要がある |
スプレー | ・手軽に作業できる ・広範囲へ均一に塗布できる | 噴射した際に不要な箇所に塗布する可能性がある |
基本的な性能は同じため、扱いやすさなどをもとに自分に合ったグリスを選びましょう。
(2)耐熱温度から選ぶ
ブレーキパッドに塗布するグリスは、商品によって耐熱温度が異なります。
グリスはブレーキをかけた際の摩擦熱によって高温になるため、その温度に耐えられなければ、グリスが溶けて流れ出る恐れがあります。そのため、車の用途に合った耐熱温度からグリスを選ぶことが重要です。
一般走行用の耐熱温度の目安は300度以上です。しかし、サーキット走行用の車は高速走行中に何度もブレーキをかけるため、ブレーキパッドの温度が非常に高くなります。
そのため、サーキット走行用の車には、最低でも耐熱温度800度以上を目安としたグリスを選びましょう。
(3)ブレーキパッド用のグリスを選ぶ
ブレーキパッドに塗布するグリスは、必ずブレーキパッド用を使用してください。
ブレーキパッド用以外のグリスを使用した場合、耐熱温度が足りずにグリスが流れ出てしまう可能性があります。ブレーキパッド周辺の部品に付着し、ブレーキが利かなくなる危険性があるため、必ずブレーキパッド用のグリスを使用しましょう。
3.ブレーキパッドにおすすめのグリス5選
ブレーキパッドにおすすめのグリス5選をご紹介します。
(1)DIXCEL|ブレーキパッド グリース

出典:ブレーキパッド グリース|DIXCEL
ブレーキパッドの背面に塗布することで、ブレーキ鳴きを抑えられます。効果を持続させるグラファイト(黒鉛)を含んでいます。
(2)WAKO’S|ディスクパッドグリース

出典:製品一覧ページ/エアゾール他/ディスクパッドグリース p.8|WAKO’S
耐熱性や耐久性、耐水性を兼ね備えているのが特徴です。ブレーキ時の振動を抑え、長期間にわたりブレーキ鳴きを防ぎます。
- ・ディスクパッドグリースの公式ページ(製品一覧ページから「エアゾール他(P.7-8)」を選択)
(3)KITACO|ブレーキパッドグリス

ブレーキパッドの裏面とシムに塗ることで、ブレーキ鳴きや制動ムラを抑えられます。また、耐熱性にも優れています。
(4)イチネンケミカルズ|NX28 ディスクパッドグリース

ディスクブレーキの鳴き止め防止剤を添加したグリス。耐熱性に優れており、ブレーキ鳴きや焼付きを防いでくれます。
(5)ダイゾー|NR-05 ディスクガード

高い粘着力によって、ブレーキ鳴きの原因である微振動を吸収します。ディスクパッドのガタつきが多い車に最適なグリスです。
4.ブレーキパッドにグリスを塗る手順
ブレーキパッドにグリスを塗るのに必要な道具と手順をご紹介します。
(1)必要なもの
交換に必要な主な道具は、以下の7つです。
道具 | 詳細 |
---|---|
ジャッキとジャッキスタンド | 車を持ち上げてホイールを外すために使う |
レンチやスパナ | ホイールやブレーキキャリパーのボルトの取り外しや取り付けに使う |
長く大きめのS字フック | 長く大きめのS字フックを使い、キャリパーが脱落しないように使う |
ブレーキパッドのクリーニング用具 | ブレーキディスクやブレーキキャリパーの汚れを落とすために使う |
ブレーキパーツクリーナー | 古いブレーキグリスやキャリパーのブレーキダストを清掃するときに使う |
グリス、パッドグリス | ブレーキパッドをキャリパーに取り付けるときに塗布する |
作業手袋 | 安全性の確保と油汚れなどを防止するため、作業するときに着用する |
(2)ブレーキパッドにグリスを塗る手順
ブレーキパッドとシムを交換する手順を概説します。
1.安全な場所で作業開始

車を平坦で安全な場所に駐車したあと、車をジャッキアップしてください。車が動かないようにジャッキスタンドで車体を支え、作業中の安全を確保します。また、ジャッキアップする前にホイールナットをレンチで軽く緩めておくと、次の作業でタイヤを外しやすくなります
2.ホイールの取り外し

ホイールナットをレンチで緩め、ホイールを取り外してください
3.キャリパーの取り外し
キャリパーの下側のボルトをレンチやスパナで外します。ボルトを外したら、キャリパーを下から上に取り外します。
このとき、キャリパーのブレーキホースが無理に引っ張られていないか注意しながら取り外しましょう。もしブレーキホースが無理に引っ張られているようであれば、下側だけでなく上側のボルトも外してからキャリパーを取り外します。キャリパーを取り外したら、脱落しないようS字フックなどで吊り下げておきましょう
4.ブレーキパッドを取り外す
キャリパーブラケットからブレーキパッドを取り外してください
5.ブレーキパーツの汚れを落とす
ブレーキパッドやキャリパーに付着した汚れをパーツクリーナーや布できれいに取り除きましょう。あわせて、ブレーキパッドからシムを取り外し、古いグリスやブレーキダストなどの汚れを落とします
6.ブレーキパッドの背面にグリスを塗布する

ブレーキパッドの背面に適量のグリスを均一に塗布し、ブレーキパッドの背面(ディスクローターを挟み込む面の裏)に再度シムを取り付けます。ブレーキパッドにシムのつめを引っ掛けるように取り付けましょう。
またキャリパーブラケットとの接触面(ブレーキパッドの両端)にもグリスを塗布しましょう
7.キャリパーの取り付けと組み立て
ブレーキパッドを取り付けたあと、キャリパーを元の位置に戻し、ボルトを締め付けます。その後、ホイールを装着してホイールナットをレンチで軽く締め付けます
8.ジャッキダウンとブレーキ復帰
ジャッキダウンし、ホイールナットをレンチで本締めします。その後、ブレーキフルードの量を確認します。エンジンを掛けずに30回ほどブレーキペダルを踏み、ピストンがブレーキパッドを確実に押せる状態になるのを確認してください
(3)業者に依頼する場合の相場
ブレーキパッドにグリスを塗布するには、ブレーキパッドを一度取り外す必要があります。ブレーキパッドを取り外す道具や知識がない場合は、専門業者に依頼しましょう。
専門業者に依頼した場合の相場は、2,000〜5,000円程度です。定期点検や車検などと同時作業であれば、費用を抑えられるかもしれません。
車種やグリスの種類などによっても価格が変動するため、必要に応じて複数の業者に見積もりを依頼してください。
業者を決定するときは交換費用だけでなく、今後も車全体のメンテナンスを依頼できるか、口コミサイトやレビューサイトに悪評がないかを確認しましょう。
5.ブレーキパッドにグリスを塗る際の注意点
ブレーキパッドにグリスを塗る際の注意点は以下の2つです。
1.ブレーキパッドの表面に塗らない
2.グリスがはみ出たら拭き取る
順にご紹介します。
(1)ブレーキパッドの表面に塗らない
グリスはブレーキパッドの表面(ディスクローターを挟み込む面)、およびディスクローターそのものに付着しないように注意してください。
これらにグリスなどの油分が付着すると滑ってしまうため、ブレーキが利かなくなります。もし、付着してしまった場合はすぐにパーツクリーナーや布などを使い拭き取ってください。
(2)適量のグリスを塗布する
グリスを過剰に塗布すると、ブレーキパッドにシムを取り付けたときに溢れ出るかもしれません。
溢れたグリスがブレーキパッドの摩擦面やディスクローターに付着すると、ブレーキの利きが悪くなる危険性があるため、注意してください。
さらに、溢れたグリスはブレーキパーツやホイールに黒い粉状のダストを付着させる原因にもなります。
塗布後、余分なグリスが溢れ出た場合は、すぐにパーツクリーナーや布などを使って拭き取りましょう。
6.ブレーキに関することはグーネットピットにお任せください
ブレーキをかけた際に「キーキー」という異音が鳴る場合、ブレーキパッドにグリスを塗ることで抑えられる可能性があります。
しかし、グリスを塗るには、ブレーキパッドを一度取り外さなければいけません。さらに、取り外しには専門的な道具や知識が必要になることから、業者に依頼するのもひとつの方法です。
もし、業者に依頼したい場合は、専門知識や経験が豊富なグーネットピットにお任せください。ブレーキパッドの取り外しからグリスの塗布、ブレーキ関連のトラブル解消まで丁寧に対応いたします。