故障・修理
更新日:2024.08.21 / 掲載日:2024.08.06

ラジエーターからの冷却水漏れ、原因と対処法は?修理費用や交換の目安も紹介

「愛車から水漏れ…もしかして冷却水漏れ?」

ボンネットを開けると、甘い匂いが漂い、地面に緑色の液体が…。もしかすると、エンジンを冷やしてくれる冷却水が漏れているかもしれません。

冷却水が漏れると、オーバーヒートやエンジンの故障につながります。最悪の場合、エンジンが焼き付いてしまい、高額な交換費用が発生する恐れがあります。

この記事では、冷却水漏れの危険性や原因、対処法、修理費用の目安などをわかりやすく解説します。

1. ラジエーターからの冷却水漏れを放置するとどうなる?

ラジエーターからの水漏れとは、冷却水が漏れている状態のことです。冷却水が漏れている量が微量であれば走行は可能ですが、エンジントラブルの原因になったり、最悪の場合、走行不能になったりする恐れがあります。

ここでは、ラジエーターの水漏れを放置することの危険性についてご紹介します。

(1) オーバーヒートのリスク

ラジエーターから水漏れが発生すると、冷却水が減少し、エンジンを十分に冷やせなくなるため、オーバーヒートのリスクが高まります。オーバーヒートは、エンジンが異常に高温になることで、さまざまな部品に損傷を与える可能性があります。

例えば、エンジンの主要部品であるピストンやシリンダーヘッドが変形したり、最悪の場合はエンジンが焼き付いてしまったりするでしょう。

エンジンが焼き付いてしまい、エンジン全体の交換が必要になった場合、高額な修理費用が発生します。

そのため、ラジエーターから冷却水が漏れていたら、早急に対処することが大切です。

(2)エアコン故障や車検NGの可能性も

ラジエーターの水漏れは、エンジン冷却系のトラブルだけでなく、一見関係なさそうな部分にも影響を及ぼすことがあります。

ひとつは車のエアコンです。冷却水はエンジンの熱を利用して車内を暖める暖房システムにも使われています。

そのため冷却水が不足すると、暖房の効きが悪くなったり、まったく効かなくなったりする可能性があります。とくに冬場は深刻な問題です。

さらに、冷却水漏れは車検にも影響する可能性があります。冷却水漏れはオーバーヒートや環境汚染、ほかの車への影響など、安全面と環境面で問題を引き起こす可能性があるため、車検不合格の対象となる可能性があります。

冷却水漏れが明らかであったり、冷却水量が不足している場合は、車検に通るように対処が必要になります。

このように冷却水漏れは、放置するとさまざまな問題を引き起こす可能性があります。早めの点検と対処が重要です。

2.そもそもラジエーターと冷却水の役割とは

車のエンジンは、燃料を燃焼させることで動力を得ています。燃焼時には非常に高温になるため、冷却水がエンジンの熱を吸収し、エンジンの温度を下げています。

具体的には、冷却水がエンジン内部を循環し、エンジンの熱を吸収してラジエーターへ流れます。ラジエーター内部を流れながら、クーリングファンや走行風で冷やされた冷却水は再びエンジンへと戻り、このサイクルを繰り返すことでエンジンの温度を一定に保っているということです。

このように、ラジエーターと冷却水は、車のエンジンにとって非常に重要な役割を果たしています。

3. ラジエーターの冷却水漏れの対処法

ラジエーターから冷却水が漏れていることを発見したら、まずは安全な場所に車を停止させましょう。その後の対処法は、水漏れの程度や走行の可否によって異なります。

(1)自走が可能な場合の応急処置

自走可能な程度の軽微な水漏れであれば、応急処置を施すことで、修理工場まで移動できる場合があります。

応急処置としては、市販の水漏れ防止剤を使用します。水漏れ防止剤は、ラジエーター内の小さな亀裂や穴を塞ぎ、冷却水漏れを一時的に止める効果があります。

製品によって使用方法は異なるため、製品の説明書をよく読み、正しく使用しましょう。

ただし、水漏れ防止剤はあくまで一時的な対処法です。根本的な解決には、修理工場で点検・修理を受ける必要があります。

なお、水漏れ防止剤を使用して運転する場合は、以下の点に注意しましょう。

注意点説明
水温計の確認走行中は水温計を常に確認し、オーバーヒートの兆候(水温計の針の上昇)がないか注意しましょう
エアコンの使用停止エアコンの使用はエンジンに負担をかけるため、停止しましょう
無理な運転の禁止急発進や急加速は避け、エンジンへの負担を軽減しましょう
安全な場所への停車異常を感じたら、直ちに安全な場所に車を停車させましょう
無理な走行は避け、レッカー移動水漏れが悪化したり、オーバーヒートの兆候が出たりした場合は、無理に走行せず、レッカー車を呼びましょう

(2)大量の冷却水漏れやオーバーヒートの兆候がある場合

ラジエーターから大量の冷却水漏れが発生している場合や、オーバーヒートの兆候がある場合は、安全を期して自走せずにレッカーを呼びましょう。

①大量の冷却水漏れ

冷却水が滝のように流れ出ている、あるいはエンジンルームの地面に広がるほどの量の場合、自走は大変危険です。

ピンク色や緑色、青色の水が流れている、または地面に広がっている場合は、すぐに安全な場所に車を停めて、レッカーを呼びましょう。

なお、エアコンからの排水が地面に広がっている場合もありますが、冷却水は独特な甘い臭いをしているのが特徴です。

②オーバーヒートのサイン

ラジエーターから冷却水が漏れて冷却水が不足すると、エンジンを十分に冷やせなくなり、オーバーヒートする恐れがあります。

オーバーヒートのサインは以下のような現象になります。

・アクセルを踏んでも加速しない
・エンジン回転数が安定しない
・エンジンルームから異音がする
・エンジンルームから蒸気が出る
・オイルの焦げたような臭いがする

これらのサインに気づいたら、すぐに車を安全な場所に停車させて、レッカーを呼びましょう。その後、修理工場に持ち込み、整備士に点検・修理してもらうことが重要です。

4. ラジエーターの冷却水が漏れる箇所と原因

冷却水の漏れが発生する原因は、ラジエーターやホースの劣化、部品の緩みなど複数あります。具体的には、以下の箇所が冷却水の漏れやすい箇所です。

(1)ラジエーター本体

ラジエーター本体から水漏れが発生する原因として、主に以下のようなものがあります。

1.経年劣化による亀裂や腐食

ラジエーターは金属でできており、長年使用していると経年劣化によって亀裂や腐食が発生することがあります

2.外部からの衝撃による破損

走行中に飛び石などが当たったり、軽い接触事故などによってラジエーター本体が破損し、水漏れが発生することがあります

ラジエーターは常に高温の冷却水が循環しており、冷却水が循環する際に圧力がかかるため、経年劣化によってラジエーターの素材自体が脆くなってしまい、亀裂や腐食が発生しやすくなります。

また、ラジエーターは車のフロントナンバープレート裏に設置されていることが多く、外部からの衝撃によって破損し、水漏れが発生することも少なくありません。

(2)ラジエーターホース

ラジエーターホースは、ラジエーター本体とエンジンをつなぐゴム製のホースです。ラジエーターホースから水漏れが発生する原因は以下のとおりです。

1.経年劣化によるひび割れや硬化

紫外線や熱、冷却水の循環によってゴムが劣化したり、ゴムの柔軟性が失われ、亀裂や破損しやすくなります

2.取り付け部分の緩み

振動や経年劣化により、取り付け部分が緩み、冷却水が漏れることがあります

走行距離が長い車や、古い車の場合は、ホースやホースバンドの劣化が進んでいる可能性が高いでしょう。

(3)ラジエーターキャップ

ラジエーターキャップは、冷却水が膨張して発生する圧力を一定に保ち、冷却水の沸点を上げる役割を担っています。

しかし、ラジエーターキャップはとくに経年劣化しやすい部品で、ゴムパッキンが劣化すると密閉性が低下し、冷却水が漏れてしまうことがあります。

(4)ウォーターポンプ

冷却水の循環を担うウォーターポンプの故障も、ラジエーターから水漏れする原因のひとつです。ウォーターポンプはエンジンによって駆動しており、冷却水をラジエーターやエンジン内部に循環させる役割を担っています。

しかし、ウォーターポンプが故障すると、冷却水が正常に循環しなくなり、ラジエーターからの冷却水漏れ、さらにオーバーヒートを引き起こす恐れがあります。

また、経年劣化によって取り付け部分のゴムパッキンに亀裂が入り、冷却水漏れが発生する場合もあります。

(5)シリンダーヘッドガスケット

ラジエーターやホースに異常が見られない場合でも、冷却水が漏れることはあります。その原因のひとつとして考えられるのが、シリンダーヘッドガスケットの不良です。

シリンダーヘッドガスケットとは、エンジンのシリンダーヘッドとシリンダーブロックの間に挟まれたガスケットのことです。このガスケットが劣化すると、冷却水が燃焼室や外部に漏れてしまうことがあります。

5. ラジエーターの冷却水漏れのサイン5つ

ラジエーターの冷却水漏れは、放置すると重大なエンジントラブルにつながります。早期発見・早期対処が肝心になるため、以下の冷却水漏れのサインを見逃さないようにしましょう。

(1)車の下に広がっている水

車を駐車した際、地面に水のような液体が広がっている場合、冷却水が漏れている可能性があります。冷却水の色はピンク色、緑色、青色など種類によって異なります。

冷却水は、本来であれば密閉された冷却システム内を循環しており、車の下に漏れることはありません。もし、車の下に水のような液体が広がっている場合は、冷却水かどうかを確認しましょう。

(2)冷却水の減りが早い

冷却水の減りが早い場合、冷却水が漏れている可能性があります。

冷却水の残量は、エンジンルーム内にあるリザーバータンクで確認します。なお、リザーバータンクを確認する際は、エンジンが冷えている状態で行ってください。

リザーブタンクは半透明のプラスチック容器で、側面に「LOW」や「FULL」、「MAX」や「MIN」のマークがあります。冷却水の残量が、これらのマークの中間地点であれば問題ないでしょう。

もし、リザーブタンクの冷却水量が「LOW」や「MIN」マークより下まで減っていたり、短期間で何度も補充する必要があったりする場合は、冷却水漏れが疑われます。

(3)甘ったるい臭い

車内やエンジンルーム付近で甘ったるい香りがする場合、冷却水漏れを疑いましょう。

これは、冷却水に含まれるエチレングリコールという成分が、甘い臭いを発しているためです。冷却水は、通常ラジエーターなどの冷却システム内を循環しています。

そのため、臭いも循環経路に閉じ込められており、車内やエンジンルーム付近にまで臭ってくることはありません。もし、甘ったるい臭いを感じたらすぐに冷却水が漏れていないか確認しましょう。

(4)エンジンルームから煙

エンジンルームから煙のような蒸気が出ている場合、冷却水が漏れている可能性があります。これは、冷却水が漏れてエンジンの熱で蒸発し、煙のように見えている状況になります。

冷却水は蒸発すると白くなる性質があるため、煙が白く見えたら冷却水漏れの可能性が高いでしょう。煙から甘ったるい匂いがする場合は、冷却水の可能性がさらに高まります。

(5)水温計の異常

通常、エンジン始動後は水温計の針は徐々に上昇し、一定温度に達すると中央付近で針は安定します。

しかし、冷却水漏れが起きると残量が少なくなり、冷却水の温度が高くなるため、水温計の針は異常なまでに上昇します。

もし、水温計にあるHマーク付近やHマークを超えた場合は、オーバーヒートしている可能性が高いため、すぐに車を安全な場所に停車させてエンジンを停止しましょう。

6. ラジエーターの冷却水漏れを修理する場合

ラジエーターの冷却水漏れが発覚したら、速やかに修理する必要があります。ここでは、修理費用や費用を抑える方法について解説します。

(1)冷却水漏れの修理費用

ラジエーターの冷却水漏れの修理費用は、漏れの箇所や部品の劣化具合、車種によって異なります。一般的な修理費用の目安は以下のとおりです。

部位修理費用目安
ラジエーター本体50,000~100,000円
ラジエーターホース10,000~20,000円
ラジエーターキャップ1,000~ 3,000円
ウォーターポンプ15,000~50,000円
シリンダーヘッドガスケット50,000~100,000円

ただし、あくまでも目安であり、部品代や工賃は修理工場によって異なります。

(2)修理費用を抑える方法

ラジエーターの冷却水漏れの修理費用を抑えるには、以下のふたつの方法が考えられます。

①修理工場の比較

ひとつ目の方法は、複数の修理工場に見積もりを依頼し、比較検討することです。修理費用は工場によって異なるため、相見積もりを取ることで、より安い費用で修理できる可能性があります。

②中古部品の利用

ふたつ目は、中古部品の利用を検討することです。中古部品は新品部品よりも安価なため、修理費用を抑えられます。

ただし、中古部品は品質が保証されていない場合もあるため、信頼できる修理工場に相談しましょう。

(3)信頼できる業者を選ぶポイント

ラジエーターの冷却水漏れを修理する場合、以下3つのポイントをもとに、信頼できる業者を選ぶことが大切です。

1.口コミや評判

Webサイトの口コミや評判をチェックし、悪評がないかを確認しましょう。実際に修理を依頼した人の体験談なども参考にすると、より客観的に評価できます。

2.見積もりの内訳

見積もりの内訳が明確で、不明点があれば詳しく説明してくれる業者を選びましょう。交換する部品の種類や理由、工賃の内訳などを丁寧に説明してくれる業者には安心して依頼できます。

3.アフターフォローが充実している

修理後の保証期間やアフターフォローの内容を確認しましょう。例えば、修理後の保証期間がどのくらいあるのか、トラブルがあった場合の対応はどうなっているのかなどを確認しておくと安心です。

7. 冷却水漏れに関することはグーネットピットにお任せください

車のエンジンは燃焼時に非常に高温になるため、ラジエーターの冷却水はエンジンの熱を吸収し、適切な温度に保つ重要な役割を担っています。

そのため、冷却水漏れはオーバーヒートやエンジンの焼きつき、エアコンの故障など、重大なトラブルにつながる恐れがあります。

もし、冷却水の漏れに気づいたり、走行中に異変を感じたりしたら、早めの点検と修理を業者に依頼することが重要です。

しかし、どこに相談すればいいかわからない… そのようなときは、グーネットピットにお任せください!。下記のページからお近くの整備工場を簡単に検索できます。

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グーネットピット編集部

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グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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