タイヤ交換
更新日:2023.06.30 / 掲載日:2023.06.30
インパクトドライバーでタイヤ交換 注意点や作業手順をわかりやすく解説

車のタイヤを交換するときは、インパクトレンチと呼ばれる工具を使って行うのが一般的ですが、インパクトドライバーで行うことも可能です。
この記事では、インパクトドライバーでタイヤ交換するときの注意点や選び方、実際の交換方法、メンテナンス方法を詳しく解説します。タイヤ交換作業をよりスムーズに行うための参考としてください。
1.インパクトドライバーでタイヤ交換 知っておきたい3つのこと
車のタイヤ交換は、インパクトドライバーを使って行うことができますが、いくつか注意点があります。まずは失敗しないために知っておきたいポイントを3つご紹介します。
(1)インパクトドライバーとインパクトレンチの違い
タイヤ交換で用いられる工具は、インパクトレンチが一般的です。
タイヤ交換でインパクトドライバーを用いたいときは、インパクトレンチとの違いをおさえておきましょう。それぞれの特徴は、次のとおりです。
インパクトドライバー
打撃力(インパクト)を加えながら、ネジを回す電動工具
先端工具(ビット)を付け替えることで、ネジを締める/緩めるだけでなく、さまざまな用途に使える。例えばボルトやナットを締める/緩める、ビスで穴をあける、研磨するなど
インパクトレンチ
打撃力(インパクト)を加えながら、ボルトやナットを回す電動工具。レンチ用ソケットを直接取り付けることが可能。
ボルトやナットを締める/緩めることに特化した工具で、インパクトドライバーよりもトルク(※)が強い
(※)トルクとは、ボルトやナットなどを締め付ける力のこと。「N・m(ニュートンメートル)」という単位を使って数値で表記される。この数値が高ければ締め付ける力が強い
インパクトドライバーとインパクトレンチの最も大きな違いは、用途の広さの違いにあります。
せっかく工具を購入するならいろいろな用途に使えるほうがよい、という人はインパクトドライバーが向いているでしょう。
一方で、インパクトドライバーはあくまで「ナットを締める/緩めることもできる工具」のため、車のタイヤ交換に限ると、性能や耐久力にやや物足りなさを感じることがあります。
今後も自分でタイヤ交換をする予定がある場合や、ナットを強い力で締め付ける必要がある場合は、「ナットを締める/緩めるのに特化した工具」であるインパクトレンチを視野に入れることをおすすめします。
(2)ナットのサイズに合ったソケットビットが必要
インパクトドライバーでタイヤ交換をする際には、使用するタイヤのナットサイズに合ったソケットビットを装着します。
具体的なナットサイズには、一般的な乗用車で使用されるものとして、17mm、19mm、21mmの3種類があります。
ただし、車種によって異なるため、タイヤ交換を行う前に必ず車両の取扱説明書などで確認することが重要です。
(3)トルクレンチの用意も不可欠
市販のインパクトドライバーを使い、自分でタイヤ交換をする場合、インパクトドライバーのみでは最後までナットを締め付けることができません。
交換作業では、インパクトが回転音から打撃音に変わった瞬間に止め、最後はトルクレンチで規定トルクに締め付けるのが一般的です。
そのため、タイヤ交換時は、トルクレンチもあわせて準備する必要があります。
2.タイヤ交換に最適なインパクトドライバーの選び方
タイヤ交換に最適なインパクトドライバーを選ぶ際には、以下のポイントを確認し、商品の比較をするとよいでしょう。
1.最大トルク値
2.バッテリーの種類や性能
3.本体の重さ
順に詳しくご説明します。
(1)最大トルク値
車のタイヤはナットで固定されていますが、走行中に外れないように、ナットをある程度強い力で締め付ける必要があります。
一般的に、タイヤ交換時に必要なトルク値は、車のサイズによってある程度決まっています。具体的には以下のとおりです。
軽自動車のタイヤ交換 | 80~100N・m |
---|---|
普通車のタイヤ交換 | 100~120N・m |
大型トラックのタイヤ交換 | 550~600N・m |
インパクトドライバーを選ぶときは、最大トルク値が、自分の車に必要なトルク値を上回っていなければいけません。
ただし、ナットを強く締めすぎると、ホイールボルトが破損する場合があります。気づかないままでいると、走行中の事故のリスクもあります。
そのため、トルク値は小さすぎるのはもちろんですが、高ければよいというわけでもありません。
また、最大トルク値は重要ですが、前述したように、市販のインパクトドライバーでは最後まで締め付けられない点に留意が必要です。
(2)バッテリーの種類や性能
インパクトドライバーのバッテリーには、さまざまな種類があります。タイヤ交換に適したものを選ぶとき、特に気をつけたいのが電圧です。
現在、インパクトドライバーの電圧は、14.4Vか18Vが主流です。
14.4Vは家庭でのDIY用であり、タイヤ交換に必要なパワーがやや足りないので、18Vを選ぶようにしましょう。
(3)本体の重さ
インパクトドライバーの重さも重要です。
一般的に、インパクトドライバーの本体の重さは、約1kgから2kg程度とされています。この数値よりも重量のあるものは、高出力が可能になるメリットがありますが、腕が疲れやすいデメリットがあります。
逆に軽いものは腕が疲れにくいため長時間の作業に向いていますが、そもそも車のタイヤ交換のような、本体に大きな負担がかかる作業に適していないインパクトドライバーの場合もあります。
(4)タイヤ交換に適したインパクトドライバー
インパクトドライバーは、多くのメーカーからさまざまなものが販売されています。以下で、タイヤ交換に適したインパクトドライバーを紹介します。
メーカー | 品番 | 最大トルク値 | バッテリー | 重さ | 価格 | 補足 |
---|---|---|---|---|---|---|
makita | TD173DRGX | 180N・m | 18V | 1.5kg | 83,000円 | 手元を明るくする「全周」リング発光LEDライト搭載 |
KYOCERA | BID-1805 | 165N・m | 18V | 1.4kg | 33,000円 | 小型かつ高効率な4極モーター搭載 |
HiKOKI | FWH18DA-BG | 140N・m | 14V | 1.3kg | 21,800円 | ヘッドがコンパクトで取り回しが◎ |
BOSCH | GDR 18V-200 PROFESSIONAL | 200N・m | 18V | 1.1kg(※) | 53,000円 | 速度とトルクを細かくコントロール可能 |
※バッテリー未装着時
3.インパクトドライバーを使ったタイヤ交換の手順
インパクトドライバーを使ってタイヤ交換をするときの大まかな手順は、以下のとおりです。
1.ホイールストッパーやブレーキロックなどを使って車が動かないようにする
2.ジャッキを使って車を持ち上げる
車種ごとにジャッキアップポイント(ジャッキアップの指定位置)が異なるので注意
3.インパクトドライバーを使ってホイールナットを緩める
ナットが破損しないように、ナットが緩み始めたら惰性回転(スイッチをオフにしても回転部分の回転がしばらく続くこと)も使って丁寧に外す
4.タイヤを取り外す
タイヤが重い場合は二人で持ち上げるか、ジャッキアップした位置にタイヤを置いて転がすようにして外す
5.新しいタイヤを装着する
タイヤについている「進行方向の指示や外側を示すマーク」を確認してから取り付ける
6.手でナットを仮締めする
7.インパクトドライバーでホイールが固定される程度まで締める
インパクトドライバーが回転音から打撃音に変わった瞬間に止めるのがコツ。締め過ぎるとボルトが折損するので注意
8.車体をジャッキから下ろし、トルクレンチで規定トルクに締め付ける
9.新しいタイヤに空気を注入する
空気入れを外すときに多少漏れるときを考慮し、車のドア付近に記載されている適正空気圧よりも5~10kPaほど多めに入れる
インパクトドライバーを使ったタイヤ交換では、この手順を、安全かつ正確に進めることが重要です。
4.インパクトドライバーを取り扱うときのポイント
最後に、いざタイヤ交換をしようとしたときに使えなかった……ということを避けるために、インパクトドライバーそのものの取り扱い方をご紹介します。
(1)バッテリーの充電方法や保管方法に気をつける
インパクトドライバーには、充電式バッテリーが搭載されています。このバッテリーは正しい充電方法と保管方法によって、長持ちするようになります。
まずは、定められた充電時間を守り、過充電を避けるようにしましょう。バッテリーが過充電されると、寿命が短くなるだけでなく、破裂や発火のリスクもあります。
また、バッテリーに蓄えられた電気は使っていなかったとしても自然に減っていき(これを自然放電と言います)、やがてバッテリーは空の状態になります。バッテリーは空の状態が続くと、それはそれで消耗してしまうため、使わなくても定期的に充電することが大切です。
上記に加えて、保管の仕方にも気をつけるとよいでしょう。特に高温の場所に保管すると、バッテリーの性能が低下し、寿命が短くなることがあります。
(2)定期的にメンテナンスをする
インパクトドライバーは、定期的なメンテナンスが必要です。特に、清掃やオイルアップは、長時間の使用後には欠かせない作業となります。
清掃は、ドライバーの長寿命化やトラブル・事故の予防につながります。ブラシで汚れを落としたり、空気圧でほこりを飛ばしたりして、常にきれいな状態を保つようにしましょう。
また、オイルアップも大切な作業です。オイルを塗ることで、摩擦を軽減し、ドライバーのパフォーマンスを向上させることができます。ただし、オイルの種類によってはドライバーやバッテリーに悪影響を与える場合があるので、メーカーが推奨するものを使うようにしましょう。
5.タイヤの交換ならグーネットピットにお問い合わせください
タイヤ交換作業にインパクトドライバーを使用することは、軽量で扱いやすいことや、十分な締め付けトルクを得られることから、有効な手段といえるでしょう。
ただ、雪の降る地域で頻繁にタイヤ交換をする必要がある、という人ではない場合、高額なインパクトドライバーを購入するのをためらう人もいるのではないでしょうか。
そのような人は、専門業者に依頼するのもおすすめです。
なかでも、グーネットピットでは、車のメンテナンスに関して知識豊富なスタッフが、タイヤ交換をはじめ、メンテナンスに関するさまざまな相談に応じています。
全国にたくさんのグーネットピットがありますので、タイヤ交換やメンテナンスに関することを、お気軽にご相談してみてはいかがでしょうか。