タイヤ交換
更新日:2022.05.25 / 掲載日:2022.05.25
車のホイールナットとは?サイズや種類、選び方について解説

この記事では、車の「ホイールナット」という部品の役割や、サイズ・種類・選び方のポイントを解説しています。
自分で車のメンテナンスをしない場合、ホイールナットがどのような部品かわからないこともあるでしょう。また、なかには、ホイールナットの種類がありすぎて、どういう基準で選べばいいかわからない方もいると思います。
自分でホイールナットを選ぶ必要が出てきたときは、ぜひ記事内のポイントを参考にしてみてください。
車のホイールナットとは?

そもそもナットとは、「雌ねじ(めねじ)」のことで、筒状になった部品の内側にらせん状の溝があります。なお、外側にらせん状の溝があるものを「雄ねじ(おねじ)」と呼びます。車や家具などの組立では、雌ねじと雄ねじの結合によって部品を固定していきます。
ホイールナットは、タイヤのホイールと車のボディを固定する際に使う雌ねじのことです。国産車の場合、車体側にハブボルトという雄ねじがついています。車のタイヤを固定するときは、ハブボルトにホイールの穴を通じてハブという金属面を押し付け、その状態で雌ねじであるホイールナットを締めていきます。
こうした仕組みで車体とホイール(タイヤ)をつなぐホイールナットは、安全な走行をするうえで非常に大事な部品といえるでしょう。
車のホイールナットのサイズ表記について

車のホイールナットのサイズは、通常、以下のように表記されています。
例)M12×P1.521HEX
それぞれの記号と数字の意味は、以下のとおりです。
- ・M12:ネジの直径をあらわしています。M12なら12mmです。
- ・P1.5:ネジの山と山の間の距離を表しています。P1.5なら1.5mmです。
- ・21HEX:数字でナットの平行な2つの辺の距離(二面幅)を表し(ここでは21mm)、HEXでナットの形状をあらわしています。
・HEX:六角形=hexagonの最初の3文字をとったものです。
まとめると、「M12×P1.521HEX」は、直径12mm、ネジのピッチが1.5mmのハブボルトに適合する、ナットの形状が六角形で、ナット径21mmのホイールナットであることがわかります。
車のホイールナットの種類

ホイールナットを見分けるためには、サイズだけでなく種類の違いも理解する必要があります。おもなホイールナットには、以下のような違いがあります。
取付座面
取付座面というのは、ホイールとナットの接点のことです。ナットの形状は、取り付け先となるホイール座面の形状に合わせて設計されています。現在流通しているのは、以下の3種類です。
テーパー座
底面が約60度のすり鉢型になっているタイプです。一般的には、テーパーナットと呼ばれます。トヨタとホンダを除く大半の国産自動車メーカーでは、純正ホイールにテーパー座を採用しています。
球面座
座面が丸いタイプで、ホンダの純正ホイールで採用されている種類です。
平面座
座面が平らなタイプで、トヨタの純正ホイールで採用されている種類です。
ネジ部
ホイールナットには、ネジ部分の形状にも2つの種類があります。
袋式
上部がふさがっているナットです。袋ナットとも呼ばれる、穴が見えないナットを指します。
袋式のほうが見栄えは良くなります。また、結合部分がサビや汚れから守られるのも、袋式のメリットといえるでしょう。ただし、センターキャップをつけるアルミホイールの場合、高さやハブボルトの長さによっては取り付けられないこともあります。
貫通式
両側に穴があいているナットです。貫通式のナットは、長いボルトに対してボルトの奥までしっかり閉まるメリットがあります。
長さ
ホイールナットのうち全長が長いものをロング、短いものをショートと呼び、おもに作業のしやすさと見栄えで使い分けます。
例えば、ホイールナットを取り付けるボルトが奥まったところにある場合、ロングタイプのほうが手回しでネジ山を合わせやすくなるでしょう。また、ロングは、見た目が良いとの理由で選ぶ人もいます。
素材
ホイールナットは、以下のようにさまざまな素材でつくられています。
スチール
安価で強度が高く、国産車の純正品として装着されることが多い素材です。サビやすいという難点があります。
ジュラルミン
カラーが豊富にあり、デザイン性を重視する人に選ばれやすい素材です。熱によって変質しやすい特徴があります。
クロモリ(クロムモリブデン)
スチールと同様に強度が高く、熱に強い素材です。スチールやジュラルミンと比べて高価な傾向があります。
チタン
強度が高くサビにくい一方で、かなり高額な素材です。
自分の車に合ったホイールナットの選び方

車体とタイヤを固定するナットは、安全に走行するうえでも大事なパーツです。ホイールナットを買うときは、以下のポイントをチェックしながら自分の愛車に合うものを選ぶとよいでしょう。
ネジの直径
適合する雄ねじ(ハブボルト)の直径で、いわゆる内径です。ネジの直径とホイールナットの内径は、必ずぴったり合ったものを選びましょう。
ネジの山・山のピッチ
ホイールナットのピッチとは、適合するネジ山とネジ山の間の幅です。ピッチについても、車両にぴったり適合するものを選ぶ必要があります。
二面幅
二面幅とは、いわゆる外径のことです。二面幅は、頂点と対称の頂点との間で測定します。外径は、取り付ける穴に通るホイールナットを選ぶ際の参考になる数値です。そのため、内径(直径)やピッチと異なり、サイズが多少異なっていても大きな問題はありません。
取付座面・ネジ部の形状
社外品のホイールは多くがテーパー座面であるため、取り付ける場合はテーパーナットを選ぶのが無難です。純正品の場合は、ホンダなら球面座、トヨタは平面座の可能性が高いでしょう。ネジ部については、以下のポイントから袋式と貫通式のどちらかを選択します。
- ・見栄えの良さ
- ・結合部分のサビ・汚れのリスク
- ・ハブボルトの高さや長さ
車両幅
見栄えや取り付けやすさを重視する場合、ロングタイプのホイールナットを選ぶこともあるでしょう。そのときに注意すべきなのが、突出したホイールナットがフェンダーの幅(車両幅)に収まっているかどうかです。
例えば、モータースポーツ用の場合、コース内でしか走行しないうえにレース中に迅速なタイヤ交換が必要となるため、あえて車両幅より長いホイールナットを使うこともあります。一方、普通の車の場合は公道を走ることになるため、ロングのホイールナットを使うときも、車検に通るように車両幅からはみ出ないものを選ばなければなりません。
フェンダー幅よりも外にはみ出たホイールナットを使っていた場合、突起物による違法改造とみなされるため、注意してください。
車の用途
ホイールナットを新しく買うなら、愛車の目的や用途に合ったもの選ぶのもおすすめです。
- ・ドレスアップ目的:ジュラルミンやアルミ製のカラータイプ
- ・レーシングやオフロード目的:スチールやクロムモリブデン(耐久性・耐熱性・軽量性が高いもの)
また、自分でタイヤ交換するなどのカーメンテナンスを楽しみたい場合は、脱着のしやすさからロングタイプを選んでもよいでしょう。
予算
手頃なホイールナットを求めるなら、スチール製がおすすめです。一方で、クロムモリブデンやチタンは、非常に高価な種類になります。また、ジュラルミンは、チタンなどと比べれば安く購入できますが、熱に弱い性質があるため、使い方次第で買い替えコストも考える必要があるでしょう。
スチール製とチタン製では、10倍近い価格差になることもあります。自分の予算に合ったものを選んでみてください。
【注意】輸入車はホイールナットを使わない?

ここまで紹介したポイントは、国産車を対象とした話です。輸入車、特に欧州車の場合、ホイールナットを使わない車種があります。
ホイールナットを使用しない車種では、国産車と反対で、雌ねじの穴が車両側についています。そのため、欧州車でホイールの取り付けをするときには、雌ねじのホイールナットではなく、雄ねじのボルトの用意が必要でしょう。
輸入車の場合、タイヤ交換の方法も国産車と異なることが少なくありません。ホイールを固定する部品の選び方や交換方法がわからないときは、カーメンテナンスの実績が豊富な専門店に相談してみてください。
まとめ
車のホイールナットとは、車のボディとタイヤのホイールを固定する雌ねじのことです。ホイールの取り付けを行なう際は、雌ねじであるホイールナットを雄ねじのハブボルトと結合させて固定します。
車のホイールナットには、取付座面やネジ部などさまざまな種類があります。車のホイールナットを選ぶときは、以下の点を必ずチェックしましょう。
- ・ネジの直径
- ・ネジの山・山のピッチ
- ・二面幅
- ・取付座面・ネジ部の形状
- ・車両幅
- ・車の用途
- ・予算
ただし、輸入車の場合は、ホイールナットにせずボルトでホイールを固定する車種が多く見られます。ボルトの選び方がわからない場合は、輸入車のタイヤ交換実績の豊富な専門店に相談をご検討ください。