タイヤ交換
更新日:2024.07.09 / 掲載日:2024.04.12
タイヤ交換のサインを判断する方法5選。タイヤの寿命を延ばすコツは?
タイヤは消耗品であり、定期的な交換が必要です。劣化したタイヤを使用し続けると、燃費が悪くなる、スリップやバースト(破裂)の危険が増すなど、多くのデメリットにつながります。
この記事では、タイヤを交換する時の参考になる4つのサインを解説します。
1.摩耗具合で判断〜スリップサインに要注意〜
タイヤの摩耗具合は、交換を判断する重要な要素です。一般的に、新品タイヤの溝の深さは8mmあるとされています(スタッドレスタイヤの場合は10mm)。この溝がどのくらい浅くなったかで、タイヤの交換の必要性を判断します。
(1)タイヤ溝ゲージなどで溝の深さをチェック
タイヤ溝の深さを測る場合は、「タイヤ溝ゲージ」という専用の道具を使用します。ゲージをタイヤに垂直に押し当てて、ゲージの先端がタイヤの溝の底に当たるまで押し込むことで、溝の深さを計測できます。
また、硬貨などを使用して簡易的に溝の深さを測ることもできます。1円玉硬貨は直径がちょうど20mmのため、溝に1円玉を押し当てて、どのくらい1円玉が隠れるかで判断可能です。仮に1円玉が1/4程度隠れたのなら、溝の深さは5mmあると計算できます。
(2)スリップサインが見えたら即交換
スリップサインとは、タイヤの摩耗具合を示す重要な指標です。タイヤの溝の底部にある、三角形状に盛り上がっているサインのことをスリップサインと呼びます。スリップサインは、タイヤの溝が1.6mmまで減ったときに現れます。
1.6mmという目安は、「道路運送車両の保安基準」第9条1項に基づいて定められている数字です(参照:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第89条(走行装置)|国土交通省)。この数字を下回ると、車は安全な運行ができなくなることを意味しています。実際に、1.6mm未満のタイヤを使用している車は、車検に通りません。その状態で道路を運行していると、整備不良と判断されて道路交通法違反となります。
スリップサインが見えた車は、路面の水分を排出できずに制御できなくなるハイドロプレーニング現象が起こりやすくなるなど、危険も増してしまいます。このサインが見えたら、すぐにタイヤを交換しましょう。
(3)安全運転上の基準は「1.6~4mm」をベースに
タイヤの残り溝が4mm未満になると、タイヤのグリップ性能が落ちたりハイドロプレーニング現象のリスクが高まったりするとされています。そのため、タイヤ交換はタイヤの残り溝が「1.6~4mm」の間に行うと考えておきましょう。
(4)スタッドレスタイヤの判断基準
スタッドレスタイヤは、新品時から50%の摩耗が見られた場合、つまり残り溝が5mm未満になった状態が交換のタイミングとされています。スタッドレスタイヤには、溝の中に「プラットフォーム」という突起部分があります。これは残り溝が50%に達すると露出して、スリップサインと同様にタイヤ交換を促すサインとなります。
2.使用期間で判断〜5年使用したら交換〜
タイヤの寿命は単に走行距離だけではなく、使用期間にも大きく影響されます。一般的には、タイヤは製造から5〜10年が寿命とされています。
10年経過したタイヤでも、溝がしっかり残っていたり劣化による亀裂がなかったりすれば、使用しても運転に支障をきたさないでしょう。しかし、ゴムでできているタイヤは徐々に経年劣化していくため、同じタイヤを10年使用できるケースはまれです。
走行による摩耗や放置による劣化などにより、3〜5年でタイヤ交換をするのが一般的です。タイヤのサイドウォール(側面)には、製造年が刻印されています。4桁の数字のうち、下2桁の数字が西暦を意味します。「21」と刻印されていた場合、そのタイヤは2021年に製造されたことを意味するわけです。
刻印を確認して、5年以上使用しているタイヤは交換を検討しましょう。
3.走行距離で判断〜5,000kmで1mm減る〜
一般的なタイヤのゴムは、走行距離約5,000kmにつき1mm摩耗するとされています。新品タイヤの溝が8mmだと仮定すると、以下の表のようにタイヤは摩耗していきます。
走行距離 | 残りの溝 |
---|---|
0km | 8mm |
5,000km | 7mm |
10,000km | 6mm |
20,000km | 4mm |
30,000km | 2mm |
35,000km | 1.6mm |
32,000km走行すると、保安基準で定められた1.6mmまで残り溝が減ることになるため、早めのタイヤ交換が必要です。
とはいえ、車の使用状況や路面状況によってタイヤの摩耗具合は変化します。走行距離だけで判断するのではなく、目視でのチェックも行うようにしましょう。
4.目視で判断〜亀裂や傷をチェック〜
日常的に行う点検の中で、タイヤの見た目のチェックはとても重要です。車を走らせる前後に、タイヤの状態を確認しましょう。見た目のチェックでは、次の4つのポイントを特に意識してください。
・タイヤのトレッド面(地面と接する部分)の溝だけが摩耗していてツルツルになっていないか
・トレッド面やサイドウォールに切り傷がないか
・サイドウォールに擦り傷や亀裂が入っていないか
・タイヤに釘やガラスなど、鋭い金属片が刺さっていないか
これらのポイントのうち、1つでも該当するものが見られたら、なるべく早めにタイヤ交換をしましょう。
特に金属片が刺さっている場合、そのまま走行するのは危険です。すぐにスペアタイヤに交換するか、パンク修理キットなどで応急処置を施して早めにパンクしたタイヤを交換してください。どちらも難しいと判断した場合は、ロードサービスなどに連絡して対処してもらいましょう。
5.強度で判断〜タイヤ硬度計で確かめる〜
タイヤは経年劣化すると、ゴムの弾力がなくなり硬くなっていきます。仮に溝が深くても、タイヤが硬いとスリップのリスクが高くなるため、交換が必要です。タイヤの実際の強度を確認する場合は、「タイヤ硬度計」を使用します。タイヤ硬度計は、ゴムの硬さを数値で示す道具です。
タイヤ硬度計の使い方は簡単で、測量部分をタイヤに押し当てるだけです。正確な数値を知りたい場合は、タイヤに何度か硬度計を押し当てて、平均値を割り出すようにしましょう。
タイヤ硬度計は1〜100の数字が割り振られており、一般的に硬度が56以上の場合、タイヤの交換が必要だとされています。
なお、製品によっては、それぞれの数値に「緑」「黄色」「赤」のゾーンが割り振られています。製品によって数値ごとの色の区別は異なりますが、どの製品でもタイヤの硬度が赤のゾーンを示した場合は、タイヤの交換をしましょう。
6.タイヤの寿命を延ばすための方法
少しでも長くタイヤの寿命を延ばすためには、以下の方法が有効です。
・タイヤを適切に保管する
・タイヤにダメージを与えない運転を心がける
・タイヤのローテーション(位置交換)を行う
・タイヤの空気圧を定期的にチェックする
・タイヤの日常的なチェックを行う
・ホイールのアライメント調整を行う
(1)タイヤにダメージを与えない運転を心掛ける
急なハンドル操作、急なブレーキや急加速はタイヤに大きな負荷をかけるため、緊急事態を除きこれらの運転は避けましょう。また、タイヤがガレキなどの固い物体に当たると破損する可能性がありますので、運転中は路面状況を常にチェックすることが必要です。
(2)タイヤのローテーション(位置交換)を行う
タイヤのローテーションとは、定期的にタイヤの位置を交換することです。フロントタイヤとリアタイヤは、それぞれ走行中にかかる負荷が異なります。タイヤのローテーションを行うことで、一部のタイヤが偏って摩耗するのを防ぎ、タイヤ全体の摩耗度を均一化できるのです。
ローテーションの周期は、一般的に5000km〜10,000kmごととされていますが、車種や使用状況により調整しましょう。
(3)タイヤの空気圧を定期的にチェックする
適切なタイヤの空気圧は、制動性能や燃費効率に影響を与えます。また、適切な空気圧を保つことで、タイヤの偏摩耗を防ぎ寿命を延ばすことができます。空気圧は車種により適正値が異なり、運転席ドアの開口部に貼られているシールや取扱説明書で確認可能です。
タイヤの空気圧は、1カ月に1度を目安に空気圧を点検しましょう。バルブキャップを開けて、バルブに空気圧計を押し当てることで計測できますが、ガソリンスタンドやカーディーラー、カー用品店、自動車整備工場などに依頼することも可能です。点検だけであれば、無料〜数百円で依頼できるケースがほとんどです。
店舗での点検依頼には、空気圧が少なければそのまま充填もしてもらえるメリットもあります。
(4)タイヤの日常的なチェックを行う
タイヤの日常的なチェックは、交換のタイミングを見落とすリスクを軽減します。先ほど紹介したタイヤの見た目のチェックを、運転の前後で行うようにしましょう。
(5)ホイールのアライメント調整を行う
ホイールのアライメント調整とは、ホイールが正しい角度で道路に接するように調整することを指します。車の走行によって、ホイールの角度は微妙にずれていきます。その結果、タイヤの片側だけが地面に接するようになり、偏った摩耗を引き起こしてしまうのです。
ホイールにアライメント不良が起きると、ハンドル操作と車の挙動が異なる、左右でハンドルの切れる角度が違うなど、さまざまな不具合が生じます。こうした症状やタイヤのおかしな摩耗を確認した場合は、お近くの整備工場などに相談してみましょう。
(6)タイヤを適切に保管する
タイヤは紫外線や湿度、温度変化などに弱いため、これらの影響を最小限に抑える保管環境を整えましょう。保管場所は直射日光が当たらない、風通しが良く湿度の低い場所が理想的です。夏場の高温や冬場の低温もタイヤにとっては好ましくないため、室内など温度変化が少ない場所を選びましょう。
タイヤを保管するときは、指定空気圧の半分まで空気を抜きます。空気圧を抜くことで、タイヤの負荷を軽減できます。空気を抜きすぎるとタイヤの変形や性能低下を招くため、注意してください。
また、ホイール付きのタイヤとホイールなしのタイヤでは、保管方法が異なります。
ホイールの有無 | 保管方法 | 理由 |
---|---|---|
ホイール付き | 平積みで保管 | タイヤを立てて保管すると、ホイールの重さで変形を起こしやすくなるため |
ホイールなし | 縦置きで保管 | 平積みにすると、下のタイヤが重みによって変形してしまうため ※タイヤラックがあると便利 |
タイヤを適切に保管をすることが難しい場合、タイヤ保管サービスを利用するのもひとつです。詳しくは下記記事をご覧ください。
7.タイヤの点検・交換はグーネットピットへご相談ください
タイヤの交換サインは、摩耗度合いや走行距離、見た目などさまざまな要素からチェックできます。今回紹介したポイントを参考に、タイヤの適切な交換時期を確認してみてください。
タイヤの点検・交換をしたいという場合は、ぜひグーネットピットへご相談ください。プロのスタッフが、お使いのタイヤを適切に点検・交換いたします。