車のエンタメ
更新日:2020.11.11 / 掲載日:2020.11.11
「はたらくくるま」図鑑 空港編 トーイング・トラクター(手荷物コンテナ運搬)

軽自動車より小さくても重さは4トン弱!?
TOYOTA L&F 2TD-25
国内線用のコンテナは1つで1トンほどの重量にもなる。そんなコンテナを6個も軽々と牽引する能力があるのだ。
操作系は非常にシンプル。ハンドルと2ペダル、ウインカーといったもの。窓がないのでワイパー操作のレバーさえない。
トランスミッションは3速AT。基本的に空港内は、最高速度30km/h以下、牽引中は15km/hで運用されている。
2.5リッターのディーゼル・エンジンを搭載。フェンダーやボンネットなどの鉄板は、すべて1cm近い分厚いものとなっている。
小さくても超ヘビー級! 重い理由はボディ鉄板にあり
旅客機に積み込まれる手荷物の入ったコンテナを運ぶ。これも空港での重要な仕事のひとつ。それを担うのが2人乗りの小さなトーイング・トラクターだ。
JGSの羽田空港で運用されている車両はトヨタL&F(旧・豊田自動織機)製だ。旧・豊田自動織機は、豊田佐吉発明の「自動織機」を製造・販売するため大正時代に生まれた会社で、現在のトヨタ自動車の母体といえる存在。しかし、現在の主力商品はフォークリフトなどの産業車両で、そのひとつが、このトーイング・トラクターとなる。
操作はハンドルと2ペダル、3速ATのシフトで、普通のクルマと大差ない。移動だけなら難しくはないのだ。しかし、牽引するとなると別。ブレーキング時にはコンテナに後ろから押されることもあり、また、曲がる時は後ろのコンテナの動きに注意し、内輪差外輪差を考慮する必要がある。実は運転が難しい。
車両的な特徴は重いこと。軽自動車よりも短い、全長3mほどの車体でありながらも、車両重量が3900kgもある。2人乗員であれば、総重量は4トンを超える。
なぜ、これほど重いのかといえば、それは牽引能力を高めるため。車両重量が重くなるほどタイヤにかかる荷重は大きくなる。それが強烈なトラクションとなって、牽引力を生み出すのだ。
ちなみに重さの秘密はボディ鉄板にある。普通の乗用車が1mm以下の鉄板を使っているのに対して、こちらは厚みが1cm近くもある。規格外なまでに重いのも道理というわけだ。
TOYOTA L&F 2TD-25 SPEC
寸法:全長3020×全幅1445×全高1390mm、ホイールベース:1600mm、車両重量:3900kg、エンジン:水冷直列4気筒ディーゼル(トヨタ1DZ-2)、総排気量:2486cc、定格出力:40.5kW(55PS)/2400rpm、最大トルク:167Nm/1600rpm、トランスミッション:3速AT、牽引重量:コンクリート舗装路(平坦路)・単体牽引33000kg/列車牽引49000kg
※諸元値はTOYOTA L&F社の現在の標準モデルのもの