車のエンタメ
更新日:2022.04.01 / 掲載日:2021.12.09
2021-2022年の自動車業界 最新トレンドを知る

これから始まる自動これから始まる自動車業界の変革 クルマはいつ買うべきか!?
激動の2021年も終わり、自動車業界も新たな年を迎えようとしている。そこで今回は、この1年で話題になったクルマや自動車業界のトレンドなどをピックアップしつつ、2022年の新たなトレンドを探っていく。さらに、直近の中古車市場を展望しながら、自動運転やEVといった近未来のカーライフの現状についてレポートしていこうではないか。
コロナ禍でカーライフが激変した1年──
クルマの利便性が見直され改めてその楽しさを実感
2021年は年明けから新型コロナウイルスが猛威をふるい、我々の生活も多大なる影響を受けてきた。当然、カーライフに関しても同じことがいえて、多くの人々の生活が、新型コロナ前と後とでさまざまな部分に変化があったのではないだろうか。
まずなにより、コロナ禍で「他人との距離をおいたまま移動できる」というクルマの利便性が見直されたこと。一度は愛車を手放してしまった人や、ペーパードライバーだった人も、改めてクルマに乗ってみて、その便利さや楽しさを実感しているようだ。
さらにその結果、クルマがよく売れるようになったことはコロナ禍によるいい影響である。特に新車のように納車を待つことなく、すぐに手に入るという部分から中古車が売れに売れていて、全体的な相場は値上がり傾向にある。新車に関しては、新型コロナが半導体不足に影響し、むしろ納車が遅れているというのが現状で、販売したくても物がないという状況になっている。
一方で、飲食や小物などのリモート買いが一気に増えたように、クルマ業界にもリモート買いの波が押し寄せてきている。たとえばホンダが10月に国内メーカー初となる新車のオンラインストアをオープン。中古車業界においても同様で、グーネットでは2020年から専用アプリ不要でオンライン商談ができるグーネットLiveサービスを実現している。
<きっかけはコロナ>ここが変わったカーライフスタイル
1.乗っていなかった人がクルマに乗るように
2.中古車は販売好調新車は納車が長期化
3.リモートでの購入が本格的に導入される
自動運転レベル3を実現!![ホンダ] レジェンド(現行型)

中古車中心価格帯 210万〜320万円(現行型全体)
新車価格 1100万円(Hybrid EX・Honda SENSING Eliteの価格。すでに販売終了)
2021年の注目モデル&人気モデル
2021年の新車販売ランキングを見ると、やはりトヨタ車の躍進が目立つ結果となった。ヤリスは2020年のモデルチェンジ時から爆発的な人気で、ルーミーは兄弟車のタンクが販売終了となったことが後押ししている。ハリアーも2020年に現行型になって以降、堅調な売れ行きだ。
逆にトヨタで心配なのは、新型アクアのこの順位。ただ同車は10月単月では2位に浮上していることもあり、2021年7月にモデルチェンジしたばかりなので、1年通して経過を見ないとわからない部分でもある。
販売台数抜きで話題をさらったモデルといえば、上記レジェンドのほか、販売終了のアナウンスがされたNSX、モデルチェンジしたGR86/BRZなどが挙げられるだろう。

2021年ニュース深掘りTOPICS
2021年も自動車業界ではさまざまな出来事があったが、ここでは近い将来に影響を与えそうなニュースをクローズアップしてみた。新車や中古車の購入を検討しているなら、市場の状況を把握するためにも、業界のトレンドや自動車業界が目指す未来について知っておいて損はないだろう。
2021年1月
ホンダとGMが自動運転の分野で提携
ホンダは、GMとの戦略的アライアンスに基づき、日本における自動運転モビリティサービス事業に向けた協業を行うことに合意したと発表した。すでに9月から栃木県宇都宮市・芳賀町で、自動運転技術に関する技術実証が開始され、自動運転車両「クルーズAV」による公道走行を通じて、日本の交通環境や関連法令などに合わせた技術開発、検証を進めていく。将来は共同開発している専用車両「クルーズ・オリジン」を活用した自動運転モビリティサービス事業を日本国内で展開し、「移動」と「暮らし」に新たな価値の提供を目指している。

2021年3月
スバルが中古車サブスクサービスをスタート
「SUBARU サブスクプラン」は、中古車による月額定額制のサブスクリプションサービスとして注目を集めた。対象となるのは現行型インプレッサスポーツとXV、先代型レヴォーグの3車種。いずれもアイサイト搭載車となっており、運転に不安を持つ人や運転支援システムの必要性を感じている人に、安全かつ安心なクルマをお得に提供する。税金やメンテナンス費、自動車保険料を含めた月額利用料金は、3万9820円からとなる。契約期間がフレキシブルなうえに期間の延長が可能など、ユーザーの用途や生活の変化に対応できるのも特徴だ。

2021年5月
ホンダが新車でもサブスクサービスを開始
中古車限定のサブスクリプションサービスであった「Honda マンスリーオーナー」に続き、今度は好きな新車に乗れる「楽らくまるごとプラン(略称:楽まる)」の取り扱いを始めた。楽まるは、残価設定型クレジットのメリットを生かしながら、車両代に加え契約期間中のメンテナンス、延長保証、税金、自動車保険(任意加入)を月額料金に含んだオールインワン商品としている。契約期間は車検期間と同じ3年、5年、7年から選択できる。また、期間中の中途解約による乗り換えや買取が可能なのが、ホンダが提供する楽まるならではのポイントだ。

2021年6月
スズキ会長引退の影響は?
カリスマ経営者として名を馳せた、スズキの鈴木修氏が、6月に行われた定時株主総会で会長の退任を表明し、経営の一線から退いた。43年にわたって経営トップを務め、スズキを世界的な自動車メーカーに育て上げたことは周知の事実で、独創的な経営戦略や哲学は「オサムイズム」と称されている。退任にあたって鈴木修氏は、軽自動車が今後の日本の自動車市場で存在感を示し存続できるようEV開発に注力するよう、経営陣に託したというが、この難しい局面を乗り切れるか否か。そこに修氏の引き際の影響やスズキの将来が見えてくるだろう。

新車のバックカメラ装着義務化が決定
国土交通省は、2022年5月以降に登場する新型車にバックカメラなどの後退時車両直後確認装置の装着を義務化するために、道路運送車両の保安基準等及び保安基準の細目を定める告示等を一部改正することを明らかにした。ちなみに継続生産車は2024年5月に適用となる。近年は、後退時に障害物や車両との衝突回避をアシストする機能を備えるクルマが増えたが、バックカメラの装着が義務化されることでさらなる安全性の強化につながる。またこの義務化を機に、中古車やアフターパーツ市場でもバックモニターの需要が高まることが予想される。

2021年7月
日産がdocomoと自動運転の分野で提携
日産とドコモが自動運転サービスの実証実験を共同で実施。この実証実験は、自動運転車両を用いた交通サービス「Easy Ride(イージーライド)」と「AI運行バス」を組み合わせたもので、完全自動運転による交通サービスをイメージさせる技術やサービスをユーザーに体験してもらい、実用性を検証することを目的としていた。これにより、自動運転車両を用いたオンデマンド配車サービスの実現と、地域社会が抱える交通サービスの課題解決に向けて大きく前進。誰もがどこからでも好きな場所へ自由に移動できる未来がより現実味を帯びてきた。

2021年9月
トヨタが電池を自社開発することを発表
欧州では2035年にエンジン搭載車の新車販売を禁止する規制案が発表され、アメリカでも2030年に新車販売の半分を電動車にする目標が掲げられた。カーボンニュートラルの実現には、電動車はもとより搭載する電池の性能や生産性を高めることが重要だ。その点においてトヨタは、初代プリウスの開発から地道に蓄積してきた電池開発の知見がある。それを活かしながら、必要な量を安定的に供給できるフレキシブルな体制を構築し、車両と電池の一体開発を推し進めることを明言し、電動車と電池のフルラインアップを目論んでいる。

ホンダがグーグルとコネクテッド分野で提携
4輪開発技術と革新的なIT技術という、ホンダとグーグルの強みを融合させることで、クルマを取り巻くユーザー体験はさらなる進化を遂げることになる。2022年後半に北米で発売するホンダの新型車に搭載される予定のグーグルの車載向けコネクテッドサービスでは、音声アシスタント、ナビゲーション、車載用アプリケーションが付加される。これらドライバー向けに最適化されたスマートフォン機能を駆使することで、ドライブがもっと安全かつ快適、便利になる。移動と暮らしに新たな価値を提供し、クルマと過ごす日常がもっと楽しくなるはずだ。

そして……世界的な半導体不足が販売に影響を与える!
コロナ禍のもとで生じた半導体不足で、最も深刻な影響を受けているのが自動車業界だ。クルマにとって必要不可欠な部品の供給が滞れば、自ずと生産が遅れ、それは新車の納期に直結し、新車販売が低迷する。そうなると売るほうも買うほうも納期が長引く新車を避け、中古車市場に注目するのは自明だ。中古車の価格は需給バランスで変動するので、需要が高まることによって相場が上昇する可能性は高くなる。半導体不足による新車の減産が長期化すれば、中古車市場に流通するクルマが減り、中古車はさらに品薄となることが予想される。人気車ならばより顕著となるだろう。
自動車メーカーが一丸となって時代の大きな変革に挑んでいる
21年を振り返ってみると、100年に一度の大変革期に突入した自動車業界に関するニュースのほとんどが「CASE」と結びついたものになっているのが興味深い。
特に昨今はクルマが所有からシェアする時代へと変わりつつあり、自動車メーカーは自社の製品を使ってもらうために、独自の価値や魅力を持ったクルマを製造、販売するだけでなく、さまざまな領域でユーザーの期待に応える策を講じている。
さらに、普及が拡大しているEVや自動運転の技術開発と並行して、安全かつ利便性の高い次世代モビリティサービスの構築を他社と共同で進めるなど、もはや独立独歩では生き残れない状況になっていることがニュースから見て取れる。
※CASE(ケース)=Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス)、Electric(電気自動車)の頭文字をとった造語
2022年に買うならコレ! おすすめ購入モデルを考える
22年も多くの新型車のデビューが予想されている。では、新型車の登場やフルモデルチェンジなどの影響で、中古車市場ではどのようなモデルがねらい目となるのか。登場が予想されるモデルとともに、ねらい目となる中古車について徹底解説する。

カーライフ・ジャーナリスト
渡辺陽一郎さん
1961年生まれ。自動車購入ガイド誌の編集長を務めた後、フリーのジャーナリストに。執筆のモットーは「読者の皆さまに損をさせないこと」。
2022年にデビューが予想される10モデル
市場のメカニズムを考えてジャンルやライバルを模索
中古車の流通台数や相場には、新型車の登場も影響を与える。既存の車種がフルモデルチェンジを行うと、従来型が下取りに出され、中古車の流通台数も増えて価格が下がるという市場のメカニズムがあるからだ。
さらに、フルモデルチェンジから約半年を経過すると、先代型となった中古車を筆頭に価格が下がり始める。たとえばカローラクロスのような新規投入車は中古車価格に影響を与えにくいが、フルモデルチェンジが行われる場合は、そのスケジュールを参考にしたい。
トヨタではノア&ヴォクシーが22年1月13日にフルモデルチェンジされ、姉妹車のエスクァイアは廃止されるという。人気車だから従来型からの乗り換えも活発に進み、ノア/ヴォクシー/エスクァイアらの中古車は全般的に買い得になると予想される。
またライバル車のステップワゴンも、22年4〜6月頃にはフルモデルチェンジされ、中古車価格が下がる。そうなると同カテゴリーのセレナも影響を受けるだろう。つまり22年以降は、ノア&ヴォクシーとステップワゴンのフルモデルチェンジにより、多くのミニバンの中古車がねらい目になるわけだ。
ミニバンと並んで人気の高いSUVでは、21年のアウトランダーに続いて、エクストレイルが22年にフルモデルチェンジを受ける。エクストレイルも流通台数が多いモデルで、新型が出ると、乗り換えによって先代型の中古車が多く流通するようになる。フォレスターなどのライバル車からエクストレイルに乗り換えるユーザーも生じるため、ミドルサイズSUVの中古車は全般的に求めやすくなる。
軽自動車では、アルトがすでに販売店からメーカーへの新規発注を終了しているため、フルモデルチェンジの時期が近づいてきたことがわかる。アルトは実用指向の強い軽自動車だから、フルモデルチェンジを受けて売れ行きが急増することはないだろうが、中古車の流通台数がにわかに増えて購入しやすくなる。また、現行ムーヴの登場もアルトと同じ14年だから、22年にフルモデルチェンジを実施する可能性が高い。同様に中古車の購入が有利になる。
セダン&ワゴンでは、次期型がすでに披露されているWRXに続い
て、マツダ6もフルモデルチェンジを受けるという。エンジンやプラットフォームを刷新して、駆動方式を従来の前輪駆動から後輪駆動へ切り替える。従来型のアテンザやマツダ6のユーザーにとって魅力的な新型車になるため、乗り換えも増えると予想。結果、従来型アテンザ&マツダ6の中古車が購入しやすくなる。
このほか20年から21年にかけては、ヤリス、アクア、ノート、フィット、ソリオといった具合に、コンパクトカーのフルモデルチェンジが続いた。これらの車種でも先代型の中古車流通台数が増えているから、好みの車両を豊富な在庫から選べて、価格も求めやすい。コンパクトカーは競争の激しいカテゴリーで、新車価格も機能の割に安いため、ますます買い得な中古車を手に入れられることだろう。

1月?[トヨタ] ノア
2ℓミニバンクラスの定番モデルとして人気を獲得してきたノア&ヴォクシーも、登場から8年目となるタイミングでモデルチェンジ。低燃費性能&安全性能を高めてミニバンナンバーワン奪還を目指す(写真は現行型)。

1月?[レクサス] LX
ここ10年で一気にSUVラインアップを充実させたレクサスが、ついにフラッグシップのLXをモデルチェンジ。21年10月にデザインも公開されており、フレームのない巨大なスピンドルグリルが異彩を放っている。

1月?[スズキ] アルト
この記事の執筆時点(21年11月)ではまだ発表されていないが、次期型の登場が12〜1月と予想されるのがアルト。同社を代表するモデルだけに、その性能は大幅に向上されているに違いない(写真は現行型)。

2月?[スバル] WRX
北米発売が2022年初頭とされている新型WRX。従来型同様、ハイパフォーマンスセダンとして登場するが、注目は樹脂製の大型フェンダーが装着されること。SUVらしさも備えた新型は、世界から注目を集める!

2月?[ダイハツ] ムーヴ
約7年ぶりとなるフルモデルチェンジを控える軽自動車界のスタンダード。ワゴンRとの熾烈な燃費&居住性対決はもとより、同社のタントとの棲み分けなどもあり、方向性含めて次期型に注目が集まる(写真は現行型)。

3月?[日産] エクストレイル
北米では「ローグ」としてすでに新型が発表・発売されているのがエクストレイル。日本のSUVブームの口火を切ったモデルでもあり、e-POWERが搭載されるかどうかを含め、次期型への期待が高まっている。

4月?[ホンダ] ステップワゴン
このクラスのミニバンの元祖ともいえる存在ながら、近年は販売が振るわなかった同車。次期型ではコンセプトは継続されるのか、そして「わくわくゲート」のようなユニークな新装備はあるのだろうか(写真は現行型)。

4月?[マツダ] 6
「アテンザ」から「マツダ6」へと車名変更したものの、すでに約10年もの間、販売されてきた現行モデル。マツダのフラッグシップサルーンということで、次期型も上質なデザインが期待される(写真は現行型)。

5月?[スバル] ソルテラ
2021年11月に発表されたスバルのピュアEVソルテラ。トヨタとの共同開発となる同車だが、bZ4Xにはないグリルのようなマーキングや、SUVの得意なスバルらしい力強いデザインが取り入れられている。

6月?[トヨタ] bZ4X
スバルのソルテラに先んじて海外で発表されたトヨタのbZ4Xだが、まだ日本では正式発表されていない(21年11月執筆時点)。価格はもちろん、GR86とBRZのような乗り味の違いなども見られるのか注目だ。
POINT①
フルモデルチェンジして先代型になるモデル
モデルチェンジのタイミングというのは新型へ乗り換える人が多い。すると、これまで販売されていたモデルは先代型となり、さらに中古車市場の流通台数が多くなるため、相場が下がることが多い。
POINT②
モデルチェンジした車種のライバル車になるモデル
あるモデルが一新されると、同じくらいのサイズ感や同程度の使い勝手だったライバル車のオーナーがそちらへ乗り換えることも考えられる。そうなるとやはり市場在庫が増え、相場が下がることになる。
POINT③
21年までに多くの車種がモデルチェンジしたコンパクトカー
右記のとおり名だたる車種がこの1〜2年くらいの間で一気にモデルチェンジしたため、現在、非常にねらい目になっているのがコンパクトカーだ。流通台数が多いと、装備や程度もある程度選べる。
[新春対談]ダブル清水がクルマ社会の近未来を読み解く!
完全自動運転が公道で見られるようになるのはいつ頃か。
そして欧州や北米で次世代の本命とされるEVは日本でも定着するのか。
ベテラン自動車評論家2名による対談で、2022年に限らず、
その先のクルマ社会の近未来について展望する!
「フェラーリの未来も安心ですね!」
「条件付きで自動運転は実現するよ」

自動車評論家 清水草一さん
1962年生まれ。編集者を経てフリーに。エコカーからフェラーリまで守備範囲は多岐にわたり、さまざまな媒体に多数の連載を持つ。道路交通ジャーナリストとしても活動中。
モータージャーナリスト 清水和夫さん
1954年生まれ。国内外のレースに参加しながら、長年、国際自動車ジャーナリストとして活躍。自動車メディアでの執筆活動に加え、コメンテーターとしてTVにも多数出演。
完全自動運転までにはいくつかの段階が必要
草一 和夫先生、単刀直入にうかがいます。完全自動運転は実現しますか?
和夫 自動車専用道路に限定すれば、早くて5年後には実現するだろう。まずは大型トラックからだ。決まったSAからSAまでとかね。
草一 でも、一般のドライバーは、「自動運転」と言ったら自宅の車庫から目的地まで、クルマが自動的に連れて行ってくれるイメージだと思うんですよ。それは技術的にものすごく難しいですよね?
和夫 ドア・ツー・ドアの完全自動運転なんて、50年後でも無理じゃないの。
草一 そうでしょうね。なにせ一般道では、いつ歩行者や自転車が飛び出してくるかわからない。そのリスクを考えたら、実現は不可能だとすら思います。それよりも我々が望んでいるのは、「ほぼぶつからないクルマ」じゃないでしょうか。
和夫 衝突被害軽減ブレーキ、いわゆる「自動ブレーキ」の装着が、21年11月以降に発売される国産新型車から義務化された。26年7月までには、すべての新車に設置が義務付けられる。
草一 あと5年ですね。つまり15年後くらいには、路上を走っているほとんどのクルマに、自動ブレーキが付いているでしょう。
和夫 ただ現状の自動ブレーキでは、池袋の暴走事故は防げないんだよ。ドライバーがアクセルとブレーキを踏み間違えてしまっても、前に障害物がないかぎり、その操作が優先されてしまうんだ。
草一 一番の問題はそこですね……。
和夫 だからトヨタは、7月に「踏み間違い加速抑制システムⅡ」を発売した。これまでの踏み間違い事例を解析して、クルマが「これは踏み間違いだ」と判断したら、前に障害物がなくても加速を抑制するシステムだ。まずはプリウスから設定が始まった。
草一 その手の装置も、そう遠くない将来、すべてのクルマに装着されるんでしょう。自動運転は実現しなくても、ぶつかるリスクを大幅に低減できれば、高齢ドライバーには朗報です! まぁその場合、新しいクルマに買い替えないといけないわけですけど。
和夫 我々もすでに高齢ドライバー一歩手前だから(笑)、乗るクルマを選ばないといけないってことだ。
草一 新しいクルマにさえ乗り換えれば、免許を返納する時期を遅らせられるんですから、我々には追い風が吹いてますね!(笑)


近い将来のクルマ社会を担う3つのユニット
草一 続いてはクルマの電動化についてです。いずれはすべてのクルマが電気自動車(EV)になるというのが世の流れになっていますが、それはズバリ、いつ頃だと思いますか?
和夫 そんな日は来ないよ。
草一 えっ、来ませんか!?
和夫 すべてEVにするなんて不可能だ。それに、そもそもバッテリーはCO2のカタマリだぜ。しかも重い。耐用年数も10年ちょっとで、内燃エンジンよりかなり短い。EVで地球温暖化が防げるわけがない。
草一 個人的には、和夫先生にそう言っていただけると、なんだかとってもうれしいです(笑)。
和夫 もちろんEVにも得意な分野がある。短距離の移動には適しているから、そこはEVにまかせればいい。
草一 では近い将来に限定するといかがでしょうか?
和夫 俺は、近い将来の主役はプラグインハイブリッドだと思ってるよ。プラグインハイブリッドはモーターとハイブリッドシステムを両方積んでいるから、短距離から長距離まで、あらゆる用途に向いているじゃないか。
草一 たしかに。
和夫 さらにその先の時代は、EVとプラグインハイブリッド、それと燃料電池の3つが、ゴールデントライアングルになるだろう。
草一 燃料電池は主にトラックやバスですね。
和夫 その3つでそれぞれの得意分野に合わせて分業する。さらに加えるなら、CO2フリーに製造した水素ガソリン、つまりeフューエルで走る内燃エンジンも必ず残るよ。
草一 ホントですか!
和夫 すでにポルシェは南米パタゴニアで、風力発電の電力を使ってeフューエルを製造し、911などの顧客に提供すると発表している。
草一 あのニュースには勇気づけられました。ってことは、フェラーリの未来も大丈夫そうですね(笑)。
和夫 eフューエルはまだリッター1000円以上するけれど、コストダウンが実現すれば、内燃エンジンはきっと生き残れると思う。だってガソリンや軽油のエネルギー密度の高さを考えてごらんよ。
草一 バッテリーなんて相手にしませんよね。
和夫 内燃エンジンには、まだ技術革命を起こす余地も残ってる。消えることはないさ。

「内燃エンジンが消えることはないさ」
EV、PHEV、燃料電池の3つがゴールデントライアングルになるという和夫氏。氏の「内燃エンジンには技術革命を起こす余地が残っている」という言葉は、カーマニアにとって心強い。

「ぶつかるリスクを減らすのが重要でしょう」
リスクを考えると現在の道路環境のままで完全自動運転は無理。それより「ほぼぶつからないクルマ」を実現すべきと力説する草一氏。自身もACC装備の愛車を買って以来、手放せないという。
Now and Next Generation Cars

[三菱]アウトランダーPHEV(先代型)
同社自慢のSUV&4WD技術に、i-MiEVで磨いたEV技術を組み合わせたプラグインハイブリッドカー。新型の発売で今後、相場はこなれてくると予想される。
中古車中心相場 150万〜320万円

[トヨタ]プリウス(現行型)
ハイブリッドカーの代名詞的存在。2015年に登場した現行型は、アクアなど小型モデルにシェアを奪われたものの、低燃費性能は相変わらず世界トップレベルだ。
中古車中心相場 110万〜260万円

[トヨタ]MIRAI(現行型)
水素を燃料にしてモーターで走行する燃料電池車。現行型は2020年に発売されたばかりで、まだ相場は高め。次の燃料電池車が登場するまで大きな動きはなさそう。
中古車中心相場 590万〜660万円

[日産]リーフ(現行型)
2010年に誕生した5ドアハッチバックのピュアEV。現行型は2代目で、2017年にモデルチェンジ。登場から4年が経過し、200万円を切る物件も市場に出てきた。
中古車中心相場 180万〜340万円
まとめ
未来に思いを馳せながら日々のカーライフを楽しもう
8ページで振り返るには足りないくらいの2021年、そしてまとめきれないほどたくさんのことが予想される2022年の自動車業界。昨今のトレンドを探りながら、現在の愛車でのカーライフを楽しみ、未来のカーライフに思いを馳せながら、次に買うクルマのことを考える生活はきっと楽しい。クルマの技術は日進月歩。今よりさらに機能性が高まれば、我々のQOCL(クオリティ・オブ・カー・ライフ)も高まるというものである。コロナ禍に負けず、2022年も愛車との日々を楽しんでいこうではないか。
※中古車価格はグーネット 2021年11月調べ。記事中の価格は参考であり、中古車価格を保証するものではありません。