インタビュー
更新日:2020.06.23 / 掲載日:2018.05.02
レジェンド山本昌さんの女房役、ランボルギーニ ミウラ
プロ野球最年長登板、最年長勝利記録を持つレジェンド、元中日ドラゴンズ投手の山本昌さん。ラジコンやクワガタ飼育など多趣味な昌さんは、フェラーリをはじめとした数多くの愛車遍歴でも知られています。スーパーカー世代垂涎の愛車に、取材陣からも感嘆の声が止まりませんでした。
思わず膝が震えた衝撃の出会い
小学校5年生ぐらいだったかな、スーパーカーブームが直撃したのは。授業中にせっせと好きなクルマの絵を描いていたことを覚えています。
ドラゴンズに入団してしばらくした頃、F1ブームがあってそれにもハマりました。テレビ中継でサーキットを走るフェラーリの格好良さに見とれていたら、市場にテスタロッサが出回るようになったので、「いつか1億円プレーヤーになったら買おう」と決めたんです。S13シルビア、BMW735iなどを乗り継ぎ、晴れて1億円プレーヤーになった27歳のときにテスタロッサを購入しました。これが僕にとっての最初のスーパーカーです。
ミウラとの出会いは偶然でした。2003年、当時乗っていたフェラーリF40から288GTOに乗り換えようと、頭金を持って店に行ったらこのクルマがあって。思い返せば小学生の頃に絵を描いていたのもミウラばかり。それが目の前にあり、思わず膝が震えたのを覚えています(笑)。店員から見学希望者がいると聞き、「僕が買います!」と即決しました。
期待に応えてくれるキャッチーのような存在
買ってすぐの頃はキャブ調整が難しく、バックファイヤーを飛ばすなど苦戦していましたが、旧車に精通するメカニックと出会ってからはコンディション良好。オイルやタイヤ交換ぐらいで、故障らしい故障はありません。岐阜県のせせらぎ街道を抜けて高山市へ向かうコースが好きで、往復約400kmのルートをミウラに乗って何十回と走りました。このクルマの曲線が好きでね。左斜め前にしゃがんだときに見えてくるラインや、グンと下がったリアとか。ドライブに出掛けたときは、クルマから降りて愛車の写真を撮ることもありますよ。
今はセキュリティのかかった場所に預けていますが、やっぱり何度見ても格好いい。野球でいえば、女房役。期待に応えてくれるキャッチャーのような存在かもしれません。こいつとは長い付き合いになりそうですね。
球場から家に帰るまでの間、一人になることができるクルマは、勝ったときに喜びをかみしめたり、負けたときに気持ちを切り替えたりできる大切な空間でした。もちろん、これからも良いクルマがあれば乗っていきたいと思っていますよ。次は速いクルマがいいかな。F355か430、ディーノとか。何だかんだ言ってクルマって、探しているときが一番楽しいんですよね(笑)。
[文●鬼頭英治(edimart) 写真●石橋 明(WORK)]
ランボルギーニ ミウラ P400SV
スペインの闘牛飼育家にちなんで命名されたミウラ。P400、P400Sを経て1971年に登場したP400SVは、世界で約150台生産され、1970年代に巻き起こったスーパーカーブームの火付け役にもなった。
野球評論家・解説者 山本 昌
1983年に中日ドラゴンズ入団。スクリューボールを武器に2006年には41歳1か月でノーヒットノーランを達成。14年に49歳で勝利投手になるなど、数々のプロ野球記録を残した。15年に史上初の50歳登板で32年の現役生活に幕を下ろした。現在は野球解説者として多方面で活躍中。