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更新日:2019.09.24 / 掲載日:2019.09.24
20世紀の常識vs21世紀の新常識01「直列6気筒エンジンvsV型6気筒エンジン」
縦置きでも横置きでも使える便利なV型6気筒
かつては上級車の証しの一つが直列 6気筒エンジンを搭載していることだった。直列6気筒には優れた特徴がある。点火間隔は120度。この間隔がピストンの上下によって引き起こされる1次振動と2次振動を見事に緩和する。直列6気筒を長く製造してきたBMWのエンジンは「絹のような6気筒」という形容が与えられるほど、滑らかなものなのだ。
BMWに限らず、国産車でも直列6気筒を搭載したクルマは多かった。代表的なものはトヨタ2000GT、そしてスカイラインGT、フェアレディZ。スポーツカーに限らず、クラウン、セドリック、マーク2などの中・上級車にも用いられた。
しかし直列6気筒にも欠点はあった。それは寸法と重量。長い全長は搭載できるクルマの寸法を制限し、重いエンジンは操縦性に影響を与えた。また長いということはクランクシャフトの剛性も求められ、剛性を上げるために重量増を招いた。また衝突安全という観点からも、長いエンジンは不利になっていた。
コンパクトで搭載性に優れ、直列6気筒に近いスムーズさを持つエンジンとしてV型6気筒が登場すると、直列6気筒は次第にその座を譲るようになっていった。
V型6気筒のもう一つの利点は後輪駆動から前輪駆動の時代に移行するにつれ、明確になっていく。中型の前輪駆動車や、前輪駆動をベースにした4輪駆動車にも積極的に用いられるようになったのだ。
シルキーなストレート6から軽量でコンパクトなV型6気筒へと移行
直列6気筒エンジン
シリンダーを6個直列に並べた直列6気筒のシリンダーブロック。点火間隔は120度で、各ピストンが振動を打ち消し合い、理想的なバランスを発揮する。しかし大きく、重い。
かつては直列6気筒エンジンを積むのが高性能車、上級車の証しだった。写真は名車の誉れ高い初代スカイラインGT-Rに搭載されたS20型DOHCエンジン。
V型6気筒エンジン
V型の各バンクに振り分けたV型6気筒エンジン。全長を短くでき、軽量化も可能で、縦置きにも横置きにも使える。高性能4WDのパワーユニットにも使われる。
V型6気筒エンジンのクランクシャフト。多くのV型6気筒は60度バンクを採用している。そのため向かい合うクランクピンは30度オフセットされている。
超高性能エンジンは V10という選択も
理想的な火炎の伝播を追求すると1気筒当たりのボアは限られたものとなる。排気量を上げようとすると、多気筒化以外の選択肢は絞られてしまう。そこで大排気量の高性能エンジンが選択するのが2000年から2005年にかけてF1でも使用されたV型10気筒。レクサスLFA、アウディR8などが採用している。