中古車購入ガイド
更新日:2021.10.21 / 掲載日:2021.09.08
メルセデス・ベンツ Sクラス(6代目/W222)の中古車選びで知っておきたい特徴とグレード

メルセデスのフラッグシップであるSクラスは、長い歴史を誇る由緒正しき高級セダン。初代は1972年に発表され、常に時代の先端を走ってきた。どの世代も堂々たるデザインが目を惹き、豪華な内装と最新の装備が盛り込まれている。今回は、2013年に発売された6代目(W222)の改良遍歴とグレード内容を見ていこう。
メルセデス・ベンツ Sクラス(6代目/W222)ってどんなクルマ?


2013年10月、Sクラスがフルモデルチェンジを受けて6代目(W222)となった。「最高の自動車」を目指して開発され、数多くの先進装備が盛り込まれている。その代表となるのが、「インテリジェントドライブ」と呼ばれる革新技術の数々。具体的には、路面の凹凸をカメラでスキャンし、サスペンションの減衰を調整する「マジックボディコントロール」、前方約50mまでの路面の3Dデータを立体的に捉え、さらに安全性を高めた「レーダーセーフティパッケージ」、夜間走行時の安全性を高める「ナイトビューアシストプラス」などが採用された。
快適装備に注目すると、助手席の後席に装備されるエグゼクティブシートが43.5度までリクライニング可能な「ショーファーパッケージ」、ホットストーン式マッサージ機能、空気清浄機能とパフュームアトマイザー機能を備えた「エアバランスパッケージ」など、こちらもニーズに合わせて多数設定されている。
デビュー当初のパワートレインは、新型3.5L V6を搭載した「S 400 ハイブリッド」、4.7L V8ツインターボを搭載した「S 550 ロング」、5.5L V8ツインターボを搭載した「S 63 AMG ロング」/「S 63 AMG 4MATIC ロング」を設定。後により高性能な6.0L V12ツインターボ搭載車、プラグインハイブリッド車、クリーンディーゼル搭載車を追加するなど、年を経るごとにバリエーションを拡大していった。
先代モデルと比較すると?
全長5250mm、全幅1900mm、全高1495mmのボディサイズ(発売時のS 550 ロング)は、全幅がややワイドになったほかは先代モデルとほぼ同じくらいのサイズ。W222は曲線を多用したデザインになり、重厚感のある佇まいとなった。パワートレインの構成も先代に近いが、W222ではプラグインハイブリッドが新たに設定されている。そのほか、ボディタイプにクーペとカブリオレも登場。以前はCLクラスという独立した名称だったが、この世代からSクラスクーペという名称になった。
改良遍歴は?
2013年11月、高性能モデル「S 65 AMG ロング」が登場した。630馬力を誇る6.0L V12ツインターボを搭載。2014年6月には、530馬力の6.0L V12ツインターボを搭載する「S 600 ロング」が追加されると同時に、「S 400 ハイブリッド」の左ハンドル車が選べるようになった。さらに同年10月にはクーペ、11月には「S 550 プラグインハイブリッド ロング」が登場。
2015年8月、クリーンディーゼルハイブリッドの「S 300 h」を追加。204馬力の2.2L 直4ディーゼルエンジンに27馬力のモーターを組み合わせ、JC08モード燃費は最大20.7km/Lを達成した。2016年6月にはカブリオレも設定されている。同年7月には「S 300 h」と「S 550 e ロング」に左ハンドルを追加。なお、「S 550 e」は「S 550 プラグインハイブリッド」が名称変更されたモデルである。
2017年8月、マイナーチェンジを受けた。エクステリアは、光ファイバーによる3本のラインが特徴的なヘッドライト、ツインルーバーを採用したフロントグリル、ワイドなエアインテークなど、よりダイナミックな佇まいとなった。リアコンビネーションランプには「クリスタルルック」と呼ばれるデザインを採用し、視認性の確保と眩惑の防止を実現。また、24時間緊急通報サービスなどが受けられる「Mercedes me Connect」が導入されたこともトピックである。パワートレインは、3.0L V6ツインターボの「S 400」、4.0L V8ツインターボの「S 560 ロング」/「S 560 4MATIC ロング」、6.0L V12ツインターボの「S 600 ロング」、高性能版の「メルセデスAMG S 63 ロング」/「メルセデスAMG S 63 4MATIC+ ロング」、「メルセデスAMG S 65 ロング」で構成された。
さらに2018年3月には、ISGと48V電気システムを採用した3.0L 直6エンジンの「S 450」、同年9月には3.0L 直6ディーゼルの「S 400 d」、12月にはPHEVの「S 560 e ロング」を追加するなど、バリエーションをさらに拡大した。
メルセデス・ベンツ Sクラス(6代目/W222)の主要グレード

グレード構成は、パワートレイン別に「S 400 ハイブリッド」、「S 550(S 560)」、「S 600」、「S 300 h」、「S 550 e(S 560 e)」、「S 450」、「S 400 d」で構成される(AMG系を除く)。ここではパワートレイン別のグレードを紹介したい。
前期型で設定された「S 400 ハイブリッド」系
デビュー当初のエントリーモデルが「S 400 ハイブリッド」系。レーダーセーフティパッケージをはじめとする先進安全装備、エアマティックサスペンション、ランフラットタイヤが標準装備される。標準タイプのほか、「エクスクルーシブ」も選択可能で、こちらには19インチアルミホイール、赤外線反射・ノイズ軽減ガラス、シートヒーターなどの快適装備が採用されている。
力強い走りのV8モデル「S 550 ロング」/「S 560 ロング」系
4.7L V8ツインターボを搭載した上級モデルが「S 550 ロング」。ロングホイールベース仕様のみとなり、後席スペースが拡大されている。内装はナッパレザーシート、本革巻きウッドステアリング、メモリー付きパワーシート、シートヒーター、シートベンチレーターなど、快適性を高める装備が充実。2017年のマイナーチェンジ以降、4.0L V8ツインターボ搭載の「S 560 ロング」に進化し、4WDも選べるようになった
極上の走行フィールを実現する「S 600 ロング」
6.0L V12ツインターボを搭載するモデルで、AMGを除けばSクラスの最上位に位置するモデル。ボディはロングホイールベース仕様となり、フルレザー内装、ナイトビューアシストプラス、リラクゼーション機能、フットレスト付きエグゼクティブリアシート、ヘッドアップディスプレイ、盗難防止警報システムなどが与えられる。
クリーンディーゼルハイブリッドの「S 300 h」系
2.2L 直4ディーゼルターボを搭載する「S 300 h」。標準ホイールベースとロングホイールベース仕様が設定され、前者はJC08モード燃費20.7km/Lという低燃費を実現。「エクスクルーシブ」では、AMGスタイリングパッケージが標準装備となるのも特徴だ。
プラグインハイブリッドの「S 550 e ロング」/「S 560 e ロング」
3.0L V6ターボを搭載したプラグインハイブリッド。当初は「S 550 e」だったが、後期型では「S 560 e」に名称が変更されている。装備内容はV8モデルに近く、ナッパレザーシート、本革巻きウッドステアリングなどが標準装備となる。
ISGと48V電源を備えたマイルドハイブリッドの「S 450」系
2018年3月に追加された3.0L 直6エンジンを搭載する「S 450」。標準モデルのほか、装備が充実した「エクスクルーシブ」、ロングホイールベース仕様など複数の仕様が用意されている。「エクスクルーシブ」は、19インチアルミホイールを装着。ロングホイールベース仕様は、ラグジュアリーヘッドレスト、本革巻きウッドステアリング、シートベンチレーターなどの快適装備が充実。
クリーンディーゼルの「S 400 d」系
2018年3月に追加された3.0L 直6ディーゼルターボの「S 400 d」系。駆動方式はFRと4WD、ボディタイプも標準とロングホイールベースから選べる。FRはJC08モード14.2km/Lという低燃費も注目のポイント。ロングホイールベース仕様には、ほかのグレードと同様リラクゼーション機能が盛り込まれる。
まとめ

6代目Sクラス(W222)は、豊富なパワートレインが用意されており、中古車選びの際に迷うことが多い。しかし、基本的な安全装備などはほぼ共通となり、その違いはロングホイールベースか否か、FRか4WDか、そしてパワートレインにある。グレードによって極端に中古車が少ない場合もあるので、購入前は入念な下調べが必要となりそうだ。