中古車購入ガイド
更新日:2022.03.22 / 掲載日:2021.10.02
【九島辰也がグーネットでクルマ探し】ポルシェ 911編【中古車】

グーネットマガジン編集部に寄せられたクルマ相談に、自動車ジャーナリストの九島辰也氏がズバリ回答。グーネットの豊富な物件情報から、九島的目線でチョイスされたリアルな中古車をおススメします。今回のテーマは、「ハリアーから乗り換えて満足できるSUV」。果たして、九島さんはどのようなモデル、グレード、物件をチョイスするのでしょうか。
文●九島辰也 写真●ポルシェ
すっかり秋らしくなって来ました。夜は虫の音が家の周りでします。東京にいても季節の移り目は感じられますね。
さて、今回の相談は「ポルシェ911を探しています。予算は700万円、タイプ997でおすすめの年式やグレード、押さえるべき装備を教えてください」です。得意分野ですね。911はいいクルマです。
私事で恐縮ですが、911はこれまで3タイプ乗って来ました。空冷最後の993、水冷初の996、そして今も愛車にしている997型です。993はタルガでした。天井一面のガラスが後にスライドする仕組みで、カブリオレとは異なるオープントップです。派手な演出なくオープンエアを楽しめのですからアンダーステイトメントな日本人にはぴったり。雨漏りが弱点でしたが、それ以外は問題ありませんでした。それと993はサイズがいいんですよね。存在感があるのに実寸は小さい。まさに理想のスポーツカーです。
後期モデルの高年式か前期モデルの上級グレードか

それはともかく、700万円の予算ですとおっしゃる通りタイプ997がターゲットになります。2005年から2011年までのモデルです。特徴は996に使われた通称“涙目”のヘッドライトが丸型に戻ったこと。今見るととてもオーセンティックなデザインをしています。サイズは全幅が1810mmとなり、993、996と比べると広くなります。カレラ4のような四駆はさらに40mmワイドに。ただ、それも今となってはコンパクト。扱いやすい寸法といえます。
モデルは前期と後期に分かれます。カレラを例にとってみると前期は3.6リッター水平対向6気筒エンジン(325ps)と5速ティプトロニックS、後期は直噴化された3.6リッター水平対向6気筒エンジン(345ps)と7速PDKという組み合わせになります。MTは別として、このトランスミッションの変更は大きい。変速速度のアップとダイレクトな変速フィールでよりスポーツカー感はさらに高まりました。
予算700万円と考えると、後期型をメインに探せます。低走行のカレラやカレラSあたりを多く見かけます。前期型であれば、カレラ4Sやタルガ、カブリオレといった特別感いっぱいなモデルまで広がるでしょう。走行距離が多いものの中にはターボも。ただ、距離はやはり気になります。走っている分それだけ購入後にパーツ交換を勧められますから。買ってからはブレーキパットの残量など細かく見ていかなければならないポイントはいくつかあります。車検は当然のこと12カ月点検でも見積書はドキドキします。
オプションはスポーツクロノパッケージが付いていたらラッキー。実際はそれほど使う機会はないと思いますが、ダッシュボード上のアナログメーターは見た目のかっこよさがあります。運転席に座ってもそう思いますし、助手席に乗せた友人に「これなに?」なんて質問されたら誇らしく思う事でしょう。じつにポルシェらしい装備です。
昔耳にした話では、サンルーフとリアワイパーが付いているとリセールが高いという事でした。ただ、機能的にはどちらもあまり使うシーンはないような気がします。自分の体験では実際にサンルーフを開けて走ることはほとんどありません。それより欲しいのは電動格納式ドアミラー。出先で機械式の駐車場に入れると、たいがい「ドアミラー畳んでください」と言われます。そのときクルマを降りてから左右のドアミラーを手で畳むのは面倒だし、スマートではありません。ポルシェってなんでもオプションなんだなぁと実感させられます。高級車でもあるんですから、電動格納式ドアミラーくらい標準装備にしてくれればよかったのに。
ボディカラーはあまり選択肢はなく、黒と白、それとシルバーばかり。それでも黒にも種類があるのでチェックは必要。バサルトブラックは個人的におすすめです。美しい! シートは基本黒ばかりですが、タンレザーもあります。白いボディにタンレザーのシートといったおしゃれな911ライフもいい感じです。


ということで、同じ997型でも色々な選択肢があります。前期のカブリオレもいいし、後期のバリモノのカレラもグッドです。いずれにしてもポイントは走行距離でしょうか。前述したように、911はランニングコストがかかります。大量のエンジンオイルやブレーキパット、タイヤもそうです。ただ、クルマとして頑丈にできているので、基本的にはそれほど心配はいらないかと。右側の窓が少し落ちて高速道路ではピューってなったりしますが、それも直せるのでご心配なく。ハッピー997ライフをお過ごしください。
執筆者プロフィール:九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。