中古車購入ガイド
更新日:2021.12.10 / 掲載日:2021.12.09
トヨタ 86(初代/ZN6)の中古車選びで知っておきたい特徴とグレード構成

コンパクトなボディのFRスポーツとして、2012年に登場したトヨタ86。「86」というネーミングは、80年代に登場したAE86型カローラレビン/スプリンタートレノに由来する。2012年当時、国産スポーツカーは数が少なく、トヨタにはスペシャルティクーペも含めた2ドア車が存在していなかった。そんな状況に一石を投じたトヨタ86は、コンパクトスポーツを切望するファンの歓迎を受けて大ヒット。街乗りからサーキットまで幅広いシーンで愛された。なお、2021年には2代目「GR86」が登場し、全面的にリニューアルされている。今回は2012年に登場した初代の改良遍歴とグレード別装備内容を紹介したい。
トヨタ 86(初代/ZN86)ってどんなクルマ?

2012年4月発売モデルのデータ(86 GTリミテッド)

新車時価格帯(2012年4月)
2012年4月、トヨタ86がデビュー。同社のエントリースポーツはMR-Sがあったが、2007年に生産が終了していた。そんな寂しい状況のなか登場した86は、小型スポーツカーとして不可欠な安価な価格、後輪駆動、マニュアルシフトを備え、さらに後席とトランクにスペアタイヤ4本を積んでサーキットに行ける実用的な設計なのが特徴である。ボディサイズは、全長4240mm、全幅1775mm、全高1300mmと、2代目MR2に比べてやや大きい。なお開発と生産はスバルが担当し、スバルブランドでは「BRZ」という名称で販売されている。
エンジンは、スバル製2.0L 水平対向4気筒「FA20」を搭載し、最高出力は200馬力、最大トルクは20.9kgmを発揮。トランスミッションは6速MTまたは6速ATを組み合わせる。インテリアは、小径ステアリングや3眼タイプのメーターなど、古典的スポーツのコックピットを再現。足まわりはフロントがマクファーソンストラット式、リアがダブルウィッシュボーン式を採用し、軽快なハンドリングを実現した。
改良遍歴は?
デビューから9年というモデルライフのあいだ、幾度も改良が加えられて進化してきた初代86。最初の改良は2014年4月で、ショックアブソーバーのフリクション特性などが見直され、乗り心地を向上。またシャークフィンタイプのルーフアンテナが標準装備となった。
2015年2月、電動パワーステアリングの特性を変更してボディ剛性を強化。また、センタークラスター、ドアグリップなどに高輝度シルバーメタリック塗装を施したほか、「GTリミテッド」にタンカラーミックスを採用して質感をアップ。さらに、8スピーカー、クルーズコントロールも標準装備された。
2016年7月、マイナーチェンジを受けて後期型となる。エクステリアは、フロントビューからリアビューまで空力性能の向上を目指したフェイスリフトを実施。「GTリミテッド」にはウイングタイプのリアスポイラーも標準装備された。パワートレインは、インテークマニホールドやエキゾーストマニホールドの改良により、低速域からのトルクを向上。また、リアピラーのスポット打点増し打ちによるボディ剛性の強化、サスペンションの改良により、ハンドリングも改善している。室内は、トヨタ最小径362mmの真円ステアリングを採用した。
2017年9月、ステアリングの支持剛性が強化され、サスペンションのチューニングが行われた。またサイドミラー、リアスポイラー、アルミホイールをブラックで統一し、ブレンボ社製ブレーキを標準装備した「GTリミテッド・ブラックパッケージ」も追加されている。
2017年11月、専用フルエアロ、レイズ社製鍛造アルミホイール、レカロ社製シート、SACHS社製アブソーバー、トルセンLSD、高性能ブレーキを搭載したチューンド仕様「GR」が登場。さらに翌年7月、ライトチューニングを施した「GRスポーツ」を追加するなど、バリエーションを拡大していった。
トヨタ 86(初代/ZN86)の主要グレード

グレードは、下から順に「G」、「GT」、「GTリミテッド」が基本のラインアップ。これらに加え、装備を簡素化したチューニングベース車両「RC」、走りの装備を充実させた「GRスポーツ」、「GR」が用意される。そのほか、各種特別仕様車がリリースされ、バリエーションは豊富。ここでは代表的なグレードの装備内容を見ていこう。
エントリーグレード「G」
エクステリアは、ハロゲンヘッドランプ、デュアルエキゾーストパイプ、16インチアルミホイールを標準装備。86エンブレムはブラックとなる。インテリアは、ウレタンシフト&パーキングブレーキレバー、ウレタンステアリング、樹脂ペダル、標準タイプのファブリックシートを装着。そのほか、UVカット機能付きウインドシールドグリーンガラス、防眩インナーミラー、電動格納式カラードドアミラーが採用されることも「RC」との大きな違い。なお、パワートレインは全車2.0L 水平対向4気筒を搭載し、グレードによる差はない。
量販グレード「GT」
LEDクリアランス付きディスチャージヘッドランプ、フロントフォグランプ、マフラーカッター、17インチアルミホイールを標準装備。86エンブレムはレッドとなる。インテリアは、本革巻きシフトレバー&パーキングブレーキレバー、本革巻きステアリング、スポーツアルミペダル、白文字盤タコメーター、スマートエントリー&スタートシステム、フルオートエアコンを採用し、快適性と高級感を高めている。シートは上級ファブリックとなり、レッドカラーも用意される。足まわりは、前後ベンチレーテッドディスクブレーキを採用(Gはリアがソリッドディスクブレーキ)。
上級グレード「GTリミテッド」
「GT」の装備に加え、リアスポイラー、リアフォグランプ、スポーツブレーキパッド、フロアアンダーカバーを標準装備する。シートは本革&アルカンターラ仕様。GR系を除けば、86の最上級モデルとなっている。
※上の記述は、2012年発売モデルについてまとめたもの。年式によって装備内容が異なる場合があります。
まとめ

どのグレードも搭載エンジンやパワートレインは同じだから、走りを純粋に楽しみたいならエントリーグレード「G」でも十分楽しめる。ただし、中古車市場では上級グレードが充実している傾向にあるようだ。なお2016年に登場した後期型は、6速MTと6速ATで最高出力/最大トルクが異なり、前者が207馬力/21.6kgm、後者が200馬力/20.9kgmとなることも知っておきたい。なお、走りのアイテムが盛り込まれたGR系は流通量が少なく、やや探しにくい状況となっている。いずれにしても、86は低価格な本格的なFRスポーツとして魅力的な1台だ。

ライタープロフィール
1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。
また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。
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