中古車購入ガイド
更新日:2022.03.29 / 掲載日:2022.03.28
【レクサス CT】ロングセラーとして愛された小さな高級車

文●ユニット・コンパス 写真●レクサス
小さな高級車というジャンルがある。「車格」という言葉があるとおり、クルマのサイズと格式はある程度相関関係にある。大きいクルマは小さいクルマよりも性能や快適性に優れているためその分価格も高いという具合だ。しかし、ユーザーによっては、必ずしも大きなクルマがいいとは限らない。持て余すサイズのクルマよりも、小さなクルマを積極的に選びたいというニーズは少なからず存在するのだ。その好例がまさにレクサス CTだろう。
10年以上販売され、全世界累計で38万を販売した人気モデル

レクサス CTが登場したのは2011年のこと。先日ついに2022年10月をもって販売終了されることがアナウンスされたが、これまで65カ国で累計約38万台を販売してきたというから立派だ。コンパクトカーは競争が激しく、多くのライバルは全面改良を経ているが、CTはマイナーチェンジを重ねながらも10年以上現役で居続けた。
その大きな強みとなったのが、コンパクトなサイズの高級車であること、そしてハイブリッドパワートレインを採用したこと。CT以外にもプレミアム系コンパクトカーは存在したが、本格的なハイブリッドを搭載するモデルが他になかったこともCTの寿命を伸ばした。コンパクトSUVであるUXの登場とともに北米市場向けの販売は終了したが、それでも中国や欧州といった地域でもCTは堅調に販売実績を残している。
「乗って走って楽しい」をコンセプトに開発

改めてCTの特徴を紹介しよう。目指したキャラクターは、躍動感あふれるスタイルと走りを兼ね備えた「乗って走って楽しい」時間を空間を提供する5ドアハッチバック。
デザインは低い車高と長いルーフ、低重心なたたずまいが特徴。乗員の座る位置も低く設定し、シートデザインもサポート性能を重視。ここでも運転しやすさを大切にしている。ボンネットやバックドアにアルミ素材を使っているのも特徴的で、軽量化と同時に重心を車両中心に近づける努力を行なっている。
パワートレインは1.8L直4エンジンとモーターの組み合わせで、いわゆるトヨタ「THS II」を搭載。34.0km/L(JC08モード)とライバルを圧倒する低燃費性能を誇る。
グレード構成は4つ。装備とルックスの違いがメイン

グレード構成は4つで、これはライフサイクルを通じて共通。エントリーモデル「CT200h」、装備を充実させた「CT200h バージョンC」、スポーティな仕立ての「CT200h Fスポーツ」、そして上質感を追求した「CT200h バージョンL」という布陣だ。
エントリーモデルである「CT200h」(新車価格386万9000円)の特徴は、CTとしての基本的な性能、機能、安全性はすべてカバーしながら、装備を一部簡素化させることで価格を引き下げたこと。最終モデルを例にとると、ヘッドライトがハロゲンとなり足元のアルミホイールが15インチ(樹脂カバー付き)になり、リヤディスクブレーキがφ259mmになる。また室内装備では運転席の調整機能が手動式になるというのが大きな違い。
「CT200h バージョンC」(新車価格409万3000円)は装備と価格のバランスがよく、特別なこだわりがなければベストバイといえるグレードになっている。外観上の特徴は16インチのアルミホイール(切削光輝)。
よりスポーティな方向性を望むなら「CT200h Fスポーツ」(新車価格451万円)がオススメ。レクサスがモータースポーツで培ってきた技術をエッセンスとして注入したモデルで、エクステリアではグリルやリヤスポイラー・リヤバンパーが専用となる。室内についても、ディンプル本革ステアリング、アルミ製ペダル&フットレストなど、スポーティイメージを盛り上げるアイテムが投入されている。
「CT200h バージョンL」(新車価格488万1000円)は、「バージョンC」をベースにさらに装備を盛り込んだ最上級グレード。違いは17インチホイール、本革シート、オート電動格納式ドアミラー(ヒーター付き)などが標準装備となる。また、加飾パネルが4種類から選択可能というのも「バージョンL」だけの特権だ。
レクサスCTの中古車市場動向
モデルライフが長いだけあってCTは中古車物件も豊富で、平均価格は170万円代。マイナーチェンジは2回行われており、それが中古車市場の価格に大きく影響している。2014年の改良ではレクサスのデザインアイコンである「スピンドルグリル」を採用。静粛性とボディ剛性を高めた。2017年のマイナーチェンジではさらにデザインを洗練。ナビディスプレイを10.3インチに拡大したこと、予防安全パッケージ「Lexus Safety System +」を全車に標準装備したことがトピック。
グレード別に見るともっとも数が多いのが「バージョンC」で全体の約半数。続いて多いのが「Fスポーツ」で25%程度。残りは「バージョンL」とベースグレード、特別仕様車で分け合う形になる。
物件の傾向は100万円程度の低年式多走行車と200万円半ばの高年式低走行車に大きく二分することができる。低年式車は走行距離が5万km以上走ったクルマが多いため、中古車を購入する際は現車をしっかりと確認したいところ。一般的に中古車は初度登録から5年以上過ぎると価格がグッとお手頃になるが、CTは高値安定傾向となっている。この相場からもCTの人気が高いことがうかがえる。



まとめ
本格ハイブリッドを搭載する小さな高級車レクサス CTは、そのユニークなコンセプトゆえにロングセラーとなり多くのユーザーから愛された。扱いやすいサイズにレクサスならではのスポーティで上質さのある仕立てはまさに理想の小さな高級車だ。