中古車購入ガイド
更新日:2022.05.17 / 掲載日:2022.05.12
日産 スカイライン(V37)の改良遍歴とねらい目グレード

1957年の発売以降、日産のスポーツセダンとして生産が続けられてきたスカイライン。半世紀以上に渡るモデルライフは、モータースポーツとも密接に関わっている。特に3代目(C10)、8代目(R32)に設定されたGT-Rは伝説となっている。11代目のV35以降はプレミアム性を追求した上級セダンにシフトしたが、走りのよさは健在だった。今回は、2014年に登場した現行型(V37)の改良遍歴とグレード別の中古車相場を紹介しよう。
日産 スカイライン(13代目/V37)ってどんなクルマ?


2013年11月に発表され、翌年2月に発売された13代目スカイライン(V37)。V35から続くプレミアム路線を推し進め、洗練された大人のセダンに仕立てられた。発売当初は、フロントグリルにインフィニティブランドのエンブレムが与えられたのも特徴だ。インテリアは、ダブルウェーブのインパネデザイン、クロノグラフのダイヤルを思わせる大型2眼メーター、作り込まれたセンターコンソールなど、上質感を追求。また、フロア下形状の最適化などにより、前後ともゼロリフトを達成するなど、空力も見直された。そのほか、アクティブノイズコントロール、BOSEサウンドシステムなどを全車にオプション設定している。
パワートレインは、1モーター・2クラッチ式のハイブリッド「インテリジェントデュアルクラッチコントロール」を全グレードに採用したのがトピック。エンジンは3.5L V6を搭載し、7速ATを組み合わせている。安全面では、車両の接近を警告する「PFCW(前方衝突予測警報)」を世界で初採用したほか、「BSW(後側方車両検知警報)」、「BSI(後側方衝突防止支援システム)」、「BCI(後退時衝突防止支援システム)」を導入した。
改良遍歴は?
2014年5月、2.0Lターボ搭載車「200GT-t」が追加された。排気量を抑えながらも、自然吸気の2.5Lエンジンに匹敵するパワーと加速性能を実現。ハイブリッド車と同じく走行モードを選択できるドライブモードセレクターも採用される。また、実容量500Lの広いトランクルームも特徴で、9インチのゴルフバックは4本、特Aのスーツケースを2個収納できる。
2014年11月、「200GT-t」に、ダイレクトアダプティブステアリング&アクティブレーンコントロールをオプション設定。ダイレクトアダプティブステアリングは、ステアリングの動きを電気信号に置き換えて操舵するシステムで、クイックなハンドリングと高い直進安定性を実現。アクティブレーンコントロールは、70km/h以上においてタイヤの角度と操舵反力を微調整する技術である。
2016年3月の改良では、「350GT ハイブリッド」、「350GT FOUR ハイブリッド」、「200GT-t」のグレードに、全方位運転支援システムを標準装備。これにより衝突回避性能を高めている。
2017年12月、マイナーチェンジを受けた。エクステリアは、フロントグリルが大型化され存在感をアップ。特に「タイプSP」系は立体的な形状のバンパーを採用することで、アグレッシブなデザインとなった。また、クリアなLEDリアコンビランプの採用により、洗練されたリアまわりとなっている。インテリアはステアリンググリップを太くしたほか、ホーンパッドの小型化、ステッチが施されたインパネ、アナログメーターのリング照明をグレーに変更するなど、全体的にプレミアム感がさらに高められた。
2019年9月、スカイラインが再びマイナーチェンジを実施。フロントにVモーショングリルの採用や、丸目4灯リアコンビランプにより魅力あるデザインに進化。また日産が誇る先進運転支援技術「プロパイロット2.0」も設定された。そのほか、3.0L V6ツインターボエンジン搭載車や、これをベースにしたスポーツモデル「400R」の設定など、スポーティな方向にシフトしている。
日産 スカイライン(13代目/V37)の主要グレード

2019年の改良前までのグレード構成は、パワートレイン別に分けると「350GT ハイブリッド」、「200GT-t」で構成される。改良後のグレード名は「GT」系に統一され、パワートレインがグレード名から判別できなくなった。ただし「400R」は3.0L V6ツインターボを搭載し、専用のネーミングが与えられている。また、装備内容によって各グレードに「タイプP」、「タイプSP」が設定されることも覚えておきたい。ここでは、各グレードの中古車相場を見ていこう。
物件数が豊富な「350GT ハイブリッド」
発売当初から設定されており、現行型スカイラインの最もスタンダードなモデルである。「タイプP」や「タイプSP」には本革シート、インテリジェントエアコンシステムなどの快適装備が充実する。さらに「タイプSP」では、前後スポーツバンパーやパドルシフトが備わり、スポーツセダンらしさを強調。中古車平均価格(2014年~2019年)は、230万円。「タイプP」と「タイプSP」の物件数はほぼ同程度となっている。2.0Lターボよりも物件が多い。
2.0Lターボを搭載する「200GT-t」
ハイブリッド用のバッテリーを搭載しないため、トランクルームは500Lと広い。この差は意外と大きく、トランクルームを多用する使い方ならこちらを選択したい。「タイプP」や「タイプSP」の装備内容はハイブリッドとほぼ同じ。中古車平均価格(2014年~2019年)は206万円と、ハイブリッドよりも安い。こちらは「タイプP」が最も物件豊富となっている。
高性能モデル「400R」
最高出力405馬力を誇る3.0L V6ターボを搭載した「400R」は、往年のスカイラインファンには嬉しいスポーツモデル。ダイレクトアダプティブステアリングは専用チューニングされ、足まわりにはインテリジェントダイナミックサスペンション、大径ブレーキディスク&アルミ製レッドキャリパーが装着される。物件数は少ないものの、探せば十分手に入る。中古車平均価格は503万円と、ほかのグレードの2倍近い価格となっており、新車時からほとんど値落ちしていない。
※上の記述は、2022年発売モデルについてまとめたもの。年式によって装備内容が異なる場合があります。中古車平均価格は2022年4月時点のデータ。
まとめ

発売から8年が経ち、中古車相場は新車時の半額程度に下がっているスカイライン。200万円台で走りと高級感を高い次元で両立したセダンが買えるとなれば、注目したいモデルと言える。流通するグレードの大半は「350GT ハイブリッド」、「200GT-t」で、好みに合わせてチョイスできる。ただし荷物をたくさん積みたいひとは、トランクルームの広い後者を選ぶとよい。また、2019年に登場した「400R」は、まだまだ高額なモデル。人気モデルゆえ値落ちは期待できなさそうだ。