中古車購入チェックポイント
更新日:2022.07.29 / 掲載日:2022.07.29
中古車の購入は税金対策になる?個人事業主で行いたい車に関する節税対策を解説
事業用として中古車を購入する際、税金対策としてどのようなやり方があるのか知りたいと思っている方もいるでしょう。
そこで、この記事では中古車の購入が税金対策になる理由と、その方法について詳しくお伝えしていきます。
また、車の維持費が経費計上できるのかといった点についても解説しますので、これから事業用の車を購入しようと思っている方は参考にしてみてください。

事業用の車を購入する際、新車より中古車を購入するほうが税金対策をする上でメリットがあります。そのポイントは法人税です。
法人税は「課税所得」によって課せられます。
この課税所得とは、一般企業が計上する損益計算書の経常利益に関して、法人税の算出に対して一定の修正を行った状態で算出する金額のことを指します。
法人税は課税所得に応じて税金額が決定するため、課税所得が少ないほど税金も安くなります。そのため、車を購入して減価償却を行って経費計上した場合、利益が減少して課税所得も少なくすることが可能です。
納税する法人税の額が減少するため、その結果節税となります。
車は資産なので減価償却をする必要があり、複数年の事業年度にまたがって経費計上することができます。その結果、利益は下がってしまいますが、次年度に支払う税金は抑えることが可能です。
中古車の場合、減価償却をして減価償却費が大きくなることで節税効果が高まるメリットがあります。
また、車の平均使用年数は年々長く推移しています。一般社団法人自動車検査協会が公開している、平成31年3月末における平均使用年数は、普通自動車で13.26年です。
中古車であっても、しっかり整備されている状態であれば、長期に渡って使用することができます。
もちろん車の状態を確認する必要はありますが、税金面も視野にいれて購入することが大切です。

減価償却をする時に、気をつけるポイントは6つあります。
特に「取得価額」「耐用年数」「計上方法」「家事按分」の各項目を知っておくと、経費処理を行う時に役立つでしょう。
ここからは、減価償却する際のポイントを詳しく説明していきます。
車の取得価額は原則、購入費だけではなく「その資産の事業の用に供する、直接要した費用」も含まれます。
以下で紹介する費用は、取得価額に含めることができる費用になります。
<取得価額に含める必要がある>
・車両本体
・付属品
・検査登録代行費用
・車庫証明手続代行費用
・納車費用
<取得価額に含めなくてもよい>
・自動車税
・自動車取得税
・自動車重量税
・自賠責保険料
・検査登録費用
・車庫証明費用
<取得価額に含めないもの>
・リサイクル関連費用
取得価額に含める必要があるものは、車両本体と付属品、納車にかかる費用です。
税金関係は取得というよりも所有によって必要なものであるため、取得後に発生する費用に捉えられます。そのため、取得価額に計上するのは任意となります。
国税庁では、固定資産に関する法定耐用年数を細かく明示しています。車に関しては、以下の通りになります。
<運送事業用・貸自動車事業以外>
・普通自動車:6年
・軽自動車:4年
・貨物自動車(ダンプ式):4年
・貨物自動車(ダンプ式以外):5年
<運送事業用・貸自動車事業で使用>
・小型車(貨物自動車は2t以下・その他、総排気量2L以下):3年
・大型乗用車(排気量3L以上):5年
・乗合自動車:5年
このように車の使用状況によっても異なりますので、業務内容に応じて変わる点は知っておくと良いでしょう。
言い換えれば、使用している年数が長くなれば残りの耐用年数も短くなるということです。そのため、中古車が税金対策を行いやすい理由は耐用年数が短くなることに関係しています。
実際に計算式がありますので、こちらを参考にしてください。
<法定耐用年数以下の場合>
中古車の耐用年数=(法定耐用年数ー経過年数)+経過年数×0.2
<法定耐用年数以上の場合>
中古車の耐用年数=法定耐用年数×0.2
法定耐用年数以内かそれ以上かという点がポイントになります。それによって計算式が異なりますので、注意が必要です。
例えば、新車登録から3.5年経過した普通自動車の耐用年数の算出方法は次のようになります。
(6年‐3.5年)+3.5×0.2=2.5年+0.7年=3.2年
2年以上は1年未満は切り捨てになりますので、耐用年数は3年になります。新車の普通自動車における耐用年数が6年ですので、それに比べて中古車は早期に減価償却することが可能ということが分かります。
また、法定耐用年数を超過している車に関しては、一律このような計算式になります。
<普通自動車>
6年×0.2=1.2年
*2年未満は1年未満を切り上げしますので、耐用年数は2年です。
<軽自動車>
4年×0.2=0.8年
*年数が2年に満たない場合には2年になりますので、耐用年数は2年です。
定額法は、耐用年数に応じて毎年同じ金額を減価償却費として計上していくやり方となります。
個人事業主は、原則この方法を用いて行います。計算式も簡単であるため、企業でもよく使われる方法です。
減価償却率は1÷耐用年数になるので、例えば耐用年数6年の時は、1÷6年=0.167年になり、取得価額に掛け算することで減価償却費を算出します。
仮に取得価額が300万円で6年で償却する時は、金額は次の通りになります。
300万円×0.167=50.1万円
この金額を減価償却費として計上します。
償却率については、耐用年数に伴って次のように定められています。
<償却率>
2年:1.000
3年:0.667
4年:0.500
5年:0.400
6年:0.333
仮に取得価額が300万円で6年で償却する時は、次の通りになります。
1年目:300万円×0.333=99.9万円
先ほどの定額法よりも、初年度から多く計上できることが分かるでしょう。
定率法のメリットは、購入年度に多くの経費を計上できる点にあります。耐用年数が2年の場合、定額法であれば2年かけて償却するところを1年で償却できるため、より節税効果が高くなるでしょう。
個人事業主であれば通常は定額法で減価償却をすることになりますが、税務署に申請すれば定率法で行うことも可能です。
企業であれば事業用の車をプライベートで利用することは少ないですが、個人事業主だと兼用されている方もいるでしょう。兼用している場合は家事按分を行うことで、経費計上をすることが可能です。
家事按分とは、事業用とプライベートで使用する割合を決めて事業分を経費計上する方法です。
例えば、車を兼用で利用している時、事業用とプライベートが「6:4」の割合だったとします。この場合だと、車の取得価額は全体の6割を経費計上することになります。
家事按分を使って経費計上を行う際は、比率に基づく根拠が必要になりますので、車の使用状況が分かるものを用意しておくと良いでしょう。

中古車は新車に比べて耐用年数が短くできるので、償却する年数が少なくて済むことは理解できたかと思います。
それでは、中古車を購入するにあたり、経費として早急に計上するには、どうすればよいのでしょう?
経費として早く計上する方法を知っておけば、税金対策をさらに高めることにつながります。ここからは、そのポイントを3つ紹介していきます。
これは、耐用年数が2年になる定率法を利用すれば、取得価額の全額を償却することが可能だからです。
厳密にいえば、3年10ヶ月経過した普通自動車は耐用年数が2年になります。また軽自動車であれば、1年4ヶ月経過した車を選ぶと普通自動車と同様に耐用年数が2年になり、定率法で一括償却することが可能です。
そのため、企業として大きな利益が見込める場合には、一度に計上して法人税の支払いを減らすことができます。新車より中古車のほうが節税効果が高いと言えるのは、このためです。
中古車の耐用年数一覧を記載しておきます。事業用に購入する中古車の経過年数を当てはめると、償却年数も確認することができるでしょう。
<中古車における普通自動車の耐用年数>
・経過年数1~15ヶ月まで…耐用年数5年
・経過年数16~30ヶ月まで…耐用年数4年
・経過年数31~45ヶ月まで…耐用年数3年
・経過年数46ヶ月以降…耐用年数2年
<中古車における軽自動車の耐用年数>
・経過年数1~15ヶ月まで…耐用年数3年
・経過年数16ヶ月以降…耐用年数2年
従業員500名以下の中小企業は、30万円未満の減価償却資産を取得した場合に、300万円を限度に全額損金算入できるという制度があります。これは「少額減価償却資産の特例」という法律です。
この特例は、令和4年度の税制改正で適用期限が2年延長されています。そして、今後も延長されていくことが予想されます。
ただし、今回の税制改正では「貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産」を除外することになっています。
以前であれば、一つの取得価額が10万円未満の少額資産を大量取得し、即時償却を行い、他者に貸し出すことで節税するケースがありましたが、その対策をする背景が盛り込まれていますので注意が必要です。
中古車で取得価額が30万未満であれば、この特例を利用して一括計上をすることが可能です。
また、カーナビやドライブレコーダー、ホイールなどの付属品を納車後に購入することで、経費計上が行えます。税金対策を考えると、車の購入方法も検討することで、より節税に繋がります。
減価償却費は月割計上になることに注意が必要で、節税したいからと言って4年落ちの中古車を決算期末ギリギリに慌てて購入しても、その購入費用の全てを損金計上することはできません。
一番ベストなのは事業年度の初月に車を購入することです。
減価償却するための計算式は次のようになります。
取得価額×償却率×事業年度内で使用した月数÷12
つまり、事業年度初月に納車されるようにすると、1年分を計上できることになるので節税効果が高くなります。

いままで中古車の購入に関する税金対策をお伝えしてきましたが、カーリースを利用して節税対策をする方法もあります。
カーリースは、リース会社から車を借りる形式となるため、かかる経費を全て経費計上できます。
リース料金には、車両本体のリース料の他に車検や税金、自賠責保険なども含まれています。そのため、面倒な項目別の仕訳をすることなく、経理処理が簡単に行える点は、メリットであると言えるでしょう。
また、車を購入する際はまとまった資金も必要になりますが、リースであればリース料のみになるので資金繰りに困ることもなく車を利用することができます。
しかし、カーリースの契約は原則、中途解約ができません。何らかの理由で途中解約すると、違約金を支払うことになります。それ以外にも走行距離の制限があるため、事業利用で走行距離が伸びてしまう場合は追加料金を徴収されることがあります。
運送などで日々長距離になる使い方をしていると、カーリースよりも車を購入したほうが安上がりになるかもしれません。事業目的に応じて使い分けをすることが大切です。

車本体の減価償却についてお伝えしてきましたが、車は購入後もメンテンナス費用や車検、税金など様々な維持費がかかります。この維持費は、どのように経費計上を行えば良いのでしょうか?
勘定科目の基本的なものを知っておくと仕訳もしやすくなり、経理処理も楽になります。
ここからは、経理処理を行う時に使用する勘定科目も含め、詳しくお伝えしていきます。
・租税公課
自動車重量税、環境性能割、自動車取得税、自動車税、軽自動車税
・車両運搬具
車両本体価格、オプション費用、引取運賃、購入時手数料、納車費、運送時の保険料
・保険料
自賠責保険料、任意保険料
・支払手数料
検査登録法定費用、車庫証明法定費用、検査登録代行費用、車庫証明手続き代行費用
・預け金
リサイクル料金
・車両費
ガソリン代、洗車費用
・旅費交通費
高速道路代、コインパーキングの駐車料金
・消耗品費
タイヤ、オイル、ワイパーなど
・支払利息
車をローン購入した際の金利
・賃借料
月極駐車場
上記は一例で、基本的には車の維持に必要な経費は計上できます。
勘定科目によっては使用頻度に応じて変えることも可能です。例えば、ガソリン代は車両費でも構いませんが、旅費交通費や雑費でも計上できます。使いやすい勘定科目で行って問題ありません。
しかし、一度その勘定科目で計上した内訳についてはその項目で計上し続ける必要があるので注意が必要です。
また、先ほどもお伝えした通り、プライベートで使用した経費は計上できませんので、家事按分を行い、事業用として明確にしておくことが大切です。
そこで、この記事では中古車の購入が税金対策になる理由と、その方法について詳しくお伝えしていきます。
また、車の維持費が経費計上できるのかといった点についても解説しますので、これから事業用の車を購入しようと思っている方は参考にしてみてください。
この記事の目次
中古車の購入は税金対策になるのか?

法人税は「課税所得」によって課せられます。
この課税所得とは、一般企業が計上する損益計算書の経常利益に関して、法人税の算出に対して一定の修正を行った状態で算出する金額のことを指します。
法人税は課税所得に応じて税金額が決定するため、課税所得が少ないほど税金も安くなります。そのため、車を購入して減価償却を行って経費計上した場合、利益が減少して課税所得も少なくすることが可能です。
納税する法人税の額が減少するため、その結果節税となります。
車を購入する際は減価償却を利用する
企業や個人事業主が車を購入する際、新車よりも中古車が節税対策しやすい理由は、減価償却の期間が短くなるからです。車は資産なので減価償却をする必要があり、複数年の事業年度にまたがって経費計上することができます。その結果、利益は下がってしまいますが、次年度に支払う税金は抑えることが可能です。
中古車の場合、減価償却をして減価償却費が大きくなることで節税効果が高まるメリットがあります。
また、車の平均使用年数は年々長く推移しています。一般社団法人自動車検査協会が公開している、平成31年3月末における平均使用年数は、普通自動車で13.26年です。
中古車であっても、しっかり整備されている状態であれば、長期に渡って使用することができます。
もちろん車の状態を確認する必要はありますが、税金面も視野にいれて購入することが大切です。
減価償却する際のポイント

特に「取得価額」「耐用年数」「計上方法」「家事按分」の各項目を知っておくと、経費処理を行う時に役立つでしょう。
ここからは、減価償却する際のポイントを詳しく説明していきます。
①車の取得価額
車を購入する時には、車両本体価格以外にも様々な費用がかかります。その際に問題になるのは、どこまで費用として計上できるかです。車の取得価額は原則、購入費だけではなく「その資産の事業の用に供する、直接要した費用」も含まれます。
以下で紹介する費用は、取得価額に含めることができる費用になります。
<取得価額に含める必要がある>
・車両本体
・付属品
・検査登録代行費用
・車庫証明手続代行費用
・納車費用
<取得価額に含めなくてもよい>
・自動車税
・自動車取得税
・自動車重量税
・自賠責保険料
・検査登録費用
・車庫証明費用
<取得価額に含めないもの>
・リサイクル関連費用
取得価額に含める必要があるものは、車両本体と付属品、納車にかかる費用です。
税金関係は取得というよりも所有によって必要なものであるため、取得後に発生する費用に捉えられます。そのため、取得価額に計上するのは任意となります。
②法定耐用年数
固定資産は高額になることが多く、一度に経費として計上することができません。それは、何年も利用することが可能だからです。国税庁では、固定資産に関する法定耐用年数を細かく明示しています。車に関しては、以下の通りになります。
<運送事業用・貸自動車事業以外>
・普通自動車:6年
・軽自動車:4年
・貨物自動車(ダンプ式):4年
・貨物自動車(ダンプ式以外):5年
<運送事業用・貸自動車事業で使用>
・小型車(貨物自動車は2t以下・その他、総排気量2L以下):3年
・大型乗用車(排気量3L以上):5年
・乗合自動車:5年
このように車の使用状況によっても異なりますので、業務内容に応じて変わる点は知っておくと良いでしょう。
③中古車の耐用年数の計算方法
中古車の耐用年数は、新車登録をしてからある程度経過している状態です。そのため、経過期間に応じて耐用年数が変化していきます。言い換えれば、使用している年数が長くなれば残りの耐用年数も短くなるということです。そのため、中古車が税金対策を行いやすい理由は耐用年数が短くなることに関係しています。
実際に計算式がありますので、こちらを参考にしてください。
<法定耐用年数以下の場合>
中古車の耐用年数=(法定耐用年数ー経過年数)+経過年数×0.2
<法定耐用年数以上の場合>
中古車の耐用年数=法定耐用年数×0.2
法定耐用年数以内かそれ以上かという点がポイントになります。それによって計算式が異なりますので、注意が必要です。
例えば、新車登録から3.5年経過した普通自動車の耐用年数の算出方法は次のようになります。
(6年‐3.5年)+3.5×0.2=2.5年+0.7年=3.2年
2年以上は1年未満は切り捨てになりますので、耐用年数は3年になります。新車の普通自動車における耐用年数が6年ですので、それに比べて中古車は早期に減価償却することが可能ということが分かります。
また、法定耐用年数を超過している車に関しては、一律このような計算式になります。
<普通自動車>
6年×0.2=1.2年
*2年未満は1年未満を切り上げしますので、耐用年数は2年です。
<軽自動車>
4年×0.2=0.8年
*年数が2年に満たない場合には2年になりますので、耐用年数は2年です。
④定額法
減価償却する際に使用する方法は、定額法と定率法の2種類があります。定額法は、耐用年数に応じて毎年同じ金額を減価償却費として計上していくやり方となります。
個人事業主は、原則この方法を用いて行います。計算式も簡単であるため、企業でもよく使われる方法です。
減価償却率は1÷耐用年数になるので、例えば耐用年数6年の時は、1÷6年=0.167年になり、取得価額に掛け算することで減価償却費を算出します。
仮に取得価額が300万円で6年で償却する時は、金額は次の通りになります。
300万円×0.167=50.1万円
この金額を減価償却費として計上します。
⑤定率法
定率法は残高に応じて、償却率を掛けた金額で償却していく方法となります。償却率については、耐用年数に伴って次のように定められています。
<償却率>
2年:1.000
3年:0.667
4年:0.500
5年:0.400
6年:0.333
仮に取得価額が300万円で6年で償却する時は、次の通りになります。
1年目:300万円×0.333=99.9万円
先ほどの定額法よりも、初年度から多く計上できることが分かるでしょう。
定率法のメリットは、購入年度に多くの経費を計上できる点にあります。耐用年数が2年の場合、定額法であれば2年かけて償却するところを1年で償却できるため、より節税効果が高くなるでしょう。
個人事業主であれば通常は定額法で減価償却をすることになりますが、税務署に申請すれば定率法で行うことも可能です。
⑥家事按分
一般的に事業用で車を購入した場合は経費として計上できますが、プライベートで使用している車は減価償却を行うことはできません。企業であれば事業用の車をプライベートで利用することは少ないですが、個人事業主だと兼用されている方もいるでしょう。兼用している場合は家事按分を行うことで、経費計上をすることが可能です。
家事按分とは、事業用とプライベートで使用する割合を決めて事業分を経費計上する方法です。
例えば、車を兼用で利用している時、事業用とプライベートが「6:4」の割合だったとします。この場合だと、車の取得価額は全体の6割を経費計上することになります。
家事按分を使って経費計上を行う際は、比率に基づく根拠が必要になりますので、車の使用状況が分かるものを用意しておくと良いでしょう。
中古車購入を経費として早急に計上するためのポイント

それでは、中古車を購入するにあたり、経費として早急に計上するには、どうすればよいのでしょう?
経費として早く計上する方法を知っておけば、税金対策をさらに高めることにつながります。ここからは、そのポイントを3つ紹介していきます。
①4年落ちの中古車を選ぶ
ポイントの1つ目は、4年落ちの中古車を購入することです。これは、耐用年数が2年になる定率法を利用すれば、取得価額の全額を償却することが可能だからです。
厳密にいえば、3年10ヶ月経過した普通自動車は耐用年数が2年になります。また軽自動車であれば、1年4ヶ月経過した車を選ぶと普通自動車と同様に耐用年数が2年になり、定率法で一括償却することが可能です。
そのため、企業として大きな利益が見込める場合には、一度に計上して法人税の支払いを減らすことができます。新車より中古車のほうが節税効果が高いと言えるのは、このためです。
中古車の耐用年数一覧を記載しておきます。事業用に購入する中古車の経過年数を当てはめると、償却年数も確認することができるでしょう。
<中古車における普通自動車の耐用年数>
・経過年数1~15ヶ月まで…耐用年数5年
・経過年数16~30ヶ月まで…耐用年数4年
・経過年数31~45ヶ月まで…耐用年数3年
・経過年数46ヶ月以降…耐用年数2年
<中古車における軽自動車の耐用年数>
・経過年数1~15ヶ月まで…耐用年数3年
・経過年数16ヶ月以降…耐用年数2年
②少額減価償却資産を利用する
ポイントの2つ目は、少額減価償却資産を利用することです。従業員500名以下の中小企業は、30万円未満の減価償却資産を取得した場合に、300万円を限度に全額損金算入できるという制度があります。これは「少額減価償却資産の特例」という法律です。
この特例は、令和4年度の税制改正で適用期限が2年延長されています。そして、今後も延長されていくことが予想されます。
ただし、今回の税制改正では「貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産」を除外することになっています。
以前であれば、一つの取得価額が10万円未満の少額資産を大量取得し、即時償却を行い、他者に貸し出すことで節税するケースがありましたが、その対策をする背景が盛り込まれていますので注意が必要です。
中古車で取得価額が30万未満であれば、この特例を利用して一括計上をすることが可能です。
また、カーナビやドライブレコーダー、ホイールなどの付属品を納車後に購入することで、経費計上が行えます。税金対策を考えると、車の購入方法も検討することで、より節税に繋がります。
③購入時期
ポイントの3つ目は、購入時期に気をつけることです。減価償却費は月割計上になることに注意が必要で、節税したいからと言って4年落ちの中古車を決算期末ギリギリに慌てて購入しても、その購入費用の全てを損金計上することはできません。
一番ベストなのは事業年度の初月に車を購入することです。
減価償却するための計算式は次のようになります。
取得価額×償却率×事業年度内で使用した月数÷12
つまり、事業年度初月に納車されるようにすると、1年分を計上できることになるので節税効果が高くなります。
カーリースを利用する場合は全額経費計上できる

カーリースは、リース会社から車を借りる形式となるため、かかる経費を全て経費計上できます。
リース料金には、車両本体のリース料の他に車検や税金、自賠責保険なども含まれています。そのため、面倒な項目別の仕訳をすることなく、経理処理が簡単に行える点は、メリットであると言えるでしょう。
また、車を購入する際はまとまった資金も必要になりますが、リースであればリース料のみになるので資金繰りに困ることもなく車を利用することができます。
しかし、カーリースの契約は原則、中途解約ができません。何らかの理由で途中解約すると、違約金を支払うことになります。それ以外にも走行距離の制限があるため、事業利用で走行距離が伸びてしまう場合は追加料金を徴収されることがあります。
運送などで日々長距離になる使い方をしていると、カーリースよりも車を購入したほうが安上がりになるかもしれません。事業目的に応じて使い分けをすることが大切です。
車の維持費の経費計上はできる?

勘定科目の基本的なものを知っておくと仕訳もしやすくなり、経理処理も楽になります。
ここからは、経理処理を行う時に使用する勘定科目も含め、詳しくお伝えしていきます。
経費計上できる勘定科目
経費として計上できる内訳を見ていきましょう。各勘定科目に応じて一覧にまとめてみましたので、参考にしてください。・租税公課
自動車重量税、環境性能割、自動車取得税、自動車税、軽自動車税
・車両運搬具
車両本体価格、オプション費用、引取運賃、購入時手数料、納車費、運送時の保険料
・保険料
自賠責保険料、任意保険料
・支払手数料
検査登録法定費用、車庫証明法定費用、検査登録代行費用、車庫証明手続き代行費用
・預け金
リサイクル料金
・車両費
ガソリン代、洗車費用
・旅費交通費
高速道路代、コインパーキングの駐車料金
・消耗品費
タイヤ、オイル、ワイパーなど
・支払利息
車をローン購入した際の金利
・賃借料
月極駐車場
上記は一例で、基本的には車の維持に必要な経費は計上できます。
勘定科目によっては使用頻度に応じて変えることも可能です。例えば、ガソリン代は車両費でも構いませんが、旅費交通費や雑費でも計上できます。使いやすい勘定科目で行って問題ありません。
しかし、一度その勘定科目で計上した内訳についてはその項目で計上し続ける必要があるので注意が必要です。
また、先ほどもお伝えした通り、プライベートで使用した経費は計上できませんので、家事按分を行い、事業用として明確にしておくことが大切です。
まとめ
①事業用に中古車を購入すると税金対策になる
②中古車は新車に比べて減価償却の期間が短く、一気に経費計上できる
③減価償却費は、定額法か定率法で算出する
④定額法は、購入金額を耐用年数で割ったものを毎年計上する
⑤定率法は、残額に償却率をかけたものを計上する
⑥減価償却を早く計上する方法は、4年落ちの車で定率法で行うことがポイント
⑦事業用とプライベート兼用の場合は、家事按分で計上する
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