中古車購入チェックポイント
更新日:2022.10.02 / 掲載日:2022.10.02

中古車の個人売買を利用して故障が発覚した場合はどうすればいい?対処法を解説

ネットオークションやフリマアプリなどで、個人の持ち物の売買が盛んになりました。中にはマイカーを個人売買で取引きする事例も出てきています。

しかし、業者を介さない売買は後々トラブルに発展する可能性があるため注意しましょう。特に売却後すぐに車が故障すると、修理費をどちらが負担するかという問題が出てきます。

この記事では、個人売買をした時の車の故障トラブルの対処法についてまとめました。いざというときの参考にしてください。

中古車の個人売買で故障トラブルが多い理由

車の売買において、個人売買は一般的なディーラーや中古車販売店の利用と比較すると、故障するリスクが高いとされています。

なぜ個人売買で購入した車は故障しやすいのでしょう?その理由について見ていきましょう。

マイカーを購入した後に「車が故障した」とクレームを言っても、売り手側には保証してもらえない場合が多いです。なぜ保証しなくてもいいのかについても以下で解説していきます。

①素人が売却するから

個人売買で車を売却する場合、売り手側の大半は自動車に関する専門知識を持っていません。たとえ売却前に売り手自身で点検していたとしても、あくまでも素人判断です。

すると、どうしても車の不具合や故障の前兆を見落とす可能性があります。その結果、買い手が車を運転し始めてすぐにトラブルに見舞われるリスクがあります。

一方、ディーラーや中古車販売店の場合は中古車を売りに出すためにしっかりメンテナンスを行います。その上、プロのメカニックがしっかり点検・整備を行っているので故障のリスクは低くなるでしょう。

②現車確認ができないから

個人売買の場合、購入前に現社確認ができないことが多いです。これは、お互いに個人情報を知られたくないという理由が大きいでしょう。

そのため、購入するかどうかはネットに掲載されている車の画像や車両状態のテキスト情報のみで判断しなければなりません。現車を自分の目で確認できないと、購入前に車の不具合に気づくことはどうしても難しいです。

悪質な場合だと故障車と分かっていて、それを隠して売りに出すケースもあるかもしれません。商品を購入して全く別物が自宅に届いたということも起こりえます。

実車を見られないのも、購入して故障の起こるリスクが高いと言われる理由の一つです。

③ノークレーム・ノーリターンが多いから

愛車を売却してすぐに故障が発見された場合、売り手側が補償することはあまり多くありません。車の個人売買では「ノークレーム・ノーリターン」形式が採用されることが多いからです。

ノークレーム・ノーリターンとは、アフターフォローには一切応じません。返品も受け付けませんという意味です。車以外の個人売買でも一般的になりつつあります。

ノークレーム・ノーリターンと断っておけば、たとえ購入後に不具合が発生しても売り手側の契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)は原則問われません。「返品不可」という文言で断ることができます。

不可抗力な不具合に対しては契約不適合責任は負わないという意味ですが、ただし例外もあり、不可抗力ではなく売り手側が故意に問題を隠した場合には詐欺に該当しますので、その責任は負わないといけません。

④保証がないから

ディーラーや中古車販売店で購入した場合は、保証をつける場合が多いです。そのため、期間や条件を満たしていれば、無償で故障箇所を整備してくれます。

一方、個人売買の場合は一切保証がつけられていないケースが大半です。購入した翌日に故障したとしても、原則買い手側が修理費用を負担しなければなりません。

故障箇所によっては10万円を超えるような修理費用のかかる場合もあります。高額修理を請求されたことで、売り手と買い手がトラブルに発展する場合も珍しくありません。

買い手側から修理費請求されないためには?

もし個人売買で愛車を売るのであれば、クレームを防ぐために契約書の作成には万全を期したほうがいいでしょう。契約書の中に「契約不適合責任条項」を明記しておくことをおすすめします。

契約不適合責任とは、売却した車に不備があったり欠陥が見つかったりした時に売り手側が修理費用や損害賠償を負担する権利のことです。

そこで「契約不適合責任は認めない」旨を契約書に盛り込みましょう。一般的には「売主は契約不適合責任は負わないものとする」や「瑕疵修理は100%買主が負担する」と記載します。

このように、契約書に明記されていて売主と買主の署名・捺印があれば、たとえ不具合がすぐ見つかっても売主が修理費用を負担する必要はなくなることになります。

署名・捺印があれば、買主もその契約の条件に納得したことの証明になるので、買主側のクレームは基本認められません。

車両状態確認証明書をとろう

「契約不適合責任を負わない」と契約書に明記していれば、売主は原則修理費用を負担する必要はありません。しかし、トラブルをできる限り回避したければ、「車両状態証明書」を取得するのがおすすめです。

車両状態証明書は文字通り、車の状態について第三者機関が証明してくれるものです。具体的には「日本自動車査定協会」という機関が発行する証明書となります。

「車両状態証明書」には、修復歴や走行距離のメーター改ざんがされていないことを証明する内容が記載されています。いずれも車の状態に深刻な影響を及ぼすものです。

車両状態証明書があれば、車を売りに出す時のアピール材料にもなります。「プロがきちんと車の状態をチェックしていますよ」ということになるため、買い手側も安心して購入できるでしょう。

誠意ある対応をとる

個人売買でトラブルを起こさないようにするためには、誠心誠意、買い手側と向き合うことです。

もし購入希望者が比較的近所であれば、実車確認をしてもらうのも一つの方法です。個人情報の問題が心配であれば、自宅以外のところで会うといいでしょう。遠方などで実車確認が難しければ、できる限り車両の状態について丁寧に説明する姿勢が大切です。

実車確認をする場合、外装から内装、エンジンを始めとした動作確認を買い手自身にやってもらいましょう。もちろん車の状態については不都合な部分も含めて正直に伝えてください。

また、買い手が望めば試乗してもらうのもおすすめです。見た目はいいけれども実際に運転してみるとフィーリングが合わない、性能が不満ということも起こりえます。

ここまでやっても購入後に故障をすることがあれば、買い手側も「仕方がないな」と納得しやすいでしょう。

とにかく相手に売りつけるのではなく、こちらもトラブルの要因を排除するように努めることが大切です。

故障トラブルに巻き込まれないためには?

個人売買でトラブルに巻き込まれたくなければ、売却前に車のチェックをできる限り入念に行うことが大切です。特にエンジンやタイヤなど、走行性能に直接関係する箇所はチェックしてください。

実際にエンジンをかけてみて、異音など不具合が起きていないか確認しましょう。また、タイヤの溝が十分あるか、ひび割れなどの劣化が起きていないかも目視します。

その他にも外装の傷やへこみ、車内の汚れの状態なども目で確認してください。オーディオやエアコンなどの電装系がきちんと作動するか、動作確認も済ませておきます。

確認できる車の部品をすべて確認して、詳細に車両状態について説明してください。そうすれば、買い手側も納得の上で購入できるでしょう。

トラブルが発生した場合の対処法

個人売買でトラブルが起きないように万全を期しても、問題が起こる可能性をゼロにはできません。もしかすると、売却後に買い手側からクレームがつく可能性もあります。

クレームをつけられると戸惑うかもしれませんが、冷静に対応しましょう。クレームが来た場合どう対処すればいいのか以下にまとめました。

まずは契約書を確認する

クレームが来たら、まずは契約書を取り出してその内容を確認してください。特にチェックしてほしいのが、契約不適合責任に関する条項です。

「契約不適合責任は問わない」「瑕疵修理の費用は買主が負担する」など契約不適合責任は認めないという一文があれば、その旨を買い手側に説明しましょう。その上で「契約の条件で売り手側は負担しないことになっている」と説明してください。

もし契約不適合責任に関する条項がないと、買い手側の権利が保障されます。購入前に知らされていなかった故障や欠陥が、購入後にわかった場合には、売り渡した後でも売り手側が修理費用を負担しなければなりません。

国民生活センターに相談する

個人売買の場合、原則当事者同士で話し合いをして解決することになります。しかし、問題がこじれると当事者間で話がまとまらない可能性もあります。

当事者間で解決できなければ、専門機関に相談するのがおすすめです。まずは、国民生活センターに相談すると良いでしょう。

国民生活センターは、様々な消費者トラブルの相談を受け付けている機関です。日本全国の消費生活センターと連携しています。

その他には中古車売買に関する専門機関に相談するのも一考です。日本中古車販売協会連合会や自動車公正取引協議会などに窓口があります。

このようなところに相談して、どう解決すれば良いかアドバイスをもらいましょう。

弁護士に相談する

問題がこじれてしまって解決の糸口が見つからない場合は、弁護士に相談するのも選択肢の一つです。

弁護士の中には、車の個人売買に強い人もいます。専門家の観点から色々とアドバイスしてくれるでしょう。場合によっては、皆さんの代理人として相手側と交渉してくれるかもしれません。

契約書の内容をもとにして、法律上どう解決すればいいか助言してくれるのでトラブル解決の助っ人になってくれるでしょう。

ただし、弁護士に相談するとなるとそれなりに費用がかかります。これまでの実績や料金なども加味して、どの弁護士に相談すべきか慎重に判断してください。

中古車を個人売買で売却する流れ

中古車を個人売買する場合、出品することから始まります。車の状態を確認してから写真を撮影し、テキストでも車両に関する詳細な説明をしてオークションサイトやフリマアプリにアップします。

すると、車に興味を持った人からコンタクトがあるでしょう。購入希望者から車に関する問い合わせがくるので正直に回答してください。

お互いが希望すれば、実車確認をすることも可能です。色々とやり取りをして、売買取引に同意すれば契約書を用意します。

契約書に署名捺印されれば、売買取引は成立です。買い手側から代金を受け取って車を引き渡します。

引き渡しの時に、売り手と買い手双方で車両の状態を確認するのが望ましいです。車を引き渡したら速やかに自賠責保険や任意保険、車検証の名義変更を進めましょう。

個人売買する際の必要書類

車を個人売買するときは、色々な書類を用意しなければなりません。車検証、自賠責保険証明書、自動車税納税証明書などが挙げられます。

もしこれらの書類で紛失してしまったものがあれば、再発行手続きが必要となります。

車検証や自賠責保険証は車内に携帯することが義務付けられているので、グローブボックスに保管されていることが多いです。

買取業者に売却する際は、お店側で用意してくれる書類もありますが、個人売買の場合は自分で全て準備しなければなりません。その書類について以下にまとめました。

契約書

自動車売買のような高額な取引きの場合、契約書を作成するのが一般的です。もし何か売却後にトラブルになった場合、契約書に記載されている内容が優先されます。

契約書は売り手側が用意しましょう。一から作成するのは難しいので、ネット上に出ている契約書のテンプレを参考に作成するのがおすすめです。

ただし、素人の作成した契約書だと内容などに不備が生じる可能性も十分考えられます。そこで、弁護士に契約書の内容を確認してもらうという方法もあります。もしくは契約書の作成を請け負っている業者もあるので、こちらにお任せするのも一考です。

領収書

車の売買はそれなりにまとまった額のやり取りになります。後々支払いに関してトラブルにならないためにも領収書を作成し、買い手に発行しましょう。

領収書もネットで検索すれば様々なテンプレートが出てきます。テンプレートをベースにして、自分たちのケースに合わせた内容に編集すれば問題ありません。

個人売買するにあたって、「収入印紙を購入して貼り付けないといけないのでは?」と思っている方もいるでしょう。しかし、個人売買であれば、収入印紙を準備する必要はありません。

後々トラブルになった時のために、控えはしばらく手元に保管しておくことをおすすめします。

譲渡証明書

譲渡証明書も売買の時に必要です。買取業者に売却する際は業者が用意してくれますが、個人売買の場合は自分で用意しなければなりません。

譲渡証明書は、車の使用者や所有者の変わる移転登録の手続きをする際に必要な書類です。どの車両を誰が誰に譲るのかを証明するための書類となります。

譲渡証明書もネットにテンプレートが出ているので、こちらを参考にして作成すれば良いでしょう。

基本的には型式や車台番号などの車両情報、譲渡人と譲受人を記入する2項目によって構成されます。

車両情報は車検証に記載されています。譲渡証明書を作成する際には、手元に車検証を用意しておくとスムーズです。

中古車を個人売買する方法

中古車の個人売買をするには、ネットオークションやフリマアプリを使う方法と個人売買代行サービスを使う方法があります。

それぞれどのような方法なのか以下にまとめたので、どちらで売却するか検討する際の参考にしてみてください。

ネットオークションやフリマアプリ

個人売買の方法として、オークションサイトやフリマアプリに愛車を出品して購入者を募ることができます。

自分で行う場合、中間マージンが一切発生しません。買取業者に売却するのと比較して、高値で売れる可能性があります。

一方で、自分で全ての手続きを行わないといけないので負担は大きくなります。出品手続きや購入希望者からの問い合わせ対応などを一手に引き受けないといけません。

素人同士の売買になるので故障などのトラブルも起こりやすく、その点は留意する必要があります。

個人売買代行サービス

中古車販売店の中には、個人売買の代行サービスを提供しているところも出てきています。この方法で愛車を売却するやり方も近年注目を集めています。

代行サービスを利用するメリットとして大きいのは、プロに委託できる点です。売買の専門知識を持った人が間に入ってくれるので、トラブルが起きるリスクもかなり低減できます。

中には車の査定なども行っている業者も見られます。車両の状態を第三者が保証してくれるので、買い手もつきやすいでしょう。

ただし、代行サービスを利用すれば手数料などが発生する点は注意が必要です。自分で全ての手続きをするのと比較すると、経費の分だけ利益は少なくなります。

まとめ

①素人だけで行う中古車の個人売買は、車の故障トラブルが多くなりやすい

②責任を回避するためには「契約不適合責任を負わない」と契約書に明記する

③買い手に誤解を与えないように正確に車両情報を伝える

④トラブルが起きた場合は、弁護士や第三者機関を利用することも検討しよう

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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