カー!といえばグーネットピット

無料整備工場検索&予約アプリ

グーネットピットアプリ

中古車購入チェックポイント
更新日:2022.11.26 / 掲載日:2022.11.26

車のファンベルトとは何?故障した時の症状や原因、修理・交換費用について解説

車に必ずといいほどついている「ファンベルト」という部品をご存じでしょうか?

名前は聞いたことがあるけれど、どんな部品なのかはよく知らないという方も多いかもしれません。しかし、このファンベルトは重要な役目を果たしていて、故障すると車の様々な箇所に悪影響が及び、やがて走行不能になってしまいます。

そこで今回は、ファンベルトが果たしている役割や故障した時の症状と原因について詳しく解説していきます。また、故障しないための対処法や修理費用についても紹介します。

実は消耗部品!ファンベルトが故障したら車はどうなる?

ファンベルトはその構造と役割上、必ず一定期間で寿命が訪れる消耗品で、どの車にも1本または2~3本ついている部品です。

車検やメンテナンス時に異常が見つかると寿命が来る前に新品に交換されることも多いため、消耗品というイメージがない方も多いかもしれません。

ファンベルトは交換が遅れて故障すると、走行に重大な支障が出る可能性があります。そこでまずは、ファンベルトとは何なのかという基本的なところから解説していきましょう。

ファンベルトとはどんな部品?

ファンベルトはゴム製の輪状部品のことで、その構造から「Vベルト」や「リブベルト」と呼ばれています。

よく似た構造のものとして挙げられるのが、タイミングベルトという部品です。タイミングベルトはエンジン内部に組み込まれているのに対し、ファンベルトはエンジンの外部に取り付けられています。

また、タイミングベルトは強度を上げるため最近では金属製のタイミングチェーンに代わってきていますが、ファンベルトはいまだにゴム製のままです。

しかし、ファンベルトはエンジン外部に取り付けられているため、目視でその状態や動きを確認することができます。また、プロの手にかかれば交換もそれほど難しくありません。

エンジンの力を関連パーツに伝える重要な部品

車を動かしているエンジンは、燃料の爆発力もしくは電力を動力源として動いています。

しかし、オルタネーター・ウォーターポンプ・パワステポンプ・エアコンコンプレッサーなどの補機と呼ばれるパーツには動力源が存在しません。では、どうやって補機は動いているのでしょう?

それは、エンジンの回転力をプーリーと呼ばれる円盤状の部品につなげられたファンベルトを通して補機に伝達することで、それぞれを作動させているのです。

つまり、ファンベルトが故障してエンジンの回転力がうまく伝わらないと、これらの補機も正常に作動しないということになります。

実は今の車のファンはベルトで動いていないことも多い

次は、ファンベルトという名前の由来について説明していきましょう。

実のところ以前の車はエンジンに外気を送り、冷却するファンもこのファンベルトで動かしていました。だからこそ「ファンベルト」と呼ばれているのですが、最近の車は電動ファンに転換されているため、ファンにベルトは連結されていません。

厳密にはファンベルトではなく「補機作動ベルト」とでも呼ぶべきですが、整備士などの車のプロはいまだにファンベルトと呼んでいます。そのため、本記事においても車業界の慣例にのっとり、ファンベルトと呼んで話を進めていきます。

ファンベルトにはどんな役割があるのか

ファンベルトという部品の形状やその名前の由来について紹介しましたが、ここからはファンベルトのより具体的な役割について解説していきます。

役割①エンジンの冷却

車のエンジンは、そのまま稼働し続けていると上昇した温度に耐えきれず、故障・停止する可能性があります。そんなエンジンを充填された冷却水(ラジエーター液)で冷やし、高温になりすぎるのを防いでいるのがラジエーターという部品です。

ただし、冷水に浸したタオルも長時間熱を持った額に乗せたままだとぬるくなって役に立たなくなるように、ラジエーター内の冷却水も同じ場所にあり続けると冷却効果が薄れてしまいます。

そんな時、威力を発揮するのがウォーターポンプです。ウォーターポンプは、ラジエーター内に充填された冷却水をポンプで循環させることで冷却効果を維持しています。

そして、ウォーターポンプにエンジンのエネルギーを伝えるのが、ファンベルトの1つ目の役割というわけです。

ファンベルトの名前がいまだに残っていることからも、この役割の重要度を示しているのかもしれません。

役割②バッテリーの充電(発電機の作動)

内燃機関車であれ電気自動車であれ、電気がないと車はほとんど機能しない鉄の塊と化します。

このうち内燃機関車は、エンジンの回転力を利用してオルタネーターを回して発電し、その電力をバッテリーにためることでエンジンスターターやライト類などの電装機器を動作しています。

そして、発電機であるオルタネーターにエンジンの回転力を伝え、動かしているのもファンベルトです。

つまり、ファンベルトがないとバッテリーに電気をためることができず、エンジンも動かすことができないのです。

役割③パワステ・エアコンコンプレッサーの作動

現在の車には、ハンドリングをサポートするパワステリング機構や夏場・冬場に活躍するエアコンが装備されていることも多くなっています。そして、これらのサポート・快適装備を正常に機能させているパワステポンプやエアコンコンプレッサーを動かすのも、ファンベルトの大切な役割の1つです。

なお、これらの補機を1本のベルトでつなぎ作動させていることもありますが、個別にパワステベルト・エアコンベルトと2または3本に分けエンジンとつなぎ、作動させている車も多数存在します。

また、一部の車種ではパワーステアリングやエアコンコンプレッサーが電動化されているので、これらのベルトが存在しないものもあります。

ファンベルトが故障した時の症状

ここまでの説明で、車のファンベルトがいかに重要な役割を果たしているかが理解できたでしょう。

続いては、そんなファンベルトが故障してしまった際に起こる症状を紹介します。

なお、以下で挙げていく症状は、ファンベルトに異常・故障が発生してからの時間経過に沿っています。

ハンドルが急に重くなる

パワステ機構とつながっているファンベルト(パワステベルト)が故障・断絶した場合、急激にハンドルが重くなるという症状が出ます。

特に、油圧式パワステを採用している車の場合は、ファンベルトが故障するとすぐ症状が現れるため、走行中に発生すると大変危険です。

一方、ベルト式の電動式パワステの場合は、ファンベルト断絶から若干のタイムラグがあるため対処しやすいです。発電・充電不良による電力不足を要因として、次第に同様の症状が出てきます。

なお、パワステつきの車がパワステが効かない時のハンドルは、元々パワステがついていない車の比ではないほど重くなるので注意しましょう。

エアコンが全く効かなくなる

真夏に窓を閉め切った車内は、とても人間が長時間耐えることができないほどの高温に達します。窓を全開にして走行すれば幾分マシにはなりますが、それでもエアコンは夏のドライブを快適に過ごす必需装備です。

そんなエアコンの内部に充填されている触媒ガス(エアコンガス)は、故障や漏れがなくても徐々に減っていくため、年数が経てば車のエアコンの効きは徐々に低下します。

しかし、エアコン連結側のファンベルトが故障し、コンプレッサーが停止してしまった場合は、ガスがいくらあっても循環しないため、急激にエアコン(冷却機能)が効かなくなります。

また、エアコン機構は非常にデリケートな部品でできており、ゴムであるファンベルトが突然切れてその衝撃が伝わると、不具合や破損を併発するかもしれません。そうなると、ファンベルトを新品に交換してもエアコンの不調が続くケースもあります。

エンジンがかからなくなる(バッテリー上がり)

ファンベルトに断絶や脱落などのトラブルが発生すると、エンジンの回転力が発電装置であるオルタネーターまでうまく伝わりません。すると、たちまち電力不足・充電不足が発生し、エンジンのかかりが悪くなったり、全くかからないバッテリー上がりの状態になってしまいます。

また、発電不足・充電不足の状態が長く続いた場合、オルタネーターやバッテリー、電装機器の寿命が短くなったり、オーディオやカーナビに保存している音源や地図データなどが消失してしまうといった可能性もあります。

エンジンがオーバーヒートする

ファンベルトが故障すると、エンジンを浸しているラジエーターの心臓ともいえるウォーターポンプが正常に動かなくなる、もしくは停止してしまいます。

その結果、エンジンの温度が異常に高くなるオーバーヒートが発生し、最悪の場合エンジンが焼き付いて故障・作動しなくなるかもしれません。

ただし、ファンベルトが仮に切れてウォーターポンプが完全に停止しても、冷却水が温まるまでは全くこの症状が出ないケースもあります。

とはいえ、その予兆を見逃しオーバーヒートやエンジンの焼け付きに至った場合、高熱に耐えかねた周辺パーツにまで被害が及んでしまうこともあります。

ファンベルトが故障する原因

消耗品とはいえ、今まで一度も走行中にファンベルトが故障した経験がないという方もいるでしょう。

その理由は、ファンベルトは他の精密な部品とは異なり、構造も材質も単純なため故障する原因がはっきりしています。そのため、点検と適切な交換で故障の可能性を大きく軽減できるからです。

つまり、ファンベルトが故障する原因を知っておけば、その芽を摘み取ったり、故障する前に整備工場などへ駆け込んだりすることもできます。

ここからは、ファンベルトが故障する主な原因と故障の予兆について詳しく説明していきます。

経年劣化と摩耗による断絶・脱落

ファンベルトはゴムでできている上、エンジンの稼働部品としては珍しく、その外部に取り付けられています。そのため、長年の使用による劣化や摩擦や熱による消耗が激しいのです。

結果として、徐々にひびや亀裂が入っていき、使い古した輪ゴムのように切れてしまったり、伸びてプーリーから外れてしまったりします。

こうなると、本来補機へ伝わるべきエンジンの回転力が全く伝わらなくなるため、それぞれの補機が正常に機能せず、様々な症状が出てきます。

異物の挟み込み

ファンベルトはエンジンルーム内とはいえ、むき出しの状態で常に稼働しています。そのため、経年劣化や摩耗に比べるとまれな例ですが、可動部分に砂利や太めの枯れ木などの異物が混入した場合、それを挟み込んで断絶・脱落することもあります。

そのため、異物が混入する可能性がある状況下(強風時など)では、できるだけボンネットを開けっ放しにしない ほうが良いでしょう。

また、日常点検などでボンネット内に異物が入り込んだ場合は、エンジンを止めて完全に熱が冷めるまで待つなど安全に留意した上で、異物を取り除くようにしてください。

また、冬場は猫などの小動物が暖かいエンジンルーム内に入り込んでしまうケースもあります。エンジンをかける前にドアを数回強めに開け閉めすると音と衝撃に驚いて飛び出してくることが多いです。後味が悪い思いをする前に、試してみると良いでしょう。

故障前の「予兆」を見逃さないことが大切

聞いたことがあるという方も多いかもしれませんが、ファンベルトは断絶や脱落といった決定的な故障を起こす前に、「キュルキュル」という異音が発生する場合があります。

また、ボンネットを開ければ状態を確認できるため、じっくりと注視すれば素人の目でも劣化のしるしであるひびや亀裂を見つけることも可能です。

さらに、オーバーヒートとその延長であるエンジンの焼き付きという最悪の症状が出る前に、水温計の上昇や警告灯の点灯、エンジンの不調や燃費低下などといった予兆が起こります。これらの予兆を事前に察知できれば、事態が悪化する前の段階で慌てずに対処できるでしょう。

ファンベルトが故障した時の対処法

どれだけ細かく点検したり、予兆を見逃さないように注意したりしても、ファンベルトが何の前触れもなく突然故障することもあります。

そこでここでは、ファンベルトが故障した時の対処法について紹介します。

故障直後は自走することも可能

故障した時の症状で紹介しましたが、ファンベルトが断絶・脱落してもしばらくの間は自力走行できることがほとんどです。ただし、パワステ機構が停止した場合、片手では思ったように運転できないほど急激にハンドルが重くなってしまいます。

また、充電・畜電系統に不具合が出てエンジンが止まり、再始動ができなくなるのも時間の問題です。そのため、何かしらの症状が出た場合は長距離・長時間の走行は控え、安全な停車場所までの避難や直近の整備工場までゆっくりと移動しましょう。

無理せずJAFやロードサービスを呼んだほうが安心

ファンベルトが故障すると、時間の経過とともに症状はひどくなっていきます。自然に回復することはほぼないため、まだ走れると考えるのではなく、基本的には速やかに運転を中止し、JAFやロードサービスに依頼したほうが無難です。

そして、ディーラーや行きつけの修理工場までレッカー車などで搬送してもらい、ファンベルトの点検と交換をしてもらいましょう。念のため関連部品に被害が及んでいないか、詳しく点検してもらっておくとより安心です。

ファンベルトの修理・交換費用の相場は?

最後に、ファンベルトが故障した際の修理・交換費用の相場を、被害が及んだ程度に合わせて紹介します。

ファンベルトのみの交換であればそれほど高額にはならない

ファンベルトはゴム製の単純な構造をしているため、部品自体はそれほど高くありません。

費用相場は依頼先と車種、ベルトの本数によってまちまちですが、工賃を含めても軽自動車で8,000~10,000円、乗用車で12,000~15,000円といったところでしょう。

ただし、故障後に無理な走行を続けたりすると補機やエンジン自体に被害が及び、修理費用が高額になる可能性もあります。最終段階といえるオーバーヒート後のエンジンの焼け付きとなった場合、焼け付きの程度と車種にもよりますが、30〜50万円という高額な修理費用がかかるケースも多々あります。

予兆を察知したら早めの整備・交換を!

ファンベルトは、劣化状態を肉眼で確認でき、予兆も比較的つかみやすいため、故障前に交換などの対策をとることが可能です。そして、決定的な故障が発生する前に交換しておけば、エンジンや補機に被害が及びにくい上、出先で急に車が動かなくなって困ってしまう心配も少なくて済みます。

ファンベルトの交換時間は、長くて1時間程度ではありますが、急な交換依頼の場合は部品の在庫がなく、部品到着まで数日を有することもあります。

一方、予兆の段階で交換依頼しておけば、余計な待ち時間をかけずに済むのでおすすめです。

まとめ

①ファンベルトとは、ほとんどの車に取り付けられているゴム製の輪状部品で、実は消耗品である

②ファンベルトは、エンジンの力を各補機に伝達する重要な役目を担っている

③ファンベルトと呼ばれているが、現在の車のファンは電動で、ベルトとつながっていないことも多い

④現在のファンベルトの具体的な役割は、エンジンの冷却、バッテリーの充電、パワステ・エアコンコンプレッサーの作動である

⑤ファンベルトが断絶・脱落すると、パワステやエアコンの冷却機能が全く効かなくなる

⑥放置しているとオーバーヒートやエンジンの焼き付きによってエンジンが停止・故障する

⑦ファンベルトが故障しても、しばらくは自走できることが多いため、緊急避難やスタンドなどへの駆け込みは可能

⑧時間の経過とともに状況は悪化するため、無理せずJAFやロードサービスを呼んだほうが安心

⑨ファンベルトの故障だけで済んだ場合は、修理・交換コストもそれほど高額にならないことが多い

⑩ファンベルトの異常を察知したら早めに整備・交換すべき

この記事の画像を見る

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ