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更新日:2022.11.27 / 掲載日:2022.11.27
ハンドルが重いのは故障?車のハンドルが重い原因と対処法について解説
運転している時にハンドルが重くなったように感じたことがある方もいるでしょう。ハンドルが重く感じるのは勘違いではなく、車が故障している可能性もあります。
いずれにしろ、ハンドルが重くて操作ミスが起こったなんてことになると一大事です。今回は、故障である場合とそうでない場合を含め、ハンドルが重くなる原因と対処法について解説していきます。
時速数十キロで走っている車のハンドルが重くなると事故につながる恐れもあるため、その原因が故障ならすぐに修理を行いましょう。ただ、ハンドルが重いと感じるのは、故障だけが原因ではありません。
ハンドルが重いといっても、なんとなく車の挙動がおかしいと感じるぐらいから、明らかにハンドルが重くなって操作不能に近い状態まで、「程度」に違いがあります。
そして、その程度の違いによって、何が原因でハンドルが重くなったのか目星をつけることができます。
しかし、なぜタイヤの空気圧が減ると、ハンドルが重いと感じることがあるのでしょう?
タイヤの空気圧が減っていると、ゴムがたわんで道路との設置面積が増えます。すると、道路からの受ける抵抗力(摩擦力)が増すため、同じようにハンドルを切ってもなんとなく重たく感じるのです。
また、タイヤにバルブ・ホイールの異常やパンクなどといったトラブルが発生していなくとも、時間が経てば自然に空気が少しずつ抜けていきます。このうちトラブルが要因である場合は、比較的急激に空気圧が下がるため、ハンドルの重さだけではなく見た目で異常を見つけることもあります。
一方、自然に抜けていく場合は、空気圧の低下を見た目だけで判断するのは困難です。ただし、観察眼や感覚が鋭ければ、ドライブフィーリングで気が付く方もいるでしょう。
ちなみに、症状が軽い(=タイヤの空気圧低下が原因)場合は、遠心力の関係で低速走行時にハンドルの重さを感じやすく、時間の経過とともに異音や振動などの症状がひどくなる傾向にあります。
また、パワステ機構の故障が原因である場合、遠心力によって本来車が曲がりやすいはずの高速走行時でも症状が顕著に表れます。
さらに、この場合は車内部の機械的な故障が原因であるため、タイヤのように見た目で異常もしくはその前兆を発見することは、一般ユーザーにはほぼ不可能です。そのため、何の前触れもなく急激に症状が現れることも多く、危険です。
また、ベテランドライバーの中には、重ステなどと呼ばれるパワステなしの車を運転した経験がある方もいるでしょう。しかし、パワステありの車が故障した時のハンドルの重さは、パワステなしの車の比ではないほどハンドルが重くなるので、注意してください。
ハンドルが重くなる原因が判明したところで、ここからは原因別の対処法について解説します。
まずは、タイヤが原因ではないかと考えられるケースでの対処法を症状が軽く対処しやすい順に整理していきます。
タイヤの適正空気圧は、運転席側のドアを開けたところか給油口の扉の内側に貼ってあるステッカーを見ればすぐに分かります。そのため、セルフスタンドなどに設置してある空気圧計付きエアタンクを借り、自分で適正値に合わせることができます。
もし、自分で合わせるのが難しい場合は、スタンドやカー用品店のスタッフに頼めば、無料で引き受けてくれるでしょう。
一方、釘などを踏んでパンクしている場合は、ディーラーや修理工場はもちろん、タイヤを販売しているお店であれば修理することができます。
ただし、タイヤに修理不能な異常(ビードの傷・変形など)がある場合はタイヤの交換、バルブやホイールが破損している場合はそれぞれの交換が必要になります。
ゴム製品であるタイヤは、経年劣化によってゴムに柔軟性がなくると動きが悪くなります。そしてグリップ性能やハンドリング性能が徐々に低下します。
古いスニーカーを履いてた時、走りにくいと感じた経験がある方もいるでしょう。それと同じように、古いタイヤを使い続けていると、適正空気圧に合わせていても、なんとなくハンドルが重いと感じる場合があるのです。
そんな中、タイヤメーカーは日々研究を進め、長期間使用してもゴムがへたりにくいタイヤを開発しています。そのため、発売直後の新品・新作タイヤに履き替えると、ハンドルの重さが改善したと感じるケースもあります。
次に、パワステ機構の故障でハンドルが急激に重くなった場合の対処法を見ていきましょう。
具体的には、まずハザードを点灯した上で、路肩や空き地・駐車場など安全な場所まで徐行移動しましょう。
その後、停止版や発煙筒で周りに車に異常発生と停車を知らせ、JAFやロードサービスに救援を依頼してください。
この時、車の中に残ったり追突や渋滞を避けようと後続車を誘導したりしようと思う方もいるかもしれませんが、車の近くに残っていると、二次事故が発生した際に巻き込まれてしまう恐れがあります。
車のことが気になる気持ちはよく分かりますが、こういった時は車から離れて一定の距離を保ち、プロの救援が来るまで見守っていたほうが安全です。
一方、パワステの故障が原因である場合、一般ユーザーが故障箇所を的確に判別し、復旧・修理することはまず不可能です。また、急激に症状が現れるケースも多いため、安全面を考えるとできるだけ自走するのは控えたほうがいいでしょう。
パワステと一言で言っても種類があり、その種類によって故障した箇所も修理方法も様々です。そのため、パワステが原因でハンドルが重くなった場合は、整備士が所属しているディーラーや修理工場において詳しい点検と修理を受けることになります。
ハンドリング操作をサポートするパワステ機構には、歴史的に古くから採用されている「油圧式」と2000年ごろから急速に普及した「電動式」の2種類があります。
どちらにも一長一短あるため、車の大きさやタイプ、車種や価格帯に応じて現在も使い分けられています。
そして、パワステ機構の種類によって故障しやすい部品や修理費用、修理に要する時間などが異なってきます。
構造的に単純なため、その歴史は古く、1950年代頃から車体の大きいアメ車を中心にその普及が進み、その後小型大衆車にも広がっていきました。
最大のメリットは製造コストを抑えられることですが、エンジンの力を利用しているため、燃費性能が悪化するという弱点もあります。また、近年開発が進んでいる予防安全技術や自動運転技術への応用が困難なため、現在は採用している車が減少傾向です。
ただし、自然なハンドル操作を楽しめることから、ドライビングプレジャーを追求する高級スポーツカーの中には、いまだに油圧式パワステをあえて採用しているケースも多々あります。
そのため、ファンベルトが経年劣化やトラブルで切れてしまうと、パワステポンプが停止し、たちまちハンドルのサポート機能も停止するでしょう。
パワステポンプ自体に不具合が生じ、うまくパワステオイルを圧送できなくなった場合も、パワステが効かなくなるもしくは効きが悪くなります。
さらに、機構内を巡っているパワステオイルが汚れて劣化している場合も、パワステのサポート機能が低下し、ハンドルが重いと感じることがあります。
加えて、配管の破損など漏れによってパワステオイルが不足した場合、ハンドルが重くなったり「ウィーン」と何かが空回りしているような異音が発生したりする場合があります。
車種によって異なりますが、それぞれ目安とした修理・交換費用を以下にまとめました。
・ベルト破損に伴う交換:5,000~10,000円
・パワステオイルポンプの故障:30,000~70,000円
・パワステオイルの交換:3,000~5,000円
・パワステフルードが漏れている:30,000~50,000円
1988年に世界で初めて採用したのが、日本のメーカーであるスズキでした。部品点数が少なく、軽量化が図れるというメリットを生かし、小型車・中型車を中心に世界中で普及しました。
電動式パワステ機構には、3つの種類があります。
・ステアリングシャフトの回転そのものをサポートする「コラムアシスト型」
・ステアリングシャフトの先についたピニオンギアの動きを補佐する「ピニオンアシスト型」
・ハンドルの回転方向の動きを左右方向へと変える、ラックというパーツをアシストする「ラックアシスト型」
いずれも、ハンドルがどれぐらいの力で切られたのかを感知するトルクセンサーがついています。そして、トルクセンサーがからの情報を受け取ったECU(エンジン・コントロール・ユニット)が、ハンドルをどの程度の力でサポートすれば良いかを決め、パワステ機構全体を制御しています。
そして、電動式パワステ機構が故障した際の修理費用の目安は以下となっており、いずれも油圧式パワステより割高です。
・電動モーターの故障に伴う交換:100,000~300,000円
・トルクセンサーの交換:20,000~35,000円
・ECU(コンピューター)の故障:50,000~100,000円
ただし、電気系統に原因がある場合は、不具合を起こしている箇所を究明し、適切な修理・部品交換などを行う必要があります。
なお、近年では油圧式と電動式の良いところどりをした「電動油圧式パワステ」も登場しました。しかし、機構が複雑で部品点数が多い分、製造コストが割高な上に故障する箇所も増えて修理に要する費用も高くなってしまいます。
ハンドルが重くなる原因がはっきりと分かれば、完全に予防できないままでも症状が出るのを遅らせることはできるでしょう。
そこで最後に、車のハンドルが重くなるのを予防・遅延する方法を紹介していきます。
ただし、正常なタイヤから空気が漏れていくスピードは非常にゆっくりです。1ヶ月に10~20kPa程度減っていくと言われています。(タイヤの適正空気圧は220~240kPa程度です。)
個人差はもちろんありますが、適正空気圧から1割空気が減ると、ハンドルが重く感じ始めると言われています。そのため、計算上1ヶ月に1度空気圧を点検し補充してあげれば、ハンドルが重くなる前に対処できるでしょう。
この時、タイヤにひびや傷などが入っていないか、残溝があるかなどを目視で確認しておくとより安心です。
また、ひびや傷がなくても空気が抜けるのが早い、1本だけ余計に減っているという時は、目に見えない不具合が隠れている場合もあります。そのため、タイヤショップやスタンドの店員さんに詳しく点検してもらうようにしましょう。
空気圧を高めに設定すると幾分タイヤが軽く感じる場合もあります。偏摩耗による寿命低下やグリップ力低下の要因となるので、高速道路走行時など一時的な場合を除き、適正に合わせるのがベストです。
また、一般ユーザーが故障の予兆を見つけることも困難です。そのため、法定点検や車検、他のメンテナンス実施時にでも、パワステの詳しい点検を依頼しておきましょう。
ただし、将来的に故障やトラブルを引き起こす種(オイルホースの劣化など)がもしあったとしても、パワステ機構が動いてさえいれば、定期点検や車検をそのまま通過する可能性もあります。そのため、パワステを見てもらうよう一声かけておいたほうが良いでしょう。
いずれにしろ、ハンドルが重くて操作ミスが起こったなんてことになると一大事です。今回は、故障である場合とそうでない場合を含め、ハンドルが重くなる原因と対処法について解説していきます。
この記事の目次
車のハンドルが重いと感じるのは故障が原因?
ハンドルが「重い」と表現していますが、ハンドルという部品の重量が突然増えてしまうなんてことはもちろんありえません。これは走行中に交差点やカーブに差し掛かって左右に曲がろうとハンドルを操作する際、いつもより力が必要になる状態を指します。時速数十キロで走っている車のハンドルが重くなると事故につながる恐れもあるため、その原因が故障ならすぐに修理を行いましょう。ただ、ハンドルが重いと感じるのは、故障だけが原因ではありません。
ハンドルが重いと感じる「程度」によって原因は異なる
そして、その程度の違いによって、何が原因でハンドルが重くなったのか目星をつけることができます。
いつもより少し重い気がする程度ならタイヤが原因かも
ハンドルがいつもより少しだけ重いけど、運転に大きな支障が出るほどではないのであれば、タイヤの空気圧が減っている可能性が高いです。しかし、なぜタイヤの空気圧が減ると、ハンドルが重いと感じることがあるのでしょう?
タイヤの空気圧が減っていると、ゴムがたわんで道路との設置面積が増えます。すると、道路からの受ける抵抗力(摩擦力)が増すため、同じようにハンドルを切ってもなんとなく重たく感じるのです。
また、タイヤにバルブ・ホイールの異常やパンクなどといったトラブルが発生していなくとも、時間が経てば自然に空気が少しずつ抜けていきます。このうちトラブルが要因である場合は、比較的急激に空気圧が下がるため、ハンドルの重さだけではなく見た目で異常を見つけることもあります。
一方、自然に抜けていく場合は、空気圧の低下を見た目だけで判断するのは困難です。ただし、観察眼や感覚が鋭ければ、ドライブフィーリングで気が付く方もいるでしょう。
ちなみに、症状が軽い(=タイヤの空気圧低下が原因)場合は、遠心力の関係で低速走行時にハンドルの重さを感じやすく、時間の経過とともに異音や振動などの症状がひどくなる傾向にあります。
急激にハンドルが重くなった時はパワーステアリングが故障している可能性大
片手ではカーブ走行が困難な時や正確に左右へ方向転換できない場合は、パワーステリアリング(以下パワステ)機構に何らかの異常・故障が発生しているケースが多くなってきます。また、パワステ機構の故障が原因である場合、遠心力によって本来車が曲がりやすいはずの高速走行時でも症状が顕著に表れます。
さらに、この場合は車内部の機械的な故障が原因であるため、タイヤのように見た目で異常もしくはその前兆を発見することは、一般ユーザーにはほぼ不可能です。そのため、何の前触れもなく急激に症状が現れることも多く、危険です。
また、ベテランドライバーの中には、重ステなどと呼ばれるパワステなしの車を運転した経験がある方もいるでしょう。しかし、パワステありの車が故障した時のハンドルの重さは、パワステなしの車の比ではないほどハンドルが重くなるので、注意してください。
タイヤが原因でハンドルが重い場合の対処法
まずは、タイヤが原因ではないかと考えられるケースでの対処法を症状が軽く対処しやすい順に整理していきます。
タイヤへの空気補充やパンク修理など
タイヤ自体もしくはホイールなどに異常がなく、時間経過で空気が自然に抜けただけであれば、ガソリンスタンドなどで適量の空気を補充することでハンドルの重さは軽減するでしょう。タイヤの適正空気圧は、運転席側のドアを開けたところか給油口の扉の内側に貼ってあるステッカーを見ればすぐに分かります。そのため、セルフスタンドなどに設置してある空気圧計付きエアタンクを借り、自分で適正値に合わせることができます。
もし、自分で合わせるのが難しい場合は、スタンドやカー用品店のスタッフに頼めば、無料で引き受けてくれるでしょう。
一方、釘などを踏んでパンクしている場合は、ディーラーや修理工場はもちろん、タイヤを販売しているお店であれば修理することができます。
ただし、タイヤに修理不能な異常(ビードの傷・変形など)がある場合はタイヤの交換、バルブやホイールが破損している場合はそれぞれの交換が必要になります。
新品のタイヤに交換するとハンドルが軽くなる可能性も
空気圧の減少ほど症状が顕著ではありませんが、その他にもタイヤが原因でハンドルが重く感じるケースがあります。ゴム製品であるタイヤは、経年劣化によってゴムに柔軟性がなくると動きが悪くなります。そしてグリップ性能やハンドリング性能が徐々に低下します。
古いスニーカーを履いてた時、走りにくいと感じた経験がある方もいるでしょう。それと同じように、古いタイヤを使い続けていると、適正空気圧に合わせていても、なんとなくハンドルが重いと感じる場合があるのです。
そんな中、タイヤメーカーは日々研究を進め、長期間使用してもゴムがへたりにくいタイヤを開発しています。そのため、発売直後の新品・新作タイヤに履き替えると、ハンドルの重さが改善したと感じるケースもあります。
パワーステアリング機構の故障でハンドルが急激に重くなった場合の対処法
直ちに運転をやめて安全を確保するのが先決
パワステ機構の故障やトラブルでハンドルが重くなった場合は、症状が重く、まともに運転できない状態になりかねません。また、前述した通り前触れもなく突然発生するケースもあるため、事故防止と二次被害の回避が最優先となってきます。具体的には、まずハザードを点灯した上で、路肩や空き地・駐車場など安全な場所まで徐行移動しましょう。
その後、停止版や発煙筒で周りに車に異常発生と停車を知らせ、JAFやロードサービスに救援を依頼してください。
この時、車の中に残ったり追突や渋滞を避けようと後続車を誘導したりしようと思う方もいるかもしれませんが、車の近くに残っていると、二次事故が発生した際に巻き込まれてしまう恐れがあります。
車のことが気になる気持ちはよく分かりますが、こういった時は車から離れて一定の距離を保ち、プロの救援が来るまで見守っていたほうが安全です。
ディーラーや修理工場で点検と修理を受ける
タイヤが原因でハンドルが重いと感じた場合は、自分で対処し状態を改善することも十分可能です。また、ハンドルが重いと感じた直後は症状も軽く時間をかけて進行するため、自走してガソリンスタンドなどに駆け込むこともできるでしょう。一方、パワステの故障が原因である場合、一般ユーザーが故障箇所を的確に判別し、復旧・修理することはまず不可能です。また、急激に症状が現れるケースも多いため、安全面を考えるとできるだけ自走するのは控えたほうがいいでしょう。
パワステと一言で言っても種類があり、その種類によって故障した箇所も修理方法も様々です。そのため、パワステが原因でハンドルが重くなった場合は、整備士が所属しているディーラーや修理工場において詳しい点検と修理を受けることになります。
パワーステアリング機構の種類によって故障部品と修理費用は異なる
どちらにも一長一短あるため、車の大きさやタイプ、車種や価格帯に応じて現在も使い分けられています。
そして、パワステ機構の種類によって故障しやすい部品や修理費用、修理に要する時間などが異なってきます。
油圧式パワーステアリング機構の仕組み
油圧式パワステ機構は、エンジンで駆動するオイルポンプが発生する油圧を利用し、ステアリングの動きをサポートするシステムです。構造的に単純なため、その歴史は古く、1950年代頃から車体の大きいアメ車を中心にその普及が進み、その後小型大衆車にも広がっていきました。
最大のメリットは製造コストを抑えられることですが、エンジンの力を利用しているため、燃費性能が悪化するという弱点もあります。また、近年開発が進んでいる予防安全技術や自動運転技術への応用が困難なため、現在は採用している車が減少傾向です。
ただし、自然なハンドル操作を楽しめることから、ドライビングプレジャーを追求する高級スポーツカーの中には、いまだに油圧式パワステをあえて採用しているケースも多々あります。
故障が考えられる部品と修理費用の目安
油圧式パワステ機構の心臓と言えるパワステポンプは、ファンベルト(またはパワステベルト)を通じ、エンジンから力を借りて動いています。そのため、ファンベルトが経年劣化やトラブルで切れてしまうと、パワステポンプが停止し、たちまちハンドルのサポート機能も停止するでしょう。
パワステポンプ自体に不具合が生じ、うまくパワステオイルを圧送できなくなった場合も、パワステが効かなくなるもしくは効きが悪くなります。
さらに、機構内を巡っているパワステオイルが汚れて劣化している場合も、パワステのサポート機能が低下し、ハンドルが重いと感じることがあります。
加えて、配管の破損など漏れによってパワステオイルが不足した場合、ハンドルが重くなったり「ウィーン」と何かが空回りしているような異音が発生したりする場合があります。
車種によって異なりますが、それぞれ目安とした修理・交換費用を以下にまとめました。
・ベルト破損に伴う交換:5,000~10,000円
・パワステオイルポンプの故障:30,000~70,000円
・パワステオイルの交換:3,000~5,000円
・パワステフルードが漏れている:30,000~50,000円
電動式パワーステアリング機構の仕組み
電動式パワステ機構は、名前の通り電気の力で動くモーターによってステアリングをサポートする技術です。1988年に世界で初めて採用したのが、日本のメーカーであるスズキでした。部品点数が少なく、軽量化が図れるというメリットを生かし、小型車・中型車を中心に世界中で普及しました。
電動式パワステ機構には、3つの種類があります。
・ステアリングシャフトの回転そのものをサポートする「コラムアシスト型」
・ステアリングシャフトの先についたピニオンギアの動きを補佐する「ピニオンアシスト型」
・ハンドルの回転方向の動きを左右方向へと変える、ラックというパーツをアシストする「ラックアシスト型」
いずれも、ハンドルがどれぐらいの力で切られたのかを感知するトルクセンサーがついています。そして、トルクセンサーがからの情報を受け取ったECU(エンジン・コントロール・ユニット)が、ハンドルをどの程度の力でサポートすれば良いかを決め、パワステ機構全体を制御しています。
故障が考えられる部品と修理費用の目安
電動モーター・トルクセンサー‐・ECUのいずれかに不具合が出るとパワステは効かなくなります。また、電動であるが故にバッテリー上がりなど電気系トラブルが発生すると、作動不良(ハンドルが重くなる)を起こす可能性が高くなります。そして、電動式パワステ機構が故障した際の修理費用の目安は以下となっており、いずれも油圧式パワステより割高です。
・電動モーターの故障に伴う交換:100,000~300,000円
・トルクセンサーの交換:20,000~35,000円
・ECU(コンピューター)の故障:50,000~100,000円
ただし、電気系統に原因がある場合は、不具合を起こしている箇所を究明し、適切な修理・部品交換などを行う必要があります。
なお、近年では油圧式と電動式の良いところどりをした「電動油圧式パワステ」も登場しました。しかし、機構が複雑で部品点数が多い分、製造コストが割高な上に故障する箇所も増えて修理に要する費用も高くなってしまいます。
車のハンドルが重くなるのを予防・遅延する方法
そこで最後に、車のハンドルが重くなるのを予防・遅延する方法を紹介していきます。
タイヤの状態を常に適正に保つ
タイヤの空気圧は、パンクや関連パーツの損傷がなくても自然に低下するので、定期的に点検し補充するよう心掛けましょう。ただし、正常なタイヤから空気が漏れていくスピードは非常にゆっくりです。1ヶ月に10~20kPa程度減っていくと言われています。(タイヤの適正空気圧は220~240kPa程度です。)
個人差はもちろんありますが、適正空気圧から1割空気が減ると、ハンドルが重く感じ始めると言われています。そのため、計算上1ヶ月に1度空気圧を点検し補充してあげれば、ハンドルが重くなる前に対処できるでしょう。
この時、タイヤにひびや傷などが入っていないか、残溝があるかなどを目視で確認しておくとより安心です。
また、ひびや傷がなくても空気が抜けるのが早い、1本だけ余計に減っているという時は、目に見えない不具合が隠れている場合もあります。そのため、タイヤショップやスタンドの店員さんに詳しく点検してもらうようにしましょう。
空気圧を高めに設定すると幾分タイヤが軽く感じる場合もあります。偏摩耗による寿命低下やグリップ力低下の要因となるので、高速道路走行時など一時的な場合を除き、適正に合わせるのがベストです。
パワステ機構の定期的な点検を受ける
常に路面と接地し、熱や摩擦にさらされているタイヤと比較すると、油圧式であれ電動式であれ、パワステ機構の故障・トラブルはそう頻繁に発生するものではありません。また、一般ユーザーが故障の予兆を見つけることも困難です。そのため、法定点検や車検、他のメンテナンス実施時にでも、パワステの詳しい点検を依頼しておきましょう。
ただし、将来的に故障やトラブルを引き起こす種(オイルホースの劣化など)がもしあったとしても、パワステ機構が動いてさえいれば、定期点検や車検をそのまま通過する可能性もあります。そのため、パワステを見てもらうよう一声かけておいたほうが良いでしょう。
まとめ
①ハンドルが重いと感じる程度によってその原因は異なる
②程度が軽度の場合は、タイヤの空気圧の低下やパンクなどの異常が原因であることが多い
③程度が重度で急激な場合は、パワステ機構の故障・トラブルが考えられる
④タイヤの異常が原因である場合、空気圧の補充やパンク修理などで改善する場合が多い
⑤タイヤが古い場合は、新品に交換することでハンドリング性能が向上するケースもある
⑥パワステ機構が故障しハンドルが重くなった時は、直ちに運転をやめ、プロの救援と点検・修理などを依頼すべき
⑦パワステ機構には油圧式と電動式があり、それぞれ故障原因と修理コストが異なる
⑧ハンドルが重くなるのを予防・遅延するには、まずはタイヤの状態を適正に保つことが大切
⑨パワステ機構の適時・適切な点検とメンテナンスを実施しておけば、より重大な故障へつながるリスクが減るので安心
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