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更新日:2023.07.11 / 掲載日:2022.11.29
車が故障した時に役立つニュートラルギアとは?その役割や使い方を解説
車のニュートラルギアについて、あまり意識したことがないという方も多いでしょう。普段はあまり使わないギアですが、実は車が故障した時に役に立ちます。
駐車中ならまだいいのですが、走行中や路上で車が故障すれば危険回避や安全確保に注意しなければなりません。そんな時こそニュートラルギアの出番です。
ここでは、ニュートラルギアの役割や適切・不適切な使用方法、さらに使用時の注意点などを解説します。
MT車の場合は、ギアチェンジをする際のレバーのスタート地点、あるいは中継地点というイメージがあるでしょう。しかし、AT車の場合は、いまいちニュートラルギアの用途や存在意義が分からないというドライバーも多いかもしれません。
ニュートラルギアの使い道は、一言で言えば「緊急時の危険回避」です。以下では、そもそもギアをニュートラルに入れた状態とはどんな状態なのかということも含めて、適切な使い方と注意点を解説していきます。

まず、車のニュートラルギアとは何なのか、ギアをニュートラルに入れると車はどのような状態になるのかを詳しく説明していきます。
AT車なら、D(ドライブ)レンジでもP(パーキング)レンジでもない、MT車ならローギアからオーバートップギア、バックギアのいずれでもない状態です。
ニュートラルの状態だと、エンジンの動力からギアが完全に離れているので、いくらエンジンを回しても車が動くことはありません。このように、前進・後退いずれにも属さない「中立状態」がニュートラルです。
車が動かなくなるギアといえばP(パーキング)もありますが、これはギアをロックすることで積極的に車を停止させるものです。一方、ニュートラルの状態は「アクセルを踏んでも車が動かない」という、消極的な意味で車の動きを止めるものだと言えるでしょう。
ニュートラルの状態だとタイヤに動力が伝わらないため、平地の場合は前進・後退のいずれもできないということです。一方、坂道では、ブレーキがかかっていないと傾斜のある方向にひとりでに進んでいくので大変危険です。
ニュートラルギアはこのように、車を手動で動かす必要が生じた際に使えます。あくまでも緊急用と考えて、普通の駐車をする場合はPギアに入れて、AT車ならパーキングブレーキを、MT車ならサイドブレーキを使うことになるでしょう。
また、信号待ちでPギアやニュートラルギアを使うというやり方もあります。しかし、この場合はDギアに入れてフットブレーキを使うのが基本です。
クリープ現象とは、アイドリング状態にあるAT車がPギアかニュートラル以外の状態の時、ブレーキから足を離すと数キロ程度の速度で前進・後退する現象です。
例えば、Dギアに入れている状態で停止中にブレーキを踏むのをやめると、車は少しずつ前進します。しかし、車の停止中にブレーキを踏み続けるのを好まないドライバーもおり、車が動かないようにPギアやニュートラルにするケースもあります。
こうすると、停車中にブレーキを踏む必要がないため、確かに楽かもしれませんが、ニュートラルだと傾斜がある道路では車が勝手に動きます。また、Pギアの場合は咄嗟の発進ができないので注意が必要です。
また、坂道であればニュートラルの使用はむしろ危険なので、緊急時以外は使用しないようにしましょう。

ここまでで、車のギアをニュートラルに入れることでどんな状態になるのか、どのような使い道があるのかを大まかに説明しました。
次は、より具体的にニュートラルはどのような状況下で使うと効果を発揮するのかを解説していきます。
このような状況でエンジンをかけてアクセルを踏んでも車が動かない場合、Dギアに入ったままの状態だと車は動きません。ギアが離れているニュートラルの状態にすることで、人の力でも車を動かすことができるようになります。
事故などで故障した車両を移動させる場合、レッカー移動であれ牽引するので、ニュートラルギアを入れることでタイヤを引きずることなく簡単に動かせます。
つまり、ニュートラルギアはこのような緊急時に使えるということです。万が一、走行中に車が故障した場合に備えて、使い方を覚えておくと便利です。
なお、高速道路を走行中に故障した場合は手で押したりしている余裕はないので、車を安全な場所に停めたらすぐに避難して救援を呼ぶようにしてください。
なぜなら、ニュートラルの場合、坂道や何かの拍子でタイヤが勝手に動き出す恐れがあるからです。また、エンジンをかけたままニュートラルにするとギアが過熱して焼き付くこともあります。Pギアならこうしたデメリットはありません。
これは、ニュートラルの状態でハンドブレーキを引き、車に少しだけ抵抗が残っている状態でウインチするというものです。すると、ウインチ本体のロープがねじれることなくきれいに巻き直すことが可能になります。
最近はウインチも多くのものが電動化されているので、エンジンをかける必要はないと思うかもしれません。しかし、電動ウインチで使われる電力は非常に大きいので、アイドリングはしておいたほうがいいでしょう。
そういった観点で考えれば、AT車はMT車に比べてニュートラルの必要性が低く感じられるかも知れません。しかし、MT車のドライバーならニュートラルの重要性は当たり前と言っても過言ではないでしょう。
このような状況に陥ったら、ギアをニュートラルにして、タイヤを車の駆動力から切り離してしまいましょう。すると惰性だけで進む形となり、次第にスピードが落ちてくるので、あとはブレーキを踏み続ければいずれは停止できます。
渋滞でブレーキを踏み続けるのが億劫でも、ニュートラルにするよりはPギアに入れたほうが車には優しいと言えますが、咄嗟の危険回避のことを考えると、いざという時にすぐに車を動かせるDギアが最も安全だと言えます。

ここまでで、車のギアをニュートラルに入れるケースとしてどのような場合が考えられるか、ニュートラルギアはどんな状況下で役に立つのかを紹介しました。
次に、ニュートラルギアを使用する場合の注意点を解説していきます。
その理由は、ATF(オートマチックフルード)というオイルによるギアの冷却ができなくなるからです。
ATFは、エンジンとギアに関する様々な働きをしており、その重要な役割のひとつがギアの冷却です。車を動かしているとギアが熱を持ちますが、ATFはその熱を受け取り、オイルクーラーという場所で冷却しています。
しかし、ギアがニュートラルのままだとギアが離れた状態になってしまうため、ATFによる冷却のサイクルが阻害されてしまいます。そうすると、ギアをはじめエンジンの焼き付きにつながり、修理が必要になるかもしれません。
特にAT車は設計上、頻繁にギアチェンジを行うことを想定していません。燃費向上などを目的にいちいちニュートラルにすると、車そのものがおかしくなる恐れがあります。
また、AT車の頻繁なギアチェンジは、安全面でも問題があります。誤ってバックギアに入ってしまうかもしれません。後続車が追突しそうになった場合などの急発進ができないので、危険回避のためにも停車中はDギアに入れたままでブレーキを踏み続けている状態を保つのがベストです。
その理由は、ニュートラルの状態であってもエンジンが止まっているわけではないからです。動力がタイヤに伝わっていないというだけで、エンジンそのものはアイドリング状態にあり、燃料は通常通り消費されています。
むしろ下り坂では、Dギアに入れたほうがギアとエンジンが正常につながっているので、エンジンブレーキがかかります。エンジンの動きも抑制されるため、状況によってはアイドリング状態でニュートラルにしているよりも燃料の節約になると言えるでしょう。
また、ニュートラル状態での自由落下は安全面でも問題があります。通常はエンジンブレーキによる自動でのスピード調整が行われていますが、ニュートラルの場合はブレーキをかけにくくなることもあるので危険だとされています。
フットブレーキを多用すると、ブレーキパッドのゴムなどが焼け付く「フェード現象」や、ブレーキフルードが熱を持つ「ペーパーロック現象」が発生し、ブレーキが利かなくなる恐れがあります。実際これによる大事故も起きているので、注意してください。
これ自体は異常ではないものの、車が動かないのにエンジンだけに負荷がかかってしまうので、燃料の浪費となります。
空ぶかし自体は、プロが車両の整備や点検する中で行われることもありますが、それはエンジンに不具合が起きていないかなどを確認するものです。逆に言えば、それ以外に空ぶかしによるメリットはありません。
ATFはAT車専用のミッションオイルの一種です。動力の伝達や部品の潤滑、シフト制御にトランスミッションの洗浄などの役割を担っています。
中でもギアの冷却は非常に重要で、あまり頻繁に、あるいは長時間ニュートラルを使用すると、この冷却機能が働かなくなってしまいます。
また、問題なのはニュートラルそのものばかりではありません。信号待ちなどで停車するたびに頻繁にギアチェンジを行っていると、それだけでトランスミッションに負担がかかり故障しやすくなります。
急発進や急加速、それに頻繁なギアチェンジなどの癖があるドライバーは、それだけでトランスミッションが故障する可能性が高まりますので、注意しましょう。
例えば、アイドリングしている際の燃料の噴射量が少ない車種であれば、ニュートラルにすることで燃費向上につながるでしょう。
また、電気自動車の中には、ニュートラルにして惰性で走行することで、航続距離を延ばすこと(コースティング走行)が可能なものもあります。
ただし、いずれも自動的な動作なので、ドライバーが走行時に手動でニュートラルに切り替えるのは、安全面から見ても避けたほうが無難です。
これは、電気系統の故障が原因です。手動でDに切り替えれば、一先ず問題はないですが、早めに修理してもらいましょう。
このようなトラブルは、レンジの位置を感知する電気式のシフトレバーが、経年劣化などによって故障したことが原因です。ニュートラルの電圧を感知することで、シフトチェンジが勝手に行われてしまいます。
駐車中ならまだいいのですが、走行中や路上で車が故障すれば危険回避や安全確保に注意しなければなりません。そんな時こそニュートラルギアの出番です。
ここでは、ニュートラルギアの役割や適切・不適切な使用方法、さらに使用時の注意点などを解説します。
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車のニュートラルギアの使い方と注意点について
MT車にもAT車にも、ニュートラルギアがあります。MT車の場合は、ギアチェンジをする際のレバーのスタート地点、あるいは中継地点というイメージがあるでしょう。しかし、AT車の場合は、いまいちニュートラルギアの用途や存在意義が分からないというドライバーも多いかもしれません。
ニュートラルギアの使い道は、一言で言えば「緊急時の危険回避」です。以下では、そもそもギアをニュートラルに入れた状態とはどんな状態なのかということも含めて、適切な使い方と注意点を解説していきます。
ニュートラルギアとは?

「ニュートラル」とはどんな状態のこと?
ニュートラル(neutral)は、「中立」「中間」という意味があります。そのため、車の場合は、どのギアにも入っていない状態のことを指します。AT車なら、D(ドライブ)レンジでもP(パーキング)レンジでもない、MT車ならローギアからオーバートップギア、バックギアのいずれでもない状態です。
ニュートラルの状態だと、エンジンの動力からギアが完全に離れているので、いくらエンジンを回しても車が動くことはありません。このように、前進・後退いずれにも属さない「中立状態」がニュートラルです。
車が動かなくなるギアといえばP(パーキング)もありますが、これはギアをロックすることで積極的に車を停止させるものです。一方、ニュートラルの状態は「アクセルを踏んでも車が動かない」という、消極的な意味で車の動きを止めるものだと言えるでしょう。
ニュートラルの状態だとタイヤに動力が伝わらないため、平地の場合は前進・後退のいずれもできないということです。一方、坂道では、ブレーキがかかっていないと傾斜のある方向にひとりでに進んでいくので大変危険です。
ニュートラルギアの使い方
前述した通り、車がニュートラルの状態の時はどのギアにも入っていません。動かないといっても車両の前後から車を押せば動きますし、レッカー移動や牽引を行う時もスムーズに動かすことができます。ニュートラルギアはこのように、車を手動で動かす必要が生じた際に使えます。あくまでも緊急用と考えて、普通の駐車をする場合はPギアに入れて、AT車ならパーキングブレーキを、MT車ならサイドブレーキを使うことになるでしょう。
また、信号待ちでPギアやニュートラルギアを使うというやり方もあります。しかし、この場合はDギアに入れてフットブレーキを使うのが基本です。
クリープ現象の抑制には効果あり
その他のニュートラルギアの使い道としては、AT車を運転している際、停止中にブレーキから足を離すと車両がひとりでに前進・後退する「クリープ現象」を抑制することが挙げられます。クリープ現象とは、アイドリング状態にあるAT車がPギアかニュートラル以外の状態の時、ブレーキから足を離すと数キロ程度の速度で前進・後退する現象です。
例えば、Dギアに入れている状態で停止中にブレーキを踏むのをやめると、車は少しずつ前進します。しかし、車の停止中にブレーキを踏み続けるのを好まないドライバーもおり、車が動かないようにPギアやニュートラルにするケースもあります。
こうすると、停車中にブレーキを踏む必要がないため、確かに楽かもしれませんが、ニュートラルだと傾斜がある道路では車が勝手に動きます。また、Pギアの場合は咄嗟の発進ができないので注意が必要です。
ニュートラルギアで燃費向上?
簡単にまとめますが、車のニュートラルのギアそのものには、燃費向上の機能や効果はほとんどありません。クリープ現象を抑制することで多少は燃費の節約になりますが、ギアの破損にもつながります。また、坂道であればニュートラルの使用はむしろ危険なので、緊急時以外は使用しないようにしましょう。
ニュートラルはいつ使うの?

次は、より具体的にニュートラルはどのような状況下で使うと効果を発揮するのかを解説していきます。
立ち往生したとき
ニュートラルギアの使い道は、危険な場所(例えば線路など)で車が故障して立ち往生したり、縁石に乗り上げてしまった車両を動かしたりする時に使えます。このような状況でエンジンをかけてアクセルを踏んでも車が動かない場合、Dギアに入ったままの状態だと車は動きません。ギアが離れているニュートラルの状態にすることで、人の力でも車を動かすことができるようになります。
車を牽引するとき
車が故障して動かなくなった場合、ニュートラルであれば人の力でも動かせます。ニュートラル以外だとギアが噛んでいてタイヤの回転に抵抗がかかりますが、それがないためです。事故などで故障した車両を移動させる場合、レッカー移動であれ牽引するので、ニュートラルギアを入れることでタイヤを引きずることなく簡単に動かせます。
つまり、ニュートラルギアはこのような緊急時に使えるということです。万が一、走行中に車が故障した場合に備えて、使い方を覚えておくと便利です。
なお、高速道路を走行中に故障した場合は手で押したりしている余裕はないので、車を安全な場所に停めたらすぐに避難して救援を呼ぶようにしてください。
アイドリング時
車のアイドリング時に、ギアをPギアに入れるかニュートラルに入れるかは、人によって異なります。いずれのギアでも車が動かないという点は同じですが、細かいメリット・デメリットで言えば、アイドリング時はPギアに入れるのがベストです。なぜなら、ニュートラルの場合、坂道や何かの拍子でタイヤが勝手に動き出す恐れがあるからです。また、エンジンをかけたままニュートラルにするとギアが過熱して焼き付くこともあります。Pギアならこうしたデメリットはありません。
マスター巻きを行うとき
やや特殊なケースですが、ニュートラルは「マスター巻き」というウインチを使った作業を行う際にも使えます。これは、ニュートラルの状態でハンドブレーキを引き、車に少しだけ抵抗が残っている状態でウインチするというものです。すると、ウインチ本体のロープがねじれることなくきれいに巻き直すことが可能になります。
最近はウインチも多くのものが電動化されているので、エンジンをかける必要はないと思うかもしれません。しかし、電動ウインチで使われる電力は非常に大きいので、アイドリングはしておいたほうがいいでしょう。
MT車の場合
MT車の場合、ニュートラルはローへのギアチェンジを行うためのスタート地点でもあります。ニュートラルの位置からスタートしないでいきなりローの状態でエンジンをかけると、ギアが破損することもあるため、MT車の場合はニュートラルは重要です。そういった観点で考えれば、AT車はMT車に比べてニュートラルの必要性が低く感じられるかも知れません。しかし、MT車のドライバーならニュートラルの重要性は当たり前と言っても過言ではないでしょう。
その他、トラブル時の使用
ニュートラルは、車の動力を節約するためにも使える場合があります。例えば、走行中にスロットルが閉じない、アクセルペダルが戻らないなどのトラブルが生じて、エンジンの回転数が下がらなくなった場合です。このような状況に陥ったら、ギアをニュートラルにして、タイヤを車の駆動力から切り離してしまいましょう。すると惰性だけで進む形となり、次第にスピードが落ちてくるので、あとはブレーキを踏み続ければいずれは停止できます。
渋滞時には使えるか?
渋滞で車がずっと停車している状況で、ブレーキを踏み続けるのを避けるためにニュートラルにする方もいるでしょう。しかし、エンジンがかかっている状態でニュートラルにすると、ギアが焼き付いて故障しやすくなります。渋滞でブレーキを踏み続けるのが億劫でも、ニュートラルにするよりはPギアに入れたほうが車には優しいと言えますが、咄嗟の危険回避のことを考えると、いざという時にすぐに車を動かせるDギアが最も安全だと言えます。
ニュートラルを使う場合の注意点

次に、ニュートラルギアを使用する場合の注意点を解説していきます。
頻繁な使用は故障につながる
AT車の場合、ニュートラルギアを頻繁に使うとギアに負担がかかり、最悪の場合焼き付いてしまいます。その理由は、ATF(オートマチックフルード)というオイルによるギアの冷却ができなくなるからです。
ATFは、エンジンとギアに関する様々な働きをしており、その重要な役割のひとつがギアの冷却です。車を動かしているとギアが熱を持ちますが、ATFはその熱を受け取り、オイルクーラーという場所で冷却しています。
しかし、ギアがニュートラルのままだとギアが離れた状態になってしまうため、ATFによる冷却のサイクルが阻害されてしまいます。そうすると、ギアをはじめエンジンの焼き付きにつながり、修理が必要になるかもしれません。
ブレーキはかけておこう
ニュートラルはどのギアにも入っておらず、傾斜がある場所ではタイヤが勝手に動きます。坂道などでニュートラルにする場合は必ずフットブレーキを踏んでおくか、サイドブレーキを引いておきましょう。頻繁にギアチェンジをしない
走行中、あまり頻繁にニュートラルへのギアチェンジを行うと、車の損傷につながります。特にAT車は設計上、頻繁にギアチェンジを行うことを想定していません。燃費向上などを目的にいちいちニュートラルにすると、車そのものがおかしくなる恐れがあります。
また、AT車の頻繁なギアチェンジは、安全面でも問題があります。誤ってバックギアに入ってしまうかもしれません。後続車が追突しそうになった場合などの急発進ができないので、危険回避のためにも停車中はDギアに入れたままでブレーキを踏み続けている状態を保つのがベストです。
坂道で燃費はよくならない
坂道を下る際、ギアをニュートラルにすることで燃費向上につながるという説がありますが、これは誤りです。下り坂でニュートラルを使用して、いわば自由落下に任せた状態にしても燃費に関するメリットはありません。その理由は、ニュートラルの状態であってもエンジンが止まっているわけではないからです。動力がタイヤに伝わっていないというだけで、エンジンそのものはアイドリング状態にあり、燃料は通常通り消費されています。
むしろ下り坂では、Dギアに入れたほうがギアとエンジンが正常につながっているので、エンジンブレーキがかかります。エンジンの動きも抑制されるため、状況によってはアイドリング状態でニュートラルにしているよりも燃料の節約になると言えるでしょう。
また、ニュートラル状態での自由落下は安全面でも問題があります。通常はエンジンブレーキによる自動でのスピード調整が行われていますが、ニュートラルの場合はブレーキをかけにくくなることもあるので危険だとされています。
フットブレーキを多用しない
下り坂を走行中にニュートラルにするのが危険なことは前述しましたが、その理由は他にもあります。それは、速度調整が全てフットブレーキ頼みになるからです。フットブレーキを多用すると、ブレーキパッドのゴムなどが焼け付く「フェード現象」や、ブレーキフルードが熱を持つ「ペーパーロック現象」が発生し、ブレーキが利かなくなる恐れがあります。実際これによる大事故も起きているので、注意してください。
「空ぶかし」はしない
ギアをニュートラルに入れた状態でアクセルを踏むと、エンジンが空回りしたような音を立てます。いわゆる空ぶかしです。これ自体は異常ではないものの、車が動かないのにエンジンだけに負荷がかかってしまうので、燃料の浪費となります。
空ぶかし自体は、プロが車両の整備や点検する中で行われることもありますが、それはエンジンに不具合が起きていないかなどを確認するものです。逆に言えば、それ以外に空ぶかしによるメリットはありません。
停車時はDギアに入れる
ここまで何度か説明した通り、信号待ちなどで車を停めている際、Pやニュートラルのギアに入れると、ギアが破損する恐れがあります。先述したATF(オートマチックフルード)による冷却ができなくなり、ギアやエンジンの焼き付き・故障などに発展する恐れがあります。ATFはAT車専用のミッションオイルの一種です。動力の伝達や部品の潤滑、シフト制御にトランスミッションの洗浄などの役割を担っています。
中でもギアの冷却は非常に重要で、あまり頻繁に、あるいは長時間ニュートラルを使用すると、この冷却機能が働かなくなってしまいます。
また、問題なのはニュートラルそのものばかりではありません。信号待ちなどで停車するたびに頻繁にギアチェンジを行っていると、それだけでトランスミッションに負担がかかり故障しやすくなります。
急発進や急加速、それに頻繁なギアチェンジなどの癖があるドライバーは、それだけでトランスミッションが故障する可能性が高まりますので、注意しましょう。
自動でニュートラルになる車もある
最近の自動車の中には、特定の条件下で、ニュートラルの状態に自動的にスイッチするものもあります。例えば、アイドリングしている際の燃料の噴射量が少ない車種であれば、ニュートラルにすることで燃費向上につながるでしょう。
また、電気自動車の中には、ニュートラルにして惰性で走行することで、航続距離を延ばすこと(コースティング走行)が可能なものもあります。
ただし、いずれも自動的な動作なので、ドライバーが走行時に手動でニュートラルに切り替えるのは、安全面から見ても避けたほうが無難です。
稀に勝手にニュートラルになる故障もある
これは稀な例ですが、一部の車種で、走行中にひとりでにDギアからニュートラルに切り替わるというトラブルが発生することがあります。これは、電気系統の故障が原因です。手動でDに切り替えれば、一先ず問題はないですが、早めに修理してもらいましょう。
このようなトラブルは、レンジの位置を感知する電気式のシフトレバーが、経年劣化などによって故障したことが原因です。ニュートラルの電圧を感知することで、シフトチェンジが勝手に行われてしまいます。
まとめ
①車のニュートラルは、タイヤに動力が伝わらない状態
②ニュートラル状態にすると平地では前進も後進もしないが、坂道では勝手に進むので危険
③立ち往生した車を人力で動かす場合や、レッカー移動する場合などに使える
④ニュートラルを使っただけでは車は故障しないが、頻繁に使うとギアが焼き付く可能性もある
⑤ニュートラルにしても燃費向上にはならない
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