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更新日:2023.01.30 / 掲載日:2023.01.30
車のクラクションが故障したらどうする?故障の原因や対処法を解説
クラクションの故障には、部品や配線など様々な要因があります。
この記事では、クラクションの構造を踏まえ、不具合の原因や対処法について詳しく説明していきます。

クラクションは、むやみに鳴らしてはいけません。クラクションは「警音器」と呼ばれ、法律により危険を回避する場合のみ鳴らすことを許されています。
道路運送車両法の保安基準からも、警音器の音量と音色について決めごとがあります。
・音量の基準
車両前方7mで測定し、93dB以上112dB以下でなければいけない。
・音色の基準
音が連続して鳴り、音色が一定であること。
音色が自動で変化したり途切れたり、運転席で自在に音を変えたりするクラクションは車検に通りません。
また、ステアリングのホーンパッドにホーンマークの表示が無いと車検には通りませんので、クラクションの交換やステアリングの交換をする際には、注意が必要です。
ここからは、このクラクションの構造や仕組み、種類などについて詳しく説明していきます。

クラクションにはいくつかの種類があります。ここでは、一般的に多く採用されている「平型クラクション」の構造について説明しましょう。
平型クラクションは、「電気を流すコイルと接点」と「バネの役目をするダイヤフラム」と「共鳴板へ振動を伝えるシャフト」によって構成されています。
クラクションが鳴る仕組みを簡単に説明していきます。
1.ホーンボタンを押すとクラクション本体内部のコイルに電気が流れ、ポールと呼ばれる部品が電磁石化する
2.電磁石となったポールにシャフトが引き寄せられ衝突することで振動が発生する
3.シャフトがポールに引き寄せられた時に、電気の接点が離れることで通電が遮断されポールの電磁石化が無くなり、ダイヤフラムによって元に位置にシャフトが戻される
4.シャフトが元の位置に戻ると、再び電気の接点が接触しコイルへ通電することで、ポールを電磁石化し、シャフトがポールへ引き寄せられ衝突する動作を繰り返す
5.発生した振動が繰り返されることで、シャフトから共鳴板に伝わり、増幅されて音が鳴り続ける
周波数は単位時間あたりの波の数を表し、波の数が多いほど高い音、波の数が少なくなると低い音になります。単位はHz(ヘルツ)を用い、1秒間に波が1回訪れると1Hzです。
一般的な車のクラクションには、シングルホーンが採用されていますが、高級車になるとダブルホーンを採用し、それぞれ高音域と低音域の周波数に分けて和音を奏でます。
また、車の法規は周波数ではなくdB(デシベル)という音の大きさで表されているので覚えておきましょう。

衝突時の衝撃を吸収し、乗車員を保護するのがSRSエアバッグの役割です。
運転席にはステアリングのホーンパッドにSRSエアバッグが装備されていて、助手席にはインストルメントパネル内に装備されいます。また、最近では側面衝突などにも対応したカーテンエアバッグも装備され、さらに安全性も向上されています。
運転席のSRSエアバッグは、ホーンパッド内部に設置されていることから、衝撃によりエアバッグが展開するとホーンパッド表面を破ってクッションが飛び出し運転者に掛かる衝撃を吸収しています。
破れたホーンパッドと展開したSRSエアバッグは再利用できないため、両方の部品を交換しなければなりません。
また、部品供給の仕方はホーンパッドとSRSエアバッグの他に、ホーンスイッチも付随したアッセンブリー供給となる場合や個々に単品供給される場合があります。これは自動車メーカーによって異なりますので、確認しておきましょう。
さらに、電気で作動するタイプには「平型ホーン」と「渦巻き型ホーン」の2種類があります。
国産車では、コスト面や取り付けスペースの問題により平型ホーンが多く採用されていますが、国産車でも高級車となると、渦巻き型ホーンが採用され音色にも拘っています。
渦巻き型ホーンの構造は平型ホーンと基本的には変わりません。しかし、音を共鳴する部分がカタツムリのような渦巻き状となり、音の出口にはトランペットのようなラッパを備え個性ある音を表現しています。
そして、シングルホーンではなくダブルホーンを採用し、それぞれ低音と高音別々のパートを担当し深みのある音を再現しているのです。
また、平型ホーンや渦巻き型ホーンは電気を使用しているのに対し、大型トラックや一部の外国車にはエアを使用しているクラクションがあります。クラクションを鳴らすためにエアを使用するので、圧縮空気を作るコンプレッサーも必要になります。

クラクションが故障すると、「クラクションが全く鳴らない」「鳴りっぱなしになる」「音が途切れる」「音が一定ではなくなる」など症状は様々です。
クラクションが全く鳴らない場合は、ホーンスイッチ・クラクション本体・配線の断線やショートなど、多数の故障箇所が考えられます。それぞれに対して故障原因を追及していくことになるでしょう。
クラクションが鳴りっぱなしになる場合は、ホーンスイッチの接点が導通しっぱなしになっていることや配線のショートが原因と考えられます。
クラクションの音が途切れたり、一定でなかったりする場合は、クラクション本体を確認していかなればなりません。
このように、故障内容によって、的を絞って修理を進めていく必要があります。
クラクションの故障は、道路交通法及び道路運送車両法の保安基準に抵触しますので、早急に修理しましょう。
・内部コイルの断線や通電用の接点不良
・振動板や共振板などの摩耗や破損・固着
また、クラクション内部へ水が浸入した場合にも、錆び付きによって内部部品の固着や通電不良が起こり、クラクションが鳴らなくなります。
クラクション本体が故障していなくても、クラクション本体の取付部(ボディ)に錆が発生するとアース不良となるため、電気が流れずにクラクションが作動しなくなります。
カプラー端子まで電気が来ていれば、クラクション本体の故障かアース不良と絞り込むことができます。
ただし、素人がこの判断を行うのは難しいため、修理工場に依頼をして見てもらったほうが安心です。
ホーンパッドはSRSエアバッグとホーンスイッチで構成されています。バネが組み込まれた3点のシャフトとステーを介してホーンパッドが取り付けられているため、ホーンパッドは固定されながらも浮いている状態です。
クラクションを鳴らす際、ホーンパッドの端や角の部分を押してしまうこともあるでしょう。そのため、何処を押してもクラクションが鳴るようにしなければなりません。
例えば、ホーンパッドを4点で支えると、ホーンパッドの端や角を押した際、接点が接触しない可能性があります。そのため、ホーンパッドの可動域が広がることで接点がより接触しやすくなるように3点式が採用されているのです。
しかし、ホーンパッドはバネの力により常に接点から離れるように支えられています。バネのへたりや破損によって引っ掛かりや戻り不良になり、クラクションが鳴らなかったり、鳴りっぱなしになったりする症状が発生します。
クラクションが鳴らない場合には、ホーンパッドを取り外し、内部部品の確認を行う必要があります。クラクションが鳴りっぱなしの状態でも、故障修理をする際には同じように内部部品を確認しなければなりません。
ホーンパッドの取り外しは、SRSエアバッグを搭載していることから、バッテリーのマイナス端子を外して電気が流れないようにした上で作業を進めます。
バッテリーの電源が供給されている状態で、SRSエアバッグを取り外すと、過ってエアバッグが展開し怪我をするかもしれません。整備の知識の無い方は、整備工場へ依頼し絶対に外さないようにしてください。
また、ホーンパッドの取り外しに関しては、特殊なボルトを使用していますので、専用の工具が必要になります。
クラクションが鳴りっぱなしになる時の対処法については、後ほど詳しく説明します。
配線が断線やショートを起こすと、クラクションが鳴らなかったり、鳴りっぱなしになったりすることがあります。
また、配線がショートしている場合には、ヒューズ切れや部品の作動不良またはクラクションに関係のない回路上の部品に影響を及ぼすかもしれません。
配線が断線やショートする原因は、主に以下の内容が考えられます。
・事故などによる損傷である外的要因
・経年劣化
・配線結合部の錆 など
また、配線は走行時の振動や厳しい使用条件での経年劣化などにより、トラブルが発生している場所は様々です。1つずつ要因を潰し込んでいくことが原因究明の近道となります。
配線のトラブルは、闇雲に診断を行っても余計に時間が掛かったり、故障被害を拡大させてしまったりする恐れがあります。そのため、事象から根拠を元に順を追って潰し込むことが大切です。
クラクションの故障でまず行うべきことは、部品が原因なのか配線が原因なのかを切り分けることです。
切り分けるには、まずクラクション本体を予備に交換してみましょう。予備品に交換しクラクションが鳴れば本体の故障と判断できます。
一方、予備品に交換してもクラクションが鳴らない場合には、クラクション本体に接続するカプラーへ電気が流れていることとアース確認をする必要があります。電気が流れていれば、アースに問題があるということです。
電気が流れていない場合には、クラクション本体の接続カプラーから上流に向かって何処まで電気が流れているのかを1つずつ潰し込む必要があります。
このように配線のトラブルは、順を追いながらOKである箇所を探して、消去法で原因箇所を突き止めていきます。
クラクション本体を取り付けている箇所やアース配線がアースポイントです。クラクション本体がアースとなることを「ボディアース」と言います。
雨水によりクラクションの取付部が錆びて通電不良を起こすこともありますので、取付部に錆が無いことを確認しましょう。
また、アース線がある場合でも、配線の断線やボディへ接続されている部位が錆などにより通電不良となる場合があります。
アース線自体の良否判定のために使用するのは、「電気テスター」です。電気テスターの抵抗レンジを使用し、アースの配線先をテスターリード棒に当て、もう一方のテスターリード棒をボディ(塗装の無い部位)に当て計測します。
何らかの抵抗値が出れば配線はOKと判断でき、抵抗が無限大(∞)の場合は、配線の断線及び配線アースの取付部の通電不良となります。

ヒューズ切れは、車両配線に容量以上の電気が流れた場合に起こります。
通常は容量以上の電気が流れることはありませんが、外的要因や経年劣化により配線や部品に容量以上の電気が流れることがあります。
配線がショートすると、通常回路を通らず他の回路へリークすることで大量の電気が流れ、ヒューズが切れてしまうのです。
車両配線は何本もの配線が束ねられ、それぞれの配線が接触しないように皮膜で覆われています。しかし、事故による外的要因や経年劣化によって配線皮膜が破れた場合にボディや配線同士が接触してしまうと、その部位より電気が流れヒューズ切れや配線火災を起こす可能性があります。
ヒューズ切れは、原因を確実に突き止めて修理を行わないと大災害に至ることがありますので、早急に修理を依頼しましょう。
ヒューズ切れが起こった原因が車の何処で発生しているのかを断定できないと、最悪の場合、走行中に突然エンジンが止まり、ブレーキもハンドルも効かなくなって事故を引き起こす可能性があるからです。
クラクション回路だけの問題であればいいのですが、他の原因によりクラクション回路が影響を受けてヒューズ切れが起こったのであれば、真の原因を突き止めなければなりません。
新品のヒューズを入れれば一時的に動くかもしれませんが、再度ヒューズ切れを起こす可能性があるので、確実に原因究明をし修理を行うことをおすすめします。
自分でヒューズ交換を行う際には、装着されていたヒューズと同じ容量のものに交換しましょう。装着されている容量以上のヒューズを使用してしまうと、配線がダメージを負うばかりか配線火災に至る恐れがありますので、注意してください。
機械的要因は、ホーンスイッチを押しても戻らずに接点が接触し続けることで通電しっぱなしとなり、クラクションが鳴り続けます。
また、ホーンスイッチの可動部分の引っ掛かり、経年劣化による内部部品の摩耗や破損によっても発生するでしょう。
電気的要因は、回路上のホーンスイッチを迂回せずに手前でショートカットした回路が成立すると、鳴りっぱなしになる可能性があります。
クラクション本体では、内部部品の電磁作用によるON/OFFの繰り返しによって振動を起こし、音が発生するため、内部ショートによる常時通電ではクラクションが鳴り続けることはありません。
また、別の電気的要因としては、盗難防止装置の誤作動や不具合によりクラクションが鳴りっぱなしに鳴ることもあります。
盗難防止装置が標準装備の場合には、警報装置として既存のクラクションを使用しています。盗難防止装置の警報器は、車の異常を検知した場合に、盗難防止装置の回路からクラクションへ電気を流して警報器として発報します。
クラクションの回路は正常でも、盗難防止装置側で不具合が発生した場合にクラクションへ電気を流し、鳴りっぱなしになることが考えられるため、クラクション回路と盗難防止装置回路と両方の診断が必要です。
クラクションは常時電源を使用しているため、キーを抜いても電気は流れ続け、ホーンパッドを押せばクラクションは鳴ります。
クラクションのヒューズの場所が分からない場合は、バッテリーのマイナス端子を外しましょう。車の車載工具にスパナが搭載されている場合には、そちらを使用してください。
バッテリーのプラス端子を外して工具がボディと接触すると、ショートして他の箇所のヒューズ切れや故障が起こる可能性があります。そのため、絶対に外さないようにしてください。
また、取り外したバッテリーのマイナス端子は、再度バッテリーターミナルに接触しないように固定します。
ヒューズの取り外しやバッテリー端子が外せない場合には、必ずロードサービスや修理工場へ依頼して車両搬送をお願いしましょう。
盗難防止装置の警報は、既存のクラクションを使用していますので、クラクションが故障してしまうと、車両の異常をセンサーが検知しても警報が鳴らずに被害に遭う可能性もあります。そのため、早急に修理を依頼しましょう。

道路上の見通しのきかない交差点や曲がりくねった道など、走行する際に危険な場所には、必ずクラクションを鳴らすことを促す道路標識があります。
クラクションに関する道路標識には、「鳴らす場所を示す標識」と「鳴らす区間を示す標識」があります。
・クラクションを鳴らす場所を示す標識
これは、標識で指示している場所以外ではクラクションを鳴らしてはいけない。という意味です。
・クラクションを鳴らす区間を示す標識
これは、見通しのきかない交差点や見通しの悪い曲がりくねった道が存在することからクラクションを鳴らして危険を回避するための標識です。
クラクションを鳴らす標識がある場所で鳴らさなかった場合には、道路交通法違反となり、違反点数は1点・反則金が最大5000円~7000円です。
逆に鳴らしてはいけない場所でクラクションを使用した場合、違反点数は無く、反則金は一律3000円となります。(反則金は、車両区分により金額が異なります。)
また、注意を促すつもりでクラクションを使用すると、その行為により煽り運転や迷惑運転へと発展するケースがあります。
そのため、むやみにクラクションを鳴らさないように注意しましょう。
この記事では、クラクションの構造を踏まえ、不具合の原因や対処法について詳しく説明していきます。
この記事の目次
車のクラクションについて知っておこう

道路運送車両法の保安基準からも、警音器の音量と音色について決めごとがあります。
・音量の基準
車両前方7mで測定し、93dB以上112dB以下でなければいけない。
・音色の基準
音が連続して鳴り、音色が一定であること。
音色が自動で変化したり途切れたり、運転席で自在に音を変えたりするクラクションは車検に通りません。
また、ステアリングのホーンパッドにホーンマークの表示が無いと車検には通りませんので、クラクションの交換やステアリングの交換をする際には、注意が必要です。
ここからは、このクラクションの構造や仕組み、種類などについて詳しく説明していきます。
クラクションの構造と仕組み

平型クラクションは、「電気を流すコイルと接点」と「バネの役目をするダイヤフラム」と「共鳴板へ振動を伝えるシャフト」によって構成されています。
クラクションが鳴る仕組みを簡単に説明していきます。
1.ホーンボタンを押すとクラクション本体内部のコイルに電気が流れ、ポールと呼ばれる部品が電磁石化する
2.電磁石となったポールにシャフトが引き寄せられ衝突することで振動が発生する
3.シャフトがポールに引き寄せられた時に、電気の接点が離れることで通電が遮断されポールの電磁石化が無くなり、ダイヤフラムによって元に位置にシャフトが戻される
4.シャフトが元の位置に戻ると、再び電気の接点が接触しコイルへ通電することで、ポールを電磁石化し、シャフトがポールへ引き寄せられ衝突する動作を繰り返す
5.発生した振動が繰り返されることで、シャフトから共鳴板に伝わり、増幅されて音が鳴り続ける
クラクションの周波数について
音は波形で表され、空気や水やモノを振動させることで伝わります。音の高さを決めるのは振動の数であり、「振動数=周波数」です。周波数は単位時間あたりの波の数を表し、波の数が多いほど高い音、波の数が少なくなると低い音になります。単位はHz(ヘルツ)を用い、1秒間に波が1回訪れると1Hzです。
一般的な車のクラクションには、シングルホーンが採用されていますが、高級車になるとダブルホーンを採用し、それぞれ高音域と低音域の周波数に分けて和音を奏でます。
また、車の法規は周波数ではなくdB(デシベル)という音の大きさで表されているので覚えておきましょう。
ホーンパッドと一体化したSRSエアバッグ

運転席にはステアリングのホーンパッドにSRSエアバッグが装備されていて、助手席にはインストルメントパネル内に装備されいます。また、最近では側面衝突などにも対応したカーテンエアバッグも装備され、さらに安全性も向上されています。
運転席のSRSエアバッグは、ホーンパッド内部に設置されていることから、衝撃によりエアバッグが展開するとホーンパッド表面を破ってクッションが飛び出し運転者に掛かる衝撃を吸収しています。
破れたホーンパッドと展開したSRSエアバッグは再利用できないため、両方の部品を交換しなければなりません。
また、部品供給の仕方はホーンパッドとSRSエアバッグの他に、ホーンスイッチも付随したアッセンブリー供給となる場合や個々に単品供給される場合があります。これは自動車メーカーによって異なりますので、確認しておきましょう。
クラクションの種類
クラクションは「エアで作動するタイプ」と「電気で作動するタイプ」の2種類に分けられます。さらに、電気で作動するタイプには「平型ホーン」と「渦巻き型ホーン」の2種類があります。
国産車では、コスト面や取り付けスペースの問題により平型ホーンが多く採用されていますが、国産車でも高級車となると、渦巻き型ホーンが採用され音色にも拘っています。
渦巻き型ホーンの構造は平型ホーンと基本的には変わりません。しかし、音を共鳴する部分がカタツムリのような渦巻き状となり、音の出口にはトランペットのようなラッパを備え個性ある音を表現しています。
そして、シングルホーンではなくダブルホーンを採用し、それぞれ低音と高音別々のパートを担当し深みのある音を再現しているのです。
また、平型ホーンや渦巻き型ホーンは電気を使用しているのに対し、大型トラックや一部の外国車にはエアを使用しているクラクションがあります。クラクションを鳴らすためにエアを使用するので、圧縮空気を作るコンプレッサーも必要になります。
クラクションの故障とは?

クラクションが全く鳴らない場合は、ホーンスイッチ・クラクション本体・配線の断線やショートなど、多数の故障箇所が考えられます。それぞれに対して故障原因を追及していくことになるでしょう。
クラクションが鳴りっぱなしになる場合は、ホーンスイッチの接点が導通しっぱなしになっていることや配線のショートが原因と考えられます。
クラクションの音が途切れたり、一定でなかったりする場合は、クラクション本体を確認していかなればなりません。
このように、故障内容によって、的を絞って修理を進めていく必要があります。
クラクションの故障は、道路交通法及び道路運送車両法の保安基準に抵触しますので、早急に修理しましょう。
クラクション本体の故障と原因
クラクション本体の故障は、以下の内容が原因で起こります。・内部コイルの断線や通電用の接点不良
・振動板や共振板などの摩耗や破損・固着
また、クラクション内部へ水が浸入した場合にも、錆び付きによって内部部品の固着や通電不良が起こり、クラクションが鳴らなくなります。
クラクション本体が故障していなくても、クラクション本体の取付部(ボディ)に錆が発生するとアース不良となるため、電気が流れずにクラクションが作動しなくなります。
クラクション本体が故障した時の対処方法
クラクションが故障した場合、本体故障を疑う前に確認すべきことがあります。それは、クラクション本体に接続される「カプラー端子まで電気が来ているか」ということです。カプラー端子まで電気が来ていれば、クラクション本体の故障かアース不良と絞り込むことができます。
ただし、素人がこの判断を行うのは難しいため、修理工場に依頼をして見てもらったほうが安心です。
ホーンスイッチの故障と原因
ホーンスイッチは、ホーンパッドを押すことで接点が導通して電気が流れ、離せばバネの力により接点が離れ通電が遮断されます。この動作により、クラクションが鳴る仕組みです。ホーンパッドはSRSエアバッグとホーンスイッチで構成されています。バネが組み込まれた3点のシャフトとステーを介してホーンパッドが取り付けられているため、ホーンパッドは固定されながらも浮いている状態です。
クラクションを鳴らす際、ホーンパッドの端や角の部分を押してしまうこともあるでしょう。そのため、何処を押してもクラクションが鳴るようにしなければなりません。
例えば、ホーンパッドを4点で支えると、ホーンパッドの端や角を押した際、接点が接触しない可能性があります。そのため、ホーンパッドの可動域が広がることで接点がより接触しやすくなるように3点式が採用されているのです。
しかし、ホーンパッドはバネの力により常に接点から離れるように支えられています。バネのへたりや破損によって引っ掛かりや戻り不良になり、クラクションが鳴らなかったり、鳴りっぱなしになったりする症状が発生します。
ホーンスイッチが故障した時の対処方法
では、ホーンスイッチが故障した際の応急処置を説明していきましょう。クラクションが鳴らない場合には、ホーンパッドを取り外し、内部部品の確認を行う必要があります。クラクションが鳴りっぱなしの状態でも、故障修理をする際には同じように内部部品を確認しなければなりません。
ホーンパッドの取り外しは、SRSエアバッグを搭載していることから、バッテリーのマイナス端子を外して電気が流れないようにした上で作業を進めます。
バッテリーの電源が供給されている状態で、SRSエアバッグを取り外すと、過ってエアバッグが展開し怪我をするかもしれません。整備の知識の無い方は、整備工場へ依頼し絶対に外さないようにしてください。
また、ホーンパッドの取り外しに関しては、特殊なボルトを使用していますので、専用の工具が必要になります。
クラクションが鳴りっぱなしになる時の対処法については、後ほど詳しく説明します。
配線が断線またはショートを起こす原因とは?
クラクション本体やホーンスイッチなどの部品に原因が無い場合には、配線を疑う必要があります。配線が断線やショートを起こすと、クラクションが鳴らなかったり、鳴りっぱなしになったりすることがあります。
また、配線がショートしている場合には、ヒューズ切れや部品の作動不良またはクラクションに関係のない回路上の部品に影響を及ぼすかもしれません。
配線が断線やショートする原因は、主に以下の内容が考えられます。
・事故などによる損傷である外的要因
・経年劣化
・配線結合部の錆 など
また、配線は走行時の振動や厳しい使用条件での経年劣化などにより、トラブルが発生している場所は様々です。1つずつ要因を潰し込んでいくことが原因究明の近道となります。
配線トラブルによる対処方法
配線にトラブルが起きた場合、整備経験や知識のある方以外はロードサービスや修理工場へ依頼しましょう。配線のトラブルは、闇雲に診断を行っても余計に時間が掛かったり、故障被害を拡大させてしまったりする恐れがあります。そのため、事象から根拠を元に順を追って潰し込むことが大切です。
クラクションの故障でまず行うべきことは、部品が原因なのか配線が原因なのかを切り分けることです。
切り分けるには、まずクラクション本体を予備に交換してみましょう。予備品に交換しクラクションが鳴れば本体の故障と判断できます。
一方、予備品に交換してもクラクションが鳴らない場合には、クラクション本体に接続するカプラーへ電気が流れていることとアース確認をする必要があります。電気が流れていれば、アースに問題があるということです。
電気が流れていない場合には、クラクション本体の接続カプラーから上流に向かって何処まで電気が流れているのかを1つずつ潰し込む必要があります。
このように配線のトラブルは、順を追いながらOKである箇所を探して、消去法で原因箇所を突き止めていきます。
アース不良によるトラブルについて
アース不良とは、電気が流れる回路(プラスからマイナスへ)が成立していないために起こります。クラクション本体を取り付けている箇所やアース配線がアースポイントです。クラクション本体がアースとなることを「ボディアース」と言います。
雨水によりクラクションの取付部が錆びて通電不良を起こすこともありますので、取付部に錆が無いことを確認しましょう。
また、アース線がある場合でも、配線の断線やボディへ接続されている部位が錆などにより通電不良となる場合があります。
アース線自体の良否判定のために使用するのは、「電気テスター」です。電気テスターの抵抗レンジを使用し、アースの配線先をテスターリード棒に当て、もう一方のテスターリード棒をボディ(塗装の無い部位)に当て計測します。
何らかの抵抗値が出れば配線はOKと判断でき、抵抗が無限大(∞)の場合は、配線の断線及び配線アースの取付部の通電不良となります。
ヒューズが切れる原因とは?

通常は容量以上の電気が流れることはありませんが、外的要因や経年劣化により配線や部品に容量以上の電気が流れることがあります。
配線がショートすると、通常回路を通らず他の回路へリークすることで大量の電気が流れ、ヒューズが切れてしまうのです。
車両配線は何本もの配線が束ねられ、それぞれの配線が接触しないように皮膜で覆われています。しかし、事故による外的要因や経年劣化によって配線皮膜が破れた場合にボディや配線同士が接触してしまうと、その部位より電気が流れヒューズ切れや配線火災を起こす可能性があります。
ヒューズ切れは、原因を確実に突き止めて修理を行わないと大災害に至ることがありますので、早急に修理を依頼しましょう。
ヒューズ切れが起こった時の対処方法
クラクションがヒューズ切れを起こした場合は、ロードサービスや修理工場へ搬送を依頼しましょう。ヒューズ切れが起こった原因が車の何処で発生しているのかを断定できないと、最悪の場合、走行中に突然エンジンが止まり、ブレーキもハンドルも効かなくなって事故を引き起こす可能性があるからです。
クラクション回路だけの問題であればいいのですが、他の原因によりクラクション回路が影響を受けてヒューズ切れが起こったのであれば、真の原因を突き止めなければなりません。
新品のヒューズを入れれば一時的に動くかもしれませんが、再度ヒューズ切れを起こす可能性があるので、確実に原因究明をし修理を行うことをおすすめします。
自分でヒューズ交換を行う際には、装着されていたヒューズと同じ容量のものに交換しましょう。装着されている容量以上のヒューズを使用してしまうと、配線がダメージを負うばかりか配線火災に至る恐れがありますので、注意してください。
クラクションが鳴りっぱなしになる原因とは?
クラクションが鳴りっぱなしになる原因には、「機械的要因」と「電気的要因」の2つがあります。機械的要因は、ホーンスイッチを押しても戻らずに接点が接触し続けることで通電しっぱなしとなり、クラクションが鳴り続けます。
また、ホーンスイッチの可動部分の引っ掛かり、経年劣化による内部部品の摩耗や破損によっても発生するでしょう。
電気的要因は、回路上のホーンスイッチを迂回せずに手前でショートカットした回路が成立すると、鳴りっぱなしになる可能性があります。
クラクション本体では、内部部品の電磁作用によるON/OFFの繰り返しによって振動を起こし、音が発生するため、内部ショートによる常時通電ではクラクションが鳴り続けることはありません。
また、別の電気的要因としては、盗難防止装置の誤作動や不具合によりクラクションが鳴りっぱなしに鳴ることもあります。
盗難防止装置が標準装備の場合には、警報装置として既存のクラクションを使用しています。盗難防止装置の警報器は、車の異常を検知した場合に、盗難防止装置の回路からクラクションへ電気を流して警報器として発報します。
クラクションの回路は正常でも、盗難防止装置側で不具合が発生した場合にクラクションへ電気を流し、鳴りっぱなしになることが考えられるため、クラクション回路と盗難防止装置回路と両方の診断が必要です。
クラクションが鳴りっぱなしの時の対処方法
クラクションが鳴りっぱなしになった時の対処方法は、ヒューズを抜くかバッテリーのマイナス端子を外すことです。クラクションは常時電源を使用しているため、キーを抜いても電気は流れ続け、ホーンパッドを押せばクラクションは鳴ります。
クラクションのヒューズの場所が分からない場合は、バッテリーのマイナス端子を外しましょう。車の車載工具にスパナが搭載されている場合には、そちらを使用してください。
バッテリーのプラス端子を外して工具がボディと接触すると、ショートして他の箇所のヒューズ切れや故障が起こる可能性があります。そのため、絶対に外さないようにしてください。
また、取り外したバッテリーのマイナス端子は、再度バッテリーターミナルに接触しないように固定します。
ヒューズの取り外しやバッテリー端子が外せない場合には、必ずロードサービスや修理工場へ依頼して車両搬送をお願いしましょう。
盗難防止装置によるクラクションの作動について
盗難防止装置は、車両への振動や傾斜を検知すると、灯火類の発光や警報器により車両に異常が発生したことを周囲の人に知らせます。盗難防止装置の警報は、既存のクラクションを使用していますので、クラクションが故障してしまうと、車両の異常をセンサーが検知しても警報が鳴らずに被害に遭う可能性もあります。そのため、早急に修理を依頼しましょう。
道路上のクラクション標識について

クラクションに関する道路標識には、「鳴らす場所を示す標識」と「鳴らす区間を示す標識」があります。
・クラクションを鳴らす場所を示す標識
これは、標識で指示している場所以外ではクラクションを鳴らしてはいけない。という意味です。
・クラクションを鳴らす区間を示す標識
これは、見通しのきかない交差点や見通しの悪い曲がりくねった道が存在することからクラクションを鳴らして危険を回避するための標識です。
クラクションを鳴らす標識がある場所で鳴らさなかった場合には、道路交通法違反となり、違反点数は1点・反則金が最大5000円~7000円です。
逆に鳴らしてはいけない場所でクラクションを使用した場合、違反点数は無く、反則金は一律3000円となります。(反則金は、車両区分により金額が異なります。)
クラクションの鳴らしすぎはトラブルに発展する可能性も!
クラクションは、鳴らすべき場所や危険な場所以外で鳴らすことは禁止されています。また、注意を促すつもりでクラクションを使用すると、その行為により煽り運転や迷惑運転へと発展するケースがあります。
そのため、むやみにクラクションを鳴らさないように注意しましょう。
まとめ
- ①クラクションは、電気の力で振動板を動かし共鳴板により増幅させて音を出している
- ②クラクションの周波数は、波の数により高音と低音を使い分けている
- ③ホーンパッドは、SRSエアバッグで構成されているので、エアバッグが展開すると双方交換となる
- ④クラクション本体は、一般的に多く採用されている平型と高級車に採用されている渦巻き型がある
- ⑤クラクションが故障すると、鳴らない、鳴りっぱなし、音が途切れるなどの症状が起こる
- ⑥クラクションの故障対処としては、機械的と電気的の両面で原因追及をする必要がある
- ⑦クラクションを鳴らさなくてはいけない場所や状況は限られており、むやみに鳴らしてはいけない
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