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更新日:2023.01.27 / 掲載日:2023.01.27
もしかしてエンジンの故障?車のアイドリングが不安定になる原因と修理コストを解説
エンジンをかけてすぐや信号待ちの際、エンジンの音や振動が大きくなったり、エンジンが止まりそうになったりして不安を感じたという方もいるかもしれません。
これらの症状は、アイドリングが不安定になったことで起きるものですが、放置するとさらなる不調やトラブルにつながる可能性があります。
この記事では、車のアイドリングが不安定になる原因と不具合が考えられるパーツ、それぞれの修理・交換相場や対処法について詳しく解説していきます。
そこでまずは、車のアイドリングが不安定な時に起きる症状と考えられる原因について見ていきましょう。

私たち人間は、マラソンや水泳などの激しいスポーツをする前に「準備運動」をして体を温めておかないと、パフォーマンスが上がらなかったり、怪我をしてしまったりすることがあります。
それと同じように、車などの高速で動く機械の原動力となるエンジンも、ある程度の作動温度に達することで最適に駆動するよう設計されています。
そして、アイドリングはエンジンに負荷をあまりかけないように低速で一定時間「空転」させることを指します。
つまり、アイドリングは車にとっての準備運動のようなものです。作動温度を上げるという点から「暖機運転」とも呼ばれます。
一方、アイドリングが不安定になると、以下のような症状が出ます。
・異音の発生
・振動の発生
・再発進時のもたつき
・エアコンの効きが悪くなる など
いずれも「エンジンの回転数が不規則」になっているため起きるもので、元をたどっていくとエンジンの中で不完全燃焼が起きている可能性が高いです。
そのため、不要なアイドリングをせずに、エンジンを停止させることで排気ガスの軽減や燃費向上を図る、アイドリングストップ機能を搭載している車種も増えてきました。
ただし、アイドリングストップ機能を持たない車も、まだまだ現役でたくさん走っています。また、アイドリングストップ機能がなくとも、同等の環境性能や燃費性能を持つ新型車種も登場しているので、アイドリングが不安定になる原因や対処法を知っておいて、損はないでしょう。

車のアイドリングが不安定になった場合、具体的にはどんな部品・パーツに故障や不具合が発生していると考えられるのでしょう?
実はアイドリングが不安定になる原因は、それぞれ連続性や関連性があります。ここからは、それをエンジンが動くメカニズム・順番に沿って解説していきます。
燃料は普段、燃料タンクに溜められていますが、エンジンまで吸い上げられる過程で「燃料フィルター」という部品を通り、微量に含まれるほこりや水分、サビなどの不純物が除去されます。
しかし、燃料フィルターが長年の使用で劣化・機能低下すると、燃料に不純物が混じって燃焼性能が低下し、アイドリングが不安定(=不完全燃焼)になる場合があります。
特に、年式が古く燃料タンクにサビなどが多く発生していると、この現象が起きやすくなります。
この時、燃料フィルターにおいて微細な不純物を取り除ききれずに残っていると、インジェクターの細い噴射口が詰まってうまく霧状に燃料を噴射できないため、アイドリングが不安定になることがあります。
このインジェクターは、通常4気筒の場合は4つ、6気筒の場合は6つと、エンジンの気筒の数(ピストンの数)だけついています。
そのため、全てのインジェクターが完全に詰まるとエンジンは全くかかりません。一方、アイドリングが不安定な場合は、どれかが詰まっている、あるいは詰まりかけていて燃料噴射状態が正常ではないと判断することができます。
しかし、エアフィルターが詰まって適量の空気を吸気できない場合、混合比が狂って不完全燃焼を起こしアイドリングが不安定になることがあります。
また、劣化したフィルターそのものが崩れ、細かいゴミとなって空気と混ざってしまうと、燃焼能力が下がってアイドリングが不安定になることもあります。
そこで、車には空気の流入量または排出量を測定する「エアフロメーター(バキュームセンサー)・O²センサー」という部品が取り付けられています。
エアフロメーターは、空気の流入量を測定し、その情報を電気信号でECUの送る部品です。
ECUは情報をもとに最適な空燃比となるだけの燃料の量を計算し、インジェクターなどに燃料噴射量を指示しています。
似たような部品に「バキュームセンサー」があり、こちらは空気圧を測定しています。
O²センサーは、理想的な空燃比になっているかを精査するため、排気ガス中に酸素量を測定するセンサーです。
どちらもそう簡単に故障する部品ではありませんが、熱を持ち不純物が混ざる排気ガスと常に接しているO²センサーのほうが比較的故障しやすい傾向にあります。
また、いずれの場合も故障するとアイドリングが不安定になりますが、それ以外にも以下のような症状が出ることもあります。
・燃費・加速性能の低下
・警告灯の点灯
・マフラーからのすす
・異臭の発生 など
イグニッションコイルは、軸となる鉄心(コア)に電線が巻かれたコイル状の構造です。一次コイルでバッテリーから供給された電圧を一旦300ボルト程度まで上げ、その後巻き数の多い二次コイルで2万ボルト以上に引き上げ、点火プラグに送っています。
高い負荷のかかる部品ですが、その分耐久性も高く、その寿命は10年・走行距離10万kmを超えるとされています。
イグニッションコイルが故障する原因は、一次・二次コイルの過熱による摩耗・断線が多いです。そのため、エンジン停止・再始動回数が多い車のほうが比較的早く寿命を迎える傾向にあります。
ピストンの中で直接爆発の衝撃や圧力、超高温に達したガスなどをもろに浴びるため、劣化して点火能力が低下したり、破損して火花がうまく飛ばずアイドリングが不安定になったりする場合があります。
通常のニッケル合金なら走行距離10,000~20,000km、イリジウム・プラチナなら走行距離50,000km以上と、火花を飛ばす電極部分に使われている素材によって耐久性と寿命は異なります。
しかし、いずれにしても消耗品には違いないため、アイドリングが不安定になった場合、整備士はまず点火プラグの不調を真っ先に疑うでしょう。

アイドリングが不安定になると、車が故障したのではないかと不安を感じるかもしれません。しかし、アイドリングが不安定になっても普段の走行には、さほど支障がなかったり、一時的に症状が収まったりすると不安を感じながらも放置してしまうことがあるでしょう。
そこでここからは、アイドリングが不安定になった時、または放置した後に発生しやすいトラブルについて見ていきます。
そして、アイドリングが不安定になったにも関わらず放置してしまい、その原因となった個所が完全に故障すると、エンジンストール(=エンスト)を起こしてしまうことがあります。
停車中ならともかく、走行中にエンストしてしまった場合、後続車から追突されてしまう可能性があります。
また、エンジンの駆動を利用しているパワステやブレーキのアシスト機能が効かず、ハンドルが重くなったり、減速・停車が困難になったりするため大変危険です。
そのため、アイドリングが不安定な状態でいつも通りエアコンなどの電装品を使っていると、バッテリーの電力が枯渇し、バッテリー上がりを起こすことがあります。
このように、アイドリングが不安定だと、さらなる車のトラブルの前兆だと言えます。そのため、アイドリングが不安定になった場合は、決して放置しないように心がけましょう。

では、アイドリングが不安定になった場合、一体どのような対処を取ればよいのでしょう?以下で詳しく説明していきます。
しかし、アイドリングが不安定なのを放置し、エンストやバッテリー上がりに発展すると車は当然走行不能あるいは再稼働不能になります。その上、事故やさらなるトラブルのきっかけになりかねません。
アイドリングが不安定という前兆が起きているうちに、車を安全な場所に移動してJAFやロードサービスに救援を依頼するようにしましょう。
一昔前の車には「アジャストスクリュー」という名前のネジがついていて、それをドライバーなどで回すことでアイドリング時のエンジン回転数をある程度調整できました。
しかし、今の車はアイドリング時のエンジン回転数をコンピューターで制御しているため、アイドリングを調整するには専門の器具と知識が必要です。

次にアイドリングが不安定で修理・交換が必要になった場合の費用について見ていきましょう。以下では、原因・故障個所ごとにその費用目安と相場を紹介していきます。
ただし、車種によって取り付け位置が異なり、それによって作業に要する時間も手間も大きく変わってくるため、工賃については数千円で済むこともあれば2万円以上かかるケースもあります。
一方、インジェクターはどこで頼んでも工賃は1本あたり5,000円程度で済みますが、部品代は1本で1万~5万円と幅が広いです。高排気量・高出力のエンジンを搭載している車種のほうが、この部品代が高くなってきます。
また、複数本同時に故障している場合も考えられるため、かなりの出費となるかもしれません。
車種や依頼先によってまちまちですが、部品代は概ね1万5,000~3万円、工賃は5,000~1万円といったところです。
O²センサーも部品代・工賃を含めて2万~4万円が交換相場となりますが、いずれも寿命の長い部品であるため、故障した時には車自体もかなり使い込んだ状態のことが多いです。そのため、部品交換して乗り続けるか車を買い替えるかは、十分検討しましょう。
一方、エアフィルターは走行距離30,000kmあたりで寿命がやってくる消耗品であり、交換コストも3,000~5,000円程度です。交換することで燃費向上効果も見込めますので、車検や法定点検に合わせて点検し、汚れているようなら交換しましょう。車種によっては、DIY交換することも可能です。
ただし、年数・走行距離の経過で劣化・故障する部品であるため、1本故障すると他のコイルも寿命に近づいているケースが多く、結果的に交換コストがかさんでいきます。
一方、点火プラグの交換工賃は、1本あたり1,000円程度と高くありません。しかし、部品代については電極に使われている素材によって大きく異なります。通常のニッケル合金製は数百円程度で手に入りますが、イリジウムプラグやプラチナプラグは数千円~1万円以上するものもあります。
そのため、アイドリングが不安定になった原因を見つけ、該当する部品を修理・交換したとしても、連鎖性の強い他の部品に不具合が発生し、症状が再発する可能性もあります。
アイドリングが不安定になることにつながる故障を修理する際は、修理・交換にかかってくる費用はもちろん、再発する可能性が高いことも考慮して修理するか買い替えるかを決めましょう。

ガソリン添加剤は、タンクからインジェクターまでの燃料移送経路や燃焼室、吸排気バルブなどに堆積した「カーボンスラッジ」を洗浄・分解する効果があります。そのため、燃料フィルターやインジェクターの目詰まりや燃料への不純物混入による燃焼能力低下を予防することが可能です。
また、エンジンオイルにはエンジン内部のスラッジを吸着・回収する役割や燃焼で発生した熱を冷却する効果があります。エンジンオイルをこまめに交換すれば、スラッジが外部に排出され燃料が燃えやすい環境が保たれるほか、過熱による点火プラグの劣化の進行を抑えることもできます。
もちろん、いずれも即効性があるわけではなく、根本的な解決法だとも言えません。ただ、アイドリングの不安定につながる故障は再発しやすいため、症状が軽い場合は予防策・改善策としてガソリン添加剤の注入やオイル交換を合わせて行い、様子を見るという手もあります。
これらの症状は、アイドリングが不安定になったことで起きるものですが、放置するとさらなる不調やトラブルにつながる可能性があります。
この記事では、車のアイドリングが不安定になる原因と不具合が考えられるパーツ、それぞれの修理・交換相場や対処法について詳しく解説していきます。
この記事の目次
症状と原因別!車のアイドリングが不安定な時の修理相場と対処法について
一言で「アイドリングが不安定」だと言っても、出てくる症状や原因は様々です。そこでまずは、車のアイドリングが不安定な時に起きる症状と考えられる原因について見ていきましょう。
そもそも車のアイドリングとは?

それと同じように、車などの高速で動く機械の原動力となるエンジンも、ある程度の作動温度に達することで最適に駆動するよう設計されています。
そして、アイドリングはエンジンに負荷をあまりかけないように低速で一定時間「空転」させることを指します。
つまり、アイドリングは車にとっての準備運動のようなものです。作動温度を上げるという点から「暖機運転」とも呼ばれます。
アイドリングが不安定な状態とは?
アイドリングが正常な場合、アクセルを踏み込めばすぐに発進できるよう、車のエンジンは一定の回転数を保ったまま低速で空転します。一方、アイドリングが不安定になると、以下のような症状が出ます。
・異音の発生
・振動の発生
・再発進時のもたつき
・エアコンの効きが悪くなる など
いずれも「エンジンの回転数が不規則」になっているため起きるもので、元をたどっていくとエンジンの中で不完全燃焼が起きている可能性が高いです。
見直されつつあるアイドリングの役割と存在価値
最近の車は、エンジンの燃料噴射機能・点火性能などが向上しているため、あまり暖機運転が必要ありません。準備運動というアイドリングの効果より、排気ガスの噴出・燃料消費というデメリットのほうが目立ってきました。そのため、不要なアイドリングをせずに、エンジンを停止させることで排気ガスの軽減や燃費向上を図る、アイドリングストップ機能を搭載している車種も増えてきました。
ただし、アイドリングストップ機能を持たない車も、まだまだ現役でたくさん走っています。また、アイドリングストップ機能がなくとも、同等の環境性能や燃費性能を持つ新型車種も登場しているので、アイドリングが不安定になる原因や対処法を知っておいて、損はないでしょう。
車のアイドリングが不安定になる主な原因

実はアイドリングが不安定になる原因は、それぞれ連続性や関連性があります。ここからは、それをエンジンが動くメカニズム・順番に沿って解説していきます。
【燃料系】燃料フィルターの劣化・機能低下
車のエンジンが動く、つまり内部で燃焼・爆発を起こすためには、ガソリンという燃料が必要です。燃料は普段、燃料タンクに溜められていますが、エンジンまで吸い上げられる過程で「燃料フィルター」という部品を通り、微量に含まれるほこりや水分、サビなどの不純物が除去されます。
しかし、燃料フィルターが長年の使用で劣化・機能低下すると、燃料に不純物が混じって燃焼性能が低下し、アイドリングが不安定(=不完全燃焼)になる場合があります。
特に、年式が古く燃料タンクにサビなどが多く発生していると、この現象が起きやすくなります。
【燃料系】インジェクターの目詰まり
前述した燃料フィルターを通り、不純物が取り除かれたガソリンは、「インジェクター」という部品で燃えやすい霧状になってエンジン内へ噴射されます。この時、燃料フィルターにおいて微細な不純物を取り除ききれずに残っていると、インジェクターの細い噴射口が詰まってうまく霧状に燃料を噴射できないため、アイドリングが不安定になることがあります。
このインジェクターは、通常4気筒の場合は4つ、6気筒の場合は6つと、エンジンの気筒の数(ピストンの数)だけついています。
そのため、全てのインジェクターが完全に詰まるとエンジンは全くかかりません。一方、アイドリングが不安定な場合は、どれかが詰まっている、あるいは詰まりかけていて燃料噴射状態が正常ではないと判断することができます。
【吸気系】エアフィルターの劣化・機能低下
インジェクターで霧状になったガソリンは、「エアフィルター」という部品を通してろ過された空気と適正な割合で混ざるため、燃焼しやすい状態です。しかし、エアフィルターが詰まって適量の空気を吸気できない場合、混合比が狂って不完全燃焼を起こしアイドリングが不安定になることがあります。
また、劣化したフィルターそのものが崩れ、細かいゴミとなって空気と混ざってしまうと、燃焼能力が下がってアイドリングが不安定になることもあります。
【吸気系】エアフロメーター・O²センサーの不具合
エアフィルターが詰まってしまった場合は、吸引される空気の量が減ることによって不完全燃焼が起きています。しかし、反対に吸引される空気の量が多すぎても燃料はうまく燃焼しません。そこで、車には空気の流入量または排出量を測定する「エアフロメーター(バキュームセンサー)・O²センサー」という部品が取り付けられています。
エアフロメーターは、空気の流入量を測定し、その情報を電気信号でECUの送る部品です。
ECUは情報をもとに最適な空燃比となるだけの燃料の量を計算し、インジェクターなどに燃料噴射量を指示しています。
似たような部品に「バキュームセンサー」があり、こちらは空気圧を測定しています。
O²センサーは、理想的な空燃比になっているかを精査するため、排気ガス中に酸素量を測定するセンサーです。
どちらもそう簡単に故障する部品ではありませんが、熱を持ち不純物が混ざる排気ガスと常に接しているO²センサーのほうが比較的故障しやすい傾向にあります。
また、いずれの場合も故障するとアイドリングが不安定になりますが、それ以外にも以下のような症状が出ることもあります。
・燃費・加速性能の低下
・警告灯の点灯
・マフラーからのすす
・異臭の発生 など
【点火系】イグニッションコイルの不具合
適切な比率で空気と混ぜられたガソリンは、ピストン内で圧縮され点火プラグによって引火されることになります。しかし、点火プラグに電気を送り込むイグニッションコイルが正常に作動していないと、点火も正常に行われないためアイドリングが不安定になることがあります。イグニッションコイルは、軸となる鉄心(コア)に電線が巻かれたコイル状の構造です。一次コイルでバッテリーから供給された電圧を一旦300ボルト程度まで上げ、その後巻き数の多い二次コイルで2万ボルト以上に引き上げ、点火プラグに送っています。
高い負荷のかかる部品ですが、その分耐久性も高く、その寿命は10年・走行距離10万kmを超えるとされています。
イグニッションコイルが故障する原因は、一次・二次コイルの過熱による摩耗・断線が多いです。そのため、エンジン停止・再始動回数が多い車のほうが比較的早く寿命を迎える傾向にあります。
【点火系】点火プラグの劣化・機能低下
「スパークプラグ」とも呼ばれる点火プラグは、イグニッションコイルで作り出された高圧電流を受け、火花を発生させて燃焼室内でガソリンに点火する部品です。ピストンの中で直接爆発の衝撃や圧力、超高温に達したガスなどをもろに浴びるため、劣化して点火能力が低下したり、破損して火花がうまく飛ばずアイドリングが不安定になったりする場合があります。
通常のニッケル合金なら走行距離10,000~20,000km、イリジウム・プラチナなら走行距離50,000km以上と、火花を飛ばす電極部分に使われている素材によって耐久性と寿命は異なります。
しかし、いずれにしても消耗品には違いないため、アイドリングが不安定になった場合、整備士はまず点火プラグの不調を真っ先に疑うでしょう。
アイドリングが不安定な時に発生しやすいトラブル

そこでここからは、アイドリングが不安定になった時、または放置した後に発生しやすいトラブルについて見ていきます。
エンジンストール(=エンスト)
前述した通り、アイドリングが不安定になっているということは、エンジンの稼働に関わる何かしらの部品・パーツが機能低下を起こしている可能性が高いです。そして、アイドリングが不安定になったにも関わらず放置してしまい、その原因となった個所が完全に故障すると、エンジンストール(=エンスト)を起こしてしまうことがあります。
停車中ならともかく、走行中にエンストしてしまった場合、後続車から追突されてしまう可能性があります。
また、エンジンの駆動を利用しているパワステやブレーキのアシスト機能が効かず、ハンドルが重くなったり、減速・停車が困難になったりするため大変危険です。
バッテリー上がり
アイドリングが不安定になっているということは、エンジンの回転を利用しているオルタネーターによる発電と、バッテリーへの充電もうまくいっていないということです。そのため、アイドリングが不安定な状態でいつも通りエアコンなどの電装品を使っていると、バッテリーの電力が枯渇し、バッテリー上がりを起こすことがあります。
このように、アイドリングが不安定だと、さらなる車のトラブルの前兆だと言えます。そのため、アイドリングが不安定になった場合は、決して放置しないように心がけましょう。
アイドリングが不安定になった時の対処法

まずは安全を確保して救援を依頼する
アイドリングが不安定になるのは、エンジンが稼働するために欠かすことのできない工程を担う何かしらの部品が故障している、または寿命を迎えたことが原因です。そのため、車の知識がない方が自分の力だけで問題を解決し、復旧させることは困難でしょう。しかし、アイドリングが不安定なのを放置し、エンストやバッテリー上がりに発展すると車は当然走行不能あるいは再稼働不能になります。その上、事故やさらなるトラブルのきっかけになりかねません。
アイドリングが不安定という前兆が起きているうちに、車を安全な場所に移動してJAFやロードサービスに救援を依頼するようにしましょう。
車業者で点検を受けて不具合個所を修理・交換する
アイドリングが不安定になる原因は多岐に及ぶ上、時に不具合が複合的・連鎖的に発生していることもあります。そのため、アイドリングが不安定になったら基本的には自分で何とかしようとせず、業者で点検を受けて不具合個所を修理・交換してもらいましょう。一昔前の車には「アジャストスクリュー」という名前のネジがついていて、それをドライバーなどで回すことでアイドリング時のエンジン回転数をある程度調整できました。
しかし、今の車はアイドリング時のエンジン回転数をコンピューターで制御しているため、アイドリングを調整するには専門の器具と知識が必要です。
アイドリングが不安定で修理・交換が必要になった場合の費用

【燃料系】のパーツに不具合が発生している場合
燃料フィルターは、部品代が3,000~5,000円程度とそこまで高額ではありません。ただし、車種によって取り付け位置が異なり、それによって作業に要する時間も手間も大きく変わってくるため、工賃については数千円で済むこともあれば2万円以上かかるケースもあります。
一方、インジェクターはどこで頼んでも工賃は1本あたり5,000円程度で済みますが、部品代は1本で1万~5万円と幅が広いです。高排気量・高出力のエンジンを搭載している車種のほうが、この部品代が高くなってきます。
また、複数本同時に故障している場合も考えられるため、かなりの出費となるかもしれません。
【吸気系】のパーツに不具合が発生している場合
エアフロメーターには、現在主流と言える「ホットワイヤ式」や「ホットフィルム式」の他「フラップ式」や「カルマン渦式」などいくつかのタイプがあります。車種や依頼先によってまちまちですが、部品代は概ね1万5,000~3万円、工賃は5,000~1万円といったところです。
O²センサーも部品代・工賃を含めて2万~4万円が交換相場となりますが、いずれも寿命の長い部品であるため、故障した時には車自体もかなり使い込んだ状態のことが多いです。そのため、部品交換して乗り続けるか車を買い替えるかは、十分検討しましょう。
一方、エアフィルターは走行距離30,000kmあたりで寿命がやってくる消耗品であり、交換コストも3,000~5,000円程度です。交換することで燃費向上効果も見込めますので、車検や法定点検に合わせて点検し、汚れているようなら交換しましょう。車種によっては、DIY交換することも可能です。
【点火系】のパーツに不具合が発生している場合
イグニッションコイルの交換にかかる費用は、工賃込みで1本あたり8,000~1万5,000円程度です。ただし、年数・走行距離の経過で劣化・故障する部品であるため、1本故障すると他のコイルも寿命に近づいているケースが多く、結果的に交換コストがかさんでいきます。
一方、点火プラグの交換工賃は、1本あたり1,000円程度と高くありません。しかし、部品代については電極に使われている素材によって大きく異なります。通常のニッケル合金製は数百円程度で手に入りますが、イリジウムプラグやプラチナプラグは数千円~1万円以上するものもあります。
アイドリングが不安定な場合は修理・交換したとしても故障が再発しやすい
アイドリングが不安定な原因となる各要素には、消耗品を含む数多くの部品が絡んでいます。また、劣化した燃料フィルターでろ過しきれなかった不純物がインジェクターに詰まりかけているといった具合に、それぞれ連鎖性があります。そのため、アイドリングが不安定になった原因を見つけ、該当する部品を修理・交換したとしても、連鎖性の強い他の部品に不具合が発生し、症状が再発する可能性もあります。
アイドリングが不安定になることにつながる故障を修理する際は、修理・交換にかかってくる費用はもちろん、再発する可能性が高いことも考慮して修理するか買い替えるかを決めましょう。
ガソリン添加剤やオイル交換で様子を見るという手も

また、エンジンオイルにはエンジン内部のスラッジを吸着・回収する役割や燃焼で発生した熱を冷却する効果があります。エンジンオイルをこまめに交換すれば、スラッジが外部に排出され燃料が燃えやすい環境が保たれるほか、過熱による点火プラグの劣化の進行を抑えることもできます。
もちろん、いずれも即効性があるわけではなく、根本的な解決法だとも言えません。ただ、アイドリングの不安定につながる故障は再発しやすいため、症状が軽い場合は予防策・改善策としてガソリン添加剤の注入やオイル交換を合わせて行い、様子を見るという手もあります。
まとめ
- ①アイドリングとは、車を一時停車したのちスムーズに再発進するための準備運動である
- ②アイドリングが不安定な状況とは、エンジン回転数を一定に保つことができず、車から異音や振動が発生する状態を指す
- ③アイドリングが不安定になった場合は、燃料系・吸気系・点火系のいずれかのパーツの不具合があると考えられる
- ④アイドリングが不安定になると、エンストやバッテリー上りを起こすリスクが高まる
- ⑤アイドリングが不安定になった時の修理費用は、故障・不具合個所によって大きく異なる
- ⑥アイドリングが不安定な場合、修理・交換したとしても故障が再発しやすい
- ⑦症状が軽い場合は、添加剤の注入やオイル交換の実施などで様子を見る手もある
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