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更新日:2023.03.03 / 掲載日:2023.03.03

車のエンジンがすぐ止まるのはなぜ?考えうる故障個所と修理費用について解説

走行中、車のエンジンがすぐ止まってしまうという困った状況に遭遇したことがある方もいるかもしれません。

一旦かかったエンジンがすぐ止まるということは、エンジンの継続的な稼働に関わる部品が故障している可能性があります。

そこで今回は、車のエンジンがすぐ止まるのはなぜか、考えられる故障個所と修理費用について詳しく解説します。

車の故障個所と程度によってエンジンの「止まり方」が異なる

車のエンジンが「すぐ止まる」と言っても、文字通り瞬間的に止まる時もあれば、徐々に速度が落ちていき止まってしまうケースもあります。

また、加速するためアクセルを吹かすと止まってしまう場合や平地では何事もなく走っていたのに急な坂道やカーブに差しかかると止まる場合もあります。

このように、エンジンの止まり方は様々です。そこでまずは、エンジンがすぐ止まる主な原因を挙げると共に、故障個所と程度によって異なる止まり方についても整理しておきましょう。

点火・電気系統が不具合を起こしている場合

車のエンジンは、「吸気」「圧縮」「燃焼」「排気」の4つの工程を繰り返すことで動き続けています。

このうち「燃焼」は、圧縮された燃料と空気の混合気に、イグニッションコイルや点火プラグなどの「点火系統」から発せられた火花が引火することで起きています。

また、点火系統は始動時はバッテリーから、走行時は発電機であるオルタネーターから直接電力を受け取り、それを増幅させ火花に変えています。

これらの点火・電気系統が不具合を起こしたことによって走行中すぐにエンジンが止まってしまう場合、糸が切れたように「ガクン!」と急に止まってしまうケースがほとんどです。

点火・電気系統が故障し火花が発せられないと燃焼も起きないため、エンジンの動きが即時全停止してしまいます。

イグニッションコイルが故障している時の症状

イグニッションコイルとは、オルタネーターで発電される電力を、火花を起こすために必要な2万~3.5万Vもの高電圧に引き上げる「変圧器」のことです。巻き数の異なる2つのコイルが起こす「電磁誘導作用」を利用しています。

通常、イグニッションコイルは点火プラグと同じ数、つまり4気筒エンジンの場合は4本ついています。故障したのが1本だけの場合は、加速が伸びない・アイドリングが安定しない・エンジンのかかりが悪いなどの症状が出るでしょう。

しかし、走行中故障した本数が2本、3本と増え、燃焼で得られるパワーが一定レベルを下回り、走行継続に必要な他の工程を賄えなくなった場合は、即座にエンジンが全停止して再始動もできない状況になる可能性があります。

イグニッションコイルの修理・交換費用

イグニッションコイルは高電圧を扱う性質上、素材・構造共に非常に耐久性が高く、その寿命は10万km以上とされています。

主な故障原因は経年使用による劣化なので、スパンの長い消耗品と考えていいでしょう。そのため、基本は修理ではなく交換となり、中古を使うことはなく新品を使用します。

修理費用は部品代・工賃込みで1本当たり1万円程度です。しかし、エンジンがかからない場合は全てのイグニッションコイルが劣化している可能性が高いため、複数(エンジンの気筒数分)いっぺんに交換することが多くなります。

点火プラグか故障しているときの症状

スパークプラグとも呼ばれる点火プラグは、イグニッションコイルから送られる高電圧を受け取る端子部分と火花を飛ばすための電極部分からなる、5~7cm程度の小さな部品です。

電極部分はネジのような形状をしており、エンジンのシリンダー(燃焼室)に突き刺さっているような形で固定されています。

点火プラグには、電極に使われている素材によって「標準プラグ」「プラチナプラグ」「イリジウムプラグ」があります。

標準プラグよりプラチナプラグのほうが、プラチナプラグよりイリジウムプラグのほうが、耐久性・耐熱性・放電性共に優れています。

不良・故障時の症状はイグニッションコイルとほぼ同じです。走行中エンジンがすぐ止まるような場合は、大半のプラグが寿命を迎えている可能性が高くなります。

点火プラグの修理・交換費用

点火プラグは、車の中で最も高熱・高負荷にさらされる燃焼室内に電極部分をむき出しにした状態で取り付けられています。

そのため、標準プラグの寿命は3万km程度とされていますが、耐久性・耐熱性に優れるプラチナプラグは5万km、イリジウムプラグは7万km以上もつこともあります。

もちろん、標準プラグよりプラチナ・イリジウムプラグのほうが部品代はやや高いです。しかし、燃焼効率向上や長寿命化を図るため、交換を機に標準プラグを上位プラグに変更する方も多いようです。

工賃については、エンジンの仕様によってまちまちですが、1本当たり500円~1,000円程度とそれほど高くありません。

プラグ交換に必要な専門工具と多少の知識があれば、適合するプラグをカー用品店などで購入しDIY交換をして、工賃を節約することも十分可能です。

オルタネーターが故障しているときの症状

点火系統に関わる電気の流れを簡単に整理すると、エンジン始動時にはオルタネーターでの発電が行われていません。そのため、バッテリーに蓄えられた電気がイグニッションコイルを通り、点火プラグに流れて最初の点火が行われます。一方、走行中はバッテリーからではなく、発電機であるオルタネーターからダイレクトに点火系統へ電気が送られます。

つまり、最初からエンジンがかからない時はバッテリー上がり、いったんエンジンがかかったものの走行中にすぐ止まる場合はオルタネーターの故障が疑われます。

ただし、オルタネーターはいきなり発電しなくなるものではなく、内蔵されているブラシの劣化やコイルの断絶により、徐々にその発電能力が低下していきます。そのため、ライト類が暗くなる・ハンドルやブレーキが重くなる・バッテリーがすぐ上がるなどといった症状を経て点火に必要な電力を下回ると、走行中にガクンと止まる可能性があります。

オルタネーターの修理・交換費用

オルタネーターの寿命は比較的長く、走行距離にして10万~15万kmと言われています。

しかし、電装品が多い&よく使うアイドリングストップ車や、弱ったバッテリーを使い続けているといった理由で過度な負担がかかった場合は、寿命が縮んでしまう可能性もあります。

走行中すぐに止まるほど故障が進んでいる場合は、オルタネーター自体を丸ごと交換しなければなりません。新品を用いると高額になるため、中古品やリビルト品を使用して部品代を節約するケースもあります。

また、程度が軽い場合や故障が一部の構成部品に限られている場合は、該当部品の交換やオーバーホールで対応する場合があります。その際は、1万円程度で修理できることもあるため、前兆を見逃さないことが大切です。

燃料系統が不具合を起こしている場合

燃料系統とは、燃焼に必要なガソリンなどをタンクからエンジンまで運ぶため働いている部品、またはそのパイプラインのことを指します。

燃料系統が故障し燃料がエンジンに届かなければ、いくら点火しても燃焼が起きずエンジンが止まってしまうのは当たり前です。

しかし、関連機器が故障すると、瞬間的に消えてしまうことも多い火花や電気とは異なり、燃料は燃焼室内またはパイプライン上に一定量残っている場合があります。そして、燃焼室内やパイプライン上の燃料が完全に消費されてしまうまでは、エンジンで燃焼が起きる可能性も高いです。

そのため、燃料系統が不具合を起こして、それが原因で車のエンジンが止まってしまう場合は、尾を引くようにじんわりとスピードが落ちていき、最終的に止まるケースが多いです。

インジェクターが故障している時の症状

インジェクターは、燃えやすいよう霧状にした燃料を燃焼室内に噴射する「スプレー」のような部品です。基本的にエンジンの各気筒に1つずつ装着されていて、燃料噴射口は非常に細くなっています。

燃料に混入した異物などで、インジェクターが目詰まりして噴射量に狂いが出ると、エンジン出力の低下・燃費の不自然な上下動・エンジン振動や騒音の増加などの症状が出てきます。

そして、詰まりの程度がひどくほとんど燃料を噴射しない状況になった場合は、エンジン出力の低下が激しくなり、最終的にはエンストしてしまうでしょう。

また、ブローバイガス(燃料を含んだ不燃焼ガス)などが噴射口に付着し、複数のインジェクションの燃料噴射状態が悪くなった場合も、同じような症状を経てエンジンが止まってしまうことがあります。

インジェクターの修理・交換費用

インジェクターの修理交換費用は車種によって大きく異なります。

部品代にしても1本当たり1万5,000円程度の場合もあれば、燃料ポンプのない直噴タイプだと3万円以上することもあります。

現在主流となっているマルチポイント式(気筒ごとにインジェクターがあるタイプ)の場合は、工賃が8,000円~1万5,000円、つまり4気筒エンジンの場合は合計7万~8万円ほどの修理費用がかかる計算です。

ただし、前述した通り燃料への異物混入による目詰まりにしろブローバイガスの付着にしろ、インジェクターの噴射不良は徐々に進行することが多くなります。そのため、出力低下などの前兆が起きているうちに、異物の除去(融解)や洗浄効果がある燃料添加剤を投入すれば症状が改善することもあります。

燃料ポンプが故障している時の症状

燃料の残量が少ない時に急な坂道やカーブに差しかかると、重力や遠心力の影響でタンク内の燃料が偏ります。

この時、燃料ポンプが元気なら問題ありませんが、不具合や故障が起きていて燃料を吸い上げる力が低下していると、エンジンに燃料が送り込まれず停止してしまうことがあります。

燃料の吸引力が低下している程度の場合は、平地に移動したり、燃料を一定量以上に保ったりするとエンジンがかかるかもしれません。しかし、それでもエンジンが再始動しない場合は、完全に燃料ポンプが故障している可能性が高いです。

燃料ポンプの修理・交換費用

燃料ポンプは耐久性が高く、目安となる寿命も10万km以上と長いため、普通に乗っていればその車を手放すまで故障しないことがほとんどです。

しかし、アイドリング時間の長い車や長年放置していた車などは、目安の走行距離より早く寿命が来てしまうことがあります。

特に注意すべきなのが「ガス欠」です。燃料ポンプは燃料に含まれる油分を潤滑や冷却に使用しているため、ガス欠を繰り返し空回しする回数が増えると、圧送用モーターの焼きつきなどを引き起こしかねません。

故障してしまうと、修理ではなく交換が一般的です。その場合は、部品代と工賃込みで4万~7万円程度必要になります。

吸気・排気系統が不具合を起こしている場合

吸気パイプやホースの脱落や破損、マフラーの排気漏れ、インテークマニホールド・エキゾーストマニホールドの破損といった、吸気・排気系統に不具合が発生している場合は、パワー低下程度で済むことがほとんどです。

なぜなら、吸気系統が機能しなくても、燃焼に欠かせない酸素は空気中にある程度存在しますし、排気系統はエンジンの稼働自体にはあまり関与していないからです。

しかし、最近は環境保護などの観点から吸気・排気を電子制御している車も増えたため、エンジン停止に至ることもあります。

なお、関連するトラブルとして、マフラーが水や雪などで詰まった場合も、エンジンが止まることがあります。この時、エンジンが止まる直前に一酸化炭素などの有害ガスが車内に逆流し、中毒を起こす危険があるので注意しましょう。

吸気・排気系統が故障している時の症状

空気を取り込む役割の吸気系統が故障していると、燃焼のために欠かせない空気(酸素)と燃料の混合気をうまく生成できません。そのため、吸気系統が故障している時の症状は、点火系が故障している時と似ています。

ただし、吸気系統は故障の程度が軽い場合、アクセルを吹かすと必然的に取り込まれる空気の量が増えるため、症状が消えることが多いです。

一方、排気系統はマフラーからの異音・異臭の発生が最も顕著な症状になります。そして、エンジンを吹かすと排気の勢いも増すため、吸気系統とは逆に異音・異臭などの症状がより激しくなります。

吸気・排気系統の修理・交換費用

前述した通り、排気・吸気系統は少々不具合を起こしても、エンジン停止までには至らないことがほとんどです。

しかし、その中でもエンストにつながる可能性が高いのは、バキュームセンサーなど制御系の故障、吸気パイプやホースの脱落や破損、マフラーの完全な詰まりなどになってきます。

それぞれの修理・交換相場は以下のようになります。

・バキュームセンサーの交換をする場合
部品代が3,000円~8,000円
工賃が3,000円~8,000円

・吸気パイプの交換をする場合
部品代が3,000円~5,000円
工賃が3,000円~8,000円

・吸気ホースの交換をする場合
部品代が1,000円~2,000円
工賃が3,000円~8,000円

・マフラーの詰まりを除去する場合
工賃4,000円~6,000円
マフラーの取外しが必要な場合は、別途5,000円~9,000円が必要になります。

いずれも極端に高額というわけではありません。

慣れている方なら、DIY交換・作業をして工賃を節約することも可能です。しかし、これらの部品は高熱になっていることも多いため、DIYにチャレンジする時はエンジン停止後完全に熱が冷めてから作業を始めるようにしましょう。

故障がなくてもエンジンはすぐ止まることがある

ここまで、エンジンの止まり方で判別できる故障個所・程度を解説してきました。

車のエンジンは故障や不具合が全くなくても、ヒューマンエラー、つまりドライバーの操作ミスなどですぐ止まってしまうこともあります。

そこで最後に、故障以外でエンジンがすぐ止まるケースをいくつか挙げていきましょう。

運転操作ミスによるエンスト

日本自動車販売協会連合会が毎年発表している「新車登録台数年報」によると、2019年度に販売された国産乗用車の98.6%をAT車が占めているそうです。

つまり、今やMT車は数少ない存在であるため、AT車限定の免許ではないけれど、一度もMT車を運転したことがないという方も多いでしょう。

そして、MT車はエンジンをかけて走り出す際、半クラッチ(クラッチを完全につないでいない状態のこと)と呼ばれる独特な操作が必要です。それに失敗すると、ガクン!という衝撃と共にエンストすることがあります。

また、本来2速以上のトルク(力)が必要な登り坂などで判断を誤り、3速以上までシフトアップするといったシフトチェンジミスが起きた時も、エンストしてしまう可能性があります。

AT車でもエンストすることがある

AT車はクラッチ操作がなく、基本的に走行中の細かいシフトチェンジも必要ないため、操作が容易でエンストもしにくいのが利点です。しかし、あくまでエンストしにくいだけで全くしないわけではありません。

例えば、極めて低速で走行している時に誤ってPレンジにシフトが入ってしまった場合、ギャギャ!と大きな音を立て、エンストすることがあります。

また、急な坂道発進などで車が進行方向と反対、つまりバック方向に大きく動いたケースや、急な下り坂でバックしようとした際、大きく前進してしまった場合でも、エンジンが急に止まってしまう可能性があります。

いずれも、動いているギアを無理やり止めようとしたり、進行方向と逆の力が加わったりと、ギア及びそれを動かしているエンジンに過剰な負荷がかかったのが原因です。

とはいっても、AT車はエンストしにくいため、不意に大きな音を立ててエンストすると焦ってしまうかもしれません。AT車でもエンストすることがあるという事実とその原因を知っておけば、追突事故防止や速やかな再発進などの対処を慌てずに落ち着いてできるでしょう。

まとめ

  • ①車のエンジンの止まり方で故障個所や程度、修理費用相場などの目星をつけることができる
  • ②車が急に止まる場合は、点火(イグニッションコイルや点火プラグなど)、電気系統(オルタネーターなど)の故障が疑われる
  • ③尾を引くように、じんわりとスピードが落ちて止まる場合は、燃料系統(インジェクターや燃料ポンプ)の故障が疑われる
  • ④吸気・排気系統(マフラー・インテークマニホールド・エキゾーストマニホールドなど)の故障はパワーダウン程度にとどまることも多いが、エンジンが止まるケースもある
  • ⑤マフラーの詰まりが原因でエンジン停止に至った場合、一酸化炭素が車内に逆流する恐れがあるため注意
  • ⑥故障がなくとも、MT車での運転操作ミスやトルク不足、AT車でのギア・エンジンに対する過剰負荷などによって、車のエンジンがすぐ止まる(エンストする)ことがある
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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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