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更新日:2023.03.04 / 掲載日:2023.03.04
車のエンジンがかからないのはセルが弱いから?弱くなった時の症状や原因について解説
車に乗って、いつも通りキーを回してもエンジンがかからないという時は、始動装置である「セル」が弱くなっている可能性があります。
このセルとは何か、どんな役割を持っているのか、それが弱くなる直接的な原因は何なのかを知っておけば、より的確に対処することができます。
そこでまずは、セルが弱くてエンジンがかからないという事態に備えて、知っておきたいことを解説していきます。

セルとは、エンジン始動のきっかけを与える「セルモーター」という部品の略称です。また、セルモーターが正常に動いている時に聞こえてくる「キュルキュル音」をセルと呼ぶこともあります。
そして、ここで言う「セルが弱い」とは、セルモーターに何らかの不具合が発生し、内蔵されているモーターの回転力が不足している、または回転力がエンジンにうまく伝わっていない状態を指します。
モーターの回転力が不足していたり、回転力が伝わっていたりするか否かを目で見て判断することはできません。
しかし、キーを回すとドライバーの耳に届くはずである「キュルキュル音」がいつもより小さかったり、断続的で不規則だったり、または「ギャリギャリ」など聞きなれない異音がする場合はセルが弱くなっていると判断することができます。

車のエンジンは、吸気・圧縮・燃焼・排気という4つの工程を繰り返すことで動き続けています。しかし、エンジンだけではその工程を始めることができません。
そこで、エンジンが最初の工程を始めるために必要な回転力を与える補機として取り付けられているのがセルモーターです。
セルモーターには、ピニオンギアという小さな歯車がついており、電動モーターの回転に合わせ飛び出します。そして、飛び出したピニオンギアとエンジン側に取り付けられたフライホイールが噛み合うことで伝わった回転力を利用して、エンジンは吸気・圧縮の工程を行います。
その後、吸気・圧縮された燃料と空気の混合気に、点火系統からの火花が飛んで燃焼が起き、エンジンは継続的な動きを始める(=エンジンがかかる)という仕組みです。
つまり、セルが弱いと、モーターの回転力が足りなくなったり、ピニオンギアの飛び出しが足りなくなったり、ピニオンギアとフライホイールが噛み合っていない状態になります。
このような症状が起きている場合、最初の吸気・圧縮工程が正常に行われないため、エンジンがかからないことがあります。
しかし、セルが弱っておらず正常に作動していて、吸気・圧縮が行われていても、点火・燃料系に不具合があれば燃焼に必要な火花が飛ばなかったり、そもそも燃料がエンジンまで届いていない場合は、当然ながらエンジンはかかりません。
このように車のエンジンがかからない原因は様々です。
しかし、スターターと呼ばれることでも分かるとおり、セルはエンジン始動のきっかけを作っている重要な部品です。まずセルを万全にしないことには、その他の不調と原因を見極めることできません。

ここまで、セルの重要性についてお伝えしてきました。
ここからは、そんなセルが不具合を起こす主な原因を3つ紹介します。
その稼働用電力は、バッテリーに蓄えられた電気です。
セルモーターに必要となる電力は大きく、数ある車の電装品の中でも最大級のため、バッテリーに蓄えられている電気が少しでも不足すると、うまく最初の吸気・圧縮ができずエンジンがかからない、またはかかりにくくなることがあります。
また、バッテリーからセルモーターまでの電気配線上でリーク(漏電)が起きている場合も、電力不足でセルが弱くなる場合があります。
オルタネーターが故障しかかっている時も、走行中にバッテリーへ送られる電力が不足し、結果としてセルが弱くなることがあります。
また、オルタネーターが故障すると、ライト類が暗くなる、パワーウィンドウの動きが遅くなるといった全ての電装品に影響が出ます。しかし、セルモーターの消費電力は大きいため、他の電装品より先に症状が出るケースも多いです。
とはいえ、オルタネーターの発電力が少々落ちていても、バッテリーが正常かつ長距離走行した場合、バッテリーの蓄電量が十分あれば、セルが弱くエンジンがかからないという顕著な症状までは出ないケースもあります。
反対に短距離走行ばかりでセルを回す回数が多い場合は、それほどオルタネーターが弱っていないのに症状が出てくるケースもあります。
とはいえ、バッテリーやオルタネーターなどの電気系統に目立った不具合がない場合、経年使用によるピニオンギアの摩耗やモーター内のコイル断線などといった、セルモーター自体の故障・不具合も疑われます。
なお、セルモーター自体に故障や不具合があった場合は、セルの音が小さくなったり、不規則になったりするだけではなく、「ギャリギャリ」「ガラガラ」といった異音や何かが焦げているような異臭を感じることもあります。

セルが弱く既にエンジンがかからない場合、それを放っておく方は少ないでしょう。しかし、もたつきながらもエンジンがかかる場合だと「セルが弱くなった気がする…」と感じても、点検や修理をせずにそのまま乗り続けてしまうケースがあります。
セルが弱くエンジンがかかりにくいということは、回転力が不完全で正常に吸気・圧縮工程が進んでいないにも関わらず、無理やり点火・燃焼を行ってエンジンをかけているということです。
そのため、エンジン内で不完全燃焼や不規則爆発などが起こり、プラグかぶりやインジェクターの詰まりなどといった不具合が、点火・燃料系統に発生する恐れがあります。
また、セルモーターは通常、1度のエンジン始動時に1回稼働するものです。しかし、弱くなってかかりが悪い場合は2回、3回と繰り返すこともあるでしょう。
すると、弱っているバッテリーやオルタネーターにさらなる負担がかかり、最終的には完全に故障して車が再稼働できない状態に陥る可能性もあります。

前述したとおり、セルが弱いのに放置すると様々な箇所に悪影響が及ぶ可能性があります。そのため、エンジンがかかるか、からないに関わらず、セルが弱いと感じた時は速やかに原因を究明し、改善修理を行いましょう。
そこでここからは、原因別にセルが弱い時の修理費用の相場や目安について見ていきましょう。
バッテリーは、カー用品店やホームセンターなどで販売されています。車種や品質によって価格はまちまちですが、軽自動車用は6,000円、小型車用は9,000円、大型車用は1万2,000円程度が相場です。
工具さえあればDIY交換も十分可能ですが、カー用品店やガソリンスタンドなどでバッテリーを購入した場合、交換した古いバッテリーの廃棄料を含め1,000円~2,000円程度で請け負ってくれることがあるため、プロにお任せするのもいいでしょう。
また、セルモーターは非常に電気消費量が大きいため「セルが弱い=バッテリー交換」というわけではありません。
バッテリー液を補充したり、充電力回復効果を期待できる添加剤を入れたりした上で、長距離運転をして充電を促せば症状が改善するケースも多々あるので試してみると良いでしょう。
程度が軽いまたは故障箇所が限定的(ブラシの摩耗やベアリングの損傷)である場合は、いったんオルタネーターを分解し、対象部品の交換・清掃・再組み立てを行うオーバーホール(OH)で対応することもあります。
しかし、不具合の程度が重く頻繁にセルが弱くなるようなケースでは、やはりオルタネーターの交換が必要です。その際、新品を用いた場合は4万~9万円程度の部品代と、1万~2万円程度の工賃がかかります。
部品代を節約するため、中古品やリビルト品を探してくれる場合もあるでしょう。しかし、後述するセルモーターと異なり、オルタネーターはエンジンが動いている限り常に稼働している部品です。
結果として、中古品やリビルト品にしても、交換後長年の使用に耐えうるものを探し出すのは大変ですし、見つかったとしても程度のよいものはそれなりに高価です。
また、安価なものは経年劣化してる場合が多く、不具合の種を抱えている可能性が高くなります。そのため、修理後長く車に乗る予定なら、費用が多少かかったとしても新品を用いて交換したほうが安心です。
ただし、セルが弱くなり、エンジンがかからないほど故障した場合は、セルモーター自体の部品交換をすることになります。その際、新品の部品に交換すると部品代が3万~5万円程度、工賃は依頼先によって1万~2万円程度必要になります。
しかし、元々高い耐久性を持つセルモーターの場合、オーバーホール済みのリビルト品が1万~2万円程度で出回っていることも多いです。それを利用すれば部品代を節約できます。
オーバーホールを行っていない中古品も、数千円程度とさらに安価で販売されています。しかし、交換する時は問題なく動いても、その後すぐに故障する可能性もあるため、リビルト品はともかく中古品の使用には注意しましょう。

セルが弱くてエンジンがかからないと、原因はともかく走行不能になってしまいます。しかし、セルが弱くなる原因によっては、その場で対処して走行できる状態にもっていくことも可能です。
ここからは、セルが弱くエンジンがかからない時にその場でできる、またはやっておくべき対処法を紹介していきます。
そのため、エアコン・オーディオ・ヘッドライトなど、その他の電装品のスイッチが入ったままエンジンをかけようとすると、それだけでセルが弱くなってしまうことがあります。
反対に、全ての電装品を消してからセルを回し直すと、不足していた電力が補われセルの勢いが戻り、エンジンがかかることがあります。
もちろんセルが弱くなった原因の根本的な解決になるわけではありませんが、自走できればガソリンスタンドや修理工場に駆け込むことも可能なので、試してみると良いでしょう。
また、バッテリー上がりを起こして既にエンジンがかからない場合でも、セルが弱いという症状だけであればジャンピングなどでバッテリーに電気を補充することでエンジンがかかることもあります。
しかし、いずれの場合もバッテリーが弱っている、もしくは既に寿命を迎えている可能性もあります。そのため、速やかにガソリンスタンドやカー用品店へ行き、状態に合わせてバッテリー液や添加剤の投入、またはバッテリー交換を行いましょう。
押しがけとは、本来セルモーターが電動で行っているエンジン始動を、人力で車を押して回転力を得ることで代用する方法です。
セルモーターが完全に故障していたとしても、押しがけを行うことで自走可能状態までもっていくことができます。
ただし、1トン近くある車を人力で動かし、同時にエンジン始動操作を行う必要があるため、最低でも2人以上いないと押しがけは困難です。
また、最近の車は点火・燃料系などが電子制御になっているため、バッテリーが完全に上がっている場合はMT車であっても押しがけができないので注意しましょう。
また、AT車はそもそも押しがけができない上、前述したとおりMT車でも状況的に押しがけが難しいケースは多くなっています。
このような場合は、無理せずJAFやロードサービスに救援を依頼しましょう。レッカー車などで、行きつけの修理工場やディーラーまで車を移動してもらったほうが安心です。

セルはエンジン始動のきっかけであると同時に、それが弱いということはさらなる不具合の前兆、もしくは「きっかけ」となる可能性が高くなります。
そのため、仮に適切な対処でエンジンがかかったり、症状が収まったりしても、修理工場やディーラーなどで早めの点検を受け、必要に応じたメンテナンス・修理・交換を行いましょう。
セルが弱くなった原因がオルタネーターやセルモーターの故障にある場合、その修理・交換費用は高額になることもあります。さらに、これらの部品に故障が起きると、その他の箇所にも不具合や不調の種が潜んでいることも多いため、修理ではなく乗り換えも視野に入れたほうが良いかもしれません。
このセルとは何か、どんな役割を持っているのか、それが弱くなる直接的な原因は何なのかを知っておけば、より的確に対処することができます。
そこでまずは、セルが弱くてエンジンがかからないという事態に備えて、知っておきたいことを解説していきます。
この記事の目次
そもそも「セルが弱い」とはどういう状態?

そして、ここで言う「セルが弱い」とは、セルモーターに何らかの不具合が発生し、内蔵されているモーターの回転力が不足している、または回転力がエンジンにうまく伝わっていない状態を指します。
モーターの回転力が不足していたり、回転力が伝わっていたりするか否かを目で見て判断することはできません。
しかし、キーを回すとドライバーの耳に届くはずである「キュルキュル音」がいつもより小さかったり、断続的で不規則だったり、または「ギャリギャリ」など聞きなれない異音がする場合はセルが弱くなっていると判断することができます。
なぜセルが弱いとエンジンがかからないの?

そこで、エンジンが最初の工程を始めるために必要な回転力を与える補機として取り付けられているのがセルモーターです。
セルモーターには、ピニオンギアという小さな歯車がついており、電動モーターの回転に合わせ飛び出します。そして、飛び出したピニオンギアとエンジン側に取り付けられたフライホイールが噛み合うことで伝わった回転力を利用して、エンジンは吸気・圧縮の工程を行います。
その後、吸気・圧縮された燃料と空気の混合気に、点火系統からの火花が飛んで燃焼が起き、エンジンは継続的な動きを始める(=エンジンがかかる)という仕組みです。
つまり、セルが弱いと、モーターの回転力が足りなくなったり、ピニオンギアの飛び出しが足りなくなったり、ピニオンギアとフライホイールが噛み合っていない状態になります。
このような症状が起きている場合、最初の吸気・圧縮工程が正常に行われないため、エンジンがかからないことがあります。
セルが弱いこと以外にもエンジンがかからない原因はある
前述したとおり、セルモーターはエンジンが継続的に稼働するうえで絶対に欠かせない、最初の吸気・圧縮工程を担っています。しかし、セルが弱っておらず正常に作動していて、吸気・圧縮が行われていても、点火・燃料系に不具合があれば燃焼に必要な火花が飛ばなかったり、そもそも燃料がエンジンまで届いていない場合は、当然ながらエンジンはかかりません。
このように車のエンジンがかからない原因は様々です。
しかし、スターターと呼ばれることでも分かるとおり、セルはエンジン始動のきっかけを作っている重要な部品です。まずセルを万全にしないことには、その他の不調と原因を見極めることできません。
セルが弱くなる原因とは?

ここからは、そんなセルが不具合を起こす主な原因を3つ紹介します。
原因①セルモーターへの電気供給量不足
セルモーターは電気で動く補機であり、エンジン停止中(オルタネーターが発電していない時)に働きます。その稼働用電力は、バッテリーに蓄えられた電気です。
セルモーターに必要となる電力は大きく、数ある車の電装品の中でも最大級のため、バッテリーに蓄えられている電気が少しでも不足すると、うまく最初の吸気・圧縮ができずエンジンがかからない、またはかかりにくくなることがあります。
また、バッテリーからセルモーターまでの電気配線上でリーク(漏電)が起きている場合も、電力不足でセルが弱くなる場合があります。
原因②オルタネーターが故障しかけている
前述したように、セルモーターの稼働用電力はバッテリーから送られています。そして、走行中にそのバッテリーに電気を溜めているのは、発電機であるオルタネーターです。オルタネーターが故障しかかっている時も、走行中にバッテリーへ送られる電力が不足し、結果としてセルが弱くなることがあります。
また、オルタネーターが故障すると、ライト類が暗くなる、パワーウィンドウの動きが遅くなるといった全ての電装品に影響が出ます。しかし、セルモーターの消費電力は大きいため、他の電装品より先に症状が出るケースも多いです。
とはいえ、オルタネーターの発電力が少々落ちていても、バッテリーが正常かつ長距離走行した場合、バッテリーの蓄電量が十分あれば、セルが弱くエンジンがかからないという顕著な症状までは出ないケースもあります。
反対に短距離走行ばかりでセルを回す回数が多い場合は、それほどオルタネーターが弱っていないのに症状が出てくるケースもあります。
原因③セルモーター自体の不具合
セルモーターは、その役割があまりにも重要なため、高い耐久性を持っています。その上、稼働回数もエンジン始動時のみと他の部品と比較して限られているため、滅多に故障することはありません。とはいえ、バッテリーやオルタネーターなどの電気系統に目立った不具合がない場合、経年使用によるピニオンギアの摩耗やモーター内のコイル断線などといった、セルモーター自体の故障・不具合も疑われます。
なお、セルモーター自体に故障や不具合があった場合は、セルの音が小さくなったり、不規則になったりするだけではなく、「ギャリギャリ」「ガラガラ」といった異音や何かが焦げているような異臭を感じることもあります。
セルが弱いのに放置すると車はどうなる?

セルが弱くエンジンがかかりにくいということは、回転力が不完全で正常に吸気・圧縮工程が進んでいないにも関わらず、無理やり点火・燃焼を行ってエンジンをかけているということです。
そのため、エンジン内で不完全燃焼や不規則爆発などが起こり、プラグかぶりやインジェクターの詰まりなどといった不具合が、点火・燃料系統に発生する恐れがあります。
また、セルモーターは通常、1度のエンジン始動時に1回稼働するものです。しかし、弱くなってかかりが悪い場合は2回、3回と繰り返すこともあるでしょう。
すると、弱っているバッテリーやオルタネーターにさらなる負担がかかり、最終的には完全に故障して車が再稼働できない状態に陥る可能性もあります。
原因別!セルが弱いときの改善修理にかかる費用

そこでここからは、原因別にセルが弱い時の修理費用の相場や目安について見ていきましょう。
電気供給量が不足しているときの修理・交換費用
セルが弱くなっている場合、その原因として多いのが電力供給源であるバッテリーの弱体化です。バッテリーは、カー用品店やホームセンターなどで販売されています。車種や品質によって価格はまちまちですが、軽自動車用は6,000円、小型車用は9,000円、大型車用は1万2,000円程度が相場です。
工具さえあればDIY交換も十分可能ですが、カー用品店やガソリンスタンドなどでバッテリーを購入した場合、交換した古いバッテリーの廃棄料を含め1,000円~2,000円程度で請け負ってくれることがあるため、プロにお任せするのもいいでしょう。
また、セルモーターは非常に電気消費量が大きいため「セルが弱い=バッテリー交換」というわけではありません。
バッテリー液を補充したり、充電力回復効果を期待できる添加剤を入れたりした上で、長距離運転をして充電を促せば症状が改善するケースも多々あるので試してみると良いでしょう。
オルタネーターの修理・交換費用
セルが弱くなる原因として次に考えられるのが、オルタネーターの不具合です。程度が軽いまたは故障箇所が限定的(ブラシの摩耗やベアリングの損傷)である場合は、いったんオルタネーターを分解し、対象部品の交換・清掃・再組み立てを行うオーバーホール(OH)で対応することもあります。
しかし、不具合の程度が重く頻繁にセルが弱くなるようなケースでは、やはりオルタネーターの交換が必要です。その際、新品を用いた場合は4万~9万円程度の部品代と、1万~2万円程度の工賃がかかります。
部品代を節約するため、中古品やリビルト品を探してくれる場合もあるでしょう。しかし、後述するセルモーターと異なり、オルタネーターはエンジンが動いている限り常に稼働している部品です。
結果として、中古品やリビルト品にしても、交換後長年の使用に耐えうるものを探し出すのは大変ですし、見つかったとしても程度のよいものはそれなりに高価です。
また、安価なものは経年劣化してる場合が多く、不具合の種を抱えている可能性が高くなります。そのため、修理後長く車に乗る予定なら、費用が多少かかったとしても新品を用いて交換したほうが安心です。
セルモーターの修理・交換費用
セルが弱くなったんだからセルモーターが故障したのだろうと、すぐに考える方が多かもしれませんが、セルモーターは稼働回数が限定的で稼働時間も短いため、なかなか故障しないとされています。ただし、セルが弱くなり、エンジンがかからないほど故障した場合は、セルモーター自体の部品交換をすることになります。その際、新品の部品に交換すると部品代が3万~5万円程度、工賃は依頼先によって1万~2万円程度必要になります。
しかし、元々高い耐久性を持つセルモーターの場合、オーバーホール済みのリビルト品が1万~2万円程度で出回っていることも多いです。それを利用すれば部品代を節約できます。
オーバーホールを行っていない中古品も、数千円程度とさらに安価で販売されています。しかし、交換する時は問題なく動いても、その後すぐに故障する可能性もあるため、リビルト品はともかく中古品の使用には注意しましょう。
セルが弱くエンジンがかからない時の対処法

ここからは、セルが弱くエンジンがかからない時にその場でできる、またはやっておくべき対処法を紹介していきます。
まずは電装品を全て消してもう一度エンジンをかけてみる
ここまで何度か触れてきたとおり、セルモーターは消費電力が大きい部品です。そのため、エアコン・オーディオ・ヘッドライトなど、その他の電装品のスイッチが入ったままエンジンをかけようとすると、それだけでセルが弱くなってしまうことがあります。
反対に、全ての電装品を消してからセルを回し直すと、不足していた電力が補われセルの勢いが戻り、エンジンがかかることがあります。
もちろんセルが弱くなった原因の根本的な解決になるわけではありませんが、自走できればガソリンスタンドや修理工場に駆け込むことも可能なので、試してみると良いでしょう。
不足している電気供給量を補ってみる
充電装置であるオルタネーターやセルモーター自体に不具合がない場合、一定距離走行して不足している電気供給量を補えば、症状が改善するケースもあります。また、バッテリー上がりを起こして既にエンジンがかからない場合でも、セルが弱いという症状だけであればジャンピングなどでバッテリーに電気を補充することでエンジンがかかることもあります。
しかし、いずれの場合もバッテリーが弱っている、もしくは既に寿命を迎えている可能性もあります。そのため、速やかにガソリンスタンドやカー用品店へ行き、状態に合わせてバッテリー液や添加剤の投入、またはバッテリー交換を行いましょう。
MT車なら「押しがけ」という手も
エンジンがかからない理由がセルの弱体化だけで、MT車の場合は「押しがけ」をして一先ずその場から移動し、修理工場などに駆け込むという手もあります。押しがけとは、本来セルモーターが電動で行っているエンジン始動を、人力で車を押して回転力を得ることで代用する方法です。
セルモーターが完全に故障していたとしても、押しがけを行うことで自走可能状態までもっていくことができます。
ただし、1トン近くある車を人力で動かし、同時にエンジン始動操作を行う必要があるため、最低でも2人以上いないと押しがけは困難です。
また、最近の車は点火・燃料系などが電子制御になっているため、バッテリーが完全に上がっている場合はMT車であっても押しがけができないので注意しましょう。
何をしてもエンジンがかからない時にすること
電力を補充しても、点火・燃料系に致命的な不具合がある場合やセルモーター自体が故障している場合は、エンジンはかかってくれません。また、AT車はそもそも押しがけができない上、前述したとおりMT車でも状況的に押しがけが難しいケースは多くなっています。
このような場合は、無理せずJAFやロードサービスに救援を依頼しましょう。レッカー車などで、行きつけの修理工場やディーラーまで車を移動してもらったほうが安心です。
もしエンジンがかかっても早めの点検は必須!

そのため、仮に適切な対処でエンジンがかかったり、症状が収まったりしても、修理工場やディーラーなどで早めの点検を受け、必要に応じたメンテナンス・修理・交換を行いましょう。
セルが弱くなった原因がオルタネーターやセルモーターの故障にある場合、その修理・交換費用は高額になることもあります。さらに、これらの部品に故障が起きると、その他の箇所にも不具合や不調の種が潜んでいることも多いため、修理ではなく乗り換えも視野に入れたほうが良いかもしれません。
まとめ
- ①セルが弱いとは、セルモーターに何らかの不具合が発生し、モーターの回転力が不足している、回転力がエンジンにうまく伝わっていない状態を指す
- ②エンジンがかからなくなる原因は様々だが、まずはセルの状態からチェックしよう
- ③セルが弱くなる最大の原因は、電気供給量の不足
- ④オルタネーター・セルモーターの故障によっても、セルが弱くなる可能性がある
- ⑤セルが弱い状態を放置すると、さらなる不具合を起こす可能性も高いため注意
- ⑥全ての電装品を消してからエンジンをかけ直すと、セルの勢いが戻ることもある
- ⑦「再充電」「ジャンピング」「押しがけ」などの対処をしてもエンジンがかからない場合は、JAFやロードサービスに救援を依頼したほうが安心
- ⑧セルが弱い時は、仮にエンジンがかかったとしても、修理工場やディーラーなどで早めに点検を受けよう
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