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更新日:2023.03.04 / 掲載日:2023.03.04
エンジンについているベルトが切れたら車はどうなる?切れたときの症状と修理費用を解説
車に「ベルト」という部品がついていることは知っているけれど、何のためについているかはよく分からない…という方も多いかもしれません。
しかし、エンジンについているベルトは、ゴムでできた消耗品であるため急に切れてしまうことがあります。そうなると、走行に支障が出てしまうかもしれません。
そこで今回は、ベルトが急に切れても慌てずに対処ができるよう、ベルトが切れた時に起きる症状や修理にかかる費用などを解説します。
電動化に伴い将来的に需要が減ると考えられてはいますが、現状ベルトは車に欠かすことのできない必須部品の1つです。
ただし、1つのエンジンに1本ついているとは限りません。3本、4本と複数のベルトがエンジンについている車もたくさんあります。

エンジンそのものが動き続けるため大切で重要と言えるのが、「タイミングベルト」です。
タイミングベルトは、エンジン内部のクランクシャフトとカムシャフトを連結する形で取り付けられています。そして、バルブが行う吸気・排気と点火プラグが行う点火が、適切なタイミングで行われるように調整する役割があります。
また、取付位置による負荷の大きさ、それにエンジンの正常な動きをつかさどっている重要な役割から、耐久性・耐熱性の高いゴム樹脂でできており、寿命の目安は10年・10万kmと言われています。
最近ではゴム製のタイミングベルトではなく、金属製のタイミングチェーンに代わってきています。そのため、耐久性・寿命共に伸びていて、走行距離が30万km程度になるまでは交換不要だとされています。
他のベルトとの大きな違いは、ベルトの内側に「リブ」と呼ばれる歯山がついていることです。この歯山とクランクシャフト・カムシャフトに連結した歯車がかみ合うことで力が効率的に伝わり、吸気・排気や点火のタイミングも取れる仕組みになっています。

ファンベルトは、エンジン外部にプーリーを介して取り付けられているため、見たことがあるという方も多いかもしれません。エンジンが発する熱を冷やす「ファン」と呼ばれる扇風機の羽のような部品に、エンジンの回転力を伝えて回す役割をしています。
ベルトはゴム製ですが、素材的に耐久性・耐熱性が低くなっています。また、厚みや太さもタイミングベルトほどではありません。
そのため、使用期間にして3~5年程度、走行距離にして3~5万kmで寿命がやってくるとされています。
一昔前まで、このファンベルトはタイミングベルト同様、エンジンに欠かせない必須部品でした。しかし、現在は電動ファンが増えてきたため、ファンベルトがついていない車のほうが大多数を占めています。

車には、ハンドル操作を補助するパワステポンプやエアコンガスを循環させているエアコンコンプレッサー、さらに発電機であるオルタネーターなどといった「補機」がついています。そして、これらの補機にエンジンの回転力を伝えるのが、補機ベルトの役割です。
車種によって、断面がV字型になっている「Vベルト」と、たて溝が彫られている「リブベルト」の2種類が使い分けられています。
どちらもプーリーとの摩擦を利用していますが、最近の車は力の伝導率が良く、高速回転への対応力も高いリブベルトのほうが主体になっています。
また、昔からの名残で補機ベルトをひっくるめてファンベルトと呼ぶことや、パワステベルト・エアコンベルトなどといった具合に、つながっている補機ごとに違う呼び方をすることもあります。
ちなみに補機ベルトの材質や寿命は、前出したファンベルトとほぼ同じです。
一方、車種やエンジン型式によって本数が異なるのが補機ベルトです。全ての補機が1本のベルトで連結されていることもあれば、補機ごとにベルトが分かれていることもあります。
そして、基本的にエンジン排気量が大きい車種は補機ベルトの本数が少なく、エンジン排気量の小さい車種のほうが補機ベルトの本数が多い傾向にあります。その理由は、排気量の大きい車種のほうが排気量の小さい車種より補機類をいっぺんに稼働させる強い回転力を得やすいからです。

ベルトが切れた時、車にどのような症状が現れるのでしょうか?
ここからは、ベルトの種類ごとにその症状を説明していきます。
まず、タイミングベルトが切れてしまった場合、吸気バルブと排気バルブの双方が開閉しなくなるため、即座にエンジンが停止し、再始動もできません。
しかし、タイミングベルトが切れた時にエンジンがすぐ止まってくれれば、実のところまだ御の字だと言えます。
タイミングベルトが切れるタイミングと吸気・排気バルブの開閉タイミングがズレたにも関わらず、その後の圧縮が起きてしまった場合、シリンダー内でピストンとバルブが接触する「バルブクラッシュ」が起こることがあります。
こうなってしまうと、バルブの破損やピストンの損傷など、修理費用が高額になる重大なダメージがエンジンに及んでしまう可能性があります。
ただし、タイミングチェーン車の寿命は30万km以上と長いことを考えると、よほどハードに乗っていない限り、車を使っている間に切れてしまうことは滅多にありません。
つまり、ファンベルトが切れるとラジエーターに風が当たらず、冷却効果が著しく低下するということです。そのため、エンジンにたまった熱を効率的に冷やすことができず、オーバーヒートしやすい状態になります。
また、エアコンの送風機能はファンからの風を利用しているため、室内の通風孔から冷風・温風が出なくなる(エアコンの効きが悪くなる)こともあります。
なお、現在の車は電動ファンに代わっているため、電動モーターが故障した場合にも同じ症状が出てくるでしょう。
また、エアコンベルトが切れれば冷媒ガスが循環しないため、クーラーが効かなくなります。(ヒーターは効く)
切れたのがパワステベルトだとハンドルが急に重たくなるため、走行中に切れてしまった場合は非常に危険です。
なお、複数ベルトがある場合は、切れたベルトに対応する補機が作動しないだけです。しかし、1本ベルトの場合は全ての補機が一斉に作動しなくなります。

種類やついている本数に関わらず、ベルトが切れてしまうと走行不能、あるいは安全に車を使うことができなくなります。そのため、車を使い続けたいのであればベルトを修理する必要があります。
ここからは、各ベルトを修理する際に費用はどれくらいかかるのか説明していきます。
ただし、強度が高く長寿命なタイミングベルトにしろ、強度で劣り交換頻度の高いファン・補機ベルトにしろ、部品代は数千円程度と比較的安価です。交換工賃を含めても合計で1万5,000円程度で済むでしょう。
その後、ようやく見えてきたタイミングベルトのカバーを取り外すことで、ベルトを交換できます。
前述した通り、タイミングベルトは点火・排気・吸気のタイミングを揃えている重要な部品です。交換するベルトの位置やプーリーの位置がズレてしまうと、新品のベルトに交換してもエンジンが正常に稼働しません。
しかし、タイミングベルトが切れた段階で、プーリーの位置はズレます。そのため、クランクシャフトのボルトをレンチかソケットで回してエンジンを手動で回転させ、適切な点火時期を示すタイミングマークを所定の位置に合わせてから慎重にベルトを取り付ける必要があります。
その他にも、クランク・カムシャフト上のタイミングマークのアラインメント調整など、やらなければならない作業・調整は多いです。
タイミングベルトの交換は熟練した整備士でも3~4時間かかり、 軽自動車で2万~4万円、普通車で3万~6万円程の工賃を請求されるでしょう。
ただし、この工賃は同じ車種でも業者が変われば金額も大きく変わるため、見積もりを出してもらって比較するなどの業者選びが重要になります。
また、10年・10万kmは持つとされるタイミングベルトの寿命が来て切れた場合、他の部分もそれなりにガタが来ていることが多いです。場合によっては、車の買い替えも検討すべきかもしれません。
ただし、材質や構造的にタイミングベルトより耐久性が低くて寿命が短いため、交換頻度はかなり高くなります。
また、車種によってついている本数が異なります。一般的に1本ベルトの車のほうが、複数ベルトの車より1本当たりの部品代・工賃が高いことが多いです。
例えば、タイミングベルトが切れてバルブクラッシュが起きると、エンジン自体に深刻なダメージが及び、オーバーホールが必要になるケースもあります。
業者に寄りますが、エンジンのオーバーホールをするには30万~70万円もの費用が必要になるため、修理ではなく買い替えを視野に入れたほうが良いでしょう。
また、ファン・補機ベルトが切れると、プーリーなどの周辺稼働部品にその破片が挟まり、故障や破損してしまうケースもあります。
ベルトは、そのほとんどがゴムでできていますが、ゴムは年数が経過すると固くなり、弾力性を失って強度も落ちていきます。それにも関わらず、車についているベルトにはエンジンの発する高熱やプーリーとの摩擦、動力伝達力を維持するためのテンション(引っ張る力)など、様々な負荷がかかっています。
年数が経過して弾力と強度が落ち、ひびなども入ってきたベルトにこれだけの負荷をかけ続ければ、切れてしまうのも当然でしょう。また、石やごみなどの異物が挟まったり、漏れたオイルやラジエーター液がかかったり、ゆるみや張り過ぎが起きていたりすると、新しくて劣化していないベルトであっても突然切れてしまうことがあります。

ここまでで、ベルトは寿命や劣化だけでなく、様々な原因で切れてしまうことを説明してきました。
切れるにしても、その前に何か「予兆」が起きたりしないのでしょうか?
ここからは、ベルトが切れてしまう予兆について説明していきます。
だからこそ、タイミングベルトは「10年・10万km以上」と言われる他のベルトより長い寿命を持っています。
しかし、切れる時は何の前触れもなく突然切れるため厄介です。その上、タイミングベルトが切れると自走不能になるだけではなく、エンジンに重大な悪影響を及ぼす可能性もあります。
寿命の目安とされている、10年・10万kmに差し掛かったら、タイミングベルトが切れてしまう前に交換しておくと安心です。
また、交換費用が高額になることを考えて、タイミングベルトの交換タイミングを車を買い替えるタイミングに設定するのも1つの選択肢です。
これらは、経年使用や熱などにより硬くなって摩擦力が落ち、位置がズレたり、劣化してひびが入り、ひびの分ゴムが伸びてベルトの張りがゆるんだりします。
すると、エンジン稼働中にキュルキュルという小さな音が発生することがあります。これが「ベルト鳴き」です。
そして、このベルト鳴きの要因であるゴムの硬化や劣化は、ベルトが切れる予兆と言えます。そのため、ベルト鳴きが聞こえたら、切れる前にベルト交換を検討したほうが良いでしょう。
なお、ベルト鳴きは発進時やアイドリング時、低速走行時などに起きやすく、高速走行時には収まることが多い傾向にあります。

ここまで解説してきた通り、種類に関わらずベルトはいつか必ず寿命が訪れる消耗品です。
突然、寿命が来て前触れなく切れることがある上、切れてしまった時に車に与える悪影響は大きく、安全性や快適性の低下も顕著です。
そのため、切れてしまった時の症状を知っておくのはもちろん、寿命や交換履歴の把握、劣化程度の確認・点検などが大切になってきます。
しかし、エンジンについているベルトは、ゴムでできた消耗品であるため急に切れてしまうことがあります。そうなると、走行に支障が出てしまうかもしれません。
そこで今回は、ベルトが急に切れても慌てずに対処ができるよう、ベルトが切れた時に起きる症状や修理にかかる費用などを解説します。
この記事の目次
あなたの愛車には何本ついている?ベルトに関する基礎知識
車のような機械製品におけるベルトは、エンジンが生み出す動力を他の装置や部品へ伝えるために必要なものです。一般的には「プーリー」と呼ばれる円形・コマ上の部品とセットで取り付けられています。電動化に伴い将来的に需要が減ると考えられてはいますが、現状ベルトは車に欠かすことのできない必須部品の1つです。
ただし、1つのエンジンに1本ついているとは限りません。3本、4本と複数のベルトがエンジンについている車もたくさんあります。
車についているベルトの種類と役割
まずは、車のエンジンついている主なベルトの種類とそれぞれの役割を整理していきましょう。エンジンに組み込まれている「タイミングベルト」

タイミングベルトは、エンジン内部のクランクシャフトとカムシャフトを連結する形で取り付けられています。そして、バルブが行う吸気・排気と点火プラグが行う点火が、適切なタイミングで行われるように調整する役割があります。
また、取付位置による負荷の大きさ、それにエンジンの正常な動きをつかさどっている重要な役割から、耐久性・耐熱性の高いゴム樹脂でできており、寿命の目安は10年・10万kmと言われています。
最近ではゴム製のタイミングベルトではなく、金属製のタイミングチェーンに代わってきています。そのため、耐久性・寿命共に伸びていて、走行距離が30万km程度になるまでは交換不要だとされています。
他のベルトとの大きな違いは、ベルトの内側に「リブ」と呼ばれる歯山がついていることです。この歯山とクランクシャフト・カムシャフトに連結した歯車がかみ合うことで力が効率的に伝わり、吸気・排気や点火のタイミングも取れる仕組みになっています。
今の車にはもうない?「ファンベルト」

ベルトはゴム製ですが、素材的に耐久性・耐熱性が低くなっています。また、厚みや太さもタイミングベルトほどではありません。
そのため、使用期間にして3~5年程度、走行距離にして3~5万kmで寿命がやってくるとされています。
一昔前まで、このファンベルトはタイミングベルト同様、エンジンに欠かせない必須部品でした。しかし、現在は電動ファンが増えてきたため、ファンベルトがついていない車のほうが大多数を占めています。
安全・快適なドライブに欠かせない「補機ベルト」

車種によって、断面がV字型になっている「Vベルト」と、たて溝が彫られている「リブベルト」の2種類が使い分けられています。
どちらもプーリーとの摩擦を利用していますが、最近の車は力の伝導率が良く、高速回転への対応力も高いリブベルトのほうが主体になっています。
また、昔からの名残で補機ベルトをひっくるめてファンベルトと呼ぶことや、パワステベルト・エアコンベルトなどといった具合に、つながっている補機ごとに違う呼び方をすることもあります。
ちなみに補機ベルトの材質や寿命は、前出したファンベルトとほぼ同じです。
ついているベルトの本数は車によって異なる
タイミングベルト及びタイミングチェーンは、今も昔もエンジン一基につき1本、つまり車1台につき1本しかついていません。一方、車種やエンジン型式によって本数が異なるのが補機ベルトです。全ての補機が1本のベルトで連結されていることもあれば、補機ごとにベルトが分かれていることもあります。
そして、基本的にエンジン排気量が大きい車種は補機ベルトの本数が少なく、エンジン排気量の小さい車種のほうが補機ベルトの本数が多い傾向にあります。その理由は、排気量の大きい車種のほうが排気量の小さい車種より補機類をいっぺんに稼働させる強い回転力を得やすいからです。
ベルトが切れたときの症状

ここからは、ベルトの種類ごとにその症状を説明していきます。
タイミングベルトが切れた場合
前述した通り、タイミングベルトはエンジンの稼働に関わる4つの要素のうち、圧縮を除く吸気・燃焼・排気の全てに大きく関わっています。まず、タイミングベルトが切れてしまった場合、吸気バルブと排気バルブの双方が開閉しなくなるため、即座にエンジンが停止し、再始動もできません。
しかし、タイミングベルトが切れた時にエンジンがすぐ止まってくれれば、実のところまだ御の字だと言えます。
タイミングベルトが切れるタイミングと吸気・排気バルブの開閉タイミングがズレたにも関わらず、その後の圧縮が起きてしまった場合、シリンダー内でピストンとバルブが接触する「バルブクラッシュ」が起こることがあります。
こうなってしまうと、バルブの破損やピストンの損傷など、修理費用が高額になる重大なダメージがエンジンに及んでしまう可能性があります。
ただし、タイミングチェーン車の寿命は30万km以上と長いことを考えると、よほどハードに乗っていない限り、車を使っている間に切れてしまうことは滅多にありません。
ファンベルトが切れた場合
エンジンには、冷却水と呼ばれるラジエーター液が流れる通路が設けられています。通路を流れる間にエンジンの熱を奪い、暖められたラジエーター液はラジエーター本体に戻り、そこでファンから送られる風を受け冷やされ、再度エンジンへ送り込まれます。つまり、ファンベルトが切れるとラジエーターに風が当たらず、冷却効果が著しく低下するということです。そのため、エンジンにたまった熱を効率的に冷やすことができず、オーバーヒートしやすい状態になります。
また、エアコンの送風機能はファンからの風を利用しているため、室内の通風孔から冷風・温風が出なくなる(エアコンの効きが悪くなる)こともあります。
なお、現在の車は電動ファンに代わっているため、電動モーターが故障した場合にも同じ症状が出てくるでしょう。
補機ベルトが切れた場合
補機ベルトが切れてしまうと、対応する補機へエンジンの回転力が伝わりません。必然的に補機類の機能は全停止するため、オルタネーターベルトが切れれば発電・充電が行われず、バッテリー上がりやエンジン始動不良が発生します。また、エアコンベルトが切れれば冷媒ガスが循環しないため、クーラーが効かなくなります。(ヒーターは効く)
切れたのがパワステベルトだとハンドルが急に重たくなるため、走行中に切れてしまった場合は非常に危険です。
なお、複数ベルトがある場合は、切れたベルトに対応する補機が作動しないだけです。しかし、1本ベルトの場合は全ての補機が一斉に作動しなくなります。
各ベルトが切れたときの修理費用

ここからは、各ベルトを修理する際に費用はどれくらいかかるのか説明していきます。
ベルトが切れた場合は新品への交換が必須
ゴム製のベルトは補修が一切利かない消耗品であるため、切れた場合は交換が必須です。また、中古品やリビルト品が存在しないため、必ず新品を使用することになります。ただし、強度が高く長寿命なタイミングベルトにしろ、強度で劣り交換頻度の高いファン・補機ベルトにしろ、部品代は数千円程度と比較的安価です。交換工賃を含めても合計で1万5,000円程度で済むでしょう。
タイミングベルトの交換費用はかなり高額
手順や工数は車種によって異なりますが、タイミングベルトを交換するには、まずバッテリーやパワステポンプ、オルタネーターやエアコンコンプレッサーといったエンジンについている付属部品・補機類を全て取り外す必要があります。その後、ようやく見えてきたタイミングベルトのカバーを取り外すことで、ベルトを交換できます。
前述した通り、タイミングベルトは点火・排気・吸気のタイミングを揃えている重要な部品です。交換するベルトの位置やプーリーの位置がズレてしまうと、新品のベルトに交換してもエンジンが正常に稼働しません。
しかし、タイミングベルトが切れた段階で、プーリーの位置はズレます。そのため、クランクシャフトのボルトをレンチかソケットで回してエンジンを手動で回転させ、適切な点火時期を示すタイミングマークを所定の位置に合わせてから慎重にベルトを取り付ける必要があります。
その他にも、クランク・カムシャフト上のタイミングマークのアラインメント調整など、やらなければならない作業・調整は多いです。
タイミングベルトの交換は熟練した整備士でも3~4時間かかり、 軽自動車で2万~4万円、普通車で3万~6万円程の工賃を請求されるでしょう。
ただし、この工賃は同じ車種でも業者が変われば金額も大きく変わるため、見積もりを出してもらって比較するなどの業者選びが重要になります。
また、10年・10万kmは持つとされるタイミングベルトの寿命が来て切れた場合、他の部分もそれなりにガタが来ていることが多いです。場合によっては、車の買い替えも検討すべきかもしれません。
ファン・補機ベルトの交換費用
ファン・補機ベルトはエンジンの外に取り付けられており、比較的容易に交換することができます。そのため、交換工賃は5,000〜1万円程度と、タイミングベルトよりかなり安めです。ただし、材質や構造的にタイミングベルトより耐久性が低くて寿命が短いため、交換頻度はかなり高くなります。
また、車種によってついている本数が異なります。一般的に1本ベルトの車のほうが、複数ベルトの車より1本当たりの部品代・工賃が高いことが多いです。
ベルト交換だけで済まないケースも…
手で引っ張っていた輪ゴムが突然切れると、パチンッ!と手に当たって痛い時があります。それと同じで、車のベルトが突然切れてしまうと周囲の部品にダメージが及ぶことがあります。例えば、タイミングベルトが切れてバルブクラッシュが起きると、エンジン自体に深刻なダメージが及び、オーバーホールが必要になるケースもあります。
業者に寄りますが、エンジンのオーバーホールをするには30万~70万円もの費用が必要になるため、修理ではなく買い替えを視野に入れたほうが良いでしょう。
また、ファン・補機ベルトが切れると、プーリーなどの周辺稼働部品にその破片が挟まり、故障や破損してしまうケースもあります。
なぜ車のベルトは切れてしまうの?
タイミングベルトにせよ、その他のベルトにせよ、車のベルトはどうして突然切れてしまうのでしょう?ベルトは、そのほとんどがゴムでできていますが、ゴムは年数が経過すると固くなり、弾力性を失って強度も落ちていきます。それにも関わらず、車についているベルトにはエンジンの発する高熱やプーリーとの摩擦、動力伝達力を維持するためのテンション(引っ張る力)など、様々な負荷がかかっています。
年数が経過して弾力と強度が落ち、ひびなども入ってきたベルトにこれだけの負荷をかけ続ければ、切れてしまうのも当然でしょう。また、石やごみなどの異物が挟まったり、漏れたオイルやラジエーター液がかかったり、ゆるみや張り過ぎが起きていたりすると、新しくて劣化していないベルトであっても突然切れてしまうことがあります。
ベルトが切れる前に何か予兆はあるの?

切れるにしても、その前に何か「予兆」が起きたりしないのでしょうか?
ここからは、ベルトが切れてしまう予兆について説明していきます。
タイミングベルトは突然切れるので注意!
タイミングベルトは、少しでも位置がズレてしまうとエンジンが正常に稼働しません。そのため、経年使用や熱・摩擦で変質や変形しにくい頑丈な歯付ベルト(コグドベルト)が用いられています。だからこそ、タイミングベルトは「10年・10万km以上」と言われる他のベルトより長い寿命を持っています。
しかし、切れる時は何の前触れもなく突然切れるため厄介です。その上、タイミングベルトが切れると自走不能になるだけではなく、エンジンに重大な悪影響を及ぼす可能性もあります。
寿命の目安とされている、10年・10万kmに差し掛かったら、タイミングベルトが切れてしまう前に交換しておくと安心です。
また、交換費用が高額になることを考えて、タイミングベルトの交換タイミングを車を買い替えるタイミングに設定するのも1つの選択肢です。
ファン・補機ベルトが切れる前に起こる予兆
ファン・補機ベルトには、タイミングベルトより耐久性や安定性に劣る「Vベルト」や「リブベルト」が採用されています。これらは、経年使用や熱などにより硬くなって摩擦力が落ち、位置がズレたり、劣化してひびが入り、ひびの分ゴムが伸びてベルトの張りがゆるんだりします。
すると、エンジン稼働中にキュルキュルという小さな音が発生することがあります。これが「ベルト鳴き」です。
そして、このベルト鳴きの要因であるゴムの硬化や劣化は、ベルトが切れる予兆と言えます。そのため、ベルト鳴きが聞こえたら、切れる前にベルト交換を検討したほうが良いでしょう。
なお、ベルト鳴きは発進時やアイドリング時、低速走行時などに起きやすく、高速走行時には収まることが多い傾向にあります。
消耗品であるベルトは寿命の把握と点検が大切

突然、寿命が来て前触れなく切れることがある上、切れてしまった時に車に与える悪影響は大きく、安全性や快適性の低下も顕著です。
そのため、切れてしまった時の症状を知っておくのはもちろん、寿命や交換履歴の把握、劣化程度の確認・点検などが大切になってきます。
まとめ
- ①車のエンジンには何本かのベルトがついている
- ②タイミングベルトは、エンジン内部についていて正常な稼働に大きく関与している
- ③ファンベルト及び補機ベルトは、車によって1本または複数本存在し、エンジン外部につけられている
- ④タイミングベルトが切れるとエンジンは停止し、交換費用も高額になる
- ⑤ファン・補機ベルトが切れると、車の安全性や快適性が大きく損なわれる
- ⑥ベルトが走行中に切れると厄介だが、その素材と性質上、必ず寿命がやってくる消耗品である
- ⑦タイミングベルトは前触れもなく、突然切れることもあるので要注意
- ⑧ファン・補機ベルトは、切れる前に「ベルト鳴き」という特有の予兆が起きることがあるので、見逃さないようにする
- ⑨いずれにせよ、消耗品であるベルトは寿命の把握と点検が大切
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