中古車購入チェックポイント
更新日:2018.10.24 / 掲載日:1999.06.01
日産 グロリア 中古車購入チェックポイント
日産 グロリア 中古車購入チェックポイント
■全体のチェックポイント
高級大型セダンだということがまずポイントで、走行性能が高水準というのもポイント。中古車市場に出回っている車両は修復歴車はほとんどなく、大半が丁寧に乗っているといえる。しかし、中には高性能ぶりを発揮した車両もあるので、エンジンはもちろんサスペンションなどの走行機能系をチェックしよう。点検整備記録を調べると同時に、できるだけ試乗して各部の動きを確かめたい。走行距離が伸びていても、整備状態がよければコンディションはいいはずだ。また、走行に関わりがないとしても、特に高級車になれば汚れや傷があると雰囲気を壊す。インテリアも念入りにチェックしよう。
1.全体の雰囲気から探る
車両全体が見渡せる位置まで下がって、外観を眺めてみよう。まず、車体表面の色艶を見ながら、異常がないか観察する。ナンバープレートは曲がっていないか?左右のヘッドライトの色は同じか?バンパーがずれていないか?車体の切れ目の隙間(チリ)は均等な線になっているか?一部だけくすんでいたり艶が違って見えたら、修理したことも考えられる。また、車体の表面を細かく観察すると、見る角度によって、歪みや波打っているのを見つけることもある。車体に写った周囲の景色が不自然に歪んでいたり、塗装表面が肌荒れのようになっていたら、修理や補修した跡かもしれない。
2.エンジンルーム内の状態を観察
2.エンジンルーム内の状態を観察
ボンネットを開けて、エンジンルーム内各部の塗装の様子を観察しよう。車体と左右のフェンダーをはじめ、ラジエターを支えているラジエターサポートの色を見比べる。色の違いがポイントだ。一部だけ色合いが異なっていれば、修理して再塗装した可能性がある。周囲と比べて異常にきれいな部分も、修理した跡かもしれない。また、エンジン関係の部品や、オイル漏れなどをチェックしよう。
3.前部をぶつけるとダメージを受けやすい
3.前部をぶつけるとダメージを受けやすい
フロントグリルの後ろにあるラジエターサポートと呼ぶ鉄板を観察してみよう。車体前部をぶつけると、ラジエターサポートを修正あるいは交換することになる確率が高い。歪みや手を加えた痕跡がないかチェックしよう。上部の樹脂カバーも、同時にチェック。ラジエターサポートだけが周囲の色調と違っていたら、交換した証拠と思っていい。フェンダーとの接合部も、不自然なところはないか点検しよう。
4.ボンネット交換の形跡は事故修理の履歴か?
4.ボンネット交換の形跡は事故修理の履歴か?
ボンネットを支えている金具(ヒンジ)を固定しているネジに工具をかけた跡を発見したら、事故を疑ってみる。ただし、エンジン修理のためにボンネットを外す場合もある。もし、エンジンの整備などのために外したのなら、記録が残っているはず。整備手帳を確かめてみよう。
5.側面のダメージを推測する
車体側面のドア部分に大きな損傷を受けると、ドア自体を交換してしまうことも多い。交換する際は、ドアを支えている金具(ヒンジ)のネジを脱着するので、ネジの状態をチェックしよう。前後左右のドアを見比べて、特定のドアだけネジの頭に傷が付いていれば、工具を使ったと考えられる。ただし、新車の組み立て時や、ドアの立て付けを調整するためにネジを回すこともあるので、ネジを脱着したように見えても、必ずしもドアを交換しているとはいえない。
6.フェンダーの状態で判断
6.フェンダーの状態で判断
フェンダーを固定しているネジの頭の塗装に傷が付いていれば、工具を使ってネジを脱着した形跡がある場合は、フェンダーを交換あるいは修理している。フェンダーに手を加えても事故車(修復歴車)扱いにはならないが、フェンダーが無傷なら大きな事故は起こしていないと判断できる。
7.色と隙間を見る
7.色と隙間を見る
外板パネルの修理や交換する場合は、パネルを塗装することになる。しかし、色合わせの作業は難しく、色が微妙に違うことがある。塗装したパネルと周囲のパネルの色調が合っていないのは、各パネル同士の隙間(チリと呼ぶ)を境に見ればわかりやすい。また、事故などで前部が破損すると、外板を修理することになるが、パネルを組み付ける際に誤差が出ることがある。それは、フロントフェンダーの後端とドア、さらにフロントフェンダーとピラー(フロントガラスを挟んだ左右の柱)、それぞれのチリの幅を見ればわかる。均一でなければ、前部の外板に手を加えた(修理した)可能性が高い。同じ場所の車体の左右を見比べるのもチェックのコツだ。
8.ドアの開口部を観察する
8.ドアの開口部を観察する
リアドアを開けて開口部の下部を見ると、鉄板の継ぎ目がある。リアフェンダー周辺の車体にダメージを受けると、修理するために継ぎ目から鉄板を剥がすことがある。一度鉄板を剥がすと、元と同じ状態には戻らない。それは、継ぎ目部分の溶接の状態を見ればわかる。車体左右の同じ場所を見比べれば、違いがわかりやすい。
9.トランクルームの周辺を観察して車体後部をチェック
9.トランクルームの周辺を観察して車体後部をチェック
後部をぶつけた事故などでは、ダメージが大きい場合はトランクリッド(トランクの蓋)を交換することがある。つまり、トランクリッドを交換した形跡で修復歴を判断することもできるわけだ。リッドを閉めた時に車体部との隙間が揃っているかどうかもチェック。さらに、車体側の開口部には、左右とも鉄板の接合部分がある。鉄板の接合部を埋めているシール材の盛り方をチェックしよう。新車状態のままならきれいだが、盛り方が不自然に乱れていたり、左右が違っていれば、後部を修理している可能性がある。
10.スペアタイヤの周辺を観察する
10.スペアタイヤの周辺を観察する
トランクルームの床に収納されているスペアタイヤを外してみよう。床部にダメージを受けた歪みなどを見つけこともある。塗装が周囲と違っていたり、防音防振材(床部や車体内部に貼っているマット)の状態に剥がれていたり波打っていたりするなどの異常があれば、後部を修理しているかもしれない。また、スペアタイヤ自体の状態もチェックしよう。
11.床下を覗いてみよう
11.床下を覗いてみよう
日頃あまり見ることがない、車体の床下もチェックしよう。鉄板部の歪みや部分的な変形をはじめ、マフラーなどの床下の部品類に傷や凹み、交換した形跡がないかどうか探ってみよう。外観はきれいに修理しても、走行に影響がない見えない部分はそのままにしている(見えない部分は補修や部品交換などをしていない)ことがあるので、大きなダメージを発見することもある。
■点検整備記録に目を通す
点検記録簿(整備手帳など)の内容を、車両をチェックする前に確認しておこう。過去にどのような整備を受けてきたのがわかり、車両各部の状態を探る参考になる。定期点検時の走行距離とも突き合わせてチェックしよう。詳細な記録が残っている車両ば、走行距離が伸びていてもコンディションがよく、機能部分には大きな問題を抱えていないと推測できる。
グロリアのコンディションはここで見極める!
トランスミッションに異常はないか?
トランスミッションに異常はないか?
オートマチックやマニュアルを問わず、できるだけ試走して、異音が発生していないか、確実に切り替えができるかどうか、操作してみることが大切。オートマチックは、NからDへ、NからRへなど、各ポジションにセレクトレバーを動かして具合を試してみる。ギヤが切り替わる時のショックが激しくないかを確かめよう。
インテリアを点検して使い方を推測する
インテリアを点検して使い方を推測する
インテリアは、全体を見回して日焼けなどをチェック。リアシート上部などは、長期間直射日光に当たっていると、変色して本来の色艶がなくなっていることがある。シートに染みが付いていたり汚れが多い車両は、扱いが悪かったり子供を乗せていたと推測できる。丁寧に乗っていたか、日頃の手入れは行き届いていただろうか、各部の隙間もチェックしてみるといい。
エンジンのかかり具合いと回転をチェック
エンジンのかかり具合いと回転をチェック
エンジンをかけてみよう。異音が聞こえり、大きな振動が出ているようなら、トラブルを抱えている可能性がある。キーを捻ると、モーターが勢いよく回って容易にエンジンが始動するかどうかにも気を付けよう。モーターの回転が弱かったり始動がもたつく場合は、バッテリーが弱っていたり、エンジンの調整が必要かもしれない。実際に走ってみるのが望ましいが、エンジンが暖まってから少しアクセルを踏んでみて、スムーズに回転が上下するかどうかも試してみよう。
ホイールの傷とタイヤの減り方を見てみよう
ホイールの傷とタイヤの減り方を見てみよう
ホイールのリム(外周部分)に傷が多い車両は、運転が乱暴だったり不注意に扱っている、あるいは不慣れな運転で縁石などに擦っているなどが想像できる。また、タイヤの摩耗状態もチェック。一部だけ異常に減っている片減りの場合は、アライメント(タイヤの取り付け角度)が狂っているだけなのか、あるいは事故で受けたダメージなどで車体が歪んでしまったのかを確かめる必要がある。
装備品を操作してみる
装備品を操作してみる
ターンシグナル(ウインカー)やライト類、ワイパーなどの作動をチェックするのは常識だが、エアコンやオーディオシステムなどの装備機器も、必ずONにして正常に機能しているかチェックしよう。純正、社外製品を問わず、オーディオ類やカーナビなどは、取扱説明書が揃っていることも確認しよう。
■今回の車両のプロフィール
1999年6月~2004年9月に販売されたグロリアY34型。抑揚のある細部と複雑な面で構成された個性的なルックスが特徴のニッサンを代表する高級車で、グランツーリスモ(スポーティ車系)のイメージもある。エンジンは、2.5と3.0リッターのV型6気筒がある。大排気量車には困難とされてきた無断変速トランスミッション(エクストロイドCVT)が採用されている。走行性能は大型セダンと思えないほど機敏で、パーソナルカーとしては最上位クラスに位置する。