中古車購入チェックポイント
更新日:2018.11.28 / 掲載日:2010.11.19
スズキ パレット 中古車購入チェックポイント
スズキ パレット 中古車購入チェックポイント
CBA-MK21S
参考車両:T 2WD
初年度登録:2008年2月
■全体のチェックポイント
同系のワゴンRやMRワゴンに対して、居住性や使い勝手のよさが選択のポイント。外観は、標準スタイルとやや控えめなエアロスタイル。2種あるエンジンは、ターボのほうが走りに余裕がある。日頃の足として使うなら、シンプル装備タイプで十分。車体色の好みなども含めて、ある程度的を絞って、できるだけ多くの車両を比較検討するといいだろう。現車のチェックでは、外装の小傷に気を取られて大きなダメージを見逃さないように。室内も念入りにチェックし、装備機器類の不具合などにも注意。内外装がきれいでも、エンジンやトランスミッションなど、走行機能に関わる部分に問題がある車両を選んではいけない。納車時点検整備や保証の有無なども、販売店に聞いて確認しよう。
1.車両の雰囲気から探る
1.車両の雰囲気から探る
少し離れたやや遠目から、車両の様子を観察しよう。車体全体のバランスを見て、外装部品や塗装面の状態などに違和感や不自然に見える部分などがないかチェック。
前面は、バンパー/グリル/ボンネット/ヘッドライト/フェンダー/などのバランスをチェック。基本的に左右対称になっていることもポイントだ。
左右ライトの片方だけが新しい場合(交換)は、その側の車体部を修理しているかもしれない。ナンバープレートの傷や変形なども、車体部の修理を疑ってみる。バンパーの角や下部の損傷などにも注意しよう。
2.後部のチェック
2.後部のチェック
前面と同様に、バンパー/テールゲート/フェンダー/コンビネーションランプ(テールライト)などのバランスをチェック。
テールゲートの立て付けが全体に狂っていれば、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。部分的に隙間がずれている箇所は、その部分の車体部を修理している可能性が高い。
後部ナンバープレートは、封印を剥がした傷(ナンバープレートを外した形跡)も車体部の修理/交換を推察するヒントだ。
3.整備状態を確かめる
3.整備状態を確かめる
定期点検整備記録と突き合わせて、消耗部品を中心にエンジンルーム内をチェック。オイルの滲みや汚れ(漏れの兆候)などにも注意。できれば、オイルの量および汚れ、ブレーキやバッテリーの液量なども点検したい。
新しい部品が付いていれば、消耗部品か、不具合が起こったか、それとも事故などでダメージを負ったのか、整備記録も探ってみよう。
4.車体内側の鉄板部を確認
左右フェンダー側のフレームや室内側のパネルなど、エンジンルーム内各部の鉄板を調べよう。ダメージによって走行機能面に支障が生じる重要な部分を修正修理している車両は、修復歴ありと明示しているはずだが、念のために確認。部品やカバー類の陰に隠れている細部まで見るのは難しいが、歪みや修理/交換の形跡などがないかチェックしよう。
5.前部の必須チェック
5.前部の必須チェック
エンジンルームの最前部にある、車体の左右に繋がってラジエターサポートは、車体に大きな衝撃を受けると影響が及びやすい。修正や交換の形跡などがないか調べよう。左右フェンダー側に伸びている部分の接続部もチェック。前側にある樹脂カバーや左右ヘッドライトなどのほか、関連部品の状態も確認。バンパーやフェンダーなど、周辺も含めてチェックしよう。
6.ボンネットのチェック
6.ボンネットのチェック
外面をチェックしたら、裏面側に修理跡などがないかも確認。特に、外と内のパネルを貼り合わせている接合部の状態に注意しよう。
外して修理、あるいは交換することもあるので、ヒンジ部のネジも確認。ヒンジの状態もチェック。
ボンネットを修理/交換していれば、ボンネット単独の損傷も考えられるが、他の部分にダメージがないか、車体部も慎重にチェックする必要がある。
7.取り付け状態を調べる
7.取り付け状態を調べる
フロントフェンダーは、エンジンルーム側に修理跡や腐食(錆)などがないかチェック。同時に、取り付けネジもチェックしよう。ネジを回した形跡があれば、フェンダーを外して修理、あるいは交換している可能性がある。ヘッドライトの取り付けネジにも注意。
フロントフェンダーは、構造上は重要な車体補強部材とはなっていないので、修理しても修復歴にはならないが、強い衝撃を受けて修理/交換していれば、車体内側の骨格部にダメージが及んでいないかを確かめる必要がある。
8.隙間の幅と色調を比べる
8.隙間の幅と色調を比べる
外装部品の立て付けを見る時は、例えば車体前部側面では、フェンダー、ヘッドライト、ボンネット、ドア、ピラー(フロントウインドウ部の柱)などが隣接している。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、ダメージを受けてずれているか、修理あるいは交換した際に位置がずれた可能性がある。
隙間を境に、隣り合うパネルの色艶も比べてみよう。修理や交換で塗装していると、微妙に色調が違って見えることもある。
9.角度を変えると見える
9.角度を変えると見える
車体まわりは、見る角度を変えながらチェックしよう。プレスラインのずれや崩れ、立て付けの微妙な狂いなども判断しやすい。表面を斜め方向から透かして見ると、見落としがちな浅くて広い凹み、あるいは波打ち(しわ)なども確認できる。
しわが寄っているのは、ダメージ痕か、板金修理跡。部分的に色艶が違っているとか、肌荒れ状態になっている箇所なども、修理跡の疑いがある。
10.縁と奥もチェック
10.縁と奥もチェック
フェンダーは、ホイールアーチ部(タイヤを囲っている部分)を傷付けることも多い。傷があれば、凹みを伴っていないか確認。フェンダーに歪みが生じていないかも注意しよう。
鉄板を内側に折り込んでいる縁の部分に修理跡などがないかもチェック。さらに奥を覗いて、タイヤハウス内の状態もチェック。フロントフェンダーは、内側に設置している泥よけ部品の取り付け状態もチェックしよう。
11.周辺も調べて判断する
11.周辺も調べて判断する
側面は、ドアに大きな損傷を負うと、外して修理したり、あるいは交換してしまうことも多い。ドアヒンジ部のネジをチェックしよう。
ただし、ドアの立て付け調整などでネジを回すこともあるので、ネジを見ただけではドアを修理/交換しているとは断定できない。ドア自体をはじめ、ピラー(柱)やサイドシル(梁)など、周辺にダメージや修理跡などがないかも調べて判断する必要がある。
12.スライドドアのチェック
12.スライドドアのチェック
損傷や修理跡などがないかチェックして、立て付けを確認。
ドアの開閉具合とスライド動作もチェック。ドアがスライドする動きが鈍い、重い、途中に引っかかりがあるなどの症状にも注意。
半ドア状態から自動的に閉まるクローザーの機能も確認しよう。
13.金具類の状態も確認する
フロントドアと同様にチェックするが、スライドドアはチェックポイントが多い。ドアを支えている金具類のほかに、レール(開口部の上下と車体後部側面にある溝金具)の状態も慎重にチェック。各部のネジを回した痕跡や金具類を交換した形跡にも注意しよう。
14.リアフェンダーのチェック
損傷や修理/交換跡などがないかチェック。リアバンパーやスライドドアなど、周辺を含めて、立て付けもチェック。スライドドアのレールがある部分、ホイールアーチ部、サイドガーニッシュなど、関連部の状態もチェック。スライドドアを開けて、開口部に修理/交換跡などがないかも確認。
車体右側は、フューエルリッドも開けて、内部にマスキング跡や修理跡などがないかチェック。リッドの交換にも注意。
15.下側に要注意ポイント
仕様グレードによっては、車体側面下部にサイドスポイラーを装着している。傷や破損などがないかチェック。修理/交換していないかチェック。取り付け状態にも注意しよう。
もっと重要なのは、スポイラーで覆われているサイドシル(車体前後方向に通っている梁)だ。下につき出しているいる部分に損傷や腐食、修理跡などがないかチェック。ドアを開けて、ステップ部の状態も調べよう。
16.テールゲートのチェック
解錠/施錠の具合をまずチェック。開閉して、テールゲートがスムーズに上下するかどうか、動きをチェック。上げた状態でしっかり止まっていることも確認。
閉める時にカチッと収まらない場合は、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。ずれているだけなら調整で直ることもあるが、車体が歪んでいる車両には要注意。
テールゲートは、内側に修理跡などがないかチェック。取り付けネジもチェック。ヒンジおよびルーフ側周辺の状態もチェックしよう。
17.鉄板の接合部を調べる
開口部の左右を見ると、鉄板の接合部がある。修理/交換の形跡などがないか調べよう。溶接、シーラー、塗装の状態に注意。コンビネーションランプやバンパーなどの取り付け状態もチェックしよう。
後方から強い衝撃を受けると、思わぬ部位に波及することもある。修理/交換跡があれば、周辺部だけでなく、ダメージが及んだ範囲を広く探る必要がある。
18.タイヤとホイールのチェック
18.タイヤとホイールのチェック
タイヤは、残り溝の深さを点検。傷や異物の刺さり、ひび割れなどがないかもチェック。
接地面の摩耗状態も調べよう。外側だけとか内側だけなど、一部が極端に減る偏摩耗が起きていれば、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているのか、あるいは車体が歪んでいるのか、異常摩耗の原因を調べる必要がある。
ホイールは、損傷がないかチェック。リム部(タイヤと接している外周部)の傷や曲がりなどにも注意。アルミホイールは、過度な衝撃で生じることがある変形や割れにも注意。
19.床下を覗いて確認
19.床下を覗いて確認
フレーム(骨格)やメンバー(補強部材)など、鉄板部に損傷や歪み、修理/交換の形跡などがないか。マフラーなど部品類、ブラケットなど金具類も、損傷や曲がり、修理/交換の形跡などがないか。前後バンパーの裏側、左右サイドシル側からも奥を覗いてチェック。
錆が発生していれば、表面に浮いている程度なら心配ないといえるが、広がり範囲と腐食状態を確認しておく。油脂汚れ(オイルやグリスなどの漏れの兆候)やゴム部品の劣化(ひび割れ)などにも注意したい。
20.エンジンをかけてみる
20.エンジンをかけてみる
エンジンをかけて、始動具合やアイドリング回転、排気ガスの色などをチェック。
スムーズに始動しない場合は、始動困難に陥った原因を突きとめる必要がある。不安定なアイドリング回転、異音、大きな振動、白煙(水蒸気なら問題ない)や黒煙の排気ガスなどが出ていれば、なんらかのトラブルを抱えている。
始動時には、キーレスプッシュスタートシステムの操作具合も確認。表示/警告灯類の点灯にも注意しよう。わからないことや疑問があれば、販売店に聞いてみよう。
21.オートマチックのチェック
21.オートマチックのチェック
エンジンをかけてブレーキを踏んだままセレクトレバーを操作して、緩みや引っかかりなどがないか、各ポジションにスムーズに切り替えできるかどうか、まずチェック。できれば試走して、ATの動作も確認したい。大きな変速ショックや滑っているような感じがあれば不具合が疑えるが、判断が難しい部分もあるので、エンジンと共にATも、販売店で点検してもらうようにしたい。
22.装備機器類の機能を確認
22.装備機器類の機能を確認
ウインカーやヘッドライト、ブレーキ/バックランプなど、保安機器類が正常に作動することをまず確認。エアコンは冷暖房の利きを試してみるなど、電装機器や電動機構は、スイッチを入れるだけでなく、調整操作して機能を確認。パワーウインドウの開閉や室内ランプの点灯、キーレスシステムなども、忘れずにチェックしよう。
オプションのカーナビを付けている車両もある。仕様グレードで異なる標準装備や後付け装備の有無は、販売店で事前に確かめておこう。
23.室内の隅まで細かくチェック
シートや内装材などに汚れや染み、傷、穴などがないかチェック。運転席の周囲だけでなく、後席やラゲッジスペースも念入りに調べよう。フロアや天井の状態もチェック。ボックスやポケットなどは、内部の状態も確認。エアコンの吹き出し口やボックスの蓋などは、可動部の破損にも注意。シートアレンジも試してみよう。
■車両の情報をチェック
「車検証(自動車検査証)」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で期限と内容などを確認。「車両取扱説明書」のほか、オプションや後付け装備などが付いていれば、その使用説明書が揃っていることも確かめよう。
「定期点検整備記録簿」は、記載内容を必ず確認。定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておけば、車両各部の状態を探る参考になる。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合は、周辺の状態を慎重にチェック。エンジンルームやスペアタイヤ収納部などは、新車時から外装とは塗色が異なってることがある。
●ドアの開口部など、外から見えない部分にマスキング(塗装スプレーの飛沫が広がらないようにするためのカバーを粘着テープなどで留める)した跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような“直線状の段差”があれば、何らかの理由で塗装している。
●部品などに塗料が付着している場合も、周辺を詳しく調べる必要がある。
●車種によっては、スペアタイヤ収納部などに、塗装の飛沫が付着しているように見える、新車時から仕上げが荒くなっている部分もある。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれていれば、ネジを回している。
●ネジの頭が塗装されていれば比較的容易に確認できるが、無塗装ネジの場合は判断しにくい。傷や錆に注意して、関連する近隣のネジや、車体左右の同じ部品のネジと見比べる。
溶接とシーラー
●修理/交換で溶接している(熱を加えた)部分は、錆が発生しやすくなっている。特に床下は、溶接部の塗装の剥がれや浮きに注意する。
●鉄板の接合部分に塗布しているシーラー(隙間を埋める充填材)は、修理/交換で再溶接すると塗り直すので、不自然に見える。
●爪で押して、表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を比べてみる。
●スポット溶接(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)は、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理/交換すると、組み付ける際に誤差が出ることがある。隣接するパネルの隙間(チリと呼ぶ)の幅が均等になっていなければ、修理/交換している可能性がある。
●バンパーなどは、ぶつけたり、押されてずれることもある。たとえ修理/交換していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●プレスライン(外板パネルが折れ曲がっている角の線)や、モール類(ドアなどに付いている飾り部品)など、外装部品が連なっている線のずれも、立て付けの狂いを見つけるヒント。
■今回の車両のプロフィール
●2008年1月に新発売した、“ハイトワゴン”とか“トールワゴン”とも呼ばれるハイルーフスタイルの軽自動車。後席両側スライドドアを全車標準装備し、低い床と高い天井によって特に室内の天地幅にゆとりがあることを特長としている。シートアレンジによって、ゆったりとした後席の居住空間や容量の大きな積載スペースを確保。保冷機能付助手席アッパーボックスなどの便利装備を採用するなど、全体的にファミリー向けの軽ワゴンに仕上がっている。
●660ccエンジンは、自然吸気とターボの2種。グレード表記に「T」が付いているのはターボ車を表しているが、「X」の4WD車もターボエンジンを搭載している。トランスミッションは4速AT。駆動方式は、2WD(FF前輪駆動)と4WDがある。
仕様グレードの「G」は、マニュアルエアコン、フルキャップ付13インチスチールホイールが標準装備で、スライドドアクローザーやキーレスプッシュスタートシステム、フロントサイドエアバッグなどを省略しているシンプルタイプ。ひととおりの装備を備えているパレットのスタンダードタイプといえるのが「X」で、オートエアコン、フルキャップ付14インチスチールホイールを装備。「XS/T/TS」は、フロントメッキグリル、ディスチャージヘッドランプ&オートライトシステム、フォグランプ、LEDウインカー付ドアミラー、フロント/サイドアンダースポイラー、ルーフスポイラーなどを装着したエアロタイプで、タコメーター付3連メーターや14インチアルミホイールなどを標準装備。「TS」には、サイドカーテンエアバッグやCDステレオ10スピーカーハイグレードサウンドシステムなども加わる。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定
660cc
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
G | DBA-MK21S | 4AT | FF |
CBA-MK21S | 4AT | 4WD | |
X | DBA-MK21S | 4AT | FF |
XS | DBA-MK21S | 4AT | FF |
660ccターボ
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
X | CBA-MK21S | 4AT | 4WD | T | CBA-MK21S | 4AT | FF |
CBA-MK21S | 4AT | 4WD | |
TS | CBA-MK21S | 4AT | FF |
CBA-MK21S | 4AT | 4WD |
●2008年1月新発売の後、2008年12月に、Gの装備にキーレスプッシュスタートシステムやスライドドアクローザーなどを加えた特別仕様車「G リミテッド」を発売。2009年9月には、CVTを搭載した「L」を追加するとともに仕様グレード設定を変更し、ターボ車を廃止。あわせて、パレットシリーズとして「パレットSW」を追加設定。2010年8月に一部改良し、全車に改良型CVTを採用。新しいターボエンジンを搭載した「T」グレードも復活している。