中古車購入チェックポイント
更新日:2018.10.02 / 掲載日:2010.01.29
日産 オッティ(2007年3月~)中古車購入チェックポイント
日産 オッティ(2007年3月から)中古車購入チェックポイント
CBA-H92W
参考車両:RX 2WD
初年度登録:2007年3月
■全体のチェックポイント
外装や内装をしっかりチェックするだけでなく、整備状態を見極めることが大切。特に軽自動車は、維持費が少なく、気軽な足として使えることが特長といえるが、きちんと点検整備を受けていない車両が多いことに注意したい。荒く扱われていた車両は、内装にも傷が多い傾向にある。運転操作が乱暴だと、エンジンやトランスミッションなどに不具合が起きている可能性がある。車両がどのように使われ、扱われていたか推測しながらチェックしよう。
1.車両の雰囲気から探る
1.車両の雰囲気から探る
やや離れた遠目から、車両を観察してみよう。外装部品の立て付けや塗装面の状態など、外観に異常がないかチェック。不審な箇所があれば、近寄って、さらに詳しく調べよう。
前面は、バンパー/ボンネット/グリル/ヘッドライト/フェンダーなどが並んでいるバランスをチェック。ナンバープレートが片寄っているが、全体的には左右対称になっていることもチェックポイント。左右ライトの片方だけが新しく感じたら(交換の疑い)、その側の車体部を修理している疑いもある。細部では、飛び石による小さな打ち傷などにも注意しよう。
2.角度を変えれば見える
2.角度を変えれば見える
車体まわりは、見る角度を変えながらチェックしよう。プレスラインのずれや崩れ、微妙な立て付けの狂いなども確認しやすい。
表面を斜めから透かして見れば、浅くて広い凹みやエクボと呼ばれる小さな凹みなども見落とすことがない。
波打ち(しわ)があれば、衝撃を受けたダメージ痕か、板金修理跡。部分的に塗装の色艶が違っている箇所も、修理跡の疑いがある。
3.整備状態を確かめる
3.整備状態を確かめる
点検整備記録と突き合わせて、消耗部品を中心にエンジンと周辺をチェック。エンジンオイルの滲みなどにも注意しよう。できれば、ブレーキやウォシャーの液量、オイルの量および汚れなども点検したい。
周囲と比べて新しく見える部品があれば、交換が疑える。故障など不具合があったか、それとも事故などでダメージを受けたのか、整備記録も探ってみよう。
4.車体内側の鉄板も調べる
左右フェンダー側のインナーパネルやフレーム類、室内側のダッシュパネルなど、エンジンルーム内各部の鉄板をチェック。車体の骨格ともなっている重要な部分だ。ダメージを負っている車両は事故車(修理していれば修復歴車)と明示しているはずだが、念のために、歪みや修理/交換の形跡などがないか確認。サスペンションを交換した形跡などにも注意しよう。
5.ボンネットのチェック
5.ボンネットのチェック
外面をチェックしたら、裏面側に修理跡などがないかも調べよう。外と内のパネルを貼り合わせている接合部の状態(シーラーの異常など)が注意ポイント。特に前部(ボンネット先端部)を慎重にチェックしよう。
交換することもあるので、取り付けネジやヒンジをチェック。ボンネットを交換していれば、ボンネット単独の修理も考えられるが、車体部も修理している可能性が高いので、車体前部一帯をより詳しく調べる必要がある。
6.前部の必須チェックポイント
6.前部の必須チェックポイント
エンジンルームのいちばん前で車体の左右に繋がっているラジエターサポートは、車体前部に大きな衝撃を受けると影響が及びやすく、交換/修理する確率が高い。外観をきれいに修理していても、ここで車体にダメージを負っているのがわかることがある。歪みや修理/交換跡などがないかチェックしよう。同時に、ヘッドライトやグリルなど、関連部品の状態も調べよう。
7.取り付け状態を確認
7.取り付け状態を確認
フロントフェンダーの固定ネジをチェックしよう。ネジを脱着した形跡があれば、フロントフェンダーを交換している可能性がある。
フロントフェンダーは、車体の重要な補強部材とはなっていないので、傷や凹みなどの損傷を補修している車両でも、修復歴車の扱いにはならない。しかし、フロントフェンダーを外して修理/交換しているとなれば、大きな衝撃を受けていると考えられるので、インナーパネルやフレームなど、車体骨格部にダメージが及んでいないか確認する必要がある。
8.隙間の幅と色調を比べる
8.隙間の幅と色調を比べる
立て付けを見る時は、例えば車体前部側面では、バンパー、ヘッドライト、フェンダー、ドア、ピラー(フロントガラス部の柱)などが隣接している。それぞれの隙間の幅が均等になっていなければ、ダメージを負って部品がずれているか、あるいは修理/交換している疑いがある。
修理や交換で塗装すると、仕上がった色が微妙に違うことがあるので、隣り合うパネルの色調にも注意しよう。
9.縁の部分も慎重にチェック
9.縁の部分も慎重にチェック
フェンダーは、膨らんでいるホイールアーチ(タイヤを囲っている部分)を傷付けることも多い。傷があれば、凹みを伴っていないか、フェンダーに歪みが出ていないか確認。
鉄板を内側に折り込んでいる部分も調べよう。修理の形跡があれば、傷の補修か、板金修理か、あるいは交換か。修理の範囲と受けたダメージの度合いを確認。
下部に設置しているサイドガーニッシュ(ドア下に被せている飾り部品)の取り付け状態にも注意しよう。
10.側面のチェックポイント
ドアに大きな損傷を負うと、外して修理、あるいは交換することもある。ドアの取り付けネジを脱着していないかチェック。ただし、立て付け調整などでネジを回すこともあるので、ネジを見ただけではドアを修理/交換しているとは断定できない。ドアに修理跡がないか調べると同時に、ピラー(柱)やサイドシル(ドア下の梁)など、周辺の状態も確かめて判断する必要がある。
11.外よりも内が重要
11.外よりも内が重要
サイドガーニッシュに損傷や破損などがないかチェックして、取り付け状態も確認したら、さらに奥を覗いてサイドシル(車体の前後方向に通っている梁)を調べよう。下端の鉄板接合部に損傷などがないかチェック。汚れていることも多く、仕上げが粗くなっているので判断は難しいかもしれないが、修理/交換の形跡などがないか注意しよう。
12.リアフェンダーのチェック
リアドアの開口部を調べよう。乗り降りで付けることが多い擦り傷や打ち傷がないか、補修跡などがないかチェック。
開口部分などにマスキング跡が残っていれば、リアフェンダーを修理している。どれほどのダメージを負ったか、周辺を調べよう。
同様に、サイドシル部も慎重にチェックしよう。
車体左側は、フューエルリッド(給油口のカバー)を開けて、マスキング跡や修理跡などがないか確認。
13.後面のチェックポイント
13.後面のチェックポイント
前部と同様に、バンパー/テールゲート/コンビネーションランプ(テールライト)/フェンダーなどのバランスをチェック。
テールゲートの立て付けが全体に狂っていれば、テールゲートがずれているか、あるいは車体が歪んでいる疑いもある。右左片側だけの隙間に異常があれば、その部分の車体部を修理していると考えられる。
ナンバープレートの封印を剥がした形跡(傷など)も、車体後部の修理/交換を推察するヒントになる。
14.取り付け部を確認する
14.取り付け部を確認する
テールゲートは、内(裏面)側に修理跡などがないかもチェック。交換している形跡がないか、ヒンジ部の取り付けネジもチェック。ヒンジおよびヒンジを固定している車体側の状態もチェックしよう。
15.開閉してチェック
テールゲートの開閉動作をチェックしよう。ロックの解錠/施錠の具合をまずチェック。開閉して、スムーズに上げ下げできることと、上に跳ね上げた状態でしっかり止まっていることを確認。
閉まり具合がよくない(閉める時にカチッと収まらない)場合は、調整するなどで直ることもあるが、車体が歪んでロック部が合わなくなっている可能性もあるので注意が必要だ。
16.開口部を慎重にチェック
開口部の左右を見ると、鉄板の接合部がある。溶接やシーラー、塗装の状態などを手がかりに、修理/交換跡などがないかチェック。下部は、コンビネーションランプやバンパーの取り付け状態に注意しよう。
後方から強い衝撃を受けると、広範囲に波及することもある。開口部に修理/交換の形跡があれば、ダメージが及んだ範囲を広く探る必要がある。
17.床の中もチェック
17.床の中もチェック
ラゲッジスペースの床を開けて、スペアタイヤ収納部に歪みや修理/交換跡などがないか確認。底に貼ってある防振シートの切り接ぎや張り替えた形跡にも注意。新しい塗装跡があれば、錆などの補修か、あるいは修理跡か調べよう。
18.床下も覗いてみる
18.床下も覗いてみる
フレーム(骨格)など鉄板部に損傷や歪み、修理跡などはないかチェック。前後バンパーの裏奥にあるパネルの状態などにも注意。同時に、マフラーやサスペンション、ブラケットなど、部品や金具類に損傷や曲がり、変形、交換の形跡などがないかもチェックしよう。
油脂汚れ(オイルやグリスの漏れ)、ゴム部品の劣化(ひび割れなど)などにも注意。錆が発生していれば、腐食の進み具合を確認。
19.タイヤとホイールのチェック
19.タイヤとホイールのチェック
タイヤは、スリップサインを目安に残り溝の深さを点検。傷や異物の刺さり、ひび割れなどがないかもチェック。
接地面の減り方も調べよう。外側だけとか内側だけなど、一部が極端に摩耗する偏摩耗を起こしていれば、アライメント(ホイールの取り付け角度)が狂っているのか、あるいは車体が歪んでいるのか確かめる必要がある。
ホイールは、リム部(タイヤと接している縁の部分)を傷付けることが多いが、曲がりなどがないか注意してチェックしよう。
20.不具合の兆候を探る
エンジンをかけて、始動具合やアイドリング回転、排気ガスの色などをチェックしよう。できれば試走したいが、エンジンが暖まってからアクセルペダルを軽く踏んで、スムーズに回転が上下するかどうかも試してみたい。
エンジンがかかりにくければ、バッテリーが弱っている場合もあるが、発電系統など他の要因も調べる必要がある。不安定なアイドリング回転、異音、大きな振動、白煙(水蒸気なら問題ない)の排気ガスなどは、なんらかのトラブルを抱えていると考えられる。
21.装備機器類は機能を確認
21.装備機器類は機能を確認
ウインカー、ヘッドライト、ブレーキ/バック/テールランプ、ワイパーなど、保安装置類が正常に作動することをまず確認。
オーディオやエアコンなど、調整機構を備えている電装機器類は、スイッチをオン/オフするだけでなく、調整操作して機能を確かめよう。
グレードによる違いやオプションの追加など、車両の装備はプライスボードなども参考に、事前にチェックしておきたい。
22.オートマチックのチェック
22.オートマチックのチェック
エンジンをかけてブレーキを踏んだまま、PからDへ、NからRへなど、各ポジションにセレクトレバーを操作して、引っかかりや緩み(ぐらつき)などはないか、切り替え時にショックや異音などがないか確認。
できれば試走して、自動でギヤが切り替わる時のショックが激しいとか、繋がるタイミングが長過ぎる(滑っているような感じがする)など、走行中に不具合の兆候が現れないか確かめたい。
23.室内は隅までチェック
23.室内は隅までチェック
シートや内装材などに、汚れや傷、染み、破れ、穴などはないか。運転席の周囲だけでなく、後席やラゲッジも必ずチェック。収納ボックスやポケットの中、フロアマットの下、天井の内張などの状態も調べよう。補修や修理が難しい樹脂部品の傷や破損にも注意。
染みや擦り切れ、傷などがあれば、簡単な修繕で済むか、あるいは修理や交換が必要か、ダメージの程度を判断したい。
書類で車両の情報をチェック
備え付けの書類は、「車検証」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で保証内容や期限を確認。「車両取扱説明書」の他に、オプションや後付けなど追加装備の説明書が揃っていることも確かめよう。
「定期点検整備記録簿」は、必ず記載内容を調べよう。車両がどのように使われ、どのように扱われてきたかがわかる。定期点検や消耗部品交換などの実施時期と、その時の走行距離を把握しておけば、車両各部の状態を探る参考になる。
車両チェックの勘どころ
塗装
●部分的に色調や艶が違う場合には、周辺の状態もチェック。
●タイヤハウス(フェンダーのタイヤを覆っている部分)内に外装塗料が付着しているとか、メッキやゴム部品などに塗料の飛沫が付いているなどの場合も、周辺を詳しく確かめる必要がある。
●ドアの開口部などにマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留める粘着テープを貼る)跡が残っていることがある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があれば、何らかの理由で塗装していることがわかる。
取り付けネジ
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体まわりの部品を交換する時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれているのは、ネジを回している証拠だ。
●普通はネジの頭は塗装されているので、傷は比較的容易に確認できる。無塗装の場合は判断しにくいので、車体の左右を見比べるといい。
溶接とシーラー
●車体を構成する部品が溶接で固定されている部分は、シーラー(接合部の隙間を埋める充填材)が塗布されている。修理や交換で再溶接すると塗り直すので、不自然になっている。
●疑わしい場合は、爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(プチッと表面が割れる)ようなら、修理後に新しいシーラーを盛っている。
●シーラーは、盛り上がっていたり、窪んでいたり、横方向にヒダがあるなど、鉄板の接合状態やシーラーを塗布する方法によって形状が違っている。不自然に見える部分を見つけたら、車体の左右同じ場所を見比べて判断しよう。
●車体各部はスポット溶接している(鉄板の接合部に小さな丸い窪みが並んでいる)部位も多いが、修理工場でスポットを打ち直している場合は、直径が5mm以下(新車時は5mm以上が普通)、窪みが深い、2度打ちしたずれなど、新車組み立て時の状態とは異なる特徴がある。
●電気スポット溶接の電極が入らない奥まった部分などは、炭酸ガスアーク溶接に代えることがあるので、スポット溶接の窪みがなくなっていることもある。
立て付け
●外板パネルなどを修理すると、組み付ける際に誤差が出ることがあり、それは、隣り合うパネルの隙間(チリ)を見ればわかる。隙間の幅が均等になっていなければ、修理している可能性がある。
●バンパーなどは押されてずれることもあるが、たとえ修理していなくても、隙間が合っていなければ、なんらかのダメージを受けている。
●モール類(フェンダーからドアにかけて線状に繋がっている飾りなど)やプレスライン(外板が折れ曲がっている角の線)がずれていることからも、立て付けに異常があることがわかる。
■今回の車両のプロフィール
●2006年10月にフルモデルチェンジした2代目。エクステリアおよびインテリのデザインを変更すると共に、使い勝手を向上。リモコンオートスライドドアなども採用している。エンジンは660(657cc)で自然吸気とターボの2種。駆動方式はFF(前輪駆動)と4WD。トランスミッションは、グレードによって5速MT、3速AT、電子制御4速ATを設定している。
●仕様グレードは、標準スタイルの「S」「E」「M」と、エアロスタイルの「RS」「RX」に分かれる。SとEの装備内容はほぼ同じだが、Eはアルミホイールを標準装備。SとEではトランスミッションの設定が異なっているのが最大の違いだ。「M」は、助手席側の後席ドアにリモコンオートスライドドアを装備。RS/RXシリーズは、RSは自然吸気エンジン、RXはターボエンジンを搭載している。「ライダー」は、オーテックジャパンのカスタムモデルで、専用のフロントドアやグリル、シート表皮などを採用している。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定(2006.12)
660(657cc)
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
S | DBA-H92W | 5MT/3AT | FF |
S FOUR | DBA-H92W | 5MT/3AT | 4WD | E | DBA-H92W | 4AT | FF | E FOUR | DBA-H92W | 4AT | 4WD | M | DBA-H92W | 3AT/4AT | FF | M FOUR | DBA-H92W | 3AT/4AT | 4WD | RS | DBA-H92W | 4AT | FF | RS FOUR | DBA-H92W | 4AT | 4WD |
660(657cc)ターボ
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
RX | CBA-H92W | 4AT | FF |
RX FOUR | CBA-H92W | 4AT | 4WD |
カスタム仕様車「ライダー」
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
RS | DBA-H92W | 4AT | FF |
RS FOUR | CBA-H92W | 4AT | 4WD | RX | DBA-H92W | 4AT | FF | RX FOUR | CBA-H92W | 4AT | 4WD |
●主な変更とモデルタイプ
◇2006年10月:フルモデルチェンジ。
◇2006年12月:リモコンオートスライドドアグレード「M/M FOUR」を設定。カスタム仕様車「ライダー」を発売。
◇2007年5月:特別仕様車「S/S FOURノアールサウンドセレクション」を発売。
◇2007年10月:ライダーシリーズ発売10周年記念特別仕様車「ライダー10thアニバーサリー(標準ドア車)」を発売。
◇2008年9月:マイナーチェンジ。内外装の一部変更およびエンジン改良などを実施。
◇2009年8月:一部改良。トランスミッションの改良などで燃費向上。
◇2009年10月:ライダー特別仕様車「プラスナビHDD」を発売。