中古車購入チェックポイント
更新日:2018.10.23 / 掲載日:2016.03.04
スバル WRX STI(2014年8月~)中古車購入チェックポイント
スバル WRX STI(2014年8月~) 中古車購入チェックポイント
参考車両:STI タイプS(CBA-VAB)
初度登録:2014年10月
追加装備:〈ディーラーオプション〉SDナビゲーションシステム
■全体のチェックポイント
走行機能のダメージにも注意しながらチェックする
1.外見の様子から探っていく
1.外見の様子から探っていく
まずは、車体のバランス(車両の傾きにも注意)を見ながら外装に異常がないか観察する。前面は、バンパー、ボンネット、ヘッドライト、フェンダーなどの状態をチェック。細部では、フロントガラスの飛び石傷などにも注意。
2.隣接部も同時にチェック
2.隣接部も同時にチェック
バンパーは、角や下部、ロア/アッパーグリル、フォグランプカバーなどに損傷がないか見て、立て付けも調べる。同時に、ヘッドランプやボンネットもチェック。フェンダーは、サイドガーニッシュ、ホイールアーチの縁、タイヤハウス内、フェンダーライナー(泥よけカバー)などもチェックする。
3.関連部も慎重にチェック
3.関連部も慎重にチェック
ドアは、外面だけでなく、内側(側部のパネル接合部あたり)も修理跡などがないかチェック。ヒンジ部やドアキャッチ(ロックの受け金具)、ピラー(柱)、サイドシル(梁)など開口部もチェック。
4.下側に要チェックポイント
4.下側に要チェックポイント
車体側面下部は、サイドシルスポイラーに傷や破損、修理跡などがないかチェック。サイドシルスポイラーで覆われているサイドシル(車体の梁)も、床下側も覗いて、損傷、腐食、修理/交換跡などがないかチェック。フェンダーやピラーとの接合部あたりに注意しながらステップ部(サイドシルの上側)周辺もチェックする。
5.損傷の程度も確かめる
ドア開口部は、乗り降りによる傷や簡易補修跡などがないかチェック。マスキング跡や修理跡があれば、周辺を詳しく調べて、損傷の程度と範囲を確認する。
右リアフェンダーは、フューエルリッドおよび給油口周辺も異常がないか見る。
6.後部のチェック
後面も、バンパー、トランクリッド、コンビネーションランプ、フェンダーなどをチェック。ナンバープレート、マフラー、スポイラーの損傷。後方からの衝撃が波及することがあるピラーやルーフにも注意。
トランクリッドは、開閉具合や取り付け状態もチェック。パネル接合部の異常に注意しながら開口部もチェック。スペアタイヤ収納部周辺のパネルも、歪みや修理跡がないか調べる。
7.車体の内側も調べる
ボンネットは、内側やヒンジ部もチェック。フェンダーは、カバーで覆われているが、腐食(錆)や修理跡に注意し、取り付け状態もチェック。同時に、車体パネルもチェック。最前部にあるラジエターサポートおよび関連部品も要チェック。
8.タイヤとホイールをチェック
8.タイヤとホイールをチェック
タイヤは、残り溝の深さを点検し、傷、割れ、欠けなどがないかチェック。異常摩耗を起こしていれば、サスペンション不良のほか、車体が歪んでいる可能性もあるので要注意。アルミホイールは、塗装の傷みや剥げ、縁石などに接触することがあるリムの縁の欠損や曲がり、過度な衝撃による歪み(変形)や破損などに注意しながらチェックする。
9.床下も覗いてチェック
9.床下も覗いてチェック
車体パネルや補強部材、フロア下空力パーツなど車体部品。マフラーやサスペンションなどの部品類も、傷、歪み、腐食、破損、修理跡などがないかチェック。
水漏れ、オイルやグリスなどの漏れ、樹脂やゴム部品の劣化・破損などにも注意。錆があれば、広がり範囲と腐食状態を調べる。
★損傷と修理/交換歴の有無を確認する
「WRX[VA型](STI[VAB]/S4[VAG]」は、「インプレッサ G4」をベースに、車体補強や足まわり強化などを施した専用ボディ。エアスクープ付アルミ製ボンネット、LEDロービームヘッドランプ+LEDクリアランスランプ、大型フロントフォグランプカバー・下フォグランプ+上ターンランプ、ワイドフェンダー、メッシュ開口付サイドガーニッシュ・STiエンブレム付(S4はWRXエンブレム付)、LEDサイドターンランプ付電動格納式ドアミラー、LEDテール/ストップリアコンビネーションランプ、リアフォグランプ内蔵ディフューザー一体リアバンパー、ツインデュアルテールパイプ、シャークフィンルーフアンテナ、エンジンアンダーカバー/フロアアンダーカバー/タイヤ前フラップ/マッドガードなどを装着。
「STI」は、ガンメタリック塗装18インチ鋳造アルミホイール、ブレンボ製ディスクブレーキ・STiロゴ付キャリパー。「STI タイプS」は、大型リアスポイラー、ハイラスター塗装BBS製18インチ鍛造アルミホイール、ビルシュタイン製ダンパー、オールウェザーパック(フロントワイパーデアイサー/スーパーUVカットフロントドアガラス/撥水加工フロントドアガラス)なども標準装備。
車体の衝撃吸収構造にも注意したいところだが、外装の損傷だけでなく、走行機能にもダメージがないか確認したい。車体の骨格部を修理しているのは修復歴車だが、修復歴に該当しなくても、損傷や修理/交換している箇所がないか販売店に聞いてみよう。
★足まわりの状態にも注意
「STI」は、245/40Rタイヤ&18×8.5J鋳造アルミホイール、フロント倒立式(単筒ダンパー)サスペンション、ブレンボ製17インチベンチレーテッドディスクブレーキ・フロント対向4ポット/リア対向2ポットキャリパー、油圧パワーステアリング(S4は電動)を装備。「STI タイプS」は、BBS製18×8.5J鍛造アルミホイール、ビルシュタイン製ダンパー(フロント倒立式)を装着。
タイヤの摩耗によってホイールバランスが狂ってくると、ステアリングやサスペンションの故障の原因になるだけでなく、車両安定制御VDCなどが正常に作動しなくなることもある。関連するブレーキ、サスペンション、ステアリングなど、足まわり系統のダメージにも注意したい。
室内の状態と装備機器の機能動作をチェックする
1.隅まで細かくチェック
室内は、内装材に汚れや傷、損壊などがないかチェック。ボックスやトレー、ポケットなどは、内部も見る。シート表皮の染み、しわ、穴。本革部分の擦れ、剥げ。ステッチのほころび、縫い目の破れ。内装パネルや加飾類の傷、浮き。ボックスリッドやエアコン吹き出し口などの可動部破損などにも注意ながらチェックする。
2.トランクも丹念にチェック
後席も、シート/ヘッドレスト/アームレストからフロア、ドア、天井まわりまでチェック。6:4分割可倒式トランクスルーも試してみる。トランクルームも、傷みなどがないか見る。
3.装備機器の具合を確認
3.装備機器の具合を確認
ヘッドライト、ウインカー、ワイパー、ドアミラー、テール/ブレーキ/バックランプなど保安装置。パワーウインドウやドアロック、室内ランプなど基本的な装備。電波式リモコンキーの機能およびドア/トランクリッドの解錠・施錠具合もチェック。オートエアコンは、冷房の効きに注意して自動制御や調整・設定機能をチェック。
参考車両は、追加装備しているナビシステムの内蔵機能や付随機能なども異常がないか確認したい。
★細部は販売店で点検してもらう
「STI/STI タイプS」は、キーレスアクセス(アンサーバック機能付電波式リモコンドアロック/トランクオープナー)、左右独立温度調整機能付フルオートエアコン(レッド塗装リング付エアコンダイヤル)、レザー調素材巻+レッドステッチインパネセンターバイザー、メッキベゼル+レッドステッチ付本革巻ステアリングホイール、本革巻MTシフトノブ(レッドオーナメント+カーボン調加飾パネル(サテンメッキリング付)+レッドステッチシフトブーツ、本革巻ハンドブレーキレバー、レッドステッチ+レッドアクセント+STiロゴ付アルカンターラ/本革シート表皮、フロントスポーツシート、運転席レバー式シートリフター、アルミパッド付スポーツペダル、レッド照明/STiエンブレム付センタートレイ、オーディオレス・4スピーカー、リアシート6:4分割可倒式トランクスルーなどを標準装備。参考車両は、ディーラーオプションのSDナビシステム(パナソニックCN-R300D・7V型ワイドVGAモニター 2DIN AVシステム・地デジTV/DVD/CD内蔵SDカーナビステーション)を追加している。いずれにしても、車両の仕様グレードや装備内容を販売店でまず確認。装備機器類は、とりあえずわかるところだけでも調べて、細部は販売店でチェックしてもらう。特に電装機器に異常がないか注意したい。
走行機能のコンディションと整備状況を確認する
1.エンジンを始動してみる
エンジンをかけて、始動具合、アイドリング回転、排気ガスの色などをチェック。始動時には、キーレスアクセス&プッシュスタートの機能も確認。表示/警告灯、メーター/ディスプレイの表示などにも注意。わからないことや疑問は、販売店スタッフに聞いてみよう。
2.運転支援機能もチェック
MTは、緩みや引っかかりなどに注意しながら各ポジションへのシフト具合をチェック。同時に、クラッチの断続具合もチェック。
可能なら試乗して、DCCD方式AWDの前後輪トルク配分制御とマニュアル時6段階調整機能、SI-DRIVEの走行特性3モード選択、VDCの作動およびモード切り換えなどの具合をチェック。
EBD付ABS・ブレーキアシスト・ブレーキオーバーライドなどブレーキ関連機能のほか、ステアリングやサスペンションなども、異常がないか確認したい。
とはいっても、正常かどうか判断するのはまず無理。販売店で厳密に点検してもらおう。
★正しく点検・整備してもらう

「STI」は、2.0L水平対向4気筒デュアルAVCSツインスクロールターボ[EJ20]エンジン+ショートストロークシフト・クロスレシオ6速MT+DCCD(トルク感応型機械式LSD+電子制御LSD内蔵センターデフ)方式AWD・電子制御LSDトルク配分[C.DIFF]/[AUTO/MANU]スイッチ、フロントヘリカルLSD&リアトルセンLSD、SI-DRIVE・3モード[S・S♯・I]セレクター、マルチモードVDC(TCS/VDC)+アクティブトルクベクタリング(コーナリングアシスト機能)・[VDC OFF]スイッチ(トラクションモード/ノーマルモード/作動停止)、ヒルスタートアシスト・作動解除(VDC OFFスイッチ兼用)、クラッチスタートシステム、EBD付ABS+ブレーキアシスト、ブレーキオーバーライドなどを搭載。DCCD表示付マルチインフォメーションディスプレイ(ディスプレイ操作[i/SET]ステアリングスイッチ)付レッドルミネセントメーター(STI専用メーターパネル・280km/hスケール)、マルチファンクションディスプレイ(ターボブースト/燃費情報/VDC作動状態など)・表示切り替え[ENTER]センターパネルスイッチ、キーレスアクセス&プッシュスタート+エンジンイモビライザーなどを標準装備。
各機構の話はさておき、それぞれの機能に異常がないか確認したい。ターボはオイル管理に注意したいが、とりあえずエンジンルーム内だけでも見て、走行関連各部のコンディションと整備状況を販売店に聞いてみる。車両の購入を決めるなら、すべての走行機能をきちんと整備してもらうようにしたいが、スバル独自の機構を正しく点検・整備できるかどうかも確認したい。
■最初に車両の現状を確かめる
中古車両をチェックする際は、現車を見て、年式(登録年月日)・仕様グレードなどを確認。標準装備のほかに、メーカーオプションやディーラーオプション、市販機器、カスタムパーツなどを付けていないか確認。整備状態も含めた現状を販売店で確認しよう。
目利きはココを見る!
「車両の情報」を見る
●「車検証(自動車検査証)」で初度登録年月日や型式などを確認。「保証書」で期限や内容を確認。「車両取扱説明書」の他に、追加装備などの使用説明書が揃っていることも確認。●「定期点検整備記録簿」は、記載内容を必ず確認。定期点検や消耗部品交換などの時期と走行距離を把握しておけば、車両の状態を探る参考になる。
「立て付け」を見る
●外板パネルは、合わせ(隙間)が均等でなかったり、位置がずれていれば、ダメージを受けているか修理/交換している可能性がある。●プレスライン(外板パネルを折り曲げている角)やモール(飾り部品)など、外装部品が連なっている線のずれも、立て付けの狂いを見つけるヒント。●外装は、見る角度を変えながらチェックすれば、プレスラインのずれや崩れ、立て付けの狂いなども判断しやすい。パネル表面を斜め方向から透かして見るようにすると、小さな凹みや浅くて広い凹み、波打ち(しわ)なども見つけやすい。しわが寄っているのは、ダメージ痕か、板金修理跡だ。
「塗装の状態」を見る
●部分的に色艶が違っていたり、ザラザラした肌荒れ状態になっている箇所は、修理跡の疑いがある。●新しい塗装跡は、錆などの補修か、損傷を負って修理したのか、詳しく調べる。●修理や交換で塗装していると、微妙に色調が違って見えることがあるので、隣接しているパネルの色艶も比べてみる。●塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような直線状の段差があるのはマスキング(周辺に塗装スプレーの飛沫が広がらないようにするカバーを粘着テープなどで留める)跡。ドア開口部などにマスキング跡があれば、なんらかの理由で塗装しているので、周辺を詳しく調べる。●エンジンルーム内やスペアタイヤ収納部などは、外装色とは違っていることもあるので注意する。
「取り付け状態」を見る
●ネジ止め(ボルトやナットで固定)している車体部品を外す時には工具を使う。ネジの頭の塗装が剥がれていたり、角がくずれていれば、ネジを回している。●ボンネット、ドア、テールゲート(またはトランクリッド)などは、外して修理、あるいは交換することがあるので、ネジを見て、ヒンジおよび車体側のヒンジ固定部周辺も修理跡などがないか調べる。
「接合部」を見る
●車体部品を交換する際に溶接部分を外すことがあるので、鉄板接合部を調べる。●スポット溶接(接合部にある丸い窪み)を打ち直している場合は、直径が小さい、窪みが深い、ずれている(2度打ちした)など、新車組み立て時の状態とは異なる特徴があるので注意する。●接合部に塗布しているシーラー(隙間を埋める充填材)は、修理や交換で塗り直していると不自然に見える。●爪で押して、プチッと表面が割れる(表面が硬くても内部が柔らかい)ようなら新しいシーラーを盛っている。●シーラーは、接合状態や塗布する方法によって形状が違っていることにも注意する。
■今回の車両のプロフィール
●フルモデルチェンジして2014年8月25日に発売した4代目「WRX」(VA型)シリーズ。「インプレッサ G4」をベースに、オンロードに重点を置いた(WRX STIの名称はWRC世界ラリー選手権に由来するが、2008年シーズンでWRCワークス活動を終了し、以降はニュルブルクリンク24時間レースに参戦しながらオンロード性能を追求している)4WDスポーツセダンとして開発。
SI-DRIVE・3モード、車両安定制御[マルチモードVDC]+コーナリングアシスト[アクティブトルクベクタリング]、LEDロービーム+ハロゲンハイビームヘッドランプ+LEDクリアランスランプ、フロント&リアフォグランプなどを全車標準装備。従来の“モータースポーツ直系の走り”を継ぐ「WRX STI(VAB型)」は、2.0L水平対向4気筒ツインスクロールターボエンジン+6速MT+マルチモードDCCD(トルク配分調整機能付センターデフ)方式4WD、フロントヘリカルLSD&リアトルセンLSD、油圧パワーステアリング、機械式パーキングブレーキを搭載し、ブレンボ製ディスクブレーキ、専用倒立式フロントサスペンション、245/40Rタイヤ&18インチアルミホイール、専用メーターパネルなどを装備。「タイプS」は、BBS製鍛造アルミホイール、ビルシュタイン製ダンパー、大型リアスポイラーなども標準装備。
環境性能や安全性能も備えた「WRX S4(VAG型)」は、2.0L水平対向4気筒DIT(直噴ターボ)[FA20]エンジン+6速マニュアルモード付CVT+VTD AWD(不等&可変トルク配分電子制御4WD)、電動パワーステアリング、電気式バーキングブレーキを搭載。標準タイプ「2.0GTアイサイト」は、運転支援システム[アイサイトver.3]、パドルシフト、225/45Rタイヤ&18インチアルミホイール、運転席10ウェイ&助手席8ウェイパワーシートなどを標準装備。「2.0GT-Sアイサイト」は、ビルシュタイン製ダンパーやトランクリップスポイラーなども標準装着している。
■参考車両と同時期の仕様グレード設定
グレード | 型式 | シフト | 駆動 |
・WRX STI | |||
STI | CBA-VAB | 6MT | 4WD |
STI タイプS | CBA-VAB | 6MT | 4WD |
・WRX S4 | |||
2.0GT アイサイト | DBA-VAG | CVT-6M | 4WD |
2.0GT-S アイサイト | DBA-VAG | CVT-6M | 4WD |
●2015年6月に一部改良し、全車に“アドバンスドセイフティパッケージ”をメーカーオプション設定。S4はサスペンション最適化などを行ったが、STIの基本仕様装備には大きな変更はない。