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更新日:2020.09.10 / 掲載日:2020.09.10

ホンダ ジェイド【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

文●工藤貴宏
(掲載されている内容はグー本誌 2020年9月発売号掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2020年8月調べ。


ジェイドの最大の美点は個性的なパッケージングだ。手ごろな車体サイズながら3列シート車も設定。それでいてミニバン非対応の機械式立体駐車場を利用できる利便性も光る。

2015年式 ホンダ ジェイド ハイブリッドX(7速AT) ●全長×全幅×全高:4650×1775×1530mm ●ホイールベース:2760mm ●トレッド前/後:1535/1530mm ●車両重量:1510kg ●排気量:1496cc ●エンジン:直4DOHC+モーター ●エンジン最高出力:131ps/6600rpm ●エンジン最大トルク:15.8kgm/4600rpm ●モーター最高出力:29.5ps ●モーター最大トルク:16.3kgm ●サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン ●ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク ●タイヤ前後:215/50R17 ●中古車参考価格帯:120万円~260万円(15年~20年 ※全グレード)

3列シートを備えた小型ステーションワゴン

 ホンダ ジェイドはオリジナリティの高いモデルである。スポーティなワゴンのようなスタイルながら、シートは3列(後期モデルは2列車も設定)と多人数乗車が可能。全高は1530mmと、ミニバンとして考えれば極めて低く、一般的なセダン用の機械式立体駐車場を活用できるのが強みだ。
 立ち位置としては、かつて人気モデルとなった低車高ミニバン「ストリーム」や先代「オデッセイ」の後継と考えればわかりやすい。車体サイズは両者の中間で、リアドアはスライドではなくヒンジ式。背が高くなってスライドドアを組み込んだ現行型オデッセイと比べても、ジェイドのほうが従来のオデッセイに近い雰囲気を持っている。
 キャラクターとしては、ミニバンに近いステーションワゴンと考えればしっくりくるだろう。「3列目が狭い」という声があり、たしかにそれは事実だが、SUVの3列目シートと同様に“常用と考えない補助的なシート”と考えれば問題はないだろう。逆にいえば、日常的に3列目を使うユーザーにはオススメできない。一方で、流麗なステーションワゴンのようなフォルムで、ほとんど使わないけど3列目があれば便利と考えているユーザーにはピタリとくる選択肢になるだろう。流線形フォルムは本当に美しい。
 マンション暮らしなどで、自宅駐車場が機械式立体駐車場だけど3列シート車が欲しいという人にも最適なチョイスとなるはずだ。
 また、走りの爽快感も大きな魅力。ハンドリングは低重心の助けもあってドライバーの意をくみ取るようにスムーズに曲がり、特に追加で設定された「RS」は走りで語れるワゴンといえる。

[エクステリア]スポーティな流線形スタイル

 低い全高を強調する伸びやかなスタイリングが魅力。真横から見ると全長のわりにボンネットを短くして居住スペースを長く確保していることがわかる。また、軽快に感じさせる演出として、Aピラーを寝かせたりサイドウインドウは後方の天地高を狭めるのがポイントだ。

立体駐車場にも対応する現在では希少なミニバン

 マンションなどに使われる機械式立体駐車場は、2つのタイプがある。「ミニバンやSUVにも対応」と「ミニバン非対応」で、その境目は天井の高さ。一般的に全高が1550mmを超えると後者への駐車ができないが、ジェイドは低いので利用可能だ。

[モデルヒストリー]ガソリン車と2列シート車が後ほど追加された

2015年2月:ジェイドを発表

 ハイブリッド専用の3列シートモデルとしてスタート。上級グレードの「ハイブリッドX」は先進安全運転支援システムの「ホンダセンシング」を標準装備するほか、滑らかな肌触りが特徴の合成レザー表皮をはじめとする内装をコーディネート。

2015年5月:「RS」を追加

 1.5Lガソリンターボエンジンを積む「RS」を追加設定。車体を補強するとともに、ひときわシャープな走りに味付けたサスペンションとあいまってハイブリッド車とは異なるキャラクターを演出したスポーティ仕様だ。価格設定もハイブリッドより割安。

2018年5月:マイナーチェンジ

 内外装デザインをリフレッシュするとともに、2列シート5人乗り仕様を追加。ワゴンとしてのキャラクターを強調した。これまでガソリンターボエンジン車だけの設定だった「RS」が、ハイブリッドモデルにも拡大。ホンダセンシングは全車標準装備に。

「RS」は外装デザインの変更として、インラインタイプのLEDヘッドライトやハニカムメッシュのフロントグリルを採用。タイヤサイズも18インチにアップ。

[インテリア]低い天井でも開放的な空間

 一般的なミニバンのように高い天井が生み出すゆとりを感じにくいものの、1列目や2列目に座ると開放感を実感できる。理由のひとつがガラス面積の広さ。大きなフロントウインドウに加え、ドアの窓も天地高がしっかり確保されているから閉塞感がないのだ。また2列目は、2列車を除いて2人掛けとしゆったり感を強調。さらに前後スライド可能で4人乗車時は足もとを広くできる。

 3列目は必要最小限のスペースで、ロングドライブには向かない。「日常的には使わないけれど3列目が欲しい」というユーザーとの相性がいいだろう。床下へスッキリと折りたためる。

大きなセンターコンソールを組み合わせて運転席と助手席を隔てる前席環境にミニバンらしさはなく、セダンやステーションワゴンに近い。メーターはデジタル式だ。

豊富なシートアレンジで使い方はさまざま

 3列車の2列目シートは左右独立で前後スライド可能。3列目をたためばステーションワゴン同様のアレンジとなる。

[メカニズム]2つのパワートレインが選べる

 パワートレインはハイブリッドとガソリンターボの2タイプ。いずれもエンジン排気量は1.5Lである。前者は燃費に優れることと、トランスミッションにDCTを組み合わせたことによるアクセル操作に対するダイレクトな反応が特徴だ。対してガソリンターボは爽快なフィーリングが魅力。どちらも走行性能を高めるためにリアサスペンションはダブルウィッシュボーン式を採用している。

HONDA SENSING

アダプティブ・クルーズ・コントロール

高速道路において、ドライバーに代わってクルマが速度をコントロール。前を走るクルマと一定の車間距離を空けながら、速度を自動で調整してくれる。

衝突軽減ブレーキ

ミリ波レーダーと単眼カメラで前を走るクルマや対向車、歩行者を検出。衝突の恐れがある場合はまず音と表示で警告し、さらに接近するとブレーキをかけて衝突を防ぐ。

車線維持支援システム

車線を認識し、高速道路では車両が走行車線の中央を維持するようにステアリング操作を支援。走行中に車線からはみ出しそうな場合にはハンドルを揺らして警告し、はみ出さないようにサポート。

誤発進抑制機能

停車中や低速で走行中、前方にクルマなどがあるにもかかわらず急にアクセルペダルを踏むとエンジンやハイブリッドシステムの出力を絞って急加速を抑制。ペダルの踏み間違いも防ぐ。

ENGINE

 131馬力のエンジンに29.5馬力のモーターを組み合わせるハイブリッド車のシステム出力は152馬力。ガソリンターボ車は150馬力で、自然吸気の2.4L車並みだ。

[ライバル]ホンダのほかのコンパクトモデルと使い勝手はどう違うの?

ホンダ フィット(先代) フィットはジェイドよりも全長が短く、3列シートの設定がない。小さな車体を求めるユーザーに向いているクルマで、積載性などの使い勝手ではジェイドがリードする。
中古車参考価格帯:40万円~200万円(13年~19年 ※全グレード)

ホンダ フリード ジェイドよりも短い全長ながら、背を高くしたパッケージングの3列シートモデル。後席ドアはスライド式だ。背の高さを生かした空間設計で、3列目の居住性はジェイドに勝る。
中古車参考価格帯:140万円~270万円(16年~20年 ※全グレード)

[市場データ]低年式なら100万円台前半の予算で購入可能

 物件数はそれなりに充実し、現在探すのはそれほど難しくない。相場も順当に下がっており、5年落ちならば100万円台前半の物件も流通している。逆に高年式の物件は少なく、コンディションのよい個体は今後減っていく可能性もある。多くの物件は低燃費が自慢のハイブリッドとなっている。

  • 年式
    デビューした2015年式が全体の6割以上を占めている。マイナーチェンジを受けた2018年式はやや多いものの、高年式は物件が少ない。

  • グレード
    「ハイブリッドX」が全体の半数以上となっており、次にスポーティな「RS」が多い。中古車市場では、上級グレードが多い傾向にある。

  • 走行距離
    走行距離の分布を見ると、市場にはまんべんなく流通している。3万km未満の低走行物件は4割ほどだが、10万km以上も少なくない。

自動車ジャーナリスト工藤貴宏の「ホンダ ジェイド GOODとBAD」

【GOOD】心惹かれる美しいフォルム

 ジェイドが欲しくなる最大の魅力は伸びやかなフォルム。デビューから5年が経過した今でも美しいと思う。3列ミニバンと考えず、手ごろなサイズのワゴンだと思えばパッケージも秀逸だ。2列目のアレンジ幅が広く、足もとを広くできるのも美点。そして声を大にして言いたいのが、低車高とロングホイールベースを生かした味付けによる運転の楽しさだ。

【BAD】なんともつかみにくいキャラクター

 新車時に気になったのは割高に感じられる車両価格だが、中古車で購入する際にはむしろ割安な個体が多い。ミニバンと考えると3列目の狭さが気になるところだが、考え方を変えてイザというときに使える補助的な3列目を備えたワゴンと思えばじつは秀逸なパッケージングである。最大の“惜しい”はキャラクターを世の中に理解されなかったことかも。

編集部イチオシ!

ハイブリッドX

 「RS」も魅力的だが、幅広いユーザーに適しているのは標準のハイブリッドモデルだ。上級仕様の「ハイブリッドX」なら前期型でも先進安全運転支援システムを標準装備するなど、安全面も充実している。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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