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更新日:2021.04.14 / 掲載日:2021.04.13

スバル XV/2017年~【ONE MAKE MARKET RESEARCH】

スバル XVの外観

Profile 工藤貴宏:学生時代のアルバイトから数えると、自動車メディア歴が四半世紀を超えるスポーツカー好きの自動車ライター。2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

文●工藤貴宏 写真●ユニット・コンパス、日産
(掲載されている内容はグー本誌 2021年4月発売号掲載の内容です)
※中古車参考価格はすべてグーネット2021年3月調べ。


5ドアハッチバックとボディを共用しつつも、車体をリフトアップしたクロスオーバー。その魅力と人気の秘密を探ろう。

2017年式 スバル XV 2.0i-S アイサイト(CVT) ●全長×全幅×全高:4465×1800×1550mm ●ホイールベース:2670mm ●トレッド前/後:1555/1565mm ●車両重量:1440kg ●排気量:1995cc ●エンジン:水平対向4DOHC ●最高出力:154ps/6000rpm ●最大トルク:20.0kgm/4000rpm ●サスペンション前/後:ストラット/ダブルウィッシュボーン ●ブレーキ前後:Vディスク ●タイヤ前後:225/55R18 ●中古車参考価格帯:130万円~260万円(17年~21年 ※全グレード)

アウトドアにぴったりのクロスオーバー

日常の使い勝手がよく雪道にも強いから安心

編集部●このところ、街でXVを多く見かける気がしませんか?
工藤●たしかに。XVは明るいボディカラーを選んでいる人が多いから目立つのもあるけれど、新車販売では本流といえるベース車両の「インプレッサスポーツ(5ドアハッチバック)」よりも売れているほど。日本では「フォレスター」の次に販売台数の多いスバル車なんだ。
編集部●それなら納得です。ところでXVの特徴はどこでしょう?
工藤●まずサイズがちょうどいい。Cセグメントハッチバックというクラスなのだけど、全長は約4.5mで扱いやすいサイズながら、後席も荷室も十分なスペースがあってバランスが絶妙だ。トヨタ「カローラスポーツ」とかマツダ「マツダ3」のファストバックあたりがライバルだね。輸入車だとフォルクスワーゲン「ゴルフ」も競合だ。
編集部●でも、純粋なハッチバックのSUVはXVしかないような……。
工藤●そこがXVのおもしろいところ。マツダ3に対する「CX-30」など、このクラスのクロスオーバーSUVはハッチバックと基本設計を共用しつつ、専用の車体デザインとするのが常識。しかし、XVはインプレッサスポーツと同じボディのまま、車高を上げてSUV化しているのが“我が道”というわけ。
編集部●見た目が軽快ですよね。
工藤●そして、普通のインプレッサスポーツじゃなくてXVのほうがいい理由がいくつもある。
編集部●たとえば?
工藤●悪路走破性が高いこと。最低地上高(車体と地面の隙間)が200mmもあるから、悪路はもちろん深い轍があったり路肩に除雪した雪が積み上がっている雪道にも強い。雪国でやたらとXVを多く見かける理由もそこにある。そのうえ、地面に対しての着座位置の高さが絶妙で、乗り降りしやすいのも美点だ。

スバル XVのリアカット

Driveability

スバル XVのオフロード走行イメージ

工藤’sコメント「オンオフ問わない全天候型ツアラー。」

 2017年春、デビュー直後のメディア向け試乗会は季節外れの雪に見舞われた。そして特設オフロードコースでは泥だらけかつ片輪の下だけ雪の上り坂という超悪条件の環境に。しかしXVは、ノーマルタイヤのままグングン登って高い走破性を実践してみせたのだ。あれ以来、XVの悪路走破性に一目置くようになったのは筆者だけではないだろう。

[モデルヒストリー]

2017年4月:フルモデルチェンジ

2017年4月フルモデルチェンジしたスバル XV

 3代目となる新型がデビュー。スタイリングは2代目からのキープコンセプトだが、車体の基本骨格となるプラットフォームまで刷新したフルモデルチェンジだ。1.6Lエンジンを国内初導入。

2018年10月:e-BOXERを追加

2018年10月追加されたスバル XV e-BOXER

 後退時の自動ブレーキなど安全装備が充実。さらに最上級となる新グレードとして、モーターを組み合わせたハイブリッドモデルの「アドバンス」が追加された。内装の差し色は専用のブルー。

2019年10月:一部改良

2019年10月に一部改良したスバル XV

 2Lエンジンは全車ともモーターを組み合わせてハイブリッド化。装備面では、高速道路などで車線を維持するようにハンドルをアシストする「アイサイト・ツーリングアシスト」を全車に搭載した。

2020年9月:マイナーチェンジ

2020年9月にマイナーチェンジしたスバル XV

使い勝手のいいパッケージングは継承。インテリアは「1.6i-Lアイサイト」や「アドバンス」のシート表皮やカラーコーディネートが変更されている。

 外観デザインが変更を受けるなど、大きな改良を実施。外装はバンパーやグリル、アルミホイールの意匠をリファイン。サスペンションにも改良を施して操縦安定性と乗り心地を向上したほか、2Lモデルは減速時にシフトダウンするなどCVTの制御がドライバーの感覚に従うように進化した。

[インテリア]上質感のあるインテリアも魅力

スバル XVのインテリア

工藤’sコメント「リアシートを倒せば、大人が横になれるほどのスペースが作れる。」

 インテリアは使い勝手がいいだけでなく、上質なのも魅力。たとえばダッシュボードにはステッチを入れて革張り風の仕立てで、1.6Lモデルは樹脂による模様だが、2Lモデルは本物のステッチを入れている。オレンジでコーディネートした、さりげなくポップな雰囲気も特徴だ。フロントシートはしっかりと身体を保持してくれる形状で、後席区間にもゆとりがある。

スバル XVスイッチ類

高速道路走行時に、前を走る車両にあわせて速度を自動調整するクルーズコントロールを搭載。電動式のパーキングブレーキを組み合わせるから、渋滞時停止保持も実現。

スバル XVラゲッジルーム

実用性の高いハッチバックボディなので、荷室も使い勝手がいい。床を低くし、ゴルフバッグは後席をたたむことなく3個積載可能だ。

[メカニズム]エンジンはこだわりの水平対向を継承

エンジン

ENGINE

 「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」というスバルの次世代向けの車体骨格をいち早く採用。そこに水平対向という、今では世界中でもスバルとポルシェくらいしか採用していないこだわりレイアウトのエンジンを搭載する。2つのカメラで前方の様子を把握し、必要に応じて自動ブレーキなどを作動させる「アイサイト」も全車に組み込む。

SUBARU GLOBAL PLATFORMのイメージ

SUBARU GLOBAL PLATFORM

EYESIGHTの動作イメージ

EYESIGHT

e-BOXERとは?

e-BOXERのエンブレム

工藤’sコメント「モーターのアシストで燃費をアップする。」

 当初は一部グレードのみだったが、今では2Lエンジン全車に組み合わせるパワーユニットが「e-BOXER(イーボクサー)」。発進時などエンジンの効率が悪くなるシーンを中心にサポートするモーターをドッキングすることで、燃費がよくなるのがメリットだ。

駆動方式が全車4WDでもライバルに比べて高くない

編集部●駆動方式は全車が4WDなんですね。
工藤●それもXVがライバルに差をつけている部分。滑りやすい路面での安定した走りのためにスバルは4WDにこだわっているんだ。
編集部●それは高い志だと思いますが、全車4WDだと新車価格が高くないですか?
工藤●じつは新車価格がライバルに比べて高いわけでないのがXVのいい部分のひとつ。ちなみにエンジン排気量は1.6Lと2Lの2タイプがある。後者は途中から「e-BOXER(イーボクサー)」というマイルドハイブリッド仕様が追加され、2019年11月以降はすべての2L車がハイブリッドになったね。
編集部●ところで中古車の状況ですが、グーネットを見ると2017年5月以降のモデルは約350台が登録されています。中古車価格帯は130万~260万円ほどで、排気量は1.6Lと2Lで半々くらいです。一方、ハイブリッドモデルの在庫はあまりありませんね。
工藤●ハイブリッドは2019年11月まで最上級グレードのみだったから、あまり出まわっていない。でも、これからは増えるはずだ。
編集部●買い時は訪れますか?
工藤●特別に人気車というわけではないから、年式が古くなると順当に相場は下がるはず。だから「欲しいと思ったときが買い時」かな。

先代モデルの相場動向は?

スバル XV先代モデル

 順調に価格がこなれている先代のコスパは抜群に高い。現行モデルと異なりエンジンは全車とも2Lで出力にゆとりがあり、流通台数は少ないがマイルドハイブリッドモデルも設定されている。追突事故を減らす効果のある運転支援システムは全車搭載ではないので、装着車を選びたい。
●中古車参考価格帯:90万円~210万円(12年~17年 ※全グレード)

[インプレッション]ちょっとカジュアルで便利なパートナー

 XVに関して「アウトドアグッズのように仕立てたカジュアルなクルマ」と感じている人もいるかもしれないけれど、それは誤解。見た目は今風だけど、雪道に強いといった走行面だけでなく、十分な最低地上高のおかげで道路などの段差を気にしなくて済んだり、絶妙な着座高が生み出す乗り降りのしやすさなど、使いやすいクルマになっているのだ。ベースとなったインプレッサのハッチバックに比べて背が高くそのぶん重心も高めだが、じつは高速道路の安定感や峠道のキビキビした走りなどハンドリング性能も魅力。

[マーケットデータ]

スバル XVのグレード・年式、走行距離・年式の中古車平均価格

  • スバル XV中古車の年式データ

    年式
    最も豊富なのはデビュー翌年の2018年式で、全体の4割を占める。高年式は少ない傾向にある。

  • スバル XV中古車のグレードデータ

    グレード
    2Lエンジン搭載車が物件の大半を占めている。e-BOXER搭載モデルは現段階では少ない状況。

  • スバル XV中古車の走行距離データ

    走行距離
    1万km~3万kmが走行距離のコアゾーン。3万km以上の物件は価格が低くお買い得なことが多い。

工藤貴宏が注目するスバル XVの「ココが○」

その1:遊び心を感じさせるカジュアルなデザインとボディカラー
その2:乗り降りしやすい着座高など、使い勝手のいいパッケージング
その3:全車4WD搭載による高い走行安定性

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グーネットマガジン編集部

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グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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