中古車購入チェックポイント
更新日:2022.06.01 / 掲載日:2022.06.01
中古車の減価償却はローン払いでも経費計上できる?仕訳方法や注意点ついて解説
車を購入した際、減価償却が必要なことは知っている方も多いでしょう。しかし、ローン購入した場合は経費計上ができないのでは?と思うかもしれません。
現金一括でもローン払いでも、結果として減価償却は行う必要はあります。しかし、方法が異なる点で勘違いされやすいことに繋がっています。
経費計上する際にはポイントがあります。この記事では、ローン払いに関しての減価償却や仕訳方法の注意点をまとめました。今後、経費処理を行う際に役立ててください。

車を購入する際、現金一括よりもローンを組んで購入することが多いかもしれません。
新車を販売するディーラーや中古車販売店では、ローンを推奨するケースが多々あります。理由としては、購入者がローン払いにすると、ローン会社から代行手数料が支払われるからです。現金一括での購入を販売担当者があまり良い顔をしない背景は、ここにあります。
また、ローンで購入した事業用の車に関して、経費で計上できるのが「利息だけ」であるような情報が流れているケースが散見されます。
月々口座から引き落としされるローン金額は、そのまま経費として計上ができないのは事実です。しかし、車は不動産などと同様に「固定資産」として適用されるため、購入した金額は「減価償却費」で計上すれば問題ありません。これは、現金一括やローン購入であっても一緒になりますので、間違った解釈をしないことが大事です。
これが「支払利息のみ経費計上できる⇒車両本体価格が経費計上できない⇒ローンは車両価格を経費で落とせない」と考えてしまい、誤った捉え方になっている背景です。
毎月支払うローン金額で元本は車両代金の返済ですので、別の経費計上を行います。そのため、月々のローン金額は支払利息分を経費で計上します。
つまり、ローン返済の時には、月々支払うローン金額の元本は減価償却で処理を行い、支払利息は経費として計上していく2つの仕訳が必要になるということです。
固定資産に関しては、一括で経費計上することができません。法定耐用年数が国税庁で決められており、その年数分を按分して経費計上を行うことになります。
車も固定資産なので、減価償却を行いながら車の取得にかかった金額を計上していきます。そのため、現金一括でもローン払いであっても、その時にかかった金額をそのまま経費計上をすることはできません。数年かけて購入金額を減価償却費として行うことになります。
個人事業主や法人が事業目的で車を購入した場合は、購入した事業年度で全ての金額を経費計上することができません。車は消耗品として直ぐに使用できなくなるものではなく、高額で長期的に使用する資産として考えられます。
そのため、取得額を耐用年数に応じて少しずつ経費計上を行うことになります。この考え方が「減価償却」です。
車以外にも、不動産や社内設備や備品なども減価償却に該当します。そのため、一括で経費計上が可能かどうかは固定資産であるかないかがポイントになりますので、確認しながら行うことが必要になります。

減価償却のやり方は、「定額法」と「定率法」の2つがあります。
この2つの方法は、企業の方針などによっても使い分けることができます。経営方針によってどちらにするか選択していくと良いでしょう。
以下で詳しく解説していきます。
車の場合、購入価格は大きく分けて「販売価格」と「諸費用明細」になります。
基本的に減価償却を行う項目は「車両の取得価額」です。
取得価額は、販売価格(車両本体・オプション等)と手続き代行費用のうち納車費用、自動車税環境性能割・検査費用・車庫証明等の法定費用も含めた金額を指します。
この取得価額を耐用年数に応じて経費計上していきます。
例えば、取得価額100万円の中古車を5年で減価償却する際の計算方法は、以下の通りです。
100万円÷5年=20万円
定額法であれば、1年に20万円ずつ計上し、5年かけて償却していきます。
国税庁では減価償却資産に応じた償却率を定めており、耐用年数ごとに償却率が異なっています。
具体的な普通自動車の耐用年数と償却率は、以下の通りです。
<耐用年数:償却率>
・2年:1.000
・3年:0.667
・4年:0.500
・5年:0.400
・6年:0.333
定率法のポイントは、初年度が一番多く減価償却ができる点です。これは、減価償却累計額によって算出するためです。
例えば、普通自動車を100万円で購入し、定率法で4年間で減価償却する計算式は以下の通りになります。
(取得価額‐減価償却累計額)×償却率
・1年目:100万円×0.5=500,000円
・2年目:(100万円ー50万円)×0.5=250,000円
・3年目:(100万円ー50万円ー25万円)×0.5=125,000円
このように、定額法に比べて初年度に多く減価償却が行えるので、早期に経費計上を行いたい場合には利用しやすい方法と言えるでしょう。
基本的に個人事業主は定額法で行いますが、税務署に申請すれば定率法で減価償却することが可能です。
しかし、定額法や定率法で定めた後に変更することはできませんので、注意してください。
一方、中古車の耐用年数は異なっています。それは、車が新車登録された時からの経過月数に応じて変わってしまうからです。
耐用年数の算出方法として簡便法が計算式としてあります。具体的には次のような計算式です。
(法定耐用年数ー経過年数)+(経過年数×0.2)
※ただし、1年未満の端数は切り捨てであること、2年未満であれば2年が耐用年数になります。
気をつけなければいけないのは、経過年数が法定耐用年数を越えているケースは計算式が異なるという点です。これから例を挙げて耐用年数を算出していきます。
<経過年数が法定耐用年数より短いケース>
経過年数が3年の普通自動車を購入した場合は以下の通りになります。
計算式:(6年‐3年)+(3年×0.2)=3.6年
1年未満の端数は切り捨てになりますので、このケースの耐用年数は3年になります。
<経過年数が法定耐用年数より長いケース>
経過年数が8年の普通自動車を購入した場合は以下の通りになります。計算式が異なっていますので、注意してください。
計算式:法定耐用年数(6年)×0.2=1.2年
2年未満の場合は2年になりますので、このケースの耐用年数は2年になります。つまり、法定耐用年数より経過年数が長い場合は、耐用年数は2年です。

新車であれば普通自動車は6年、軽自動車は4年と法定耐用年数が決まっていますので、それぞれの償却期間で減価償却すれば問題ありません。
しかし、中古車の減価償却については、仕訳方法が個々で異なる点があります。仕訳方法を知っておくことで、計上方法も迷うことなく対処できるでしょう。
ここからは、様々なケースに基づいて詳しく解説していきます。
以下で、具体例をまとめておきます。
例:事業用に取得価額200万円で現金一括購入した中古車を耐用年数4年で定額法を用いて減価償却したケース(直接法)
・年間計上額:200万円÷4年=500,000円
<借方>
減価償却費:500,000円
<貸方>
車両運搬具:500,000円
こちらを償却期間4年で経費計上していきます。
計算が複雑でないため、個人事業主が利用しやすい方法となっています。
例:事業用に取得価額200万円で現金一括購入した中古車を耐用年数4年(償却率0.500)で定率法を用いて減価償却したケース(直接法)
・減価償却費
1年目=200万円×0.500=100万円
2年目=(200万円ー100万円)×0.500=500,000円
3年目=(200万円ー100万円ー50万円)×0.500=250,000円
1年目の仕訳方法
<借方>
減価償却費:100万円
<貸方>
車両運搬具:100万円
2年目の仕訳方法 <借方>
減価償却費:500,000円
<貸方>
車両運搬具:500,000円
定額法と異なるのは、年度によって減価償却費の計上額が違うという点です。償却率も踏まえて計算する必要があるので、若干手間がかかることがネックです。
しかし、購入初年度に減価償却費を多くできることが、初期費用としてかかった分メリットがあると言えるでしょう。
例:事業用に取得価額200万円を2年ローン購入した中古車を耐用年数4年で定額法を用いて減価償却したケース(ローン返済が月100,000円、割賦手数料240,000円の場合)
減価償却の仕訳方法
<借方>
減価償却費:500,000円
<貸方>
車両運搬具:500,000円
ローン返済時の仕訳方法
月の支払手数料は240,000円÷24か月=10,000円になります。
<借方>
長期未払金:100,000円
支払利息:10,000円
<貸方>
普通預金:100,000円
長期前払費用:10,000円
減価償却の仕訳と支払手数料の仕訳に分ける必要があるという点が、ポイントです。
カーリースは企業の固定資産として考えず、カーリース会社から車を借りている状態になります。所有者はカーリース側にあるので、経費の計上はレンタル費用と同じ扱いです。そのため、個人事業主や法人にとって減価償却を行う必要がなく、節税対策としても需要があります。
例:3年契約でリース契約を行い月40,000円ずつ支払いを行う
<借方>
リース料:40,000円
<貸方>
普通預金:40,000円
リース契約は、経理面においても面倒な手続きが不要なため、仕訳が簡単に行える点もメリットです。

車にかかる経費は多数ありますが、車両以外にも経費計上できる項目があります。その点についても知っておくと、節税に繋がるでしょう。
経費にできる維持費に関しては下記の通りです。勘定科目から対象になる項目を挙げておきます。
・保険料:自賠責保険・任意保険
・租税公課:自動車税(種別割)・自動車重量税などの税金
・車両費:洗車代・ガソリン代・点検費用・車検費用
・旅費交通費:高速道路費(ETC料金)・時間貸しの駐車場代
・地代家賃:月極駐車場代
上記に挙げるような経費は計上できますので、レシートなどはしっかり保管しておきましょう。

家事按分とは、個人事業者が「業務用」と「プライベート用」の使用頻度に応じて按分することで、経費計上できる方法です。
企業ではあまり多くないですが、個人事業主であれば車を仕事とプライベート兼用で利用されている方も多いでしょう。そのため、按分比率がどのぐらいかによって費用を経費として申請することが可能です。
具体的には、車の走行距離がどのくらいかによって割合を決めるのが一般的です。
例えば、業務用で月5,000km、プライベートで月1,000km走行しているとすれば、家事按分としては「業務:プライベート=5:1」になります。
したがって、自動車関連費用が3万円かかる場合は、30,000円×5/6=24,000円が事業にかかる費用として経費計上することが可能です。
これは、車の取得価額だけでなく維持費にも計上することができますので、按分比率を明確にした上で、経費として計上していきましょう。
気をつける点としては、使用している根拠を明確にしておくことです。実際、あまりにも多く経費計上されている時には、税務署で指摘される場合もあります。そのようにならないように、日数や走行距離はメモに残しておくと良いでしょう。

車を購入するにあたり、現金一括とローン払いではどちらがお得になるのでしょう。結論から言えば、自分自身の状況によっても大きく異なります。
経費計上の視点から考えると、年間計上できる減価償却費よりローン金額が少ない状態であれば、経費を多く計上できる分お得感があります。
ローン購入では利息がかかってしまう分、現金一括で購入するより車両価格が高くなることがネックになります。
しかし、販売店側の視点で考えると、ローン払いは信販会社からの手数料をもらうことができるため、販売店の儲けが増える仕組みがあります。そのため、車両本体価格を値下げ交渉できるケースもあり、トータルで考えると現金一括よりも良い傾向があります。
そして、車の価格が高い状態であっても、初期費用が低く抑えられ、毎月の支払いで購入できる点もメリットです。最近のケースでは、頭金を入れなくてもローンが組めることも多くなりました。そのため、まとまった資金が必要なく、現金を温存できるように対処することが可能です。
企業業績の変動によるリスクヘッジを行うことは、重要なことです。以上の点を踏まえると、企業の状況に応じて変わってきますので、どちらがメリットになるかしっかりシミュレーションした上で検討することをおすすめします。
現金一括でもローン払いでも、結果として減価償却は行う必要はあります。しかし、方法が異なる点で勘違いされやすいことに繋がっています。
経費計上する際にはポイントがあります。この記事では、ローン払いに関しての減価償却や仕訳方法の注意点をまとめました。今後、経費処理を行う際に役立ててください。
この記事の目次
ローンで購入した中古車も経費計上できる

新車を販売するディーラーや中古車販売店では、ローンを推奨するケースが多々あります。理由としては、購入者がローン払いにすると、ローン会社から代行手数料が支払われるからです。現金一括での購入を販売担当者があまり良い顔をしない背景は、ここにあります。
また、ローンで購入した事業用の車に関して、経費で計上できるのが「利息だけ」であるような情報が流れているケースが散見されます。
月々口座から引き落としされるローン金額は、そのまま経費として計上ができないのは事実です。しかし、車は不動産などと同様に「固定資産」として適用されるため、購入した金額は「減価償却費」で計上すれば問題ありません。これは、現金一括やローン購入であっても一緒になりますので、間違った解釈をしないことが大事です。
月々のローン金額の経費計上のポイント
ローン金額の経費を計上する時のポイントは、車両本体価格を含めた返済額は経費計上できませんが、支払利息について経費計上を行える点です。これが「支払利息のみ経費計上できる⇒車両本体価格が経費計上できない⇒ローンは車両価格を経費で落とせない」と考えてしまい、誤った捉え方になっている背景です。
毎月支払うローン金額で元本は車両代金の返済ですので、別の経費計上を行います。そのため、月々のローン金額は支払利息分を経費で計上します。
つまり、ローン返済の時には、月々支払うローン金額の元本は減価償却で処理を行い、支払利息は経費として計上していく2つの仕訳が必要になるということです。
現金一括でもローン払いでも減価償却が可能
車は10万円以上の価値があり1年以上使用することができる資産に当たるため、固定資産となります。固定資産に関しては、一括で経費計上することができません。法定耐用年数が国税庁で決められており、その年数分を按分して経費計上を行うことになります。
車も固定資産なので、減価償却を行いながら車の取得にかかった金額を計上していきます。そのため、現金一括でもローン払いであっても、その時にかかった金額をそのまま経費計上をすることはできません。数年かけて購入金額を減価償却費として行うことになります。
減価償却の基本的な考え方とは?
減価償却について詳しく解説していきます。個人事業主や法人が事業目的で車を購入した場合は、購入した事業年度で全ての金額を経費計上することができません。車は消耗品として直ぐに使用できなくなるものではなく、高額で長期的に使用する資産として考えられます。
そのため、取得額を耐用年数に応じて少しずつ経費計上を行うことになります。この考え方が「減価償却」です。
車以外にも、不動産や社内設備や備品なども減価償却に該当します。そのため、一括で経費計上が可能かどうかは固定資産であるかないかがポイントになりますので、確認しながら行うことが必要になります。
減価償却を行う時の方法

この2つの方法は、企業の方針などによっても使い分けることができます。経営方針によってどちらにするか選択していくと良いでしょう。
以下で詳しく解説していきます。
定額法
定額法は、主に個人事業主が使用する方法です。これは、簡単に言えば、毎年同一金額を経費として計上していくやり方になります。計算も単純で分かりやすいので、理解しやすいです。車の場合、購入価格は大きく分けて「販売価格」と「諸費用明細」になります。
基本的に減価償却を行う項目は「車両の取得価額」です。
取得価額は、販売価格(車両本体・オプション等)と手続き代行費用のうち納車費用、自動車税環境性能割・検査費用・車庫証明等の法定費用も含めた金額を指します。
この取得価額を耐用年数に応じて経費計上していきます。
例えば、取得価額100万円の中古車を5年で減価償却する際の計算方法は、以下の通りです。
100万円÷5年=20万円
定額法であれば、1年に20万円ずつ計上し、5年かけて償却していきます。
定率法
定率法は、償却率を使用して一定の割合で減価償却を行う方法です。国税庁では減価償却資産に応じた償却率を定めており、耐用年数ごとに償却率が異なっています。
具体的な普通自動車の耐用年数と償却率は、以下の通りです。
<耐用年数:償却率>
・2年:1.000
・3年:0.667
・4年:0.500
・5年:0.400
・6年:0.333
定率法のポイントは、初年度が一番多く減価償却ができる点です。これは、減価償却累計額によって算出するためです。
例えば、普通自動車を100万円で購入し、定率法で4年間で減価償却する計算式は以下の通りになります。
(取得価額‐減価償却累計額)×償却率
・1年目:100万円×0.5=500,000円
・2年目:(100万円ー50万円)×0.5=250,000円
・3年目:(100万円ー50万円ー25万円)×0.5=125,000円
このように、定額法に比べて初年度に多く減価償却が行えるので、早期に経費計上を行いたい場合には利用しやすい方法と言えるでしょう。
基本的に個人事業主は定額法で行いますが、税務署に申請すれば定率法で減価償却することが可能です。
しかし、定額法や定率法で定めた後に変更することはできませんので、注意してください。
耐用年数によって償却率は異なる
新車の法定耐用年数は普通自動車が6年、軽自動車が4年です。一方、中古車の耐用年数は異なっています。それは、車が新車登録された時からの経過月数に応じて変わってしまうからです。
耐用年数の算出方法として簡便法が計算式としてあります。具体的には次のような計算式です。
(法定耐用年数ー経過年数)+(経過年数×0.2)
※ただし、1年未満の端数は切り捨てであること、2年未満であれば2年が耐用年数になります。
気をつけなければいけないのは、経過年数が法定耐用年数を越えているケースは計算式が異なるという点です。これから例を挙げて耐用年数を算出していきます。
<経過年数が法定耐用年数より短いケース>
経過年数が3年の普通自動車を購入した場合は以下の通りになります。
計算式:(6年‐3年)+(3年×0.2)=3.6年
1年未満の端数は切り捨てになりますので、このケースの耐用年数は3年になります。
<経過年数が法定耐用年数より長いケース>
経過年数が8年の普通自動車を購入した場合は以下の通りになります。計算式が異なっていますので、注意してください。
計算式:法定耐用年数(6年)×0.2=1.2年
2年未満の場合は2年になりますので、このケースの耐用年数は2年になります。つまり、法定耐用年数より経過年数が長い場合は、耐用年数は2年です。
中古車を減価償却する仕訳方法

しかし、中古車の減価償却については、仕訳方法が個々で異なる点があります。仕訳方法を知っておくことで、計上方法も迷うことなく対処できるでしょう。
ここからは、様々なケースに基づいて詳しく解説していきます。
定額法の仕訳方法
定額法については、仕訳方法は比較的簡単に行うことができます。ポイントは勘定科目が「減価償却費」と「車両運搬具」を使用することです。以下で、具体例をまとめておきます。
例:事業用に取得価額200万円で現金一括購入した中古車を耐用年数4年で定額法を用いて減価償却したケース(直接法)
・年間計上額:200万円÷4年=500,000円
<借方>
減価償却費:500,000円
<貸方>
車両運搬具:500,000円
こちらを償却期間4年で経費計上していきます。
計算が複雑でないため、個人事業主が利用しやすい方法となっています。
定率法の仕訳方法
定率法は、耐用年数と償却率がポイントになります。それに気をつけて行い、年度ごとに経費計上が異なってくる点に注意すれば、定額法とやり方は同じです。例:事業用に取得価額200万円で現金一括購入した中古車を耐用年数4年(償却率0.500)で定率法を用いて減価償却したケース(直接法)
・減価償却費
1年目=200万円×0.500=100万円
2年目=(200万円ー100万円)×0.500=500,000円
3年目=(200万円ー100万円ー50万円)×0.500=250,000円
1年目の仕訳方法
<借方>
減価償却費:100万円
<貸方>
車両運搬具:100万円
2年目の仕訳方法 <借方>
減価償却費:500,000円
<貸方>
車両運搬具:500,000円
定額法と異なるのは、年度によって減価償却費の計上額が違うという点です。償却率も踏まえて計算する必要があるので、若干手間がかかることがネックです。
しかし、購入初年度に減価償却費を多くできることが、初期費用としてかかった分メリットがあると言えるでしょう。
ローンで購入した場合の仕訳方法
ローン購入の場合には、支払っているローン元本は計上せず減価償却を行い、支払利息のみを経費計上します。そのため、減価償却と支払利息を分けて仕訳を行います。例:事業用に取得価額200万円を2年ローン購入した中古車を耐用年数4年で定額法を用いて減価償却したケース(ローン返済が月100,000円、割賦手数料240,000円の場合)
減価償却の仕訳方法
<借方>
減価償却費:500,000円
<貸方>
車両運搬具:500,000円
ローン返済時の仕訳方法
月の支払手数料は240,000円÷24か月=10,000円になります。
<借方>
長期未払金:100,000円
支払利息:10,000円
<貸方>
普通預金:100,000円
長期前払費用:10,000円
減価償却の仕訳と支払手数料の仕訳に分ける必要があるという点が、ポイントです。
リース契約の仕訳方法
リース契約の場合は減価償却を行う必要はなく、リース料を全て経費計上することが可能です。カーリースは企業の固定資産として考えず、カーリース会社から車を借りている状態になります。所有者はカーリース側にあるので、経費の計上はレンタル費用と同じ扱いです。そのため、個人事業主や法人にとって減価償却を行う必要がなく、節税対策としても需要があります。
例:3年契約でリース契約を行い月40,000円ずつ支払いを行う
<借方>
リース料:40,000円
<貸方>
普通預金:40,000円
リース契約は、経理面においても面倒な手続きが不要なため、仕訳が簡単に行える点もメリットです。
車両以外で経費計上できるものは?

経費にできる維持費に関しては下記の通りです。勘定科目から対象になる項目を挙げておきます。
・保険料:自賠責保険・任意保険
・租税公課:自動車税(種別割)・自動車重量税などの税金
・車両費:洗車代・ガソリン代・点検費用・車検費用
・旅費交通費:高速道路費(ETC料金)・時間貸しの駐車場代
・地代家賃:月極駐車場代
上記に挙げるような経費は計上できますので、レシートなどはしっかり保管しておきましょう。
個人事業主で気をつけるべき「家事按分」とは?

企業ではあまり多くないですが、個人事業主であれば車を仕事とプライベート兼用で利用されている方も多いでしょう。そのため、按分比率がどのぐらいかによって費用を経費として申請することが可能です。
具体的には、車の走行距離がどのくらいかによって割合を決めるのが一般的です。
例えば、業務用で月5,000km、プライベートで月1,000km走行しているとすれば、家事按分としては「業務:プライベート=5:1」になります。
したがって、自動車関連費用が3万円かかる場合は、30,000円×5/6=24,000円が事業にかかる費用として経費計上することが可能です。
これは、車の取得価額だけでなく維持費にも計上することができますので、按分比率を明確にした上で、経費として計上していきましょう。
気をつける点としては、使用している根拠を明確にしておくことです。実際、あまりにも多く経費計上されている時には、税務署で指摘される場合もあります。そのようにならないように、日数や走行距離はメモに残しておくと良いでしょう。
現金一括とローン払いでは、どちらがお得なのか

経費計上の視点から考えると、年間計上できる減価償却費よりローン金額が少ない状態であれば、経費を多く計上できる分お得感があります。
ローン購入では利息がかかってしまう分、現金一括で購入するより車両価格が高くなることがネックになります。
しかし、販売店側の視点で考えると、ローン払いは信販会社からの手数料をもらうことができるため、販売店の儲けが増える仕組みがあります。そのため、車両本体価格を値下げ交渉できるケースもあり、トータルで考えると現金一括よりも良い傾向があります。
そして、車の価格が高い状態であっても、初期費用が低く抑えられ、毎月の支払いで購入できる点もメリットです。最近のケースでは、頭金を入れなくてもローンが組めることも多くなりました。そのため、まとまった資金が必要なく、現金を温存できるように対処することが可能です。
企業業績の変動によるリスクヘッジを行うことは、重要なことです。以上の点を踏まえると、企業の状況に応じて変わってきますので、どちらがメリットになるかしっかりシミュレーションした上で検討することをおすすめします。
まとめ
①中古車をローンで購入しても減価償却はできる
②減価償却を行う方法として、定額法と定率法がある
③中古車は新規登録された経過月数に応じて耐用年数が異なり、償却率も変わってくるので気をつける
④ローンで中古車を購入した際は、減価償却と支払利息を分けて仕訳する
⑤個人事業主は家事按分のケースが考えられるので、使用頻度に応じた対応が必要
この記事の画像を見る