車の歴史
更新日:2026.08.04 / 掲載日:2026.08.04
85周年を迎えるジープを語る【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ジープ
今年ジープブランドは生誕から85周年を迎えました。誕生は1941年、第二次世界大戦に向けてアメリカ陸軍がオーダーした車両が始祖となります。ラングラーは見た目軍用車ですからお分かりいただけるでしょう。「ギブミーチョコレート!」の世界です。

当時アメリカ陸軍からのオファーを勝ち取ったのはご存知ウィリスオーバーランド社でした。軽量・コンパクトで、部品調達がすぐできて修理はしやすく、分解に手間を取らせない、など細かい指示書を具現化しました。ただ、彼らは小さな会社だったので、生産はフォードモーターとアメリカンバンダム社が手伝います。生産規模の違いですね。
これが後におもしろい副産物を生み出します。1966年リリースされたフォードブロンコです。コンパクトでワイルドなボディはまさにジープの競合。彼らにはない5リッターV8エンジンを搭載して当時話題になりました。数年前からアメリカでそれを現代的にアレンジした同名のモデルが販売されているので、ご存じの方はいらっしゃるでしょう。プリミティブな装いが人気です。
それはともかく、ジープには思い入れがあります。メディアの世界に入る前から所有していましたし、この世界に入ってからは何度もジープの国際試乗会に行ってそのパフォーマンスを目の当たりにしてきました。

個人的に所有していたのは、YJラングラー、TJラングラー、それとXJワゴニアです。ワゴニアはSJのグランドワゴニアではない1983年に誕生したコンパクトな方です。アメリカンモータース(AMC)の時代ですね。その意味ではYJラングラーには感動しました。所有したモデルの生産は1987年。つまり、アメリカンモータースをクライスラーが買収した年です。ですが、ドア内側のプレートにはマニュファクチャラーはアメリカンモータースと記載されていました。待望のAMCオーナーになったわけです。
“待望”としたのはAMCイーグルワゴンやランブラーなど、このブランドには好きなモデルがたくさんあったからです。アメリカ第4位のメーカーだけに自由なクルマつくりをしていました。知っていますか? アメリカ第4位のメーカーを買った第3位のクライスラー社会長はリー・アイアコッカ氏だったってことを。フォード時代マスタングを世に送り出し、その成果からフォード社社長に上り詰めた方です。ルノー傘下だったAMCはかなりの経営危機だっただけに渡りに船だったでしょう。彼は当時アメリカ大統領になるのではと噂された人物。それだけ自動車産業がアメリカ国内で重要視されていた時代です。

ジープに話を戻すと、彼らはこれまでも周年を記念するモデルを登場させてきました。2001年にリリースされたXJチェロキーの60周年アニバーサリーエディションがそれです。クールな仕様の限定車でした。その頃の新車価格が324万円というのがすごい。今なら即買いですね。2016年には75周年を記念したJKラングラーもありました。中古車市場でたまに見つけますが、今見てもかっこいい。

それじゃ85周年はというと、いろいろなキャンペーンを行っています。興味のある方はジープのホームページを覗いてみてください。ラングラーのページには周年と直接関係ないかもしれませんが、2ドアのルビコンを見つけました。個人的に好みです。ルビコントレイルやモアブでさんざんルビコンを走らせましたから実力はよく理解しています。これこそ究極のオフローダーです。

話は変わりますが、85周年という数字に少し違和感があります。なんか中途半端なような。日本的にいうと10年周期でお祝いする気がしますし、アメリカ的には10年と25年周期が一般的です。なので、75周年は華々しかった。なぜ25周年周期なのか知っていますか? アメリカにはクォーター(1/4)カルチャーがあるからです。具体的には25セントコイン。日本の貨幣には無い区切りです。
なんて話はともかく、各ブランド周年行事は毎年のように続きます。2027年はフェラーリ80周年、2028年はランドローバー80周年となります。2029年はベントレー110周年かな。そういえば、2013年のアストンマーティン100周年のロンドンはすごかった。ケンジントンガーデンに並んだ300台のヘリテージモデルは圧巻でした。シティで行われた夜のパーティは派手だったし、ガーデンで行われたランチョンパーティは格式高いものでした。
いずれにせよ、今後も毎年のように周年行事は行われるでしょう。皆さんも好きなブランドの誕生年を覚えてください。限定車の登場を誰よりも早く予約できるかもしれませんよ。