車の歴史
更新日:2019.12.24 / 掲載日:2019.12.24
DATSUN 69 FAIRLADY 2000(SR311)【1】

日本の自動車メーカーの中で、最も旧くからスポーツカーを手がけているのが日産だ。そのスポーツカーとは、1959年のデビューから、途中途切れた時期はあったものの、現在にまで脈々と世代交代を果たしているフェアレディのことである。その二代目がS310型であり、その最終進化モデルが今回紹介するSR311フェアレディ2000。フェアレディ(=貴婦人)というネーミングとは裏腹のじゃじゃ馬な乗り味が魅力の一台となる。
全長、全幅、車重はユーノスロードスターと同等
フェアレディ2000のサイズは全長3910m、全幅1495mm、全高1325mm、ホイールベース2280m。これを身近なオープン2シーターのスポーツカーであるユーノスロードスターと比べてみた。
全長や全高、車重、さらにはホイールベースに関しては、ほぼ同等となる。全長は-50mm、全高は+90mm(初期のローウインドウだと+65mm)、ホイールベースは+15mm。
唯一全幅に関しては、-180mmとユーノスロードスターに対してかなりタイトである。フェアレディ2000の車両重量は930kgとユーノスロードスターに比べ-10kgとなる。
国産初の200km/hオーバーを記録したのがSR311

日本の自動車メーカーで最も旧くからスポーツカーを作っているのが日産だ。そのルーツは1952年のダットサンスポーツDC-3にまで遡る。その7年後に2代目のダットサンスポーツが登場。翌年の1960年に初めてフェアレディの名を冠したダットサンフェアレデー(注:当時はこのような表記)1200が登場。しかしここまでの車両は、英国車を中心とした世界のライトウェイトスポーツカーの性能には残念ながら遠く及ばなかった。
しかしフェアレディの2代目として登場したS310型がフェアレディの名を一気に高める。310ブルーバードのラダーフレームにX型の補強メンバーを加えたシャーシに、フロントにWウィッシュボーン、リヤに半楕円リープスプリングの足回りを組み合わせる。1.5L、71PSのG型エンジンを搭載したフェアレディ1500(SP310)は、本場英国のライトウェイトスポーツにひけを取らない魅力と性能を有した。
その後1.6L、80PSのR型エンジンを積んだフェアレディ1600(SP311)に進化。そして最終進化モデルとして1967年に登場したのが、今回レポートするフェアレディ2000(SR311)だ。
搭載するエンジンは2LSOHCのU20型。このエンジンは日産がモータースポーツ用に開発したとされる。カウンターフローのOHVヘッドを有するH20型エンジンをベースに専用のSOHC(カウンターフロー)ヘッドを新たに載せたものとなる。モータースポーツでの使用が前提のエンジンということもあり、組み合わされるキャブレターはソレックス型のツインチョークが2機。ソレックス型のキャブレターを装着するだけでも、その本気度を推し量ることはできるが、後に登場するソレックス型キャブレター装着の市販車は40Φの口径。U20型エンジンに装着されたのは44Φと大口径のものであった。そんなU20型エンジンは、当時としては驚くべき145PSと高出力を発揮。当時はメーカーが最高速度をカタログなどに表記していたが、メーカー公称値となる最高速度はなんと大台越えの205km/h。145PSというエンジンパワーを武器にして国産初の200km/hオーバーカーという称号を得たのである。
ヘッドライトは夜間の視認性を高めるために現代のマルチリフレクターレンズとHIDを組み合わせる。下の小さいレンズはウインカーとスモール(駐車灯も含む)。スモールはヘッドライト点灯時には消灯する。
テールランプは上がリフレクター、下の2つがスモール(駐車灯含む)、ブレーキ、ウインカーの3役をこなす。ちなみに42年11月までのローウインドウモデルは、真ん中のレンズがウインカー専用で、レンズがオレン
サイドミラーは左右別形状で、安全基準対応のために可倒式となる。ちなみにローウインドウの初期型は左右共用の形状。後方の視認性が低く、改良されたと思われる。しかし現在部品供給があるのは初期型用。
42年11月までの初期型が通称ローウインドウと呼ばれる全高の低いフロントウインドウであったが、マイナーチェンジでフロントウインドウが大型化される。サイドの三角窓は開閉しないハメ殺しタイプ。
純正でハードトップが用意されていた。材質はFRPで、内装などはついていない。リヤウインドウはアクリルとなる。撮影車は幌を外して装着しているが、幌が付いた状態でも装着は可能だ。
ヘッドライト枠とボディの段差

ヘッドライトリムとそれが付くフロントフェンダーの段差に酒井さんはこだわる。写真は新車時とほぼ同じように付いた状態で、リムとフェンダーは同じ高さかややフェンダーが高いぐらい。当時は現在のようにプレス加工技術が高くはないので、フェンダー先端部にハンダ(現在であればパテ)を盛って最終成形するのだが、その盛りが少ないまま成形し、リムの方が高い車両が多いそうだ。