車の歴史
更新日:2020.01.29 / 掲載日:2020.01.29
CELICA LB 2000GT (RA25) 【1】

現在ではSUVにそのポジションを奪われてしまったが、1970~1990年代にかけて人気を誇ったのがスペシャリティカー。米フォードのムスタングがその発祥といわれているが、日本においてはセリカがそれにあたる。スポーティなスタイリングは、多くの若者を虜とし、日本にスペシャリティカーというジャンルを確立した。ここではそんな初代セリカをLBを中心にお見せしよう。
AE86と同等となるボディサイズ

LBの名のとおり、リヤがハッチバックとなっておりルーフエンド部を軸に開閉するのが特徴。ボンネットは前ヒンジタイプだ。
Dimension
当時を知る人であればセリカLBにコンパクトなイメージを持つ人は少ないはず。それは通称ダルマことクーペに対してLBが全長で50mm、全幅で20mm大きくなり、全高が30mm低くなっていることで、大きいというイメージが定着しているものと思われる。パッと大きさが思い浮かべられるクルマとして近いものを上げるとすれば、AE86ぐらいの大きさをイメージすれば間違いない。現在のクルマからすると、かなりコンパクトだ。
全高:1280mm、前輪トレッド:1300mm
全幅:1620mm、後輪トレッド:1305mm
全長:4215mm、ホイールベース:2425mm、車両重量:1040kg
スポーツカーのようなスタイリングを身近に
今でこそクルマには多くのジャンルが存在するが、1960年代はセダン型の乗用車や、その派生として2ドアやバンがそのほとんどとなる。その他にはクーペやオープンカーなどのスポーツカーというジャンルがあったが、庶民にとっては実用性もなく、車両価格も高かったことから高嶺の花という存在だった。
そこに新たなるスペシャリティカーなるジャンルの新型車として投入される。1970年に登場した初代セリカがそれだ。
ちなみにスペシャリティカーは、スポーツカーのような魅力的なスタイリングを有しつつ、セダン型の乗用車に近い実用性を有し、そして車両価格も乗用車並みに設定。いわゆるスポーツカーとは異なり、多くの人にとって手に入れることが可能な現実的なものとなる。そんなコンセプトであったことから、スポーティカー(スポーツカーのようなクルマ)と置き換えられることもある。
初代セリカは、当時のクルマ好きの心を見事につかみ、スペシャリティカーというジャンルを日本に根付かせることとなる。自分たちにも手が届く価格でスポーツカーのようなスタイリングのクルマに乗りたいという、当時の気運の高まり見事にハマったのであろう。
「カッコいい」要素満載の初代セリカのスタイリング
初代セリカの魅力は、なんといってもスタイリングだろう。角張ったセダンばかりだった時代に、丸みを帯びた2ドアのクーペボディは、多くの人にとって魅力的に映ったはずだ。
さらに1973年に追加されたLBは、Cピラーを大きく寝かせることでルーフから、テールにかけての流れるようなボディラインを実現したリフトバックとすることで、誰の目にもスポーツカーと認識されるデザインとした。
またスポーツカー感を演出する細部の装飾もセリカの魅力を確実に高めたと思われる。たとえばボンネットに装着されたエアダクトなどは、それがあるだけでボンネットフードの下に収まるエンジンが高性能であるということを暗に示す。こういった演出は、スポーツカーらしいスタイリングを求めた当時の多くのクルマ好きの心をくすぐったはずだ。
ヘッドライトは丸目の4灯式。ライトの外側に付くレンズはポジションランプで、オリジナルでは白となるが、撮影車両には貴重な当時モノとなるトムスのオレンジレンズに変更されている。
ボンネットにはエアアウトレットが標準装備されている。こういったボディへの装飾がスペシャリティカーらしい装備ともいえる。ラジオアンテナは助手席側フロントフェンダーに埋め込み式をセット。
ドアハンドルは非常に凝った造形で、トヨタ2000GTのドアハンドルと同タイプとなる。オーナーがドアを開閉するたびに優越感を感じられる、当時のトヨタの開発陣による心憎い演出といえる。
LBとなったことで、緩やかに落ちるラインを描くCピラーは、パネル部の面積が大きくなる。その部分に力強さを感じさせるエアアウトレット用の大型モールを配しているのもLBの特徴だ。
LBの特徴となるテールレンズ。スリットによりレンズを分割させるデザインはスポーティさや力強さを見事に表現する。後期型になると視認性を高める必要があったのか、スリットの数が減ってしまう。
前期型は燃料タンクを車両後端にレイアウトしていたので、給油口はリヤのガーニッシュ中央部に位置する。ガーニッシュの表面にはGTのエンブレムが備わるが、それに指を掛けて開閉できる造形となる。
オリジナルのサイドミラーはフェンダーミラーだが、オーナーのこだわりでドアミラーに変更されている。オリジナルのフェンダーミラーは当時のGTカーの定番となる砲弾タイプが採用されていた。
リヤウインドウの運転席側の下端に、控えめに装着されるリフトバックのエンブレム。まだハッチバックといえば商用車であるバンタイプが一般的であった時代だけに、差別化目的で装着したのでは?
リヤウインドウにはルーバーが装着されている。LBの現役時代からドレスアップパーツとして多くのオーナーが装着していた人気アイテムとなる。ちなみにメーカー純正品の設定は日本ではなかった。
クーペか? LBか? 初代セリカの人気を二分


今でも多くのマニアから愛されているダルマの愛称で親しまれている初代セリカ(※区別しやすくするために以後クーペ)。多くのパーツを共用するものの、外装はそれぞれ独自のものとなる。たとえばフロントマスクもクーペはスラントする角度が寝ているのに対して、LBは角度が起きていて、ボンネットがより長くなっているのだ(クーペ後期モデルはLBタイプに統一される)。