車の歴史
更新日:2021.03.08 / 掲載日:2021.03.06

HONDA N360 徹底解説 パワートレーン

常識を覆す31psの4ストツイン

エンジン後方に冷却ファンを備える強制空冷

N360は強制空冷エンジン。エキゾーストパイプが伸びるエンジン前方のみ空冷フィンの備わるシリンダーやシリンダーヘッドが見えるが、サイドや後方はシュラウドで覆われ、その後部には、クランクプーリーからの動力で動く冷却ファンを内包するハウジングがレイアウトされる。そのアルミ製の冷却ファンハウジングには、室内に繋がるダクトが接続されていて、ヒーターとして室内に温風が送られるようにもなっている。

基本はシングルだがツインキャブも

N360のエンジンは、可変ベンチュリータイプのキャブがシングルで装着されるのが基本だが、36psを誇る高性能エンジンを搭載ツーリングSは、エンジンの高性能化に合わせてキャブがツインキャブとなっている。エアクリーナーボックスも当然ツインキャブ専用。

ポイントはエンジン右側

N360の点火方式は、ポイント式となる。ポイントが入るハウジングは、エンジン右側のヘッド部にレイアウトされる。1型初期はポイントの部品も他とはことなるため、後期用を流用できないため、メンテ難易度が高いそうだ。

Nッコロマニアたちは1型をさらに3つに分類



 広い空間を有し、しかも振動も騒音もライバルに比べ小さい上、圧倒的な動力性能で、普通車顔負けの走りを実現。しかも販売価格もライバルよりも安価だったため、N360はたちまち大ヒットすることとなった。

 軽自動車による自家用車ブームの火付け役となったスバル360が打ち立てた月間販売台数を、デビューから数か月の内に塗り変えたというから、その勢いはかなりのものだったのだろう。

 そんな大ヒットの裏で、N360は未発表の改良、改修を施していたことはNッコロマニアの間では有名な話。

 公式にはN360は前期、中期、後期の3モデルがある。前期はマニアの間で1型、もしくはN1(エヌワン)と呼ばれ、中期が2型、もしくはN2(エヌツー)と呼ばれている。後期はメーカーがN3(エヌスリー)というモデル名を付けているので、マニアの間でも同様にN3と区別されているようだ。ちなみに現在では、N-ONE(エヌワン)が登場したので、N1という呼称が紛らわしくなるので、ここでは1型と区別させてもらっている。

 公式には、そのように3区分されるN360だが、マニアの間では1型をさらに3分割しているという。というのも広く公表されてこそいないが、組み込まれる部品や車両の構成が全く別モノだから。それを区別すべく、マニアたちは、生産台数が少量で、今ではほぼ現存車両がない極初期型を0型とし、さらに今回このページに登場する、やはり生産台数も現存数も少ない1型初期と、いわゆる1型となるもの(ここでは1型後期と区分)の3つに分類している。

パッと見、大差ないエンジンルーム。よく見ると大幅な変更あり

エンジン本体こそ変更はないものの、補機類のレイアウトを1型の途中で大胆にも変更している。変更された部分というのが、冷却ファンを駆動するためのファンベルトの取り回し。1型初期ではエンジン左側にクランクプーリーを設置し、そこからファンベルトでファンを回すが、1型後期からは、クランクプーリーをエンジン右側に移設している。

1型初期はエンジン左側にファンベルト

1型後期以降はエンジン右側にファンベルト

39年間、共に過ごしてきたN2と レストアしたばかりのN1初期

今回の取材のために、貴重な1型前期と長年乗り続けている2型の2台を持って来て下さったのがオーナーである伊藤さん。ツインキャブ36psの2型との付き合いはなんと39年間!「知り合いが手放すというので、3万5000円で譲ってもらったんです」という。そんな2型の部品集めのためにネットオークションを使っているそうだが、取引相手となった鈑金屋さんが所有していた希少な1型初期を譲り受けることとなったそうだ。譲り受けた際は、いわゆるボロボロの状態だったが、伊藤さんが5年の歳月を掛け、可能な限り1型初期のオリジナルを保って、現在の状態にまで見事再生したという。

icon 1969年式 N360 TOURING S

N3602型 T 車両諸元: ●全長×全幅×全高:2995×1295×1340mm ●車両重量:540kg ●エンジン:強制空冷4サイクル2気筒OHC ●排気量:354cc ●最高出力:36ps/9000rpm ●最大トルク:3.2kg-m/7000rpm ●サスペンション形式:独立懸架式(ストラット)/半楕円板バネ式 ●ブレーキ:リーディングトレーリング 油圧式四輪制動 ●タイヤサイズ:5.20-10-2PR

リヤのアクスル形状と板バネ枚数など足回りも初期と後期以後で変更あり

リヤの足回りも1型初期はそれ以後と異なる部品で構成されている。異なるのはリヤアクスルの形状と板バネの枚数。リヤアクスルは1型後期以降はストレートな形状で1型初期と異なる。板バネは枚数を変更。またホイールも1型初期は合わせホイールとなる。

1型初期と後期でエキパイの接続が違う

エキゾーストパイプも1型初期とそれ以後でパーツが異なる。その大きな違いとなるのが接続部。1型初期ではエンジンルーム内となっていたが、1型後期ではエンジン下に接続部を移動。生産性などを考慮し、ジョイント部を移動したのではなかろうか?

フロントは 独立懸架の マクファーソン ストラット

フロントの足回りはマクファーソンストラット式。I(アイ)型のロアアームにテンションロッドの組み合わせだ。スタビの設定はないが、後にテンションロッドを兼ねるスタビ付き仕様を追加。

ドライブシャフトは 不等長だが……

2本のブーツ付きのシャフトが見えるが、1本はドライブシャフト、もう一本はタイロッドとなる。ドライブシャフトは不等長だが、タイロッドは左右どちらの運転席にも対応させたのか中央にギヤボックスを備えるレイアウトだ。

提供元:オートメカニック

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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