車の歴史
更新日:2021.07.27 / 掲載日:2021.07.27

昭和・平成を彩ったオープンカーの誘惑【VOL.3】コンバーチブルとカブリオレ

 1970年代から1980年代初頭にかけてのアメリカ西海岸ブームに乗って、オープンカーは一気に街に溢れた。

欧州型と北米型の商品企画

 オープンカーとひと口に言っても、その車型にはいくつかのバリエーションがある。いわゆるロードスターは欧州貴族の遊び用馬車をルーツとする2人乗りが基本だが、実用乗用車のルーフを取り払った、カブリオレやコンバーチブルと呼ばれる後席を備えたモデルもある。

 日本では夏は高温多湿で冬は降雪地が多く、せっかくオープンカーを買ってもその魅力を堪能できる日が少ないことも、普及しにくい理由だろう。しかし雪が降らず、真夏の日差しも比較的弱い欧州を中心にオープンカーのニーズは世界には根強くあり、VWやオペル、プジョーなどの大衆実用車メーカーにおいても多くのモデルでカブリオレが設定されてきた。

 日本がすっかり豊かになった1980年代になると、そうした欧州勢を手本とした小型カブリオレが国産車でもブームになった。シティやファミリア、マーチなどの2BOXカーのバリエーションとして設定されたのがそれだ。

 一方、シルビアやセリカ、サバンナRX-7といったクーペがベースのオープンカーは、マスタングやカマロなどのアメリカンコンバーチブル寄りの商品企画。自動車が早くから普及した彼の地では、家族用のセダンと遊び用のピックアップトラックの複数所有が当たり前。加えて、免許を取った子ども世代の遊びグルマとしてコンバーチブルが売れたのだ。

icon HONDA シティカブリオレ(1984年)

トールボーイの個性的スタイル、過激なターボモデルや、荷室に積める小型二輪車モトコンポなど、型にはまらない自由な発想で一時代を築いたコンパクトカー「シティ」。中でも若者を中心に羨望の的となったのがピニンファリーナが手がけたカブリオレ。グリーンやイエローなど12色のボディカラーも話題になった。

カブリオレ(1984年式)主要諸元 ○全長×全幅×全高:3420mm×1625mm×1470mm ○ホイールベース:2220mm ○車両重量:800kg ○乗車定員:4名 ○エンジン(ER型):直列4気筒SOHC1231cc ○最高出力:67PS/5500rpm ○最大トルク:10.0kg・m/3500rpm ○最小回転半径:4.6m ○10モード燃費:16.4km/L ○燃料タンク容量:41L ○トランスミッション:前進5段・後進1段 ○サスペンション(前/後):ストラット式コイルスプリング/ストラット式コイルスプリング(コイル分離式) ○タイヤ:175/60R13 76H ○価格(東京地区):138万円 

手動で軽く開閉できる幌。リヤウインドウは傷つきにくいガラス製。またリヤに格納された幌を汚れから守る幌カバーも標準装備。シートはファブリックの他、雨や汚れに強いビニールレザーも選べた。

icon MAZDA ファミリアカブリオレ(1986年)

大ヒットした5代目ファミリア(BD型)を引き継いだ6代目BF型に追加されたファミリア唯一のカブリオレ。ソフトトップは耐候性に定評のある西ドイツ製。リヤガラスには熱線プリントデフォッガーも備わった。発売当初は1.5Lターボを搭載していたが、後に16バルブDOHCエンジンが積まれている。

カブリオレ(1987年式)主要諸元 ○全長×全幅×全高:3990mm×1645mm×1380mm ○ホイールベース:2400mm ○車両重量:1090kg ○乗車定員:4名 ○エンジン(B6型):直列4気筒DOHC1597cc ○最高出力:110PS/6500rpm ○最大トルク:13.5kg・m/4500rpm ○最小回転半径:4.7m ○10モード燃費:12.0km/L ○燃料タンク容量:45L ○トランスミッション:前進5段・後進1段 ○サスペンション(前/後):ストラット式コイルスプリング/ストラット式コイルスプリング ○タイヤ:185/60R14 82H ○価格(東京地区):175万円 

icon NISSAN シルビアコンバーチブル(1988年)

近代美術のような内外装とFRの走りで、プレリュードの牙城を崩したS13型シルビアに追加されたオーテック製のコンバーチブル。ベースは1.8LのDOHCターボを積むトップグレードのK’s。トランク前方に幌を格納するためのハードカバー付きのスペースを用意。カバー脱着の煩わしさを解消した。

icon TOYOTA セリカコンバーチブル(1987年)

セリカに北米市場向けのコンバーチブルが追加されたのは3代目(A60型)から。その後日本でも本格的に販売されるようになり、6代目(T200型)までその歴史は続く。写真はFFへと大変身が図られ、WRCでも大活躍した5代目(T180型)のコンバーチブル。

icon VOLKSWAGEN ビートルカブリオレ(1941年)

オープンカーを愛するドイツ人の国民車らしく、ビートル1カブリオレは1938年の量産以前に開発が始まっていたという。1970年代になっても人気は衰えず中古車市場でも引く手あまた。日本のカブリオレブームへのきっかけを作った一台だ。

安価で手軽にオープンエア!キャンバストップ車人気沸騰

ルーフ全体をおおうキャンバスが折り畳まれて、頭上全体が空になる。オープンカーほどボディ剛性強化の必要性がなく安上がりで手軽。そんな理由もあってコンパクトカーや女性向けモデルなどに多く採用されていった。

  • WILL Vi(2000年)
    ヴィッツをベースに造られた、トヨタの異業種コラボ企画「WILLブランド」の第一号車。ノーマルルーフのほか、大きく開くキャンバストップをラインナップした。

  • フェスティバ・キャンバストップ(1986年)
    マツダが開発し、フォードブランドで販売された1986年登場のコンパクトカー。その人気の中心がキャンバストップ車。幌の素材には耐候性に優れるヨーロッパのカブリオレ車のものが使われたという。

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ