輸入車
更新日:2023.04.27 / 掲載日:2023.04.04
アウディA1スポーツバック中古車試乗!使い勝手に優れた上質なコンパクトカー

AUDI A1 Sportback/気になる中古車【試乗判定】 人気自動車ジャーナリスト(と編集スタッフ)が真剣チェック!
文●竹岡 圭、ユニット・コンパス 写真●ユニット・コンパス
※中古車参考価格はすべてグーネット2023年3月調べ。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2023年5月号の内容です)
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
一般ユーザーが乗っている使用過程車をテストすることで、新車ではわからない実力をチェックするのがこのコーナー。売れ線中古車の本当のトコロを厳しい目線でインプレッション! 果たしてその結果やいかに!?
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自動車ジャーナリスト【竹岡 圭】
カーライフのサポーターとしてTVやラジオなどでもおなじみの人気自動車ジャーナリスト。全日本ラリーにも参戦経験を持つ。2023-2024 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
アウディのラインアップで最もコンパクトなクルマ
アウディブランドのエントリーモデル

編集部●気になる中古車を実際に試乗することで、その実力をチェックしようというのがこのコーナー。今回は最も小さなアウディであるA1スポーツバックの登場です。お借りした車両は1L直3ターボの「25TFSIアドバンスド」で、走行距離は約2万2000㎞です。
竹岡●またオシャレなクルマで来たね。A1スポーツバックは、初代が世界で90万台、日本でも3万台売れたヒット作。「アーバンエゴイスト」をコンセプトにした、いわゆる「小さな高級車」だね。最初は3ドアだけだったんだけど、5ドアのスポーツバックが追加されて人気に一気に火がついた感じ。
編集部●はい。A1シリーズの登場によって、アウディブランドが身近なものになったのは間違いないです。
メカニズムとしてはVWのポロと兄弟車ですが、デザインはアウディらしさが強く反映されているのも特徴です。今日試乗していただく2代目では、シングルフレームグリルに加えて、1984年に登場して伝説的なモデルとなったスポーツクワトロをオマージュした3分割スリットがデザインされています。
竹岡●初代A1に比べたら現行モデルは、だいぶ大人っぽいというか、カッコよくなったよね。
編集部●そんな現行型A1ですが、2019年5ドアのスポーツバックのみ導入されています。当初は1.5L直4ターボの「35TFSI」(150馬力)からスタートし、翌年に1L3気筒ターボの「25TFSI」(95馬力)が追加されています。グレード構成は、「アドバンスド」が装備の充実した上級モデルで、「Sライン」はそこへさらにスポーティなテイストが加わっています。
竹岡●アウディというとAWDのイメージだけど、A1はFFのみなんだよね。
編集部●はい。初代にはクワトロを搭載した「S1」が存在しましたが、残念ながら現行型にはまだ用意されていません。その代わり、2020年に40mm地上高をアップさせ、SUVテイストのデザインを与えた「A1シティーカーバー」が250台の限定ながら発売されました。
竹岡●アウディにはコンパクトSUVがラインアップにないから、おもしろいチャレンジではあるよね。Q2はSUVというよりデザインもクロスオーバー寄りだし。輸入車のコンパクトカーといえば、かつてはハッチバックが人気だったけど、今のトレンドはSUVだから。でも、毎日乗るクルマとしてコンパクトハッチバックは変わらず魅力的。5ドアだからバッグとか手荷物をサッと後席にしまえるし、なんといってもボディのサイズ感が絶妙なの。
編集部●全幅1740mmというのは、1.9m級が当たり前になってしまった輸入車において貴重です。
竹岡●でしょ。それもそのはずで、ゴルフⅣに近いサイズ感なんだから。全長は10cmくらい短くて、ホイールベースは逆に5cm長いのかな。パッケージングが進化して、後席のゆとりはゴルフⅣ以上にあるはず。街中だとベストなサイズだよね。
編集部●ここまで運転してきて扱いやすいなと思ったのは、そういうことだったんですね。それでは、そろそろ試乗をお願いします。
「街中で使いやすいボディサイズだし走りも想像以上に元気!」

DETAIL CHECK
売れ筋モデルなのが納得できる1Lターボエンジンの底力

編集部●さて、試乗から戻りました。走らせてみた印象を教えてください。
竹岡●なんか記憶にあった「25TFSI」よりもずいぶん走りがよくて驚いた! 前に乗ったときは、最もっさりとしていた印象だったのが、今日のクルマはエンジンが1.5Lかと思うくらいパワフルというか俊敏に走って乗りやすかった。
編集部●新車の売れ筋が1Lモデルだと聞いていて、それは金額のこともあるからだろうと理解していたのですが、この内容なら文句ないです。
竹岡●ね、ちょっと驚き。試乗車が装備の充実した「アドバンスド」だってこともあるけど、内装の質感もアウディらしい上質さがあってさすがプレミアムブランド。これで中古車だといくらくらいなの?
編集部●今日の試乗車と似たようなクルマであれば、200万円半ばくらいで認定中古車が購入できます。新車価格はナビなどのメーカーオプション込みで300万円後半ですから、なかなか魅力的な価格といえるのではないでしょうか。
竹岡●そう。イマドキは軽自動車でも200万円を超えるクルマが増えてきているし、輸入車のBセグメントも気が付いたら300万円クラスが当たり前になってる。でも、それだけ内容は盛りだくさん。国産の1Lエンジンのコンパクトカーでここまでクオリティの高いクルマはないんじゃないかな。たしかにSUVやクロスオーバーに比べたら目立たないかもしれないけど、内容の充実さと価格のバランスを考えたら、A1スポーツバックは買いだと思う。
編集部●ありがとうございます。本当に想像以上にいいクルマでした。

デジタルメーターを採用し先進安全装備も大幅に充実

アウディの最小モデルであるA1スポーツバック。現行モデルは先進安全装備やデジタル化が大きく進んだことが特徴。デジタルメーターや純正ナビはメーカーオプションであるため、中古車を探す際には確認が必要だ。
大人4人でも快適な室内空間 初代よりも後席のゆとりがアップ

前後タイヤの位置が先代モデルから95mm広がったことで、後席の空間にゆとりが生まれた。大人であっても4人までであれば、十分な空間が用意されている。シートは肉厚でサポート性にも優れる。
スクエアで使いやすいラゲッジルーム

標準状態で335Lというラゲッジルームは、先代モデルと比べて65L拡大されていて、使い勝手が高められている。ハッチバックはクルマの背が低いので、背の低い人や子供でも荷物の出し入れがしやすい。
1.5Lターボと1Lターボを用意 駆動方式は全車FF

エンジンは1.5L直4ターボ(150馬力)と1L直3ターボ(95馬力)の2タイプ。自動ブレーキのほか、衝突に備えて自動でウインドウを閉め、ハザードを点灯する「プレセンスベーシック」をオプションで用意している。
試乗判定レビュー

竹岡 圭
ポジショニング[10点]
アウディのいちばんコンパクトなモデル。とはいえ、ひと昔前のファミリーカーくらいのパッケージング力の高さを持っていますので、幅広い用途に使える利便性の高い1台。SUVブームのあおりを受けて、最近は少々大人しいカテゴリーとなっていますが、日本の交通事情を考えると毎日気負わず使うのに、いちばん適したサイズ感だと思います。
装備[10点]
ブラックとアルミで設えられ、全体的にクールな印象の強いインテリア。A1といえどもプレミアムカーとしての質感レベルはクリアしています。装備的には飛び道具的なものはありませんが、十分なものが揃い、広すぎず狭すぎず、豪華すぎずカジュアルすぎずで、下手すると中庸になってしまうところを、センスよくまとめているのはサスガです。
走り[10点]
誤解を恐れずに正直に言いましょう。発売当初試乗した時は、いまひとつピンと来なかったんです。ところが今回は「これS1じゃないよね?」と冗談交じりとしても聞きたくなるほどパワフルで、とても1Lターボとは思えない、あまりの元気よさにビックリ。ある程度距離を乗ることでアタリがついたのかもしれませんが、楽しいレベルの仕上がりでした。
グーワールド 編集部
ポジショニング[10点]
通勤や買い物に使うデイリーカーとしてはもちろん、カップルでのちょっとした旅行にも対応する上質なコンパクトカー。背の低い5ドア+ハッチバックという構成は使い勝手に優れますし、立体駐車場など停める場所にも困りません。現行型はSUV人気に隠れ、イマイチ地味な存在となっていますが、それだけに中古車相場は割安感があります。
装備[10点]
先行車に追従するスマートなクルーズコントロールや自動ブレーキに加えて、ナビ画面が投影できるフル液晶のメーターパネルなど、上級車と同等レベルの装備が用意されています。内装の質感も十分以上のハイクオリティ。ただし、これらはメーカーオプションなので、中古車を探すときは目当ての装備が装着されているか確認してください。
走り[10点]
走り出した瞬間、あまりの身軽さにドライブモードがスポーツになっているのかと確認してしまったほど。1Lターボというと非力だと思いがちですが、7速DCTとのマッチングによって、クルマはストレスなく加速します。乗り心地はスポーティ傾向でふんわりゆったりというよりはしっかりどっしり。スピードレンジが高くなっても安心感があります。
VARIATION MODEL[アウディ A1 スポーツバック 35TFSI]気筒休止技術を搭載した1.5Lターボの上級モデル

「35TFSI」は1.5Lターボを搭載した上級モデルという位置づけ。軽量な車体に対して150馬力は十分以上のパワフルさで、ホットハッチに近い実力の持ち主。写真は「Sライン」で、スポーティなイメージがさらに強調されます。