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更新日:2019.09.04 / 掲載日:2017.12.21
【ポルシェ ボクスター】100万円台後半の予算で買えるエントリーポルシェ

ポルシェファミリーの末弟ながらも走りは本格派
クルマ好きにとって、憧れのブランドと言えばやっぱりポルシェ。スポーツカーの代名詞と言える存在で、クルマにあまり興味がないひとでも名前を聞いたことがあるはず……。でも、ポルシェってすごく高いんです。ポルシェの代表モデル「911」のもっともベーシックな「カレラクーペ」でも2017年11月現在の新車価格で1309万1000円。ポルシェブランドのなかで、もっとも安い「718ケイマン」でも655万円もするのだから、気軽に手が出せるクルマではないのはたしかだ。
ポルシェが評価されてるのは、圧倒的な剛性感から生み出される硬質な走り。さらに911や718シリーズは、シートバックよりも後方にエンジンが載っていて、アクセルを踏み込むと独特のビートを奏でるのだが、これがたまらなく気持ちがよいのだ。ダイナミクス性能、官能性、そして日常生活でも使える実用性をここまで高い次元で両立するスポーツカーというのは少なく、一度乗ると、もうこれ無しじゃいられなくなる。ポルシェって、そんなクルマなのだ。だからやっぱりポルシェがほしい!
ポルシェの不思議なところは、年式が古いからと言って、単純に安くならないことである。たとえば911は1997年モデルまでエンジン冷却装置が空冷式だった(いわゆる空冷ポルシェ)が、これらはその後に登場した水冷式よりも相場が高くなっている。かと言って、高年式水冷911も相場が高いわけだから、かぎりある予算でポルシェを買うとなると、よくよく調べる必要がある。では、何を買えばいいの? という疑問が生じるが、その答えのひとつが先代ボクスター(タイプ987)だ。グーネットのデータベースで徹底調査を行うと、200万円を切る物件すら存在している!
ボクスターは、オープン2シーターというボディゆえ、メルセデス・ベンツ SLKやBMW Z4、アウディTTロードスターなどがライバルとなる。だから走りを積極的に楽しむクルマではなく、ラグジュアリーなスポーツカーだと思われがち。しかし他社のライバルは乗用車系シャシーを流用しているのに対し、ボクスターは完全に専用プラットフォームを採用している。もちろんロータスのように極端なハード志向のクルマではないものの、正真正銘リアルスポーツと言える走りを備えており、これがほかの2シーターオープンと大きく異なるところなのだ。また、兄貴分の911よりもボディが小さいことも美点のひとつだろう。
先代ボクスターのヒストリーを振り返る

ボクスターの簡単に歴史を振り返ると、初代(タイプ986)が誕生したのは1996年モデル。リヤエンジンの911とは異なり、こちらはエンジンを車体中央に配したミッドシップ方式を採用するのが特徴で、走りの素性は非常に優秀だった。またポルシェとしては価格が手ごろだったことも魅力のひとつで、新規ユーザー層へ訴求し大ヒット。さらに言えば、当時ユーノスロードスターを筆頭に2座オープンカーが一大ブームになっていたことも、ボクスター人気を後押しする大きな要因となっていた。その後05年モデルで2代目が登場し、デザイン、走りの性能とも大きく進化している。今回紹介するのは、この05年モデルから11年モデルまでのタイプ987と呼ばれるボクスターだ。
なお、ボクスターは3代目が登場するまでの間、幾度か改良を受けている。最初の改良は07年モデルで、可変バルブタイミング&リフト機構を備えた「バリオカム・プラス」が全車に採用され、最高出力がわずかにアップ。09年モデルからは外観デザインがリニューアルされて後期型にチェンジし、エンジンが直噴化。AT仕様であるティプトロニックSもPDKと呼ばれデュアルクラッチ式7速ATに置き換わった。それを踏まえ、年式別の中古車平均価格をチェックしてみたい。
年式 | 中古車平均価格 |
2005年式 | 240万円 |
2006年式 | 253万円 |
2007年式 | 259万円 |
2008年式 | 285万円 |
2009年式 | 350万円 |
2010年式 | 378万円 |
2011年式 | 386万円 |
後期型になった09年モデル以降、相場が70万円近くも上がっているのがわかる。一方、それ以前の前期型ならば250万円前後の予算があれば十分ねらえるのだ。ちなみに前期型と後期型の物件比率はおよそ7:3程度となっている。とくに前期型は、200万円を切る個体もちらほら存在し、かなりリーズナブルな印象を受ける。ユーズドポルシェが新車の国産コンパクトカー程度の予算からねらえるのだから、注目しない理由はないはず。ポルシェ全般に共通する傾向として、どの年式も大切に扱われた個体が多く、10年落ちでもパーツの供給が安定しているから、昔の国産スポーツカーに乗るよりもリスクが低いことが多い。ただし整備記録が残っていることが絶対条件だから、すぐに飛びつかず、お店とよく相談してから買おう。
MTorAT? 標準車or「S」? ベストバイグレードをチェック

これらの物件比率は7:3程度で、標準車の割合が多い。また、全グレードを通してトランスミッション別の相場を調べてみるとこうなった。
グレード | 中古車平均価格 |
5速MT | 249万円 |
6速MT | 338万円 |
6速AT | 255万円 |
7速PDK | 350万円 |
5速MTは前期型の標準車でしか選べないということもあり、相場がもっとも安い一方、後期型から新設定された7速PDKはかなり高めの価格。しかし、3ペダルのMT車はどれも物件数が少なめで、もっとも多い6速ATの1/3程度しか流通していない。トランスミッション選びは重要な部分だけに、価格だけで判断しないようにご注意を。
総合的に判断すると、先代ボクスターは、標準車の前期型あたりがねらい目のゾーンということになりそうだ。250万円の予算があれば、十分な物件を見てまわれるはず。
兄弟モデル「ケイマン」の相場はどうなってる?

ボクスターには、クーペ版のケイマンという兄弟車が存在する。17年モデル以降は両者とも「718」という車名に統合され、エンジンなどのスペックも統一されているが、先代まではボクスターとケイマンは、性能面で差別化が図られていた。クーペボディを持つケイマンは、よりピュアなスポーツカーというキャラクターで、スポーツドライビングを楽しみたいならこちらがオススメ。
ケイマンも標準車と「S」、さらに最上位の「R」という3つのグレードが存在する。まずはグレード別平均価格を見てみよう。
グレード | 中古車平均価格 |
●ケイマン | 336万円 |
●ケイマンS | 318万円 |
●ケイマンR | 737万円 |
ボクスターよりもやや高めの相場となっているが、こちらも200万円以下の物件が存在し、入手しやすい状況となっている。物件数はボクスターとは異なり、標準車よりも高性能版「S」のほうが多い。ただしモデルライフ終盤に登場した「R」は物件が非常に少なく、高値で取引されているようだ。そして興味深いのはMT/AT比率。ボクスターでは大半がATなのに対し、ケイマンではMTの割合が比較的多いことも特徴で、走りを楽しみたいユーザーへの訴求が強いモデルなことがわかる。
まとめると、先代ボクスター/ケイマンは、いま手ごろな価格で手に入るポルシェとしての優良株である。とくに前期型ボクスターは、200万円前後の予算でもねらえるのでオススメ。スポーツカーというのは年式問わず、その時代の技術を味わえるタイムカプセルのようなもの。これを機に、ポルシェデビューをしてみるのも悪くないはずだ。